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自衛隊 この国営ブラック企業
―隊内からの辞めたい 死にたいという悲鳴
        




 
小西 誠/著
出版元: 社会批評社 
四六判235頁 並製
本体1700円+税
ISBN4-907127-11-4 C0036
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目  次
 
はじめに  2
 
プロローグ インターネットで告発する自衛官たち  9
 
    「ガムテープのミイラのような姿」の遺体  9
 
     現職幹部自衛官がパワハラを告発  12
 
     幹部自衛官の2人目の自殺を目撃  16
 
     パワハラ副隊長には何のおとがめもなし  17
 
     「自衛官人権ホットラインの相談室」へ告発  18
 
 第1章 辞めたい、死にたい自衛隊  21 
 
    ―― 「自衛官人権ホットライン」に届く自衛官たちの悲痛な声
 
     パワハラが爆発的に蔓延する隊内  21
 
     海自を始め全自衛隊に蔓延するパワハラ  27
 
     自衛官家族からの訴えの増大  30
 
     営内班にはびこるいじめと暴力  36
 
     自殺に追い込まれる隊員たち  42
 
     辞めたいのに辞めさせない!  49
 
     セクハラは果たして減ったのか?  54
 
     なぜ自衛隊でパワハラ・自殺は深刻なのか?  56
 
     危惧する元自衛官たち  64
 
 第2章 AKB48と萌えキャラに騙されて入隊  67
  
   ―― かつては「地連」に騙されて入隊したが……
 
     AKB48を使ったコマーシャル  67
 
     危機に瀕する自衛官募集  69
 
     パワハラ・いじめ・暴力の横行   73
 
     未だセクハラの蔓延する隊内  79
 
     自衛隊は「大人の幼稚園」  83
 
     プライバシーのない隊内生活と規律  86
 
     人格が崩壊する自衛隊生活  92
 
     「国営ブラック企業」と呼ばれ始めた!  98
 
     幹部自衛官の苦言・提言  101
 
     元自衛官たちの提言  104
 
     マスメディアが甘やかす自衛隊  108
 
 第3章 自衛隊は元祖「ブラック企業」だった  110
  
   ―― 再任拒否・残業代拒否ばかりか訓練死―自殺が常態化
 
     一般隊員は「契約社員」  110
 
     残業代なしの24時間勤務態勢  114
 
     仕事も生活も監獄並みの拘束   116
 
     訓練・リンチによる死と殉職  120
 
     自殺者の増大を放置する防衛省  124
 
     イラク派兵と自殺者増大  130
 
     自衛官だけに課せられた賭命義務  133
 
     防衛省・自衛隊を訴える隊員家族ら  138
 
 第4章 田母神的トンデモ人格を造る自衛隊教育  147
 
    ――― 旧日本軍以来の訓育と精神教育による「洗脳」
 
     自衛隊的「兵士」の造り方  147
 
     兵士造りの要は「命令への絶対服従」  151
 
     危機に瀕する防衛大学校  154
 
     全校で保険金詐欺が横行する防大  157
 
     はびこる防大のリンチ・いじめ事件  159
 
     田母神ショウグンのトンデモ語録  163
 
     「UFOが原発危機を救った」という防大出身幹部  168
 
     「少年自衛官」たちの危機  172
 
     不祥事=刑事犯罪が多発する自衛隊  177
 
 第5章 マスメディアが報じない自衛隊の実態  181
  
   ―― 繰り返される「脅威論」の虚構
 
     中国の防空識別圏設定で無知をさらす国会とマスメディア  181
 
     制服組主導の「尖閣」上陸作戦の秘密教範  187
 
     シビリアン・コントロールの崩壊  192
 
     「テロ脅威論」に屈服するマスメディア  196
 
     「想定外」の自衛隊の原発災害出動  204
 
     原発55基も抱えて「日本防衛!」は可能だったのか?  209
 
     日米豪の集団的自衛権による日本の「砲艦外交」   214
 
 結語 自衛隊はどうあるべきか?  219
 
 資料 自衛官の懲戒処分者などの件数   226
       
  はじめに
 
  筆者が、多くの人々の協力で運営する「自衛官人権ホットライン」には、全国の部隊
 
内から隊員たちの声が毎日のように届く。ここ数年前までは、自衛隊を「辞めたいのに辞
 
めさせてくれない」、「辞めたくないのに強制的に辞めさせられる」という、退職慰留と
 
退職強要に関する相談がほとんどだった。
 
 ところが、ここ1〜2年、届く声のほとんどは「上官からパワハラを受けている、誰も
 
助けてくれない、もう死にたい」という、悲痛ともいえる叫びである。驚くべきは、この
 
相談者の過半数が、幹部自衛官とその家族、あるいは、自衛官として10〜20年以上勤め
 
あげている、中堅の陸海空曹とその家族だということだ。
 
 この事実は、最近マスメディアでも頻繁に報道されるようになった隊内のパワハラなど
 
が、氷山の一角でしかないことを示している。本書では、「自衛官人権ホットライン」に
 
届いたこれらの声を、ありのままに(プライバシーに配慮しながら)伝えたいと思う。
 
 それにしても、この全国の全ての部隊に蔓延するパワハラ・いじめ、そして自殺者の増
 
大を、なぜ防衛省・自衛隊は放置しておくのか? なぜ解決できないのか? 読者も、多
 
くの人々も、深い疑問を持つことだろう。
 
 問題は、防衛省・自衛隊がこの構造的とも言えるほど隊内にはびこるパワハラ・いじめ
 
・自殺などの背景と原因について、まったく理解していないということだ。それというの
 
も、彼らにとっては根本的に理解不可能な事柄であり、したがって、防衛省サイドからの
 
繰り返しの彌縫策(びほうさく)もまったく効果がないのである。
 
 本書では、この自衛隊のパワハラなどの構造的要因についても詳しく分析するが、ここ
 
には、戦後自衛隊が引き継いできた旧日本軍との深い関係が刻印されている。
 
 政府・防衛省は、現在、集団的自衛権行使に関する自衛隊法などの改定を目論んでいる
 
が、安倍首相を始めとする政府・自衛隊首脳は、この自衛隊内で深く進行している「隊員
 
たちの深刻な危機」を、果たして認識しているのか? この「平時」においてさえ進んで
 
いる悲惨な事態は、一旦自衛隊員たちが、集団的自衛権の行使による命の危険に立たされ
 
たとき、爆発的に進むのは間違いない(アフガン・イラク帰還の米兵を見よ)。
 
 結局、どんな美辞麗句を並べようが、集団的自衛権の行使という事態は、自衛隊員(日
 
本の青年)と世界の人々を「殺し殺される」という現実に立たせることであり、当事者で
 
ある自衛隊員の真実の姿を知ることなしには一歩も進めることはできないのだ。本書をそ
 
のための参考にしていただきたいと思う。
 
                     2014年10月5日        
                                    著 者
 
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