◆◆ Autumn in New York(Nov.27〜Dec.3,2009)◆◆
今から丁度6年前の2009年11月、Maria Schneider Orchestraのサンクスギビングライブにあわせ、ニューヨークを訪れました。当時HP用に書き始めていた旅行記は、未完のままスッカリ放置状態でしたが、今年も「Jazz Standard」で開催されるマリアのライブ情報を眺めていたら、いやぁ〜あの旅行は楽しかったなぁ…と(笑) という訳で、6年前の旅行記を無理矢理完成させてみました。(2015年11月28日:記)
◆11/27(Fri):曇り
成田を飛び立って約12時間。薄い雲で覆われたマンハッタンを遠くに見ながら、人気少ないJFKターミナル7に降下。04年の初訪問から数えて3度目のニューヨークは、ある程度予想していたが日本に比べかなり肌寒い。時刻はまだ朝の10時前。一人旅にしては大き過ぎるスーツケースが邪魔な気もしたが、特に急ぐ予定もないので地下鉄でマンハッタン市内へ向かった。
幸いアーリーチェックインは出来たので、セントラルパークの散策を兼ねて早めのランチを取ってから、今回の旅行の一番の目的だったマリア・シュナイダー・オーケストラのチケット予約をしにJazz Standardへ。ところが、今日〜明日の1st〜2ndセットは既に完売… そう言えば、日本出発前に少し前に届いたマリアのメルマガにも「サンクスギビングの週は事前予約を・・・」と書かれていたっけ。自分の見込みの甘さを後悔しつつ、取りあえず今日の3rdセットだけを予約。
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ビーコンシアター近くのアパートメントホテル、「Woo Go Central Park Takoma Apartment」。
急遽旅行日程を決めたので、安ホテルをじっくり探す時間がなかったけど、ラッキーな事に出発直前にExpediaのセールで予約。
一旦ホテルで仮眠してから、いよいよお楽しみのライブに出掛けた。
■Maria Schneider Orchestra@Jazz Standard
Maria Schneider(reader&composer)
Tp:Tony Kadleck, Greg Gisbert, Ingrid Jensen, Lurie Frink
Tb:Keith O'Quinn, Ryan Keberle, Elliot Mason, George Flynn
Reeds:Charles Pillow, Steve Wilson, Rich Perry, Donny McCaslin, Scott Robinson
and...Ben Monder(g), Toninho Ferragutti(accord), Frank Kimbrough(p), Jay Anderson(b), Clrence Penn(ds)
少し早めに到着したつもりが、入り口には既に3rdセット目当ての人々。その列に合流すると、扉越しに2ndセットのラストナンバー「Buleria, Solea Y Rumba」のエンディングと、それに続く「Happy Birthday」が聴こえてきた。そう、この日はマリアの誕生日。3rdセットまでの短い時間、マリアは相変わらずのチャーミングな笑顔で会場内の知り合いに挨拶をしまわっていた。23時30分を少し回った頃、開演を告げるアナウンスと大きな拍手に迎えられステージ最前列のマリアが立ち上がる。一瞬にして静寂につつまれた会場内。アコーディオンの柔らかなオープニングソロが導く「Concert in the Garden」から3rdセットがスタートした。少しずつ折り重なっていくセクション。そして会場全体に響き渡る重奏なブラスのテーマから一転、B.モンダー(g)のアルペジオがオーケストラのいなくなった空間にクラシカルな世界を演出する。そして、まるで鳥たちがさえずり合うかのようなトニーニョとフランクの掛け合いを経て、次第にオーケストラ全体が音を重ねていく。まだ一曲目だというのに、その美しく繊細なハーモニーの中で、思わず涙が出てきそうになった。やっぱり無理してでも来て良かった。ステージはその後、「Gumba Blue」、R.ペリー(ts)を全面にフィーチャーした 「 Rich's Piece」へ。
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約5年半振りの生マリア(笑)
続々と登場するメンバー。そのセッティングの様子を眺めているだけで、もう気分が高騰!
そして、この日のエンディングチューンが個人的に大好きな「 Hang Glaiding」。マリアの実体験をベースに書かれたこの曲は11拍子を基調とする独特の浮遊感を持つ美しい曲で、この日のソリストは、I.ジェンセン(flh)とD.マッカスリン(ts)の二人。イングリッドはいつも通り、彼女独自のモダンで複雑なラインを細かに紡ぎ合わせた、非常にアグレッシブなアプローチで、穏やかなグライディングというよりも、強風吹き荒れる中で大きく乱高下するグライダーが目に浮かぶようなソロ。続くダニーはといえば、身体を大きく上下させながら更に煽ったプレイを展開し、激しい暴風雨の中を小さなグライダーが必死に飛行し続ける様をダイナミックに表現してくれた。オリジナルアルバムの心地良い飛翔感とは完全に違う雰囲気で展開されたこの大曲は、ライブならではの”生きた音楽”として実に面白い演奏だった。
ある意味、マリアのホームグランドとも言えるJazz Standard。04年に聴いたホールコンサートとは異なり、小さ過ぎず、大き過ぎずの箱自体の鳴りの良さも手伝って、メンバーひとり一人が生み出す微細なハーモニーの美しさに、思わず何度か涙が出てきそうになる程の素晴らしいステージだった。中でも、複雑なハーモニーを絶妙なバランスで支えるトロンボーンセクションと、C.ペンの卓越したドラミングセンスが、バンドサウンドの中核に思えた。
終演後、たまたま近くを通りかかったイングリットに「素晴らしいソロだった」と伝えると、「アリガトウゴザイマス」と日本語の返事。それにしても握手した時の手の感触は明らかに女性のものなのだけど、その手の大きさ、二の腕の太さと言ったら… 最近は益々ガッチリした体型になってきている姉さん、演奏以外にも成長していませんかね…(笑)
ホテルへ帰る途中、偶然地下鉄ホームでG.Flynn(b-tb)と一緒になったので、今しがたのステージの素晴らしさを伝えつつ、気になっていた事を質問してみた。「明日〜明後日はどんな曲を演奏するの?」「曲は毎ステージで違うよ。でもマリアが決めるから、今時点で明日の演奏曲は僕等にも分からないんだ。そうだ、この後彼女に聞いて、電話してあげようか?」 いやいや、流石に僕ひとりの為にそんな手間をかけさせるのは申し訳なさすぎです。ジョージの親切な申し出を丁重にお断りつつ、じゃあ明後日の最終日も行くよと告げて、彼と別れた。
その夜は「Creopatra's Needle」のジャムを少しだけ覗き、熱をさましてから深夜3時過ぎにホテルに戻る。でも、やっぱりマリアのステージの興奮が覚めやらない気がして、少しばかり寝付くのに時間がかかってしまった。
◆11/28(Sat):晴れこの日はメトロポリタン美術館からスタート。ゆっくり回るべく開館直後から見始めたのだけど、これが噂に違わず相当見応えある展示量。どうにか興味ある作品だけに限定して鑑賞しても3時間以上! 結局、空腹を理由にメトを後にし、スカンディナビアンハウスのカフェでランチを食す。N.Y.2日目にして、既にアメリカ的肉食から逃避することに…(笑)
ランチを終えると、ロワーエリアに新設されたTktsへ移動。ここは当日公演しか買えないTimes Sq.のTktsと違い、翌日のチケットも購入出来る有り難いスポット。明日のマチネの演目を物色し、結局日本でもお馴染みの「STOMP」を購入。英語分からなくても大丈夫そうだし。
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カラフルなアント・チェアと北欧らしいクリスマスディスプレイに彩られた居心地の良い店内。
野菜をふんだんに使ったチーズオムレツが優しい味わいでした。
さて、この日の夜は聴きたいライブが目白押しだったのだが、先ずはMidtown Eastの「The Stone」。ここはあのJohn Zornが運営する前衛音楽専門の小さなライブスペースで、3年前にお邪魔した時には結構面白い演奏が聴けたのです。知らなければ入り口のドアを開けるのすら躊躇してしまうような薄暗いスペースには、既に殆ど席(ただのパイプ椅子)が埋まっていて、立ち見も出る程の賑わい。果たしてどんな音楽を聴けるのか楽しみ待っていたのだけど・・・
■Aki Onda and MV Carbon @The Stone
Aki Onda (cassettes, electronics) MV Carbon (cello, keyboards, tape recorder)
いざ始まってみると、レコーダーとマイクパフォーマンスにチェロが加わる、極めて実験的な前衛電子音楽。流石にこのレベルだと僕には難解すぎて(?)殆ど頭に入ってこない。
約1時間のパフォーマンスを何とか見終わり、いそいそと次の場所に向かった。
■John McNeil Quartet@Cornelia Cafe
John McNeil(tp)
Bill McHenry(ts)
Joe Martin(b)
Jochen Rueckert(ds)
我がアイドル、Tom Harrellとの共演アルバムや、素晴らしい教則本「The Art of Jazz Trumpet」の執筆を始めとして教育者としての評価も高いJ.マクニールのコードレス・カルテット。初めて聴く生マクニール、あまり調子が良くないのか音のキレが悪く、一見インパクトに欠ける印象だったのだけど、そこはコード楽器のいない面白さ。僕好みの音楽ではけっしてなかったけど、オープンな空間にキラーパスを放るかのようなフレーズを繰り出す様が結構スリリング。「キャリオカ(だったかな?)」、「Three and One」、「B's Flat」他全6曲。芸達者な4人の自由で楽しそうな掛け合いは、なかなか刺激にあふれたステージだった。
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さらにハシゴ。
■Greg Gisbert Trio@Dizzy's Club
Greg Gisbert(tp,flh)
Pat Bianchi(key)
Rudy Royston(ds)
〜他ゲスト数名
長年に渡りマリアのオーケストラを支え続けるキープレーヤーの一人、グレッグのベースレストリオ編成でのセッション。これまで彼のスモールピースでの演奏を聴いたのは、Chris Crossからリリースされている自身のアルバム数枚を視聴した程度しかない。果たしてどんなプレイが聴けるかと待ち構えていると、あれっ、さっき聴いたばかりの「Three and One」からスタートですか。マリアのオーケストラで2nd(たまにリード)を務めているだけあり、基本的には高音域中心のアプローチで、細かな16分音符の長尺フレーズを次々と繰り出すテクニカルプレーヤーという印象。インサイドをメインとした正統派の演奏は、マリアのところで聴けるモダンなプレイとは随分違っていて… あれっ、こんな人なんだっけ? ファンキーなオリジナル(?)を交えながら、「I Hear A Rhapsody」、「Lazy Bird」他、スタンダードメインのセットリストは、ラウンジという場所柄だったからなのかな。。。
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◆11/29(Sun):晴れ毎度の事ながら、旅先での目覚めは抜群に良い。この日も早朝から天気が良さそうだったので、まだ一度も脚を運んだ事のないブルックリン地区を目指す。途中立ち寄ったチャイナタウンで薦められたのは、小エビを雲呑に包み揚げただけのシンプルなヌードルだったけど、これはがかなりイケル! やっぱり醤油ベースの味が素直に美味しいと言う事なんだよね。
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天気があまりに良かったので、ブルックリンへは橋を歩いて渡る事にした。少し早歩きで約15分、意外とかからない。
ブルックリン美術館は、アフリカやアジアの民族美術が充実しているN.Y.では珍しい構成で、それらも中々楽しめのだが、何と言っても特別展の「Who shoot Rock'n Rool」が抜群に面白かった。ゆっくり見ているとあっという間に2時過ぎ。大慌てで「STOMP」のマチネへ。04年に観劇した「Movin' Out」もそうだったけど、英語が理解出来なくても十二分に楽しめるこういうプログラム、本当に助かります(苦笑)
遅めのランチは、ウクライナ料理の「Veselka」にて。
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よく分からないまま、豆のスープとサラダに、ライス&ミートパイと水餃子のようなセット(サワークリーム添え)、何故かデザートも。食べ過ぎだから(笑)
さて、Thanksgiving weekのマリア・シュナイダー最終公演日。少し早かったけど、一昨日の反省から開場の30分前に店に到着すると…まだ他の客は誰もいない。そうこうしていると、何とマリアと一緒の入店になってしまった。いやいや、何とも気が早い…。
■Maria Schneider Orch. @Jazz Standard
※取りあえずセットリスト
(1st)
Last Season
Choro Dançado
Tork's Cafe
My Ideal
El Viento
(2nd)
Green Piece
(untitled)
Aires de Lando
Hang Gliding
フランクの耽美的でどこか憂いあるピアノが導くように、「Last Season」から最終日1stセットが始まる。マリアの初期を代表する美しい曲で、僕の大好きな一曲。近年の大作に比べると幾分シンプルに感じられる中音域のハーモニーだけど、会場内に柔らかく響き渡るサウンドがかえって洗練された印象を与える。アルバム同様にR.ペリーの独壇場となった2曲目に続き、3曲目はこの日別ライブで参加出来ないB.モンダーの代役を務めるJohn Hart(g)を全面にフィーチャーしたロックサウンドの「Tork's Cafe」(アルバム未収録)。彼は所謂空間系のB.モンダーとは全く異なるタイプのギタリストで、殆どアウトフレーズを入れ込まないのだけど、グイグイと力強くドライブしていく演奏が実に心地良い。続いてイングリットのフリューゲルをフィーチャーした「My Ideal」、S.ロビンソンのコントラが印象的(彼のマイク位置を調整し続け、殆ど指揮が出せないマリアの姿も印象的…笑)な「El Viento」で1stセットが終了。一曲毎にバンドのサウンドは大きく変化し、まるでマリアのショーケースを観ているような感覚だ。次のステージまでの間に、G.Flynnに挨拶すると、「ねっ、毎回違う曲だろ!」と笑顔が返ってきた。
約1時間の休憩を挟み、これまた初期の名曲「Green Piece」で2ndセットがスタート。フランク、ペリー、イングリッドらのソロも凄いけど、この曲はダイナミクスを自在に操るC.ペンのドラミングが、まさに圧巻のひと言。その後、未発表曲を含む2曲を経て、セット最後の曲は一昨日も演奏された「Hang Gliding」。ここまではジョージも予想出来なかったか…(笑) とは言え、音楽は生き物。この日の演奏も一昨日のものとは随分印象が異なった。この日のソロはトニーニョのアコーディオンからダニーのテナーに引き継ぐ構成で、先ず前半のグライディングの様子が、風の強さ、グライディングのスピード、周りの景色… どれをとっても、イングリッドの描いた表現とは全く違う(笑) まぁ後半のダニーになると結局荒れ狂った飛行になっちゃうんだけど。。。
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演奏終了後に、自分はJazz Standardが大好きな事、イングリッド、ダニー、S.ウィルソンが12月に続々とここでライブ出演すること〜その他諸々…と仲間のアピールも忘れないマリア。その可愛らしい笑顔を眺めながら、彼女の繊細なサウンドと、そうした細やかな気配りとのマッチングに妙に納得してしまうのでした。こうして、約1週間に渡って企画されたこの年のMaria Schneider Orchestra @Jazz Standard at Thanksgivingが幕を閉じた。
◆11/30(Mon):曇り〜雨この日はMOMAからスタート。途中から本格的に雨が降り始めたので、腰を据えてゆっくり観ることに。
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ティム・バートン特集やバウハウス特別展、ロックLPジャケットアートなどなど、今回も見所沢山。
結局夕方近くまでMOMAに居座り、今夜のライブ会場を目指してヴィレッジ方面に南下。
この日の夕食に選んだ「gobo」は、ザガットで1位を獲得した事もあるベジタブル主体のチャイニーズ〜ジャパニーズのフュージョンスタイルのお店。手頃な価格で、見た目にも楽しめる料理だ。思わずデザートまで頼んでしまい、時間を気にしながら「Cornelia Cafe」へ向かった。
■Noah Preminger Group@Cornelia Street Cafe
Noah Preminger(ts)
Ben Monder(g)
Ted Poor(ds)
Dominique Eade(v)
最後は「Smoke」のJamセッションを見学。前回(2004年)同様、参加する勇気なし(苦笑)
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ベン・モンダーも参加したユニット。スペーシーなギターサウンドをバックに、テナーとボイスがモダンに絡み合う、如何にもN.Y.NOWなジャズ。短い休憩を挟んだ2セット、期待以上に好みの音楽でした。
◆12/1(Tues):晴れこの日は朝から郊外へ。スタテン島、コニーアイランド、ブライトンビーチ、ロシア地区をゆっくりと周り、ミッドタウンの「ringo」で遅めのランチ。ここはジャパニーズフュージョンのお店で、パンと一緒に出された枝豆ペーストと醤油を併せたものが絶品。この歳になってくると、海外でも舌が日本食を求めてしまうのは仕方ない。
■Ingrid Jensen The BET Band@Jazz Standard
Ingrid Jensen(tp,flh)
Geoffrey Keezer(p,rhodes)
Ed Howard(b)
Victor Lewis(ds)
and Christine Jensen(as), Jon Wikan(perc)
イングリッドからのメンバー紹介が終わると、V.ルイスが徐にシンバルをドーンと叩き始めた。キャッチーな7拍子のアクセントパターンが特徴的なヴィクター作曲の「7th Avenue」が、ミディアムテンポで演奏される。一般に演奏されるのと比べると随分ゆったりしたテンポだけど、これがまた何ともグルーヴィーで、ジェフ〜イングリッドとドライブのかかったプレイを前に、聴いているこちらは煽られっぱなし。そうか思うと、続く「HIgher Ground」で一気にクールダウン。この構成、抜群にキマっている。3曲目で妹のクリスティンが登場し、彼女が書いた美しいワルツの「Vernal Feilds」が演奏される。イングリッドのデビューアルバムタイトルにもなっているこの曲、僕は大好きなのです。正直言うとアルバムの演奏には、彼女等二人の若さ故か少し物足りなさを感じていたけれど、この日聴けた演奏はとても叙情的ながら、ずっしりと熱さも感じさせる実に深みある演奏だった。マイルスの演奏であまりに有名な「It Never Entered My Mind」では、あえて(?)ハーマンミュートを使いながら、彼女自身のスタイルを披露。その様子にバンドリーダーとしてのイングリッドの意思の強さを感じた。1stセット最後は、V.ルイスの猛烈なドラミングにイングリッドが単身で切り込んで行くスリリングな展開からスタート。二人のその力強いプレイに圧倒されながら、テーマを待ち構えていると、W.Shawの代表曲「Obsequious」が猛烈なテンポで始まった。これはもう本当に強烈の一言。会場全体が一気にヒートアップしたまま、短い休憩へ入る。
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前日までのマリアに続くのは、イングリッドのライブ2days。
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この当時のイングリッドの愛器は、N.Y.バックとオールド・ケノンの組み合わせ。続く2ndセットは、動的で分かりやすい選曲だった1stとは大分趣を変え、ゆったりとしたテンポでリズムとハーモニーが溶け合うようなサウンドにシフト。途中からはイングリッドの旦那さん、Jonもパーカッションで加わり、ナナバスの曲なんかも演奏された。2ndセットの最後は再び「7th Ave」(今度は通常のアップテンポ)でクロージング。
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エフェクターのセッティングを眺めてみたけど、全然わからない‥(笑)
それにしても初めて生で聴いたV.ルイスのプレイは凄い。これはでは主流派の手堅いプレイを信条にするベテランドラマーの一人としてしか認識していなかったが、そのダイナミックかつ繊細なドラミングは流石にファーストコールドラマーという印象。ジルジャンの帽子を被っていなければ、冴えないブルゾンを着た普通のオジさん(失礼)にしか見えないそのギャップが何とも不思議だ。
◆12/2(Wed):曇り〜雨旅の興奮からなのか、この日はやけに早く目覚めてしまった。丁度開催曜日だったユニオンスクエアのファーマーズマーケットに顔を出し、お約束のアップルソーダとクランベリーケーキを食べながら、最終日をどうしたものか考える。まだ朝が早かったので、そのまま地下鉄に乗りブルックリンへ。ニッティングファクトリーと、この日ホーコン・コンスタのソロライブが予定されていたMonky Cafeへ。
再びマンハッタンへ戻り土産を物色しつつ5th Aveを歩いてみたものの、クリスマスシーズンできらびやか飾り立てられた街にどうも馴染めないなぁ〜と思っていると、ロックフェラーセンター近くの店で50年代のZodiacを発見。何だか分からないけどこの日は全品50%offらしく、時計を前にうんうん悩む。すると店主らしき御大が更なる大幅値引きを提示。「おまえ、これはクレイジーな価格だぞ」 ‥うっ分かりました、買わせて頂きます。
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大幅に割引されたからってことじゃなくて(苦笑)、ここは良いお店でした。特にこちらから言い出さなくても、裏蓋を開けてムーブメントを確認させてくれたし、保証書を渡してくれる際にも「何かあれば、このメアドで連絡しろ。完璧に調整してやる」って言ってくれました。幸い、あれから6年たった今でもバッチリ動いてくれていますので、真偽のほどは不明だけど(笑)
昼飯はグランドセントラルStでオイスターを少し引っ掛けてから、ホテル近くの「オリーズ」(中華)を梯子。小龍包がヌードルの後に出されたあたり、まあアメリカンサービスって感じでしょうか。
今やすっかりクリーンになったハーレムを散策してから、ロックフェラーのクリスマスツリー点灯式でも眺めるかと思ったのだけど、これが物凄い混雑っぷり。21時の点灯式まで待てなかったし小雨も降ってきたので、旅行最後のJazz Standardへ向かった。
■Ingrid Jensen [at Sea] @Jazz Standard
Ingrid Jensen(tp,flh)
Lage Lund(g)
Geoffrey Keezer(p,rhodes)
Matt Clohesy(b, elb)
Jon Wikan(ds)
and Christine Jensen(as,ss)
2日目のこの日は、現時点でイングリッドの最新作である「At Sea」に由来しながら、ギターも加わったクインテット編成。1stセットのオープニングは期待通り「Captain Jon」。「オープニングのソロは、太平洋に船が進む時の波の飛沫をイメージしながら叩いているんだ」とは休憩時間に近くの席まで挨拶しにきた時のJonのコメントから。
※ここから先は、当時のライブ日記が紛失。どんなステージだったかなぁ。。。いや、何となくは覚えているんだけど(苦笑)
◆12/3(Thr):晴れ心配していた寝坊もせず7時過ぎにバッチリ目覚め(前回来た時にはフライト2時間前に目覚めて、肝を冷やしました…) とはいえ、マンハッタン市内の渋滞にドキドキするのも嫌だったので、ペンステーションからは初めてNJトランジットを利用。NJトランジットは本数も多く、しかも安い! 無事にニューアーク空港に到着して「今回の旅行は珍しくノントラブルだったな」と思っていたら‥最後にトラブル発生。搭乗後のアナウンスで、使用機材の搭載燃料に計算ミスがあったらしく(そんな事あるのか?)、何と出発が3時間遅れるとのこと。コンチネンタル頼むよぉ。。。 まぁ離陸前に分かったんだから良かったか(笑) 早速、音楽メニューからB.ジョエルの「52nd Street」を探す。勿論、お目当てはフレディのイケイケなソロが聴ける「Zanzibar」!