A point to stare at 4  

  「は……はっ……あああぁっ…ぁ…」   部屋の中には、バッシュの声が止む事なく響いている。 あれから数時間。 空気は、放出された精の匂いが濃く漂い、シーツは濡れ、ぐちゃぐちゃに乱れている。 バッシュは、胡坐をかいたバルフレアの上にまたがり、腰を振っていた。 喘ぎ声の中に卑猥に強請る言葉が混じり、それだけでは足りないとばかりに、己ら腰を振って誘う。 既に理性は残っておらず、ただ快楽だけを追っていた。 バルフレアの舌が、胸の尖りを転がす。 首にまわっていた腕が、もっとと言っているかのように彼の顔を引き寄せる。 歯を立てられて、一際高い艶やかな声と共に、二人の腹を白濁した精が汚した。   「た……り…い、………ふぁっ、も、もっと………れ……」   バルフレアも、彼と同じように、理性を手放していた。 今まで、放出させる事を促す為にしか触れていなかった体を、自分の欲を抑える事なく、隅々まで触れ、舌を這わす。 首を舐め、背筋に指を這わすと、甘い吐息が漏れる。 真っ赤に腫れた胸の飾りを指で捻ると、体が跳ねる。 足の指に濡れた手を絡めると、ふるりと震える。 焦れたようにバッシュの腰が、揺れる。 それにクスリと笑った後、バッシュを倒し、腰を引いた。   「んんっ………い、いや…だ…」 「今度は、後ろからな。その方が、奥までつっこめるぜ」   バッシュをうつ伏せにし、腰を引き寄せた。 目の前に現れた蕾は、唾液と精液で濡れ、物欲しげにヒクヒク蠢いている。 バルフレアの舌が、それを嘗めあげた。   「ひゃぁっ…っ」   バッシュの体がブルリと震える。 しかし、欲しいものはそんな軽い刺激じゃなく、もっと強いもの。   「バルフレア…早くっ!」   理性の残っていない頭は、体を勝手に動かす。 バッシュの指は、後ろに回り、見せ付けるように、蠢いている蕾を開いた。 バルフレアの喉が、ゴクリと鳴る。 自分の雄をそれにあてがい、一気に奥までつっこんだ。   ◆A point to stare at 4   最初バルフレアは、いくら強請られても、決してバッシュの雄を触ろうとしなかったし、彼にも触らせなかった。 ただ、自分の飢えを満たしたくて、体全てに唇を這わせ、反応を一つ一つ確かめるように手を動かしていた。 「頼む…から……いかあぁっ……って……バル……フレア……頼…む……」そんな、悲鳴のようなバッシュの声を聞いて、初めて無理をさせていた事に気づく。 しかし、返事する余裕は無い。 言われた通りに、彼のものを咥え、舌を這わした。       一度吐き出し余裕が生まれると、バルフレアの顔には自然、苦笑が浮かんでいた。 こんなにも欲しかったのだと、思い知らされた。 何度触れても、足りない。 何度味わっても、足りない。 強請るバッシュに、眩暈を感じながらも、自分こそが欲しかったんだと、腕を回しキスをする。   (『俺は、お前が欲しい』なんて言葉に、意味なんか無い……俺の求めているモノと、こいつが求めているモノは、違う。同じはずなどない……)   酷く心を揺さぶった言葉に、心の中で舌打ちをしながら、これが最後なんだと己に言い聞かせ、何度も唇を重ねる。 忘れないよう――忘れられる訳などない、それどころか、いつまでたっても鮮明に思い出せるだろう――掌と唇と瞳に執拗に記憶させる。 快楽に潤んだ瞳を覗き込んだ。   「もっとか?」   小さく頷いたバッシュが、バルフレアの頭を抱き、口付けた。 それが、酷く情熱的でバルフレアを混乱させる。 唇が離れ、細い濡れた糸が二人を繋ぎ、やがて切れる。 舌先に残ったそれを、唇に馴染ますかのように、バッシュの舌が自分の唇をことさらゆっくりと嘗めた。 バルフレアは、その淫猥な仕草から目を逸らす事が出来ない。 その赤が、口の中に消えてしまいそうになるのが嫌で、指が伸びた。 舌が絡まってくる。   「あんた……随分と積極的…なんだ…な」   快楽だけを追って潤んだ瞳は、それに何も答えない。 ただ、焦れたように腰が揺れた。   「そうだったな…」   一つため息をついて、バルフレアは彼の期待に答えるべく、腰を強く打ちつけた。                 ◇◆◇                 外が明るい。 鳥の声が聞こえる。 やけにすっきりとした頭と、酷くだるい体。 腕を持ち上げようとする事も辛い。 それでも、ベッドの上に腕を這わせる。 既に、部屋の中に気配が一つも無い事は分かっていたが、それでも熱を探そうと足掻く。   「……バル…フレア…?」   返事する者は居ない。 意思を全て腹に込め、上半身を起す。 触れるのは、サラサラとしたシーツ。 潮の匂いを含んだ、新鮮な空気。 きちんと着込んだ服。 そのどこにも、バルフレアと一緒だった痕跡は無い。   「……っつ…」   立ち上がろうとして、再びベッドに体が沈む。 自由に動かない、全身に渡るだるさと、男性との関わりによる特有の下半身の痛みに襲われた。 それだけが、唯一の痕跡。   「夢ではなかったのだな…」   その痛みがなければ、体中に感じた熱が夢だったのかと、疑っていたところだった。   「…だとすると……これが、答えか?」   その言葉に怯えるように、震える体に叱咤して、立ち上がる。 ギリリと音をたて、奥歯を噛締める。 目の前にあるバスの扉がやけに遠くに感じた。 苛々しながら、服を脱ぐ。 扉を開け、くくりつけの鏡に映った姿には、何の印も残っていない。   「くそっ…」   後ろに回した指は抵抗も無く、あっさりと蕾の中に入るが、そこにも期待したものは無い。何も残っていない。 意思が途切れる。 バッシュは、崩れるように、ひんやりしたタイルの上に座り込んだ。   「…勘違い…か?」   今まで、伊達に薬に対抗してきた訳じゃない。 確かに、尋常じゃない快楽は、自分の意思のほとんどを沈めた。 それでも、手を伸ばしたのは、自分の意思。 自分の言った言葉の答えが知りたくて、唇を何度も重ねた。 素肌同士が与え合う熱。 体中を確かめるかのように這う手と舌。 それに安心して、意識を手放した。 初めて与えられた、熱と意思に、素直に溺れた。   のろのろと手を伸ばし、シャワーのコックを捻る。 体中に水が降り注ぐ。 まるで戦いの後のように、飲みすぎた次の日のように、無理やり全てを起させた。 頬を両掌で強く叩き、気合を入れる。 普段と変わり無いと言い聞かせ、備え付けのタオルを掴み、バスを出る。   (答えが分からないのであれば、聞くだけだ)   素早いとは言えなくとも、それに準じた速さで着替え、バッシュは部屋を出た。     -continue・・・-  

     

  すんませーん…長かったり、短かったり……まちまちでm(__;)m エロ苦手なんだから、書かなければいいのにねーとか自分で突っ込んでいますヨ ま、一生懸命頑張ったんで、褒めてやって下さい。んで、この長さが限界みたいなんで、諦めてやって下さい。。 んでも、あと一回は、書く予定……(ーー;) うぅっ……どうしよう?   ま、そんな事は忘れて、とりあえずバッシュがどんな行動するか楽しみにしよう! (夏の原稿が進まないんで、ここに逃げたなりよ。んだから、次の更新はちょっと先になりますです。)  

  07.05.10 未読猫