【最初…】     「浮竹くん…君、私の所に来ないかい?  安心したまえ。  君の望むものを与えようと言うのだ。  君に、尸魂界初妊娠した男性としての幸せをあげようではないか。  どうかね?君も京楽君との子供を産みたかろう?」   今日おき抜け、外に出た瞬間十二番隊隊長涅に捕まって無理やり聞かされた話。 一方的に、うっとおしいぐらいの熱意の涅が、まくし立てていった話。 涅は、いつでも私の所に来てくれ〜と、手を振って去っていった。 浮竹、本日朝一でどん底の気分。     「隊長。」   今日の出会いの二人目。隊員の朽木。 いつもの落ち着いた雰囲気にも関わらず頬が赤い。 なるほど、目線は自分の首筋に当たっている。 若い隊員の前で、さらしっぱなしというのは失敗だったと後悔した。   「どうした?朽木。」 「あ……あの…隊長にお願いしたいことが……。」   真剣な面持ちに、浮竹は朽木家の事だろうかと、心配そうに朽木の顔を覗き込む。   「隊長と京楽隊長との本を作ろうという話があるのですが、それを現世の販売会で売ってきてもいいでしょうか?」   肩ががっくり落ちた。   「何だ〜そりゃぁ〜?!!」 「何だじゃありませんわ。  ほほほ、素敵なラブストーリーを作りますから安心して下さい。  私の絵は結構人気がありますのよ。」   一見清楚で白い花のような卯ノ花が、朽木の背後に立ちぐふふと笑う。   「朽木は、素敵な小説を書く。しかも、毎回添えられるイラストがとても前衛的ですごいのだ。  私はお笑い漫画が主だ。楽しみにしろ。」   言葉は偉そうだが、頬を染め、口元はだらしなく開かれた砕蜂は、まごうかたなく腐女子。卯ノ花の横でにやつく。   「たたたた楽しみにしろってっ!!!出来るわけないだろうがぁぁぁぁっぁっ!!」 「そんな意地悪は言わない方がよろしいかと…十三番隊の方々の命に関わりますわ。」   ニッコリと穏やかに笑う背後には悪魔が雄雄しく立っている。 卯ノ花は、暗にじゃなく、思いっきり率直に治療してやらねぇけどいいのかよ?と言っていた。   「…………はいはいっ!好きにして下さいっ!」 「隊長!ありがとうございますっ!  出来上がった本は隊長に贈呈しますっv」   勘弁して下さいと思ったが、嬉しそうな乙女三人は既に浮竹の前に居ない。 もし本が贈られてきたら、速攻燃やしてやると決意する浮竹。 気分はどん底の下。     「うきうき〜Vv」   とんでもない呼び声が景気良く聞こえる。   「おーやちるちゃん、相変わらず元気だね。」   元気に飛び跳ねてくる小さな子供に気分が上昇する。   「ねーねー、うきうきって、京ちゃんに抱かれちゃったんだって?  今後の勉強の為に聞かせてよ。どういう展開だったの?」 「べっべっべっ勉強って、だだだだだめだろっ!」 「何でよ〜。  鈍い剣ちゃんのハートをゲットする方策を練るんだもん。  うきうきもすっごく鈍そうだから、どうやって、口説かれたか教えてよ!!」   一応真剣な話らしいが、こんな小さな子供にする話ではないし、寝ていただけだし。 頭が痛くなってきた。   「……口説かれた覚えはない。」 「えーー、京ちゃんすっごぉい。  無理やり押し倒したんだね。  うーーーん、やっぱ鈍い相手にはそれしかないのかなぁ?」   やちるが一生懸命考え込む。 やっ…とか、まっ…とか、言う浮竹の声はもう聞こえない。 浮竹の折角上り調子になった気分が、再び激しく下降する。     「あ、浮竹隊長、おはようございますっ。」   丁寧に頭を下げてくる。 今度こそは違う内容だと言ってくれと、現れた阿散井に悲壮な顔を向ける。   「どどどどうしましたか?」   あまりの表情に阿散井が慌てる。   「朝から理解不能な話ばかり聞かされてな。」 「あ……そうですか……。」   いかにも相談があって来たんだけど、自分ごときの話に余計疲れさせてもいけないと、阿散井がきびすを返そうとする。   「阿散井君、話があったんだろう?  大丈夫だ。  そんな君らしくない表情をしてどうしたんだい?」   思いつめたような顔をしている阿散井に、朝一からの話とは違う真剣なものを感じて呼び止めた。   「あ…すすすみません。  あの……浮竹隊長は、藍染隊長をご存知ですよね?」 「おぅ、藍染がどうした?」 「おおおお俺、藍染隊長に惚れてるんですけど……たたた隊長をおおおお押し倒していいもんでしょうかっ?!」   こいつもか……真剣な表情の相手には大変失礼だが、既に4番目答える気力が果てしなく無い。   「相手の気持ちを聞いてからにしろ……。」   それって、告白しろって事ですよね?うわぁ〜俺出来っかなーとか、真っ赤な顔で去っていく阿散井。 気分どん底以下の男の状態なんか、自分に精一杯で分からない。 浮竹あまりの情けなさに、脱現状を決心する。 これの原因に会う為に方向転換する。 握りこぶしは決意に溢れていた。     ・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・     「春水〜〜〜っ!!」 「おや、こんな早くにどうしたんだい?」   いつもと変わらない穏やかな瞳に受け止められて、一瞬ここに来た理由を忘れる。   「あぁ、まだ消えてないね。  消えそうになったらボクの所に来てねvちゃんと付け直してあげるからぁVv」   普段のおちゃらけた京楽の姿と話の内容に、思い出す理由。   「春水っ!俺で遊ぶんじゃないっ!!  くそ〜〜お前のせいで、今日起きてからどれだけ酷い目にあったかっ。」   浮竹ちょっと涙目。 思い出して、とほほゲージ一気に満タン…最悪。 そして、恨めしそうに京楽を見る。   「相変わらずあんたらしいねぇ。あんたらしすぎて腹が立つなぁ。  ボクは遊んでなんかいないよ。」   再び静かな視線を浮竹に向ける。   「どういう事だ?」 「ここまで言っても分からないかねぇ…。」   京楽が、ため息混じりに立ち上がり、浮竹の前に立ち掌を頬に乗せる。   「春……んっ?!!」   京楽は、逃げようとする浮竹の頭を後ろから支え、深く唇を重ねる。 突然の予期しない出来事に浮竹の頭は真っ白になる。ただ息苦しくて、逃れようと体は動き、口が開く。舌が絡まってくる。より息苦しくなってきた。   それでも嫌悪感はまったくなく、息苦しさの中に別の何かがあった。   静かに唇が離れていく。開かれた、瞳は京楽を見たまま、畳に座り込んだ。 最初と同じ静かな視線が帰ってくる。   「本気だよ…。」   京楽が部屋を出て行く。 一人残った浮竹が呆然としている。   そして……真っ赤になった。           【End】  




 


    Q:何が書きたかったのですか? A:前半戦ッス。   後半どうでも良くなっていましたσ(^_^; まぁ、キスシーンなんかもあるんで、そこはそれ楽しかった……かな?   ところで、恋藍希望という訳ではありませんです。なんとなく……なんとなく…思いつかなかったんで…f(^-^;) 剣やちは、心からの希望です(^-^)<おい あぁ、当然当然の事ながら、京浮は最大の支持をさせて下さい。 でも、これってマイナー? 結構メジャーだと信じていたんですが、マイナー? これからっすよね?これからばばぁ〜んと盛り上がるんですよね? それを期待しつつ、頑張って続きを書きたいなー(^-^)o