【14番隊・席決め】     「なんで、オレが一護の下につかなくちゃいけねーんだよっ!ざけんなっ!」 「あー?オレだって、てめぇみたいなのの面倒なんか見たくねーよっ!」   恋次と一護が睨みあう。   「とりあえず、オレは今まで通り三席でいいからよ。」 「ふざけた事を言うな。  元副隊長を差し置いて何を言う。」   修兵が一角を睨みつける。   「あー?たかだか九番隊の副隊長が偉そうに言うんじゃねーよ。  十一番隊じゃ末席も危ねーぜ。」   一角がニンマリと口の端をあげる。   「オレ達はどうなるのだろうな?」   チャドが目の前の一発触発の状況を前に冷静に呟く。   「僕はどうでもいい。だいたい何で僕が死神なんかの手伝いをしなくちゃならない?」   雨竜が絶対手なんか貸すものかと、目の前の死神達を再び見た瞬間、死神達がこっちを睨んでいた。   「なんですか?」 「死神なんかだとぉ〜?」   一角が睨みつける。   「えぇ、僕にとっては、た・か・が死神だ。」 「なんだとぉ〜?」   今まで一護に掴みかからんかのの勢いを全て雨竜に向ける恋次。   「君達死神は、馬鹿だろ?  君達のおかげで仲間を無くし、祖父をお前らに弄ばれ殺された僕が、喜んで君らを迎えるとでも思ったのか?」 「おやおや雨竜くん、ちゃんと僕が夜一さんにお願いしておいたって言ってたでしょー。  この二人もお若いですし、一応書類抹殺のお手伝いしてきたみたいですから、許してあげてねVv」   喜助は、事前に滅却師関係を夜一に調べてもらうよう頼んでいた。 あまりにも不自然な滅却師の減少に喜助は死神の誰か…いや、直接技術開発部を不審を抱いていた。 結局事後に聞いた話は不愉快きわまるもので、若い死神達が行った技術開発部への乱入を嬉しく思っている。   「書類?」   雨竜が分からないと喜助を見る。 しかし口を開いたのは、苦虫潰したような顔の恋次だった。   「忘れていたぜ…すまねぇ。  あんなのと俺達を一緒にはしてもらいたくはねぇが、それでもあれは俺達と同じ死神だ、お前が出来なかった分あいつらが言う素敵資料を綺麗さっぱり灰にしてやったからな。」 「おう、ついでに建物を綺麗さっぱりにしてきてやったぜ。」 「…僕が作った資料も残ってたと思うんだけどなー…。」   恋次と一角の言葉に、少し悲しいと喜助が壁と語らう。   「あ…いや……わ…わ分かっていれば…いいんだ…。」   素直な言葉に雨竜がどう対処していいか分からず口ごもる。 突然あがる爆笑。   「やっぱ石田って、素直に言われるのが弱ぇんだよなぁ。  お前、いっつもそうだったら可愛いのによぉ。」   ゲラゲラ笑いながら一護が雨竜に言う。   「かっ……可愛いとは何だっ!」 「真っ赤だし。」 「う…う煩いっ!!」   一角と恋次と修平がニンマリ笑う。 なるほど、この男の扱いはこれだと心のノートにメモった。 なかなか面白い仲間が手に入ったとほくほく。 そして未だ真っ赤になって固まってる雨竜に、ルキアがじぃーと見上げていた。   「な…ななんだい朽木さん。」 「可愛いぞ。」 「っっ!!…●×△◇△◇っ!」   眼鏡に置いた手を硬直させている雨竜に、ルキアは手を伸ばし頭をポンポンと叩く。 周りに居た観客は、止めを刺され硬直している雨竜を、温い笑みを浮かべ眺めていた。   「ぼ…僕は、手伝えないからなっ!  だいたい滅却師の力ももう無いんだ!」 「じゃぁ、石田さんは僕と一緒にこれを使いましょう。」   思いっきり話を変えようとした雨竜の言葉に、色々なブツを突然並べはじめる花太郎。 そしてニッコリと笑って雨竜を見上げる。   「な何?」 「えーとですねぇ、この透明な瓶に入っている液体を虚に投げつけると、ずるずるぅーーーっと溶けて崩れていきますから。  えっと死神に投げちゃだめですよ。  死神も同じようにずるずるのぐちゃぐちゃになっちゃいますからね。  それから、この緑色の瓶に入っている液体をかけると、一種の催眠状態になります。  虚を自殺させるのも、敵同士殺し合いさせるのも、なんと自分に恋させるのも自由自在です。  あ、この丸薬は、口の中に入れると含有されている卵が急激に成長しまして、体のいたるところから巨大化した虫が食い破ってきます。  こちらは、内臓からどろどろぉっと溶け始めましてぐちょぐちょのぐにゃぐにゃになります。」   延々と目の前に並べてある瓶や薬の説明をする花太郎。 ちょっとしたスプラッタな光景を想像した一同が、静寂の世界を作っているのも気づかない。 そして、会話相手の雨竜は、夢に見たらどうしようとばかりに耳を手で塞いでいた。   「ややや山田って言ったか?」 「はい?」   ニッコリと笑う花太郎。 それとは対象的に少し引きつった表情の修平。   「よ…四番隊は、全員そんなもんを持ってるのか?」 「補給部隊がこんな危険なモノ持ってないですよ。  これは、卯の花隊長が、こちらに行く僕の為に色々アイディアを下さったものなんです。  あれから急いで研究室に篭って作ったので、これしかありませんが、もし必要でしたらいくらでも作りますから。」   向けられた花太郎の笑顔に、修平がブンブンと首を横に振る。 部屋の隅では喜助が、卯の花さんってスプラッタ好きだったねーと、懐かしそうに頷く。 死神達は、さりげに心の中で、これからは四番隊には親切にしようと誓っていた。 こんなもの作ってしまう四番隊には、絶対、今後、はむかっちゃならねぇ…凍りついた笑顔を花太郎に向けていた。   「は花太郎…。」 「なんですか?一護さん。」 「お前…俺達の人質になったのは、つまづいて転んだからだったよな?」   一護の額に冷や汗一つ。   「あー、そうでしたよね。  ちょっと前の事なのに、随分前に感じられますね。」 「いや、あのな…懐かしがれって事じゃなくてよ…お前戦闘しなくていいから。  絶対俺たちに、それ投げつける。間違いねーって。」   一護の言葉に、より一層青ざめる死神達。   「心配ないです。  それ用に僕の治癒能力があるんじゃないですか。」   どろどろになった後に治癒能力が効くのかーーーーーっと音無き声が部屋をこだまする。   「やや山田っ!ちち治療って疲れるだだろっ!  ちち治療に専念してくれっ!」 「そそそうだっ!その方が俺達も戦闘に、せせ専念できる。」 「まじ、頼むっ!」   十一番隊の三席一角、六番隊の副隊長恋次、九番隊副隊長修兵、三人の引きつった笑みに驚きながらも、他所の隊に気遣ってもらったこと零の花太郎は、分かりましたとニッコリ笑った。 そこに陽気な声の乱入。   「ねー、それって私も使えるよねー?」   のほほんと笑う織姫、真っ青になった現世組プラス1名。   「いいいい井上っ!止めとけっ!」 「いいいいい井上さん絶対無理っ!」 「いい井上ささん、むむむ無茶はいけませんわ。」 「大丈夫大丈夫ぅ〜私こと井上、皆さんのお手伝いをする為に全力を尽くしたい所存でっす。」 「い井上…手伝うなら井上の能力でいい…。」   チャドが瓶ににじり寄る織姫の体を拘束した。   「どうしたんだよ一護、織姫ちゃんには丁度いいんじゃねぇの?」   瓶の効果は冷や汗ものだが、死神でない女の子にはうってつけじゃないのか?と一角が一護に言う。   「……井上は粗忽者なんだ…花太郎以上に洒落にならねぇ…絶対俺達に被害がくる。」 「えーーー黒崎君ひどいよぉ。  確かに、ちょっと躓いたり、ちょっと電柱にぶつかったり、ちょっと車にはねられたりするけど、大丈夫だから。」   ニッコリ胸張って笑う織姫に、織姫を知らなかった死神達も自分達の更なる危機を悟る。   絶対に自分達に瓶を投げつけるよ…この女…   「井上…お主は自分の能力をもっと躾けなければならんじゃろ?  自由自在に能力を発揮するのが先じゃ。」   少し尻尾を逆立てた夜一が、眼力にモノを言わせて却下を言い渡す。 安堵のため息の合唱の中、織姫だけが頬を膨らませていた。   「ったく無駄口ばかり叩いてないで、さっさと決めんか。」 「んな事言ったって、どーいう基準で決めればいいんだよ!」   夜一の言葉に一応副隊長を仰せつかっている一護が条件反射で怒鳴る。   「とにかく、闘おうぜ。強いヤツが副隊長って決まってんだよ。」 「だったら、お前絶対副隊長じゃねぇじゃん。俺に負けたんだしよ。」 「んだとーーっ!」   一護と一角の間にバリバリと火花が散る。   「なんだ、こんな初心者に負けたのか?  十一番隊も大した事ない。」 「あんだとっ!十一番隊に入れなかったやつが偉そうにホザクんじゃねぇっ!」   今度は一角と修兵の間で火花を散らす。 部屋の隅では、十一番隊にも入れなかったし、一護にも負けた経歴を持ってる恋次が、額に青筋を増やしながら心の中でいじける。立派な負け犬状態。 そこに夜一のため息。   「お前らいい加減にしろ。  もーいい!じゃんけんで決めろ!」   えーーという全員の合唱に、ギラリと一睨みで抑えつける。   「ほら、さっさとせぬかっ!」             止む様子のない部屋いっぱい響き渡る、二名のあいこの声。 未だじゃんけんをしている二人を残し、既に席次は決まっていた。 副隊長は、山田花太郎。 三席は、井上織姫。 四席は、黒崎一護。 五席は、茶渡泰虎。 六席は、斑目一角。 七席は、朽木ルキア。 八席は、石田雨竜。   結果は、意図しなかったにも関わらず、運の強さを物語っていた。 そして、修兵と恋次のじゃんけんは未だ続いている。   「恋次が負けるに1000円。」   ルキアがぼそっと呟く。   「俺もそれ。」   一護が頷きながら続く。   「よく分からんが、檜佐木さんも阿散井さんと同じようなオーラを持っているように見えるが……檜佐木さんに1000円。」   チャドが静かに二人を眺める。   「あぁ、茶渡くんも見えるのか。  僕も檜佐木さんが負けるに1000円。」   そんなギャラリーの声を聞きながら、目尻にちょっと涙を浮かべつつ、二人はじゃんけんを続ける。 そこへ、もういいの一声。 夜一が、呆れ顔で二人を見上げていた。   「お前らは、無し!」 「「えーーーーっ!!」」 「無しじゃ。」   夜一の言葉に二人ががっくりと跪く。 二人の心の中では、俺って今まで副隊長だったのにーと滝涙。   「あ…あの…僕が副隊長ってのは…あの…。」   花太郎がおろおろと夜一を見て、二人を見る。   「大丈夫じゃ。  そこの二人の運のなさより、お前の運の良さで任務が全て成功するじゃろ。」 「そ…そんなものでしょうか?」 「そんなものじゃ。  ここまで運のないヤツらじゃ、任務に出てうっかり全滅されては洒落にならぬ。」   そこまで言うか?と未だ床と語らっている二人を除く全員が、心の中でつっこむ。 そして、自然と目線は二人へ…哀れみと同情満載の視線を送る。   一護は黙ってカバンの中に入っていた雑誌を二人に渡す。   「「?」」 「裏表紙に、運が上昇する通販アクセサリーってのがあっから。」 「い…いらねーっ!!」 「ふざけるなっ!」   瞬時に怒鳴った二人だったが、さりげに雑誌名を記憶してたり…脱負け犬を心に誓う二人だった。     【End】  




 


    注釈…えーーーシリアスにするつもりは当然カケラもありません。 ついでに、これに関して言えば、ホモ街道突っ走る気もカケラもございません。 ノマカプは出てくる可能性はあっても…たぶんホモはないはずです。 予定たててないしー…たぶんね。 でも石田君って苛めて楽しいキャラなんですもん…ついつい(゚゚*)うふふ。 でもね…もっと苛めがいのあるキャラがいるやね…恋次と修兵…くすくす…仕方が無いんだ…だって負け犬だもんVv 花ちゃんはある意味最強の天然ボケでVv   さて…続きはあるんかいな?f('';)あぁすんませんブリのデータ本出して下さい。困っています。