ナミとロビンからの誕生日プレゼント  

    「じゃぁ、サンジくん頑張ってね〜」 「コックさん、結果を楽しみにしているわ」   ナミとロビンが、キッチンを出て行く。 その後姿に向かって、情けない表情を浮かべながら、頑張りますと答えた。   ナミとロビンからの誕生日プレゼント   「おらぁっ、ご主人様っ!さっさとおきやがれっ!」   声と共に振られた足が、ゾロの体をハンモックから、壁に叩きつける。   「〜〜〜っつ!」 「メシが冷えるだろっ!」   いつも通りの怒声に、怒鳴り返そうと顔をあげたゾロが固まる。 目の前には、フリルと黒いリボンの付いたカチューシャ、同じ仕様のチョーカーとオーバーニーソックス、白いブラウス胸元に黒い大きなリボン、黒を基調とした大量のフリルに飾られた膝丈のスカート、そして白いエプロン、ゾロの目の前には柄の悪いメイドさんが仁王立ちしていた。   「おきやがったか?ご主人様」 「なっ……っ……て、てめぇ、とうとう気ぃ狂ったか?」 「あー?何ボケた事言ってやがる?まだ寝ぼけてんなら、もう一度蹴ってやるぜ。  ってか、さっさとキッチンに来いっ!食事が冷めるっ!!」 「その前に聞きてぇ事がある。その珍妙な格好は何のお遊びだ?」   一瞬サンジの眉間に皺が寄るが、瞬く間にふてぶてしい表情に取って代わる。   「メイドさんだ。ご主人様、似合うだろ?」   そう言って、スカートの裾を持ち、クルリと一回転する。 綺麗に筋肉のついた足が、付け根近くまでゾロの目の前に披露された。   「ばっ馬鹿野郎っ!て、てめぇが、衣装倒錯趣味の変態だとは知らなかったぜ」   馬鹿野郎は、見えてしまった足に対する言葉。 さりげにゾロの耳は赤かったが、既に梯子に手をかけてるサンジは気づかなかった。   「こ、これは、素敵ナミさんとロビンちゃんからのプレゼントだ。  賭けに負けた俺に、二人はコスプレとプラスアルファで妥協してくれたんだぜ。  んナミさんもロビンちゃんも、お優しいぃ〜Vv」   賭けに負けたというのは嘘。 ゾロに対するサンジの気持ちを、見透かした二人が無理やり白状させ、応援という形で無理やり贈呈された物。   「けっ!メシ!腹減った!さっさと行くぞ」 「ご主人様が、引き止めたんだろっ!」   怒鳴りながら、サンジが梯子を登って行く。ゾロの目の前にさっきと比較にならない眩しい光景が展開されていた。   (白のパンティ……大量のフリル……何考えてんだっこの馬鹿はっ!速攻食われてぇのかっ!!)   以前より、サンジを心に想い続けていた男は、相手が登り終わるのを下を向いて待ち、朝一から酷く疲れた精神と共に、キッチンに向かった。                 ◇◆◇                 「うめぇか?ご主人様」   目の前に出された、朝食にしては豪勢なおかずの数々。 しかもゾロの好みに100%合わせた、純和風の食卓。 ゾロとしてはいつも以上に美味しいとしか答えようがないが、そんなそぶりは一切見せずに食卓に集中する。 サンジの姿を、視界に一切入れない。   「そのご主人様ってのは何だ?それに他の連中はどうした?」 「ご主人様、相変わらずナミさんの話を聞いてねぇっ!  目の前に街があったろっ!男部屋を出た時に見えただろっ!もう皆、上陸済みだ。ったく、お前の目と耳は節穴かっ?!」   メイドさんは、いつも通りに片足を椅子に乗せ、チンピラ風味の表情を浮かべ威嚇する。 対するゾロは、怒声に対応しようと顔をあげ、自分の失敗を悟る。忘れてただけだと反論しようにも、目の前のチカチカする光景に口が動かない。   「俺は明日までご主人様と一緒に船番だ。  んでだ、この姿と台詞が、罰ゲームなんだよっ。明日までおめぇは俺のご主人様だ。  こんな綺麗どころのメイドさんを、一日でも持てて幸せだよなぁ。俺様に感謝しやがれっ!」   一気にまくしたてるサンジ。その頬は、わずかに赤い。 しかし、ゾロはゾロで、やばい光景を避けるように視線を逸らす為、それに気づかない。 お互いある意味思いが通じていて、はっきりとすれ違っていた。   「おら、ご主人様、おかわりはいるのか?」 「ぁ……あぁ」   一瞬視線があうが、直ぐにお互いが逸らす。 端から見たら、甘酸っぱい光景だが、当人達はいっぱいいっぱいである。   「で、ご主人様は何かして欲しー事はねぇの?」   心の中では、ぜひ色々させろと叫んでる。   「は?」   ひっくり返る声。 色々して欲しい事やら、やりたい事がいっぱいあるが、とても日の光の下、朝一に言える内容でない上に、蹴られるのが必須。   「こ、この優しい俺様が気を使ってやってるんだ、さっさと言いやがれ」 「う、うるせぇっ!折角の旨いメシが不味くなるだろっ!」 「お、俺様の作ったもんが、不味くなるわけねぇだろっ!この予定クソアホ大剣豪っ!」   折角の旨いメシの旨い部分が嬉しくて、睨んだ顔が中途半端になる。   「た、食べ終わったら、考えてやるっ!」   予定とかクソとかアホとかを外して、大剣豪って部分が嬉しくて、同じく中途半端な顔になる。 雰囲気は、ある意味甘かった。     ゾロが船尾で食後の鍛錬している。 一人キッチンに残ったサンジは、現在片づけしながら、激しく消耗した精神を整え中。   「…あれか?全然脈なし?  い、いや、頑張れ俺!折角ナミさんとロビンちゃんが応援してくれてんだ。  頑張らなくちゃ男が廃るぜ」   言葉は男らしいが、ひらひらふわふわのメイドさん。この服装で脈なし?とか考えるあたりが、間違っているが、それには気づかない。 サンジは、煙草をくゆらせながら、今後のゾロ攻略法を考える。     食器を洗っている音が聞こえる。 それだけで、折角煩悩を排除しようとしていた、精神統一が霧散する。 目に焼きついてしまった、素敵ふりふりおパンツと、白い生足。 ため息をつきながら、鍛錬を諦め鉄団子を床に降ろす。   「…精神鍛錬の為の試練か?  だめだっ、乗り越えられねぇ可能性の方がでかすぎる。今夜一晩二人っきりで襲わねぇですむ訳がねぇじゃねぇか……」   すっかり頭をかかえて座り込む。 このまま寝たら、明日の朝にならないかと、少々期待して目を閉じた。                 ◇◆◇                 倉庫の整理から始まって、補充用食材をピックアップしている間に、時間があっという間に過ぎていた。 サンジの目の下には、気持ちよさげに寝ているまり藻が一個。   「あれか?俺に、襲ってくれって言ってるのか?」   メイドさんは、男らしくまり藻の横にしゃがみこむ。 未だ良い攻略方見つからず。どっかに『まり藻クエスト攻略本』を売ってないかと、思考はグルグル間違った方向に回りっぱなし。   「いっそ、既成事実でも作るか?」   自分の呟いた声に、我が意を得たりと満面の笑みを浮かべる。 決まれば行動力はあると、ルンルンと鼻歌まじりに、ゾロのファスナーを下げた。   初めましてご主人様の息子様と、訳の分からない挨拶をして、サンジはそれを咥える。 今は、力のないそれを舌で丁寧に舐め上げた。 クチュと淫猥な音があがる。   ゾロは、夢と現実の狭間で、強い快楽と心地よさを感じていた。 それでなくても、刺激の強い、やばいモノばかりを見せられた午前中。 欲望は簡単に出口を求め、走り出しそうになるが、その不自然さに目が覚めた。   「なななななな何してやがるっ!!!!!!」 「ごひゅじんひゃまに、ごひょぉし」   咥えたまま自分に向ける笑みは蠱惑的で、その瞬間出そうになった下半身を、無理やり腹筋で押さえ込む。   「いくら罰ゲームでも、行き過ぎだろっ!!」   それは違うと、サンジは咥えたまま首を横に振り、その刺激にゾロが口の中で声をかみ殺す。 サンジがニンマリ笑って、再び舌の動きを再開した。 既にトロッとした苦いモノを、舌は感じている。もう少しだと、口いっぱいに頬張り、入りきらない所は手を使って奉仕した。   「こ……この……クソ……っつ!」   悪態をついても、視線はサンジから離す事が出来ない。涎でぐちゃぐちゃになった口元に、ちらちら覗く紅い舌に、視覚からの刺激と直接的な刺激で耐える事も出来ずに、放った。   「もう、いい加減にしろっ!」   未だ咥えたままで、尿道にまで舌を這わし、丁寧に残滓を舐めている顔を無理やりはがした。   「ご主人様、いかがでしたか?」 「いかがもクソもねぇっ!何しやがるっ!!」 「良くなかったですか?ご主人様」   小首を傾げて問いてくる姿に、激しく眩暈を感じながらも、怒鳴る事をやめたら最後、自分が何をするかが分からない。   「口裏合わせてやるから、その罰ゲームを今すぐ止めろっ!!」 「ご主人様……俺の事嫌いですか?」   出させる事には成功したが、不愉快そうに怒鳴る声を聞いていくうちに、自然声のトーンが下がっていく。 やっぱりダメかとサンジが諦めかけた時、その可愛らしい姿にゾロの脳細胞と理性は跡形も無く崩れた。   「嫌いなわけねぇだろっボケっ!  てめぇが言ったんだからなっ!して欲しい事だったらいくらでもあるぜ!おういくらでもな。  全部やってもらうから、覚悟しろっ!」   既に怒鳴り始めた時点で、サンジの体は組み伏せられていた。 現状把握が一切できずに、呆然とした状態だったサンジの意識が戻ってきた時、口の中でゾロの舌が暴れまわっていた。                 ◇◆◇                 「おやじ」   腕をあげるのも億劫な現状。口から掠れた声を絞り出す。   「喜んであんあん言ってたじゃねぇかっ!」 「あ〜?てめぇだって、止められたら辛ぇの分かってんだろっ!」 「煽ったのはてめぇだっ!」 「煽ってなんかいねぇっ!」 「だいたい強請ったのはてめぇじゃねぇかっ!」 「うるせぇっ!うるせぇっ!それ以上言ったら殺すっ!!」   お互いの腕と視線をからませ、気持ちを確かめあったまでは、非常に嬉しかった……が……しかし……強要された数々の言葉。 あまりの快楽に溺れ、気が付いたら信じられない言葉がぼろぼろ口から零れていた。 その一つ一つを間違って思い出したら頭の回線ショート間違いなし。瞬時に頭から削除したサンジだが、それがして欲しい事ってどうよと、まり藻の前に変態をつける決意をする。   「ご主人様〜もっと〜〜ってねだっつ?!ぐはっ!!」   なけなしの力を全て足に集め、渾身の蹴りを放った。       「ナミさん…ロビンちゃん……良い作戦だったし、良い結果も出たし、良い誕生日プレゼントだったけど……俺…今からでも考え直す事は可能かなぁ……」   ぐちゃぐちゃになったメイド服をかき集め、サンジはよろよろしながら倉庫から出て行った。   【End】  



 

  今年のサン誕企画は素敵ぞろいです。 その中で、「じゃじゃ馬ならし」〜あなたならどうやって堕とす?ご主人様×メイド〜 心震わせる言葉の数々。3/2から堪能しましたよっ! そして、妄想は駆け抜ける。約一日で書き上げた<おいおい 萌えの産物。 自分は、サンゾロじゃなかったのかっ?!と思うぐらい、頭の中にゾロサンが住み着いていましたーVv   エロは温くてごめんさい。 Underに置く必要があるんかい?ブツですが…さすがにその最中を描写する元気がなかった。 ご主人様〜って言葉をどれだけ打ち込まなくちゃいけないか…ね、怖いでしょ<へたれ ということで、ゾロ誕企画じゃないのか?と思われる、サンジくん大丈夫?ブツでしたー!   未読猫 06.03.07