【指し示す子・空っぽの子 1】 空を見上げる。空は奇麗で、雲はのんびり流れている。 自然はいつも違う様子を見せてくれる。 同じものは一つもなく、いつも様子を変え、どんな時でも奇麗だった。 自分の体を空気に同化させて、ただただ空を眺める。 空を見上げている時が一番好きな時間。 本を読む。 片っ端から、ありとあらゆる物を読む。 自分がほんの小さな時からそうしてきた。 色々な知識は増えていく。 でもそれだけ。 興味がもてるものはなかった。 知らなかった事が増えた時だけ少し楽しいと思う。 でもそれだけ。 生きていく以上、人と接触しなければならない。 うざい。 表面上の会話を、子供らしい会話をしなければならない。 面倒臭がりの子供が顔にはりついた。 自分自身を見せる事は絶対しない。 両親と仲の良い近所の子供をずっと見てきてたから。 普通の子供というのは、自分とはまったく違うものだとすぐに気づいた。 話すようになってから、ずっと人を欺いてきた。 小さな・・・ほんの小さな子供の本能がそうするように自分に伝えてきていた。 そして、知識が増えた後、それが間違いじゃなかった事が分かる。 自分を見せた時、目の前の相手は自分を排斥するか、自分を利用するかのどちらかだろうと想像がついた。 そのどちらも嫌だったから、どんどん面倒臭がりになっていく。 ありとあらゆる本を読んだおかげで、体力が無くチャクラも少ない只の子供が、色々な術を知識だけで扱えるようになっていた。 それでもチャクラの量には限界がある為、豪快な技は使う事は出来ない。 ただ、知識として頭の中に転がっていた。 入れない場所は無くなった。 結界を壊さず通り抜けられる術を覚えている。 読めない本も無くなった。 暗号は簡単に解ける。封印を解く術も駆ける術も覚えている。 そして自分と同い年の一人の子供にたどり着く。 里の秘密。 九尾の器。 うずまきナルトという名前の子供。 里の人間がその子供に対しどのような感情を持っているか想像付く。 同病相憐れむなんて言葉は反吐がでそうだった。 そんなものではなく、ただ単に、どんな子供か会いたいと思った。 自分の想像に反して幸せに暮らしているなら、遠くから眺めているだけにしようと思う。 もし、想像通りなら、自分の頭を貸してあげられないかと考えた。 ただ、どんな子供かは分からない。 とりあえず探してみようと、生まれて初めて人間に対し意思をもって動いた。
ギラついた大人達が目の前から去っていく。 嫌な予感がした。気配を消して、大人達が現れた路地に入っていく。 目の前に金色が流れた。 何事もなかったように奇麗に動き、金色の髪をなびかせる子供。 気配を消しながら子供を追った。 初めてこんな全速力で走った。心臓が肺がもう無理だと自分に訴えかけている。 しかし、諦めるつもりはなかった。 目の前の子供は怪我をしているとは思えない動きだった。 どんどん遠のいていく。 そして、森の中に消えた。 それでも自分の体の訴えを無視して、走り続けた。 消えてしまった子供を探しつづける。 森の一番深い所で子供は、木を背にして坐っていた。 目の前に何一つ物を写していない蒼い瞳。 空よりも透き通った蒼い瞳。金色の髪に縁どられた蒼い色はとても奇麗だった。 その瞳にひかれた。 ただ、折角の瞳には何も表情が無い。それが残念だった。 何か写した瞳はきっともっと奇麗だろうと思った。 「ナルト。お前もったいねー事してる。」 目の前の人形のような風情の子供は声をかけても身じろぎさえしない。 体中汚れていた。至る所に傷を負っている。 ただひたすら虚空を見つめていた。 「なぁ、上を見ろよ。 葉の間からこぼれてる光は奇麗だろ? 梢の先にある葉だって、光の加減で色々な色を見せてる。 ここには色々な木があるだろ? どの木の葉も同じじゃないんだぜ。 今年のこの時しか見れない色なんだ。明日になったら、来年になったらまた違う色になる。 どの瞬間も見逃せないんだ。どれも奇麗だぞ。」 ナルトは未だ虚空を見つめたまま。 一つため息をついて、人形のような子供の目の前にしゃがみこむ。 蒼い瞳をじーと見つめた。 「なぁ、明日もここに来いよ。 オレがいろんな事教えてやる。 とにかく来いっ!絶対こいっ! じゃないと、お前の家まで押しかけて行くからなっ!」 ナルトの家がどこかなんか知らない。 でも、調べればどうにかなるだろうと思った。 必死だった。 こんなに必死になったのは初めてだった。 でも必死にならずにはいられなかった。 目の前の子供は何一つ動かない。 とりあえず、自分は子供の横に坐って、思いついた物を一つ一つ指して、ひたすら説明していた。 そんな時間が1時間過ぎたぐらいに、突然人形のようだった子供が立ち上がる。 見上げると、体にできていた傷が全てなくなっていた。 それを確認した瞬間に子供は掻き消える。 無駄だと知りながらも声をあげた。 「明日、昼すぎだっ!」 周りの木々に自分の声が吸収された。
次の日から昼過ぎ森の一番奥に行くのが日課になった。 誰も居ない森の中。 想像通りだと苦笑が浮かぶ。 言った通り、家に押しかけようかとも思ったが、それはしなかった。 毎日ここに来る 空を雲を木々をただただ、ぼけ〜と見る。 持ち込んだ本を読む。 昼寝をする。 ある時はたと思いついて、紙と鉛筆を持ってくるようにした。 感じて欲しい事を一つ書いて木に張りつける。 ここに来ているとは思わなかったが、とりあえず伝えたい事を書いた。 毎日毎日・・・・時が流れていく。 木に張られた紙はもう何十枚にもなっていた。 【continue】
雰囲気サリバン先生とヘレン・ケラー? となると、あゆみさんの御母様とマヤ? って言っても分からない人多いんだろうなぁ(゚゚ )ジェネレーションギャップってやつだぁねぇ。 ま、いいや。頑張れシカマル先生。 でも、シカマル先生もちょっと問題ありげな子供で・・・f(^-^;) はてさてふむ〜。