本日の目玉商品  

  「お願いっ!とにかく勝たなくちゃいけないのよっ!」 「もうナルトしか頼れないのっ!お願いっ!頼まれてー!」   ナルトの周りを取り囲むように、アカデミー生と同期が懇願の瞳とヒナタばりに胸元に両手を握り、あがめて……ない…お願いの最中。   一週間後に、近隣諸国を巻き込んだチャリティーバザーを控える、未だ暑さの残る秋の日だった。   ◆本日の目玉商品   「………えっと……」   上目使いの瞳は、シカマルを映している。   「…あのさ………」   頬は、シカマルを見れば無条件で薔薇色に染まり、激しく可愛い。   「………だ、だめなら……いいんだってば……」   一瞬俯いた後、向けられる視線は不安げで、気が付いたら腕が勝手に動いて抱きしめていた。 当然噴出しそうな鼻血は根性で押さえ、押さえ切れなかった少量は、手を素早く動かし拭いた。   「何だ。言ってみ?  オレは、ハニィの願いだったら、何でも聞いてやるぜ」   いつもなら、その言葉で嬉しそうにするナルトが、未だに困った様子のまま。   「あ…あのさ……今度バザーがあるだろ?………そ……それでぇ……あの……て、手伝って……欲しいって……」   シカマルはナルトを見ているが故、微笑んではいたが、心の中ではさっぱり分からないと、訝しげに眉ねを寄せていた。   「……あ……の……恣参にって……」 「はぁ〜?」 「バ、バザーの売上で他国に絶対勝てって、火影様からの通達があったんだってば。  それで、皆で色々考えた結果、シカ、恣参の艶姿ご披露します茶店を開く事になったんだってばよっ!!」   一息に言い切ったナルトは、ぜぃぜぃ言いながらも、不安げにシカマルを見上げる。 シカマルは、ナルトを抱きしめ背中を撫でながら、心の中で盛大に舌打ちをしていた。 筋書きは、読めている。 こんな事を計画したのは、間違いなく同期の女達。 そして、ナルトのお願いなら、絶対否やはないと考え、ナルト経由での申し込み。 腹が立つ。 こんな、みえみえの計画に乗る気はさらさら無いが、気になる点は愛しのハニィ。   「ハニィも、オレにやって欲しいのか?」   困ったような、怒ったような、拗ねているような、複雑な表情が返ってきた。   「ハニィの希望なら、オレは構わないぜ」   頭を撫でる。   「……ぅ……ぁ………あのね………」   逡巡する。   「言ってみ」   シカマルの顔に、極上の笑みが浮かぶ。 今現在、薔薇とか、点描とか、スポットライトとかは、出てきてはいなかったが、それでも十分眩しいハニィ専用の笑顔。 右手が鼻を押さえていても、十分おつりがくる。 ナルトは、うっとりと眺めた。   「やっぱり、シカって、すっげー綺麗でカッコいいってばよ〜Vv」 「そうか?」   ナルトは、コクコクと一生懸命頷く。 その様子の愛らしさに「ハニィの極上の可愛さに比べるものはねぇっ!」と、こみ上げてくる赤いものを一生懸命抑え、心の中で絶叫。   「なのに、カカシやサスケが、酷いことを言うんだってばよっ!  ぐーたらだとか、へっぽこだとか、不細工だとか、あいつらの目はおかしいってばよっ!」   これは、ある意味正しい。 ナルトの居ない所では、間違いなくぐーたら、無精者。 鼻を手で押さえ鼻血をこらえている姿は、間違いなくへっぽこ。 そして無精者は、ナルトが居ないと顔の筋肉まで動かすのをメンドーだと思うのか、たるみっぱなしで、緩みっぱなしの顔は、不細工に見える。 しかし、そんなシカマルを当然ナルトは見た事がない。   「だからっ!シカのすっげぇーカッコいい姿を、堪能させてやるってばよっ!  すっげーむかつくけど、見せてやるってばっ!」   同期の友達等、いつもシカに対する評価がいまいち。 激しくむかつく。 こんなにカッコよくて、綺麗で、素敵で、優しいのに、どうして皆は分からないんだっ!と、恋愛街道驀進中で、恋のオーラに包まれて周囲が良く見えていないナルトは思う。 だったら、シカの中でも一番カッコいい恣参の状態で、目をかっぽじぃて見て見やがれっ!と、気合十分だったりした。   「オレ…カッコいいか?」 「すっげぇーっ!!」   握りこぶし付きで言われた。   「そ、そうか…」 「そうだってばっ!」   しっかりしろとばかりに、ガクガク揺らされた。   「シカっ!参加するってばよねっ!」   最初のためらいは、何だったんだというばかりの勢い。   「お、おう…」   シカマルは、目の前の案件提案者をしめる計画を立てながら、怒鳴ってるハニィも可愛いぜと、お馬鹿な事を考えていた。                 ◇◆◇                 煌々と輝くスポットライト。 その光を受け煌く点描達。 甘い匂いを漂わせながら、絶えることなく散り続ける緋色の花びら。     その中心に、そのあまたの美しさを従え、妖艶に微笑む青年が一人。 長く後ろに下ろした漆黒の髪は、光を吸い込んだように艶やかに光り、形の良い顔には、涼しげな目元、通った鼻筋、形の良い唇が飾られる。 静かに笑みの形づくる唇には、真っ赤な薔薇の花が一輪。 そして、甘さの無い、冷ややかな雰囲気は、人を寄せ付けないはずなのに、木の葉茶屋に居座る女性陣は、うっとりとその人だけを見ていた。   「ナルトぉ〜Vv」   折角美しさに浸っていたのにと、女性客全員が突然の乱入者を睨み付ける。   「な…なにかなー?」 「あー、カカシ先生っ!見るってばよっ!すっげーカッコいいってばーーーっ!!」   ナルトが、シカマルを指差し胸を張る。 カカシと同じように大きな声だったが、その可愛い仕草に、女性客はこれもありっVvとばかりに微笑む。中心に居る美のかもし出すオーラが、少々黒くなったのには気づかない。 そして、カカシは呆然とその美を見ていた。   「なに…あれ?」 「シカだってばよっ!すっげーカッコいいってば〜Vv」   いつもナルトの傍に居ても、視神経を通過しない映像は頭で処理されていなかった。 カカシが覚えているのは、熊の背後に居たような…目つきが悪かったような…子供? 目の前の映像と一致しない。   「オレってば、すっげぇ幸せ〜Vvずっとシカを見てるってばよ〜Vvvvvvv」   とりあえずムッとして、無理やりナルトの顔をこっちへ向ける。 オレだって捨てたもんじゃないと。 遊び人銀さん(注釈・銀魂ではない。ほら銀髪だから)と呼ばれ、おねぃさんにモテモテだったと。   「カカシ先生やめろってばよっ!  オレは綺麗なシカを見ていたいんだってばっ!!」   向う脛を思いっきり蹴られ、愛しの子供は昼間の茶店とは思えない異空間へ走る。 しゃがんで痛みに耐えていると、近くで自分と同じうめき声が聞こえた。 音の方に顔をあげると、同じ姿勢でサスケが蹲って泣いていた。   「しゃすけ?」   カカシのへたった声に、答えは無い。 実は十分ほど前、カカシと同じようなやり取りがあって、同じように蹴られて未だ心の傷に立ち直れてないサスケだった。   茶店の一角には、うっとおしい「すんすん」泣く二重奏。 しかし、店員も客もそんなものは目に入らない。 店の中央に、いつの間にか作られた毎度のピンク色の結界。 ナルトは、幸せそうにシカマルにしなだれかかっていた。 シカマルは、ナルトの額を啄ばむ。   「ハニィ、満足したか?」 「うん!」 「じゃぁ、行くか」   ナルトの唇に小さなキスを落とし、結界ごと綺麗に消えうせる。 茶店の中央には、二人が居たなごりの赤い花びらが一枚落ちていた。   -End-  

     

  ……ゴージャスに感じる言葉を募集中ですorz ったく、この話ぐらいだよ、こんな事で悩むのは……orz   ということで、素敵絵付きです! 霧島先生が、当家にお絵かき教室してくれた時に描いてくれたシ3。 お話つけたら、UPしていいという事だったんで、頑張りましたのことよ私(・o・)/))たしたし はうっΣ(゚▽゚:)眩しいよ!恣参っ!!  

  06.09.08 未読猫