「……やりてぇ〜…」 ため息と共に、不埒な言葉が漏れる。 御年十二歳、未だ子供という種別の域から離れない年齢にも関わらず、ピンクで猥褻な世界を知ってしまったガラスの十代前半は、十八禁映像を頭の中で満開にしていた。 これから数ヶ月後には、ダーリン&ハニーの暑苦しい世界を作る片割れというか、主犯者だったが、今はまだ白馬の王子様でもなく、単なる暗部も兼任している普通?の下忍、奈良シカマルだった。 たまたま通りがかった暴行現場、被害者ナルトと、加害者をボコボコにしたシカマルは、互いが一目惚れ、一瞬のうちに恋に落ちていた。 その後紆余曲折があって、堂々と恋人同士と言える関係になった二人。 約一週間前、結ばれたのであった。 暑苦しい季節になる前に 今、シカマルの頭の中では、天使と悪魔が戦っていた。 悪魔が囁く。 『せっかく恋人同士になったんだから、バンバンやっちまおうぜ』 天使が厳かに言う。 『初めては辛いって聞くだろ?いくら治癒能力の高いナルトでも、体と心が落ち着くまで待つのが彼氏ってもんじゃねぇの?』 一応天使の言う事に納得しているが、それでもため息が漏れる……やりてぇ〜…。 いくらなんでも十二歳。元来そんな性分でも無いはずだった自分、毎日盛ってる訳でもなかったのだが、これには一応理由がある。 毎日会うようになった恋人。 幸せという言葉が似合う笑顔をたっぷり、十二分にご披露してくれる。 好きだという気持ちを一切隠さない、あけっぴろげの表現は、非常に、とーても、激しく、自分を誘っているようにしか見えない。 無造作に目の前で着替える。 風呂上りの体を堂々と見せ付ける。 そして 突然抱きついてくる体。 耳元で恥ずかしそうに語られる「好き」という言葉。 強請られるキス。 その後の潤んだ瞳。 そんな状態が毎日続く。 それならば、毎日ナルトの家に行かなければいいのに、それは寂しいと自分の心が訴える。 結果、頭の中で毎日繰り広げられる悪魔と天使の激しい攻防。 さすがのシカマルの精神も、悪魔の囁きに負けかけていた。 ◇◆◇ 「シカ〜Vv」 「うぉっ!なナルト?!」 首筋にまわされる腕、ギュッっと抱きついてくる体。本日初っ端から、試練は過酷に始まった。 「もう任務終わったってば?」 傾げられる首、上目遣いの瞳、一緒に居たいと語る表情、シカマルは激しい眩暈と誘惑に、体が硬直する。頭の中には、某CMの一節が流れていた。 〜どうする〜●イ◆ル〜♪ 「な、ナルトも終わったのか?」 「おう!ちゃんと、指輪を見つけたってばよ」 ゴロゴロと音が鳴ってるのではないかと思われるぐらい、首にすりよりしてくる。 「シカ…今夜は?」 言葉の端に、暗部の仕事は入っているのかと聞いている。 少し寂しげな口調。 「ま、まだ入ってねー」 不幸な環境で育った反動か?はたまた、三代目に育てられた過程で取得したのか?ナルトは甘え上手の、おねだり上手だった。 「オレってば、朝までずっと一緒に居たいってば…」 理性の糸が切れそうになる。 既に綻びかけていた。 「な、ナルト、あ、あのな………」 続きを言いかけたシカマルは、ナルトの瞳を直視してしまう。 不安げに揺れる瞳は、自信のなさを現してた。 不当に加えられ続けていた暴力と、すぐに離れていく数時間だけの友達しか居なかった彼の人生。 それ故ナルトは、未だシカマルが自分の恋人だという事に自信が持てず、少しだけ我侭を言う。 それはほんの些細な我侭なのだけど、ナルトはそうやって恋人の心を無意識に探っていた。 「疲れてっし、今日は鳥が来ても無視。ってことで、さぼっちまうから、三代目には内緒だぜ」 心配する事は何一つ無いと、ナルトの頭をぐちゃぐちゃにかき回す。 言ってしまった後で、かなり後悔したが、それでもこんなナルトを一人にするのは嫌だった。 「へへっシカ、だぁい好き」 再びギュッっと抱きしめられる。 その背中に腕をまわし、天使の叱咤激励を聞きながらも、自分の理性にまったく自信のもてないシカマルは、少し涙目だった。 ◇◆◇ ご馳走様と、お互い手を合わせて礼をし、食器を片付ける。 二人で作った食事は、作る時も、食べる時も楽しく、二人共おだやかな時間を堪能していた。 しかし、シカマルにとって、非常に安心な時間は当然長く続く訳もなく、これから本番が始まる。 「シカー、お湯入ったってばVv」 風呂場から、ナルトの声が響いてくる。 「先に入ってろよ」 「うちってば、追い炊き無いって言ったってばよ!」 冷や汗が流れる。 絶対絶命…ナルトの下半身…危惧しているのはシカマル。 「早く、来るってば〜」 「あー…」 混乱中の頭は、50通り(通常の1/4)の言い訳を考えたが、それを口にする前に、ナルトに引きずられた。 再び新しい策を考えながらも、気がつくと服を脱ぎ、風呂場にたっている。 洗ってあげるってばという言葉と共に、無理やり座らされ、お湯をかけられた。 シカマルは思いっきり流されていた。(洗うという意味ではなく、ナルトの行動にである) 現在、ひたすら視線を下に向けるだけ。ほかは一切見れない…いや、見たら悪魔の優勝である。 「シカの髪って綺麗な色だってばねーVv オレも黒が良かったなー」 「あー?お前の金色の方がずっと綺麗じゃねぇか」 シカマルの言葉に、背後に居たナルトがニッコリ幸せそうに笑いながら、抱きついた。 「シカ優しーVv」 「ぁ…や……ま……おう…」 背中に張り付いた自分とは違う温度に、体中の血液が下半身に集まろうとする。 シカマルは、必死に頭の中で三代目の顔を思い浮かべた。 心の中では、三代目と何度も連呼する。(効果・萎える) 呪文「三代目」と、ナルトの体温は拮抗していた。 「シカ〜、背中も洗っちゃうってばよー」 声を出したら、体内で戦ってる戦況に悪影響を与えそうで、シカマルは無言で頷いた。 現在体力ほぼ零。 どんな敵に対しても、こんなに疲弊した事はなかった。 唱えられた不気味な呪文は、軽く千を超えている。 ぐったりと、崩れるかのように、寝巻きを着た体はベッドに倒れた。 「シカ?」 「や、熱くてのぼせただけだから」 「オレんとこの風呂って、いつも温いってばよ?」 「突発性超猫肌だから、気にすんなって」 そんな病名?は無い。 それでもナルトは、いつもと変わらない?シカマルに安心をして、慌てて台所へ走っていった。 「シカ、これ」 差し出された氷水に、シカマルは小さな笑みを浮かべる。 ナルトに対しては、細心の注意を持って接している。ここで、へたれた顔なんか見せられない。 内心、頭からかぶりたい氷水でも、あおるように飲みたいと思っても、落ち着いたいつもの状態で口につけた。 「シカ……あの……あの……オレって抱き心地悪いってば?」 噴出した。 呆然としたシカマルの前には、少し涙目のナルトが居た。 「オレ……オレって……男だから……やっぱり、だめだってば?」 瞳いっぱいに涙をためた顔が、不安げに見上げてきている。 限界だった。 体の各所から色々なものがぶち切れる音がする。 理性の鎖から解き放たれた体は、ナルトを押し倒していた。 ◇◆◇ 「テレビとか、本とかいっぱい読んだってばよ」 必死な顔。 「オレの回復力は普通じゃないんだってば」 そんな事は知っている。 「シカに抱きしめられてない方、が辛いんだってばっ!!」 夜明けの日本茶を飲みながら、ナルトは一生懸命シカマルを説得していた。 「オレ……もっと頑張らないとだめ?」 「な、何を?」 「いっぱい、シカを誘惑するってばよっ! お風呂だけじゃなくて……、裸エプロンとかっ!」 どんな本を読んで仕入れたネタかは不明だが、ナルトは必死だった。 その体が、赤い飛沫で染められる。 シカマルの鼻を押さえてる手が、真っ赤になっていた。 「し、シカ?!」 「普段でも十分誘惑されてるっ!今もだっ! ったく、そんな事されたら、出血多量で死んじまうだろっ!」 未だダラダラと鼻血をたらしながら、シカマルは怒鳴っている。 そこには、今までのガラス細工に対するような、気遣いは一切なかった。 「へへっ……、シカ久しぶりだってばVv 最近変だったってばよ」 にっこりとナルトが笑顔を浮かべる。 その言葉で、ナルトの意図を理解する。 目の前の恋人は、自分の上手をいく策士だったのを、初めて知ったシカマルだった。 【End】
……シ3の相方をやってるナルトは只者じゃなかったッス……orz まぁ、だからあんな世界を構築されても、ラブラブをやっていけるんだろうが…… ということで、「初体験後で次やりてぇ〜」<略しすぎ リクを下さった霧島さん…こ、これで大丈夫? しかもシ3らしく無いよーーー。(最初から、あれだった訳じゃないからねー…) いつもシ3の破天荒さに目立たなくなっているナルトに日を当てました! や、もう…どちらにせよ、ラブラブってことで。 どぞ、へっぽこですが、受け取ってやってくだされm(__)m 未読猫【06.03.16】