「抜け駆けし放題でいいのだな。」 「あぁ。  それから、正々堂々と卑怯をするってのも加えておけ。」 「分かった。  では制限は一つだな。」 「あぁ。」 「ナルトを泣かさない。  これを破ったらナルトの前から消える。」 「そうだ。  ま、オレ達ならこれでいいだろ?」 「そうだな。  では、オレは行く。」 「あぁ、オレも行く。」     【予定三角関係】     ったくメンドくせー。 何であんなメンドくせーヤツ好きになっちまうんだ? って言っても好きになっちまったもんは仕方がねーよなー。 ライバルが居るのもメンドくせーに拍車をかけている。 それがシノだったって事がまだ救いか? まぁ〜他の奴等もナルトを狙っているヤツが居るけど、そいつらは表のナルトしか知らねーから除外。 しかし、シノは夜中の任務の仲間。 放っておくわけにもいかねー。 ま、抜け駆けし放題って言っても、どうせシノの事、蟲を付けてナルトを守るぐれぇだろう。 オレは・・・・・・・・ま、オレ達が死なねーでさっさと任務を終わらせられる方針を出すだけだな。 それじゃぁ、いつもと変わらねーじゃん。   ・・・・・・ま、いっか。             どうして、同性で、乱暴で、悪戯好きの仲間を好きになってしまったのだ? それでも、あの笑顔には抗いきれなくて、もっと間近で見たいと思ってしまった。 心とは難解なものだ。 頭で考えている事に追いつかない。 ライバイルは一人。 夜中の任務の仲間。 昼間の仲間でもナルトが好きという者がいるらしいが、表面上のナルトを好きだと言っている者にナルトを手に入れる事は出来ないだろう。 抜け駆けし放題、卑怯もありと言っていた。 しかし、シカマルの性格上何も出来ないだろう。 かといって、オレが出来る事も少ない。 結局ナルトに自分の蟲を付ける。 どんな時にも助けられるよう。   ・・・・・・・・仕方がないな。             三代目の執務室を出た後、走りながらナルトが口を開く。   「なーシノ、お前オレに蟲付けただろ?  何あれ?」   側にいる者の感情さえ理解できないのに、なぜだか蟲には気が付くナルトにシノは、ため息一つ。   「お前の無事を確認する為だ。」 「何だよー。  オレってそんなに弱いか?」   そんなに所じゃない。 里のトップと言っても差し支えのない技量。   「ナルト、お前が強かろうが、弱かろうが関係ないんだって。  シノは心配性だからな。  蟲ぐらい付けさせておけって。」   シカマルのフォローにシノが片眉をあげる。 心配性は確かに合っているのだが、好きだからが心配性の前に入る。 目の前のナルトが、そっかーとか言って、さっさと走ってしまっている以上、言葉を続ける事もできずに、諦めてナルトの後を追う。 横に居るシカマルが舌を出しているのが見えた。       進入する屋敷の手前で最終確認、二人が屋敷を前にシカマルの話を聞く。   「・・・・・分かったけど・・・・・・なぁ、最近シカマルって戦略立てるのに、時間掛けすぎじゃねーの?」   側にいる者の想いさえ気が付かないのに、なぜだか戦略たてる時間に気づくナルトにシカマルは、ため息一つ。   「あー?死ぬわけにいかねーだろ。」 「死ぬわけないじゃん。  オレ達最強だぜ。」   オレ達と簡単に一くくりにされて、シカマルとシノの顔が一瞬むっとする。   「シカマルの趣味だ。  気にする事はない。」   シノのフォローにシカマルが舌打ちをする。 確かに戦略をたてるのは好きだが、それに時間を掛けるのはメンドくせー。 ナルトはそうだったよなぁとか言って、作戦実行に入ってしまった以上、シカマルはフォローに気を配るしかなくなる。 横に居るシノの口元が上がっているのが見えた。     ナルトの銀線が煌く。 シノの操る蟲が、敵を覆っていく。 シカマルが後方から術を発動させ、真っ青な炎が全てを焼き尽くした。     「お前はオレ達を殺す気か?」   内容とは違い、落ち着いた声がシカマルに言う。   「あー?あの程度の術で死ぬようなタマかよ。」   そんなメンドくせー事する訳ねーだろとばかりに、ポケットに両手を入れたまま欠伸をするシカマル。   「なぁなぁ、今のって新しい術だよな?教えろっ!!」   シカマルにとって、新しい術の収集も趣味の一つなのだが、最近はこの豪華付録が主目的。   「あぁ、いいぜ。」 「シカマル、オレも教えて欲しいんだが?」 「あー?メンドくせーから先着一名様までだ。」   シカマルがシノに向かってシッシと手を振る。   「大丈夫だって、オレが覚えたら、シノに教えてやるからなっ!」   シノがニヤリと笑い、シカマルがチッと一つ舌打ちをする。   「へーへー、分かりました。  二人に教えればいいんだろ?」 「いや、オレはナルトから教わる。  ナルト、楽しみにしているからな。」   そう言ってシノがさっさと里に向かって走り始める。 その後にナルトとシカマルが続く。 シカマルは、再び舌打ちをしたが、先に手を出せばいいかと、ナルトの攻略方法を考えた。       「印はこう結ぶ。  後は、わかっだろ?」 「おうっvvこれ結構お手軽?  シカマルありがとうな〜。」   ここはシカマルの部屋。 昨日シカマルが披露した術を、ナルトが教わっている所だった。   ナルトはシカマルに向かって、素直に嬉しいとニッコリ笑っている。   「ナルトぉ〜。  お礼くれねー?」 「ん?いいぜ。  じじぃの所から新しい禁書でも盗ってくるか?」   シカマルの目の前にいる、すっとぼけたお子様は、シカマルの下心を一切関知する事なく未だ笑っている。   「いや、それも捨てがてーけど・・・・お前とキスがしてーな。」   シカマルの中では、一世一代の告白に心臓がばくばく状態。 ところがナルトは、そんなもんでいいの?と一言言って、普段通りの様子のままシカマルに近寄り唇を重ねる。 こんなものでいいなら、いつでも言ってくれればいいのに〜とニッコリ。 ナルトがシカマルの前で笑う。   ここに至ってシカマルの顔が引きつる。 今のキスに喜んでいる場合じゃない。 相手のこの態度が理解できない。 つか、オレの告白は、もしかして告白になってねー?と、シカマル驚愕状態。   「ナ・・・ナルト?」 「何だ〜?」 「あのよ、キスって何だか知ってるか?」   怪訝そうなナルトの顔がシカマルを見つめる。   「今のをキスって言うんじゃねぇの?」   間違っていない。 確かに間違っていないが、恋愛とはかなりかけ離れた相手の表情と態度。   「分かった・・・・・じゃぁ聞くが、お前は好きなヤツって居ねーの?」   がっくりと肩を落としたシカマルが、それでも質問を続ける。   「いるぜ。  シカマルだろ〜、シノだろ〜、じじぃだろ〜・・・・・。」   とりあえずナルトに好意的な人物の名前がかたっぱしから挙げられる。 シカマルは、自分の名前が一番最初にあがったのが嬉しかったが、もしかして、目の前に居るせいか?と思ってしまった時点で再び落ち込む。   「ナルト・・・・お前恋愛って言葉知ってるか?」 「当たり前だろっ!  テレビ点けていれば、いくらでも出てくるじゃねぇかっ!」 「じゃぁ、その定義を教えてくれ。」 「んっとぉ〜、大人の男と女がいちゃいちゃする事。」   間違ってないようで、まったく違っているご意見。   「なんかお前変だぞ。  どうした?」   どうしたも、こうしたも無い。 原因はナルトで、その結果がひたすら疲れているシカマルである。   「あ、オレこれからシノにこれを教えてくる。  ありがとうな〜シカマル。」   原因さんは、シカマルに最大級の笑顔を振りまいて窓から出て行く。 シカマルとは言うと、とりあえずシノより先にキスが出来た事だけが成果か?と頭を抱える。 ただ、あのナルトの調子だと、自分より先に何人もキスをしていそうで再び落ち込む。 シノがナルトをどう攻略するかしらないが、成功したらぜひ攻略内容を教えて欲しいと、シカマルは切に思った。   自分の唇を触る。 今現在の頭の痛い状況はとりあえず頭の片隅にどかして、キスをした事実だけを思い出す。 シカマルの顔は真っ赤になった。         「こんな感じ。  分かった?」 「あぁ、いつもすまないな。」   ここは、シノの部屋。 さっき覚えたばかりの術を、ナルトがシノに教えている所だった。   シノがナルトの頭をなでる。嬉しそうにナルトが笑う。   「なぁなぁ、シノは何か欲しいものねぇ?  ほら、オレに蟲付けてたりして大変だろ?」 「いや、大変ではない・・・・・・が、一つ頼んでいいか?」   ナルトが何何〜?と楽しそうに聞いてくる。   既にシカマルが行動を起こしているはずだと、シノは推測していた。 それならば、次に言おうとしている事で、シカマルの結果がどうだったか、想像がつくはずだと考えた。 当然自分の心をさりげに伝えられるような言葉を選ぶ。   「キスをしたいのだが。」   何だシノもか〜と言いながら、ナルトはシノに近寄り軽く唇を重ねる。 こんなものでシノもいいなら、いつでも言えよな〜とニッコリとシノの前で笑う。   ここに至ってシノの顔が僅かに歪む。 あまり表情にが変わらないシノにしては僅かでも珍しい事。 いや、そんな事が大事なのではなく、シノは、唖然としていた。 キスは嬉しかった。 問題は要所要所に語られる"も"の位置。 しかも、相手の態度も理解不能。   「ナルト?」 「何だ〜?」 「シカマルともキスをしたのか?」 「おう。  お前らって変わってるよなー。キスなんかよりもっと他になんかねぇの?」   不思議そうな顔がシノを見つめる。   シノはと言うと、心の中で頭を抱えていた。 不思議な感想を持つ目の前の愛しい人の心の中が、さっぱり分からない。 一見何一つ外見に変化のないシノだったが、動揺しまくり。   「では、言葉が欲しい。  お前はオレが好きか?」 「好き。  でも、そんな当たり前の言葉聞いてどうすんだ?」   恋愛感情がかけらも入っているとは思えない言葉。   「なんかシノも今日変だよなぁ。  どうした?」   どうしたも、こうしたも無い。 原因はナルトで、その結果がひたすらに頭が痛いシノである。   「あ、今日はこれからイルカ先生のおごりなんだ。  また、術を覚えたら教えるからな〜。」   原因さんは、シノに最大級の笑顔を振りまいて窓から出て行く。 シノはと言うと、キスも言葉も嬉しかったが、そのあまりに友達雰囲気な状態に頭を抱える。 この分だと、間違いなくシカマルも同じ状況に陥ったはず。 それだけが少しは救いだった。   ナルトの唇の感触を思い出す。 全面的には喜べないけど、キスをしたというのは事実。 シノは少し憮然としながらも、口元を綻ばした。               「浸ってるとこ悪ぃんだけど、今いいか?」   シカマルが窓の外で逆さまになって覗き込んでいた。   「あぁ、構わない。」   よっと掛け声をかけて、シカマルが部屋の中に入ってくる。   「オレはすげぇ〜疲れてんだけど、お前は生きてるか?」 「いや、オレもお前と変わらない。」   とりあえず、一応、間違いなく、二人はライバル同士なのだが、あんまり認めたくはないが、今ここでは仲間だった。 同病相哀れむ状態。   「あれは何だ?」 「三代目があいつをどうやって育てたか知らねーが、キスをするのが、恋愛に繋がっているとは思えねーな。」 「そのようだな。」 「ついでに、自分に好意的なやつに対して、全て"好き"という言葉に繋がってるみてー。」   シノが深々とため息をつく。   「シカマル・・・・。」 「何だ?」 「とりあえず、この間の取り決めを保留にしないか?」   シカマルが深々とため息をつく。   「あぁ、先にやることが出来たよな。  ただ、どうやってあの天然に分からせる?」 「シカマルの頭でどうにかならんか?  オレはあまり得意分野ではない。」   その得意分野でない世界にシノでさえ入っているのだ、演技とはいえ、サクラにアタックしているナルトがどうしてあんな反応を示すか二人は分からない。   「あのなぁ、オレだって得意分野じゃねーよ。」 「だが、お前にはその頭があるだろう?」 「暗号解けって言うならいくらでも解いてやるよっ!  あんな訳分からねー対応するヤツをどうしろってんだ?」   シカマル、匙を投げ放題。   「オレ達が男だから理解できないのか?」 「いや、そもそも恋愛じてー理解していると思えないって。」   シカマルが自分の家で交わされた会話を簡潔に説明する。 再び、二人共深いため息。   「お前、覗いていたのか?」   ナルトが居なくなってすぐに、顔を出した事を思い出して、シノが尋ねる。   「お前がどうするか参考にしようと思ってよ。  ある意味笑えたな。  オレと同じ道歩いてどうするよ?」 「知らないモノはどうしようもない。」   シカマルもシノも、どうしたらいいか考える。 考えても、あのナルト相手にどうしたらいいかが、まったく思いつかない。 前の取り決めを保留にしたとしても、ナルトを泣かすような事だけは二人共したくはなかった。   「愛していると言えば分かるだろうか?」 「シノ冗談旨くなったな・・・って言われたらどうする?」   こちらがどんなに真剣な顔をしても、そう返してくるナルトの方が有り得そうで、シノは素直に頷いてしまった。   「はーー分からねーー!  どうやって、あの天然に愛だの恋だの分からせればいいんだ?」 「恋愛状態にある恋人通しのやる事で、ナルトが泣かないですみそうな事を全てやってみたらどうだろうか?」 「・・・・時間かければなんとかなるかもしれねーってか?」 「無駄か?」 「いや、いいんじゃねー。  オレらも楽しいし。」   シカマルがニヤニヤ笑って、シノが含み笑いをする。   「じゃぁ明日からお互い頑張ろうなー。」 「あぁ、どちらでもいいから、結果が出るといいな。」   すっかり、同士。 本音を言えば、自分が恋人になりたい二人だったが、相手が難攻不落の天然様。 ついつい応援じみた言葉を言ってしまう二人だった。       「ナルト。」 「おう!シぁ・・・・っ?!!」   朝っぱらから、シカマルはナルトをきつく抱きしめ、ディープキス。   驚いた様子のナルトを無視して、シカマルは舌を絡ませたりしてたりする。 我に返ったナルトが背中をボスボス叩くと、ようやくシカマルが離れる。   「シシシシシシカっ!何っ?!」 「あー?いつでもいいって言ってただろ?キスだ。」 「こ・・・・こんなのがキスなのか?」 「知らねーの?  恋愛中のカップルは、みなやってるぜ。」 「オレは女じゃねぇっ!」   ナルトが拳を振り上げようとした瞬間、シカマルが間を空ける。   「愛してるナルト。  オレはあっちで任務だからよ。またな。」   さっさとナルトから背を向けて、集合場所に去っていくシカマル。 ナルトは唖然としてシカマルを後姿を眺めていると、背後から抱きしめられて、愛してると耳元で囁かれた。   「っっ?!!シノっ?!」   ナルトは、首筋に柔らかい感触を感じたと思ったら、少し痛みを感じた。   「シシシシシノっ!何っ?!」 「キスマークを付けただけだ。」 「キスマ〜ク?」 「あぁ、綺麗に赤くなっている。  安心しろ。」 「何に安心するんだっ!」   ナルトがシノを振り払って、掴みかかろうとした瞬間、シノが間を空ける。   「では、今夜。」   シノが音もなく去っていく。 再びナルト唖然状態。 そして復帰後空に向かって一言。   「オレで遊ぶんじゃねぇっ!!!」   額に青筋を浮かべて叫んだ。   その近所の木の上の二人は、昨日に引き続き深々とため息をつく。   「シノ〜・・・・オレちゃんと告白したよなぁ?  だいたい、ディープキスなんか遊びでするかぁ〜?」 「シカマル・・・・オレも告白をしたはずだな?  オレは、遊びでキスマーク付けるような輩に見えるのか?」   再びため息をつく二人。 既に集合場所に走っていった超〜天然を想う。   「なんかよー、一人でドキドキしてたのがすっげぇー空しいんだけど?」 「オレもだ。  先はかなり長いという事だな。」 「だな。ま、夜も頑張ろうぜ。」 「あぁ。」                   その夜、敵の血を多く流した夜だったという。 そして、味方の血も流れたらしい。     【End】    




 

    ふふふ、Treasureで書いたとおり、書いてしまいました。 シカ、シノ、ナルトの三人です。 くぅ〜シノっ!書きやすいっ!<まずそこかよっ! 前からシノが書きたかったんで、もう今回ばんばん書けて幸せっvv   一生予定の三角関係に居て下さい! つか、ナルちゃん筋金入りだから大丈夫よね。 おっさんになっても、この状態だったら楽しいのぉ〜(~ー~)ふふ   素敵な萌えを下さった、綾羅章之様感謝ですm(__)m