「ナルト〜居るかぁ?」 「おっさんどうしたぁ?」 お互い夫?が勤め先に確実に居る時間。 妻は頑張って食事を作っていたりするものもあれば、たかりにくるものもあり。 「なぁ、お前は戦略部で仕事しているあいつらを知ってるか?」 以前上司と部下としてのハヤテの意見?を聞いて以来、気になっていたんだとゲンマは言う。 「全然。」 シカマルが戦略部に居るのは知っている。何回か遊びに行った事もある。 しかし、あそこの日食ファンというあやしげなメンバーに囲まれると身動きがとれなくなる為、偶にしか行くことはないとゲンマに言って、それがどうしたと小首を傾げた。 「あいつらが、仕事している所を見たくねー?」 ナルトが途端に目を輝かせる。 「それってバレないように覗くって事だよなぁ?」 おうよとゲンマがニヤリと笑う。 そして、二人してニンマリと顔を突き合わせへへっと、ニシシと笑った。 【夫参観】 「おっさんっ!それじゃぁだめだって。動くと気配が漏れるっ。」 「だぁぁぁぁっぁっ、これでも上達したつもりなのによぉ〜。」 ここ最近、日課としてナルトとゲンマが訓練をしている。 究極に進入が難しい(シカマルという番犬がいるから。)難所に立ち向かう為、気配を消す事、一切物音を立てずに動く事、この2つを重点に先生ナルト、生徒ゲンマは日々精進していた。 「大丈夫だって、かなり上達はしてるから。 ただ・・・・シカマルが居るんだよなぁ。あいつ気配に無茶苦茶敏感でさぁ。」 「お前らはどんな訓練してたんだ?」 自分の約1/3しか人生ってやつを生きていない、自分よりはるかレベルが上の子供をゲンマは見下ろす。 「ん〜3才の頃からじじぃにとことん修行させられたからなぁ。シカは、同じく3才頃からお父さんにみっちりしごかれたって。」 「は〜〜〜。それでもオレの人生の約半分・・・・・・。」 口元の千本が下向きになって、深々とため息を付く。 「ははは・・・おっさん、オレは死にたく・・・・そうか!死にものぐるいでやればいいんだっv」 ナルトがニヤリとゲンマに向かって笑い。ゲンマは冷や汗を流した。
ハヤテ宅 「ゲンマさんっ!どうしましたっ!?」 目の前のずたぼろになって転がっているゲンマを見て驚いて駆け寄ったハヤテ。 「ははは・・・・・、ナルトと訓練した結果だから気にすんな。」 うつ伏してぐったりしているゲンマが力なく掌をひらひら振る。 シカマル宅 「最近楽しそうだな。」 「おう!ゲンマと訓練しているっv後輩が成長する姿って見ていて楽しいなっvvv」 ニンマリとナルトが笑う。 「なるほど。ハヤテと訓練してた時楽しかったもんなぁ。 殺さない程度にやれよ。」 あの二人が引っ越して来てからナルトがとても楽しそうだ。いい仲間と出会えて良かったとシカマルはナルトの頭を撫でながら思った。 「おうっ!」
あれから一ヶ月。格段に成長した後輩こと三十路一歩手前のゲンマと10代前半の先輩ナルトは、家から遠く離れた場所で打ち合わせをしていた。 「おっさん、これから行くぞ。」 「あ?・・・まだはえーだろ?」 今日はゲンマと遊びに出かけてくると、シカマルに言って出てきた午前9時。 「あのシカが居る場所だぞっ。どうせトラップだらけだって。 シカが出勤する前に全部トラップを外さなくちゃいけないんだ。」 「シカマルって・・・・どーいうやつ?」 訝しげにゲンマが聞く。 「仲間の事になると手抜きなし手抜かり無し、すっげぇ〜マメな立派な番犬。 たぶん・・・じゃないっ絶対オレん家もおっさん家もシカ制作トラップが大量に張り巡らされてるって。」 「・・・・トラップ外せるのか?」 メンドくせーじゃなかったのかっとゲンマはシカマルに心の中でつっこみながら冷や汗たらり。そんな所にオレらは行くのか?ゲンマは生きて帰れるか少し心配になった。 「ここ一週間じじぃん所でにわか勉強してきた。 普段トラップ関係全部シカが対処してきたんだよ。しまったよなぁ・・・・。」 「ま、なるようになるさ。 オレは何をすればいい?」 「いつも通り、死ぬ気で気配を消すっv 会話は全てオレ特製の遠話のみな。」 「おうっ!」 自分達の衣服を全部新調し、今まで着ていた服を途中で隠した午前11時。 「何で、新調したんだ?」 「いつもの服装だと、それ自体に自分達の印がついてる可能性があるから。 だぁぁっぁ〜〜こんなしんどい敵地は初めてだぞっ!」 「そこまで慎重にしねーとだめか?」 「相手はシカなんだよぉ〜〜〜。」 ナルトが自分の夫の口癖を情けない表情で思いっきり吐き出しす・・・メンドくせー。 それでも妻参観はやめない。夫の格好いい姿を見たいから。 妻は、握り拳を固めて前に進む。 張り巡らされていたトラップを全部無効にして戦略部の天井裏にたどり着いた午後2時半。 『大丈夫か?』 『ふぇ〜〜・・・・・死ぬかと思った。 何でこんな厳重なトラップ張り巡らせてあるかなっ!』 『立派な番犬だな・・・・・。』 『あと30分後だぁ〜〜。』 ナルトはへとへとになりながらも印を切りはじめる。 『透過鏡の術。』 天井が透けて目の前に戦略部の部屋が広がる。 そして、愛しい夫が働きはじめる午後3時。
「これが今日の分です。 だいたいは振り分けましたが・・・本日風邪で3人休んでいまして。」 配属されるレベルに合う人間が少ない為、一人でも休まれると負荷が大きくなる戦略部。 それでも、長が洒落にならないレベルのおかげでなんとかやってきたが、3人の休みはかなり痛い。 「分かった。そこに置いててくれ。 それより、休みの分よりオレの分が多いってどーいう事?」 「新月殿が最初におっしゃったんですよ。腕前で仕事は割り振るものだと。」 記憶力はいいですからとハヤテがにっこりと笑う。 一切の私語が消え、外野はわくわくしながら二人を注目する。日々の潤いが始まった。 「なら記憶の良いハヤテクン、オレは歳だと言ったはずだが?」 毎度毎度毎度毎度、ハヤテは無条件で印を切る。 「乱れ雪月・・っ!!」 毎度毎度毎度毎度毎度毎度無傷で新月がハヤテの腕を取る。そして喝采。 「へぇ〜新しい技かい?」 「えぇ・・・・三日月の舞だけでは見てらっしゃる方も飽きますでしょうから。」 新月は口の端をあげ、ハヤテは半睨みの半微笑みで。二人の目の前には刀に刻まれた机が一つ。 外野はなんて素敵な上下関係っvvとうっとり見やる。 「ま、今日は助っ人がいるからよ。なんとかなっだろ。」 言いおわる前にクナイが天井に刺さり、片手で切っていた印が切りおわる。 「ほら、逃げられねーぞ。出てこいっ!」 天井からチャクラに搦め取られた二人が顔を出す。 「やっぱりバレてる・・・・。」 そう言いながらもニシシと笑って手を振る日食。 「よっ!」 呆れた顔を隠そうともせずに一応手を振るゲンマ。 二人は音も無く床に飛び降りた。 「オレ達、参観に来ただけだから。もう終ったし、帰るな。」 ゲンマの手を引き、無理矢理新月がかけたチャクラの縄を引きちぎり、逃げようとする日食。 しかし、そんな事を許すわけもなく、あの日食の早さを凌駕するかと思える早さで新月は、無理矢理二人を拘束する。 「これお前の分。こっちはゲンマの分な。 ゲンマはハヤテの指導を受けてから指示書を作れ。」 新月が見た事もないような笑顔で二人に書類の束を渡す。 「だぁぁぁぁぁっ!参観に来ただけなのにっ!!」 「人手不足のおりだ仕方がねーだろ。」 「オレは、お前のトラップ外しただけで、へろへろなんだぞっ!」 「仕事の後でトラップ仕掛けなおせよ。」 泣きそうな顔の妻と楽しそうな夫の奈良夫婦。 「はぁ〜。お前なぁ、気持ちは分かるけどよぉ・・・もう少しどうにかならねぇ?」 「気持ちが分かるなら、どうしようもない事も分かりますよね?」 「・・・・まぁな。で、どうするんだ?」 諦めの悪い夫と諦めの早い妻の月光夫婦。 外野は思いも寄らない展開に、今日戦略部を休まなかった自分の運に感謝。 休んだ連中にいばっちゃおうvvとほくほく状態だった。
ハヤテ宅 「たちの悪い上司という事は理解して頂けましたか?」 「あぁ・・・・ま、楽しそうだったけどな。」 楽しい?・・・・ハヤテは、少し眉間に皺を寄せて考え、確かに色々楽しい事もあるかと苦々しい表情ながらも納得した。 「オレさ、気配消すのかなり上達したからよ、今度は子供参観に行こうぜ。」 ニンマリゲンマが笑う。 「そうですね。私も訓練をして精進しましょう。」 同じくニンマリとハヤテが笑った。 シカマル宅 「で、面白かったか?」 「うん。しーすげー格好良かったvv」 少し照れてナルトとは違う方向を見ながら、ナルトの頭を撫でるシカマル。 「でもさぁ、あのトラップはやりすぎだって。」 少しふくれて、上目づかいでシカマルを見あげる。 「仕方がねーだろ、一応機密情報を扱う所だからな。 オレが入る前は簡単に入れたんだぞ。そーゆやつが居たら困るだろう?」 暗に、自分はちゃっかり戦略部に進入して情報をゲットしましたと申告しているのも同じ。 ナルトは呆れたと、呟く。 「ま、なかなか使える新人を二人確保したからな。次回もよろしく。」 「しーっ!それ無理っ!夕飯今日みたいに弁当屋の弁当になるぞっ!」 ナルトの仕事が終るまで、結局付き合ったシカマルは帰宅が6時過ぎだった。 9時から外にずっと居たナルトは当然家事の一切を行う事が出来ず、夕食が無条件で弁当になった。 「それは、ヤだな・・・・せっかくナルトと一緒の時間が増えたと思ったのによー。」 「だまされないっ!だいたいしーが戦略部やめればすむ事だろっ!」 「まぁなぁ。やめてーのはやめてーんだぜ。 ただ、俺達の指示書を他人にやらせたくねーんだよ。」 ナルトはシカマルが言いたい事が分かって、何にも言えなかった。 自分達が生き残る為。たぶん凛やゲンマの分もやっているのだろう。 黙って体をシカマルに預け、一言ありがとうと言った。 「なぁ、今度新婚参観にいかねー?」 「いくっ!」 二人はニンマリと笑い合う。 「じゃぁ、明日の夜でも参観すっか。」 「おう、じゃぁオレは弁当用意するなv うっわぁ〜楽しみっvv」 訓練する必要の無い二人は、新婚夫婦の思惑も知らず。楽しげに明日の計画を練った。 【End】
一万御礼のアンケートにリクを書いて下さった方。ありがとうございます。 ご希望にそっているといいなぁ〜・・・・とf(^-^;) そして、すっげぇ〜我が侭言って頂いてしまった阿津緋様の「君に捧ぐ 〜old days.〜」の御礼ですm(__)m はにょぉ〜ん。一番最初に私が見てしまってっ、なんてあたしって幸せ者っ!(゚ー。)ノプシュー えっと・・・夫参観の返却はいつでも受付けます。何でしたら添削OK!全書き換えOKですっ!<いいかも<おいっ こんなへたれな文章の中のシカナルとハヤゲンですが、どぞもらってやって下さいませm(__*)m つか、これってラブラブ甘甘でしょうか?f(^-^;) 技の正式名称は乱れ雪月花。とても奇麗な技です。ぜひ見てやって下さい。 出典は、旧スクウェア作RPGサガシリーズ。