【新居祝い】     「イルカ先生〜〜〜!」   ナルトが勢いよくイルカに飛びついてむぎゅっと抱きつく。いつもの光景。   「どうしたナルト?」 「先生今日暇だよねっ。一緒に夕飯食べるってばっvv」   今夜は暗部の仕事が無いと受付けで聞かされたばかりだった。 これはシカマルが手をまわしたのだろうと、ナルトの言葉にイルカは破顔した。 夕飯の招待かなとにっこり笑って、イルカはナルトの顔を覗きこんだ。   「いいのか?」 「おうっ!期待してくれってばよっ!」   ナルトは、イルカから飛び降りて、腕をひっぱる。   『なぁ凛、凛がイルカ先生だって言いたいやつが一人いるんだけど、いいか?』   ナルトが心話を使いイルカに話しかけた。   『その人はお前達の事も知っているのか?』 『うん。すっげぇ〜おもしれーおっさん。ハヤテの嫁さん。』   おっさんと言った後に嫁さんという言葉が来た・・・・・・・イルカは理解出来ずはぁ〜?と声に出して顔をこわばらせる。   『凛しらねぇ?ゲンマって言うおっさんなんだけど。シカがこの間手順ぶっとばして二人を籍にいれたんだよ。そんで今日は新居祝い。』 『と・・・・取敢えず結婚したばかりで、し・・・・新居に入ったお祝いなんだなっ?』   イルカは外見にこそいつも通りのにこにこ顔でナルトに手をひかれていたが、内心はぼろぼろの動揺しまくり状態で、ナルトに答えていた。   『う・・・・うん。そんなに驚く事だったか?オレとシカマルだって結婚してるの知ってるだろ?』   確かに知っている。あの時も天地がひっくりかえるかと思うぐらい驚いたぞと心の中でイルカがつぶやく。 まさか自分の教え子で、しかも性別男のシカマルと同じく性別男のナルトが結婚してただなんて思うわけがないじゃないかっ!とシャウトもしてみた。 それに加えて今回は、顔見知りなんてもんじゃない。特別上忍の二人。ハヤテはこの教え子の二人を通して昔以上のお知り合いになっていたし、ゲンマは、ゲンマで受付け業務している時に気さくに話しかけてくる、感じのいい相手として十分に知っていた。 そこでイルカははっとする。   『お祝いなら何か買っていかないとっ!ナルト里に寄ってから行くぞっ!』 『おう!オレも変化して付き合うっ!んで、教えていいか?』 『ハヤテのお嫁さんなんだろ?構わないよ。』   未だ混乱中のイルカ。とりあえずお祝いの品を買う事だけに意識を向ける。 自分の名前なんかどうでもいいっ!それどころじゃないっ!と叫びたい。      ・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・   目の前には大量のお酒と大量の食事。 全てナルトとシカマルがてきぱきと用意したもの。   そして、景気のいい音と共にシャンパンが開けられた。   「「「おめでとう〜。」」」   シカマルとナルトとイルカが手に持ったグラスを二人に掲げる。 ありがとうございますと丁寧な礼を言うのがハヤテ。ありがとうなと楽しげに笑うのがゲンマ。 ただ、ゲンマが不思議そうな顔をしてイルカを見る。   「おっちゃん、イルカ先生は俺達の事を知ってる仲間って所。」 「いつも受付けではお世話になっています。ハヤテさんには大変お世話をしている凛と申します。  これからもよろしくお願い致します。」   イルカが丁寧だが微妙に言葉を強調してゲンマににっこり笑う。   「イルカさん・・・・文句はうちの長に言って下さい。  私だって、好きでお世話になっている訳ではないのですっ!」   実は、シカマルがサボっている分、イルカの腕を見込んで戦略部のバイトを頼・・・・・いや、イルカの性格を見込んで押しつけていたハヤテだった。   「シカマルっ。」   イルカがにかっと爽やかに微笑みながらどす黒いオーラを撒き散らす。   「や、イルカ先生だって、子供は勉強していっぱい食べて寝ろって授業で言ってただろ?」   そんなどす黒いオーラも爽やかな微風と同じとシカマルが食べながら返事をする。   「お前・・・・下忍だろ?里の仕事をしっかりしろっ!」   さりげに力強く、ばしばしシカマルを叩くイルカ。   「イルカ先生・・・・・俺達もう上忍だって。」   ナルトがどうしようもないフォローを入れる。   「そんな話は聞いていないぞ。」 「中忍試験をちゃんと受けたら、上忍にしてくれるってじじぃが言ってた。」   イルカが盛大なため息をつく。自分も正体を明かして、上忍にでもならないと、目の前の不敵な子供達に対応がつかない。特に戦略部の長ことシカマルにいいように使われるのは腹が立つ。 しかし、アカデミーの教師という立場も守りたい、イルカは考え込んでしまった。   「凛?・・・・ってイルカも影で何かやってんのか?」 「えぇ・・・・目の前の三人が木の葉のトップ3です。」   ゲンマはまじかよっ!と、呆れてイルカを見る。 ハヤテはため息を付きながら、自分の仕事を増やしている最悪のメンバーを見返した。 お祝いは嬉しいが、この為に里のトップが三人も仕事をさぼっている事になる。 今日の采配がどれだけ大変だったかと叫びたいっ。   そんなハヤテの心中を察しながらも、一切・まったく・ぜんぜん気にせず、にこやかに笑いながらイルカは、手元の包みをゲンマに差し出す。   「これはお祝いです。」 「あ、オレもっ!買ってきたぞっ!」   イルカとナルトが二人の目の前にどんと包みを置く。 未だため息をついているハヤテを横目にありがとうよと言いながらゲンマが包みを開いた。 イルカのは夫婦湯のみ。落ち着いた色合いのセンスのいい物だった。ありがたく使わせてもらいますとゲンマがイルカに頭を下げた。 そして次の包みはナルトのもの・・・・。   「ナルト・・・・これはどっちがどっちのだ?」   呆れた顔のまま包みの中を見ているゲンマがそれでも律義ナルトに聞く。   「ん?おっさんのがリボン付いているやつ〜。」 「ナルト・・・・・・リボンって・・・・・・これのことか?」   ゲンマが顔を強ばらせて出したのは紐パン。左側だけリボン結びしてとめるものだった。 リボンの色は淡いピンク。 これをオレが履けと?ゲンマの顔は思いっきりひきつっていた。   ナルトは真剣な顔でうんうんと頷き。 シカマルは興味深げに展開を見つめ。 イルカは、肩を震わせ笑っていた。   「・・・・・ハヤテ・・・・・・これがお前のだそうだ。」   ゲンマが黒のビキニパンツを渡す。   「・・・・勝負パンツですか?」 「そうそう、店員がそんな事言ってた。夜のイトナミってやつの調味料だとかなんとか。」   ナルトに悪気がないのは今のを聞いて十分分かる。問題はこんな物を売りつけた店員のセンスだ。 男同士でこんなもん履いて何が楽しいんだとゲンマは心の中でつっこむ。   「なぁなぁ、ちゃんと使った感想聞かせろよな。」 「あ、オレも聞きてー。」   シカマルがニヤニヤ笑いながら手をあげる。   「あ、オレにも教えて下さい。」   普段の意趣返しにとイルカまでもが悪のりしてくる。 しかし、呆れている妻とは違って、ハヤテがしみじみと妻のパンツを眺めてからゲンマを見てとんでもない事を言いはじめる。   「分かりました。レポート用紙2枚程度にまとめればよろしいですか?」   ニッコリと微笑みまで付けてきた。   「ゲンマ、明日二人共休みでいいそうですよ。詳細なレポートを書くには、時間をかけないといけませんからね。  明日の戦略部は長とイルカさんにお任せ致しましょう。  皆さんがお仕事している間にきっちりレポートを書きあげますから。期待していて下さい。」   最上級の微笑みだった。さりげに目の下の隈がなくなったように見えたぐらいハヤテは光っていた。 一瞬シカマルがちっと舌打ちしたが、そこはそれ伊達に長をやっていない。即座にニッコリと笑って口を開いた。   「へぇ〜楽しみだな。事細かにどう使ったか教えて欲しいね。」 「そうですか。何でしたらナルト君を使って目の前で実戦致しましょうか?」   ハヤテ負けていない。 いつもだったら戦略部の部屋で、外野のキラキラした目に囲まれてやっているどす黒い応酬が始まった。 今日は外野の代わりに、初めてこの応酬を見て、ストレスが溜まりそうな上下関係に冷や汗を流すイルカ。そして、いつもの事ながら、相変わらずの光景に呆れながらも少し期待しているナルトとゲンマ。   「それとも長が私のお相手をして頂けますか?」   ハヤテは、あんたが下になるけどいいのかよってな様子でにこやかに微笑む。 シカマルは、お前なんかにやらせるかよ、反対に押し倒されて泣くのはお前だぜという様子で口の端をあげる。   「ナルト・・・・これって・・・・・。」 「あぁ、いつもの事だから、気にせず食べてて。結構面白いだろ?」 「ハヤテって・・・・・いつもこうなのか?」   この二人はこんなもんだってとナルトが平然と言う。 いつも穏やかで、礼儀正しいハヤテしか知らなかったイルカは、目の前の邪悪な応酬に唖然状態。 しかし、妻達は最近慣れはじめていた。   「なぁ、浮気の相談しているぜ。」 「う〜ん。格闘の誘いじゃねぇの?」   慣れた妻達は、のほほんと会話する。   「格闘ねぇ・・・・・折角の新居を壊されたくねぇなぁ。」 「あははは・・・・大丈夫だって、オレが強力な結界張ってやるから、つまみ食べながらのんびり見てよ。」   イルカが二人の会話を聞きながら、なるほど奥様だと感心する。   「愛されてませんね。」 「そうだな。これが倦怠期ってやつか?」   憮然とした面持ちで、お互いの妻に勢いをそがれた夫達が呟く。   「何だよ、もう終わり?楽しんでいたのに・・・・なぁおっさん。」 「そうだな・・・・・ハヤテ、シカマルを押し倒すんなら、オレもまぜてくれねぇ?2対1ならどうにかなるだろ。」   押し倒す。確か色っぽい言葉のはずが、単なる格闘しながら押え込みをかけるとしか聞こえないイルカ。何か間違ってるんじゃないかとため息をつく。   「おっさん、シカは幻術が得意だから、オレも手伝おうか?」 [あ〜?三人が相手ね・・・・・・少しは楽しませろよな。」   シカマル、愛しい妻が敵にまわろうとも楽しいお遊びはやめられない。 なるほどとイルカが納得する。もしかして、自分はとてつもなく惚気られてる状態なのかと、はたと気づく。豪快な二組の夫婦のじゃれあいに、忙しく彼女を作る暇もない暗部で中忍でアカデミー教師のイルカは、指を鳴らし始めた。   「・・・・あんたら、オレに対する嫌味はその程度にしてくれませんかね?」   涼風と共に暗黒のオーラをひねくりかえすイルカ。ニッコリ爽やかに微笑むその顔に悪魔がすみついていた。   「イ・・・・イルカ?」   爽やかな笑顔で優しいと評判の受付け係りの変貌に後ずさるゲンマ。   「イルカ先生も早く嫁さんもらえよなぁ。」   なれっこになっているナルトはイルカに負けないぐらい明るい笑顔をふりまく。   「そうですね。ただ、イルカさんはとてつもなく鈍いのが問題でしょう。  結構人気がありますのに・・・・・気づいていませんよね?」   しっかりと人格及び人間関係にチェックを入れているハヤテがつっこむ。   「凛は、結婚なんかしたらアカデミーだけでいいとか言いそうだからなぁ。  そのまんまでいんじゃねぇ?」   戦略部の長としては、腕のいい忍びが減る事と、バイトが居なくなるのは困る。 しかも、凛がいなくなったら暗部としての自分達の仕事も増える。 ぜひ独身のままでいてくれという感じだ。   「あ〜〜ハヤテ、イルカのファンって具体的に誰だ?」   シカマルのあまりにあまりの言葉に、ゲンマがイルカへのフォローに入る。   「サスケくん、モエギちゃん、ネジくん、ふたばちゃん・・・ここらへんが子供達の代表ですね。  アヤメさん、お京さん、かおりさん・・・・・あげると結構きりがないんですけど。  イルカさんは、男性と女性どちらがお好みですか?」   しっかり仲人気分なハヤテ。いやそれより、これだけ好かれていて、気づかないイルカに呆れ気分?   「・・・・オレ・・・・・一生ノーマルで生きていきたいのですが・・・・。」   結構嬉しい話だけど、男性は勘弁してくれっ!と、素直に喜べないイルカ。   「あ、どうせイルカ先生の彼女だと、無条件で仲間になるだろ?  だったらオレはネジがいいなぁ。説明ほとんどいらねぇし。」   自分の都合で他人の彼女をきめる、いい加減なナルト。   「ネジか・・・・・・使えそうだから、オレも賛成。」   何に使えるかは言わずもがな。戦略部のバイト要員になりそうな相手なら、問題無しっ!ナルトと同レベルの人選。   「では、イルカさんのお相手はネジくんという事で。」   戦略部のバイト要員に出来そうなら当然ハヤテにも文句は一切無い。・・・どころか大賛成。   「それ・・・・どっちが夫だ?」   唖然としているイルカに同情の目線を投げながら、それでも疑問は解消したいな状態のゲンマ。   「ネジって結構まめそうだから、妻でいいと思うけどなぁ。」   奥さん業は大変なんだからマメじゃないと、という信念を示すナルト。偉いぞぉ〜。   「あいつ、お前を見つけるって言ってただろ?  なら、腕も使えるようにすればいいな。」   暗部にもさそっちゃいましょうと、ニンマリシカマルが笑う。   「お前らっ!いい加減にしろっ!!」   オレは入れないでくれとイルカの怒りに慣れないゲンマが縮こまって言う。 他の面子はまったく動ぜず、それぞれイルカを面白そうに見る。   「や、冗談はさておきイルカファンのネジもどうにかしような。」   イルカファンといちいち肩書きをつけるあたりがシカマル。   「頑張って探しているみたいですからね。フォローしてあげないといけませんよ。」   もう、一物もニ物ももっていま〜すと、ハヤテがナルトに笑いかける。   自分の生徒として、目の前に居る二人は除外だっ!と心に決め。 新たに生贄になりそうな本当の自分の生徒を守ろうと決意するイルカ。熱血教師健在! しかし、そんなイルカを面白そうに見つめるシカマルが口を開く。   「イルカせんせ無理だって。なにせ、あのネジがナルトに心酔しきってるらしいからな。」 「オレは、生徒に責任があるんだっ!  お前らの幸せを追求するのは勝手だが、他人を巻き込むなっ!」 「イルカせんせ間違ってるぜ。  オレらは普通に暮らしてーだけだって。  暗部なんかしたくねーし、当然戦略だ暗号だなんて、これっぽっちも関りたくねーんだ。  普通に生活して、普通に夫婦やってられりゃぁ〜いいんだ。  それを邪魔するのは誰だ?  それを強いているのは誰だ?  それならオレは、その中で自分のポジションを決めて、将来の為に努力するしかねーだろ?」   別に一つも声を荒げていない。態度も変わらず楽しそうに、肘をついた姿勢で言う。 それだけに、この言葉の意味がイルカの心に不幸にも届いてしまった。 最初に凛として出会った時からそうだった。あれが自分の運のつきだったのだろう。 そう、今だにこの子らも自分の生徒だった。 仕方がないとイルカがため息をつく。 シカマルが将来自分をどんなポジションに選ぶかは分からない。 しかし、ここまで付き合ってしまった以上、最後まで付き合うのが親切ってもんだろ。   イルカはニカッと笑ってシカマルの頬をひねりあげた。   「〜〜〜っ?!!!」 「オレが忙しい分、お前がオレの嫁さんを探しておけっ!  オレの好みは、可愛くて、大人しくて、元気者が希望だ。」   大人しくて元気もんって・・・・・相反するんじゃないか?と、一応この中で一番真っ当そうに見える妙な男は考える。   だめですねと、すっかり仲間になって逃げられなくなっている自分と、同じ立場を自覚したであろう相手にため息をつく。   イルカ先生は、イルカ先生だよなぁ〜と、ニシシと笑う元生徒。   そして頬をひねられていた元生徒は、ひねられたまま変化の印を組む。 目の前には短髪黒髪の青年が現れた。   「何かあったら声をかけろと言ったのは、あんただろ?イルカ。」   青年は楽しそうに笑う。 それを指差し口をぱくぱくしながら凝固するイルカ。   「本当にあんた、いい人すぎだ。」   あの時、海と名乗った青年はニンマリ笑った。           そして、シカマルっ〜〜〜〜!!という絶叫が上がったのは、この約1分後。                   〜おまけ〜   真っ赤になって渡された用紙を見つめるナルト。   噂に聞く、イチャパラと同じような世界が展開する書面を読んで凝固しているイルカ。   あぐらをかいて、肘をついたシカマルが、ここまで書くか?と部下の報告書を眺める。   のんびり夫婦生活の時間を持てた二人は、   あんな小せーパンツ入るわけねーだろって、当然オレは変化したぜと、ニヤニヤ笑う。   一見普通の男女ですから、単なるエロ小説を書いたようなものですねと、にっこり笑う。         【End】    




 


    イルカ先生おひさしぶりです。 一人身が寂しそうですが・・・・・お相手はどなたが希望ですか? 女の子ならヒナタちゃんを、男なら・・・・・誰だろう?f(^-^;) カカシは、うちではへたれ担当なんで、該当させたくないのですが・・・・つかそれじゃぁ話し的に困る。 う〜〜〜担当上忍達は話的に全員除外とすると・・・・・生徒かっ(゚▽゚;) キバ?チョージ?シノ?・・・・・・すんません当分一人でいて下さいm(__;)m^^^^^   さぁ〜新しい生贄だぁ〜(^O^)/<おいおい これからどうやって、不幸・・・や、楽しい生活に参加してもらうか考えようVv うんうん、あたしネジにぃさん好きだから、大丈夫Vv<何が?   (゚゚ )しっかし、どんどん全員の性格がかわっていくよ。 なんか、違うよ。最初と全然違うんだよ・・・・・・・どうしよう?     ということで、イルカ先生が居ますが、相変わらずの二組の夫婦のお話です。 つか、甘くないです。すいません。 ・・・・・う・・・・・受け取ってもらえますか?相変わらず汚い文章ですので・・・・・返却はいつでも桶ですm(__;)m 素敵な83の御礼にこれで・・・・・・す・・・・すみませんっ(脱兎)  >阿津緋様へ                                    04.07.27 未読猫