「シカマル捕まえた。」 「ゲ・・・ゲンマさんっ!」   シカマルの驚きを無視してゲンマがシカマルと共に道端から消え去る。   そして、ここはハヤテとゲンマの家だった所。しかし、もう荷物は一つもない。もぬけの空。 ただ、金色の髪をした子供だけが坐っていた。   「ナルト、待たせたな。」   ゲンマが御陽気にナルトに声をかける。   「・・・・ナルト?」   訝しげにシカマルがナルトを見る。ナルトは俯いたままだった。 シカマルが近づいてナルトの頭を撫でる・・・・そうかお前も知っちまったか・・・・。シカマルは、昨日聞いていた。しかしナルトには言っていなかった。どう伝えていいか分からなかったから。   そんな二人に刀が飛んでくる。   「え?」 「げっ?!」   一つづつ、肩にかけれるように紐のついた鞘に入っている。 二人は驚いて、ゲンマを見上げた。   「お前たちにはそれをやる。それ持ってついてきな。」   振り返りもせずにゲンマはすたすたと歩いて庭に出る。その肩には見慣れた刀が背負われている。しかしそれはゲンマのではなく・・・・・・・。 二人は一言も言わずにゲンマの後をついて行った。   ゲンマは庭の真ん中に来て二人の方に振り向いた。   「印はこう結ぶ。分かったな。  あれを見てろ。」   ゲンマが指差した方には、一体の人形が立っていた。   「三日月の舞。」   ゲンマが三人に分かれ奇麗に動いた後には、斬られた人形が転がっていた。   「分かったか?  オレではこの程度しか出来ん。残念だがな・・・・・。  ハヤテの姉には連絡してある。もしちゃんと覚えたければ行くといい。  ・・・・・・・じゃぁな・・・・オレはこの後任務だ・・・・。」   二人の目の前からゲンマが掻き消える。まるで顔を見られたくなかったかのように逆光のまま。   「ナルト覚えたな?」 「うん・・・・。」 「お前はどうする?」 「オレは・・・・エロ仙人と修行中なんだってば・・・・でもその合間に行く。・・・・絶対。」   ナルトの右手が固く固く閉じられる。   「オレも行く。たぶんオレはずっとそこに居るから。」   そして中忍試験本選まで、ナルトは夜寝る時間にこっそり(エロ仙人にはすっかりバレていたが。)と。 シカマルは泊まり込みで。 二人はハヤテの姉から剣技を教わった。     【三日月の舞】   九尾のチャクラがナルトを包む。 ネジが驚愕の表情を張りつけてる間に、ナルトは印を結んだ。   思いっきりスピードの増したナルトが三人、手にクナイを持ちネジに向かう。クナイではあったが、それは三日月の舞と同じ動作であった。 切り刻む寸前にナルトの動きが止まる。ネジが身動き出来ぬよう、三方のクナイは急所を突く一歩手前で全部とまっていた。   「・・・どうするネジ?」 「・・・・・・・・。」 「お前ってばここで何もせずにこのクナイを受けるのかっ!?それともオレが全て変えた後にのこのこ出てくるのかっ!」 「ナルト・・・・・・・・。」   一旦ふせられたネジの目が再び開き、しっかりナルトを見る。   「分かった・・・・・ギブアップ。」   躊躇いもなくギブアップをするネジ。今ネジの目は穏やかにナルトを見ていた。   そして、ネジとは違い、信じられないものを見るような目でゲンマはナルトを見ていた。今のは確かに三日月の舞。少し未熟な点はあれど、見間違いようがなかった。 あの時二人にああは言ったが、ここまで仕上げて来るとは思わなかった。 目を閉じて、あの時の二人を思い出す。・・・・・ハヤテ、お前を受け継いでくれる子がいたぞ。おれじゃなくて残念だがな。・・・・オレはお前の技を未だ使えねー・・・・・・・・・・・・・・すまない。 側に気配を感じて目を開く。見上げて来てるのは、刀を背負ったシカマル。   「試験官さんよぉ、話し聞いてたか?次オレなんだけど?」 「あぁ?」 「はー寝ぼけてんなよなー。サスケは後回しだってさ。」 「そうか・・・・・。」 「目ぇ開いてんのか?ちゃんとオレを見てろよ。」   まるで、ゲンマと戦うかのようにシカマルが睨みつけている。 心の中ではなぜか怯んでしまうのを、おくびにも出さずに、ゲンマがニヤッと笑う。   「メンドくせーんじゃないのか?」 「メンドくせーよ・・・ったくあんた馬ー鹿。」   特別上忍に対して馬鹿はねぇだろうって感じだが、シカマルは心底腹がたっていた。 それでも、自分のやる事を忘れてはいない。ここで試合をする事。そして"あれ"を見せる事。   シカマルはゲンマに背を向け、試合の相手に向き直った。   「あー、さっさとやろうぜ。やる気0のオレが珍しくやる気だしてんだからな。」   そう言って、ニヤリと相手に向かって笑った。 ゲンマは、何を感じたか、一瞬躊躇った。しかし、試合は始めなければならない。 一息吐いて、開始と声高に宣誓した。   「忍法カマイタチ!」 「カマイタチ!」   ゲンマの声が止まないうちに、テマリが扇子を振る。同時にシカマルも刀を振った。 扇子で作られたカマイタチと刀で作られたカマイタチは、同じ力だったのか、重なりあった時点で霧散した。   『かっ・・・・影じゃないっ?!しかも刀で同等のカマイタチを作るなんてっ!』   テマリは混乱して、次の攻撃に移るのが一瞬遅れる。その隙にシカマルは印を結び終えていた。   「三日月の舞。」   二人の分身とシカマルは奇麗な構えからテマリに迫り、一歩手前で止まった。 シカマル本体がきっちりテマリの影の上に居る。   「どうしますか?」   普段のシカマルが使わないような丁寧な言葉でテマリに尋ねる。 一旦唇を噛み締めた後、テマリはがっくり肩を落し、ギブアップを宣言する。   しかし、その声を試験官ゲンマは聞いてなかった。いや、聞こえてなかった。 三日月の舞を見た瞬間からゲンマは目を見開き、今にも泣きそうな顔で震えていた。   「ゲンマ・・・・ギブアップを頂きました。」   シカマルは俯いてゲンマに背を向けたまま声をかける。 それでもゲンマは震えるばかりで動かない。   「仕様がないですね。しっかりして下さい。私が勝ちましたよ。」   顔をあげたシカマルは、にっこりゲンマに微笑む。 その顔は、確かにシカマルだったけど、シカマルが普段見せている顔とは全く違う、穏やかで落ち着いた顔付きだった。・・・・そうまるで   「・・・・ハヤテ。」 「えぇ。やっと呼びましたね。もう忘れてしまったのかと思っていました。」 「忘れるわけがないっ!」   ここが試験会場だとか、自分が試験官だと言う事を一切忘れてゲンマは叫んだ。ぼたぼた涙は後から後から溢れてくる。   「折角貴方の所に行けると思っていたのに、三日月の舞を完成させたのがシカマル君だったなんて、薄情じゃないですか?」 「信じられなかった・・・・・・認めたくなかった・・・・・オレがお前の技を覚えたら・・・・まるでお前と一生会えない事を認めるようじゃないか・・・・それだけは・・・・それだけは嫌だったんだ・・・・。」   漏れでる嗚咽を堪える事もせずにゲンマは涙を流したままシカマルを見つめ言った。   「覚えてくれますよね?」 「あぁ・・・・あぁ!・・・・約束する。」   シカマルは嬉しそうに笑って、そして目を閉じた。 再び目を開いた時、シカマルは、シカマルに戻っていた。   「・・・・勝者、シカマル。」   ゲンマは一気に涙を拭って、シカマルの勝利を宣言した。 シカマルは黙ってゲンマの背中を叩き、試合場を後にした。       「おっさん、いい加減にしろよなっ!」 「ゲンマのにぃちゃんっ!だめだってばっ!」   試験後シカマルとナルトに三日月の舞を教わる事になったゲンマだったが、どうも覚える気がいまいち・・・・どころかさっぱり覚える気なしっ?!本人曰く・・・・   「オレが覚えたら抱きしめて貰えなくなるだろうがっ!」 「オレがおっさんを抱いて楽しい訳ねーだろっ!」   シカマルは青筋大量に育成し、ゲンマを怒鳴りつける。   「オレは気にしねーよ。だから、三日月の舞見せてっv」   シカマルはゲンマを抱きしめるのなんか嫌だったから、さっさと技を伝授してすっきりしたかったのだが、さっきからゲンマのおねだりが止まらない。 シカマルは一瞬絞める事を考えるが、ある事を思いついて、実行に移す。 刀を構え印を切る。奇麗な三日月の舞を舞う。   「ばきっ!」 「っつ〜〜〜〜〜〜〜!!」   シカマルが思いっきりゲンマの鳩尾に拳をたたきつける。ゲンマは目尻に涙を浮かべうずくまったが、それでも嬉しそうにシカマルを見上げる。   「ゲンマ・・・・あなたは何をやってるのですかっ!」 「・・・・・だって、オレの所にハヤテが来ちまったら、抱きしめてもらえねーだろ?」 「だってじゃないっ!!」   再び、ゲンマが張り倒される。   「分かりました。貴方は私がナルト君を抱いていいのですねっ!」 「「だめっ(だっ)!!」」   ゲンマとナルトが思いっきりはもる。 ナルトはかなりあせってる。シカマルが三日月の舞を完成してからHをした覚えがある。 まさか・・・・とナルト真っ青になる。 そんなナルトを見てゲンマもかなり慌てる・・・・まさか・・・・中に居るってことは・・・・不安そうにハヤテを見る。   「それで、ちゃんと覚えて頂けるのでしょうね?」   不安がる二人を放って、ハヤテが冷たい目でゲンマを見る。   「覚えるっ!ちゃんと覚えるっ!」   横でナルトが関係ないのに、ハヤテの勢いにおされてコクコク頷く。 そんなナルトを見てハヤテが楽しそうに笑う。   「ナルト君もちゃんと覚えてくれますか?  では、稽古をつけてあげましょう。だからちゃんと遊びに来て下さい。」 「うん。ハヤテのにぃちゃん絶対だってばよっ!」   嬉しそうにナルトが笑う。その顔を見た後、ゲンマの顔を暫く見て、ハヤテは目を閉じた。 そして再び開いた目と表情はシカマルに戻っていた。   その顔を見て一瞬辛そうに顔を歪めたが、ニカッと笑って、ゲンマはシカマルの指導を受けはじめた。       「なぁ、お前は分かってたのか?」 「何がですか?」   ゲンマを抱きしめている腕を緩めハヤテが不思議そうな顔をして覗きこむ。   「オレは・・・・・二度とお前に会えないと・・・・・二度とこの腕の中にいれないと・・・・思っていた。」 「普通はそうですよね。私は死んだのですから。  でも、貴方を残して逝くわけにはいかなかったでしょう?気がついたらシカマル君の所にいました。  意思さえ強ければ何とかなるものですね。」   艶やかにゲンマに笑いかけるハヤテ。 ゲンマはシカマルから三日月の舞を伝授してもらい、あの後自分の家で完成させた。 その瞬間に体の中にもう一人の意識がある事に気づいた。 その意識は普段自分と一緒に居るのが当然だった人と同じ。心の中のそれに躊躇いがちに話しかける。ハヤテ・・・・と。   心の中に居た気配が目の前に居るのを感じる。恐る恐るそちらを向くとハヤテが現れいた。幽霊かと思ったが立派に実体があった。恥も外聞も関係ないと、あふれ出る涙を拭いもせずにハヤテに抱きついた。   「なぁ、オレの側にずっと居てくれるか?」 「貴方が私を必要としなくなるまでずっと居ますよ。」 「じゃぁ、オレがそっちに行くまでずっと居てくれ。」   ハヤテは、ゲンマの背中を優しく撫でて、頬にキスを落した。 そして、不安そうにゲンマの顔を覗きこむ。   「あの・・・・私は幽霊でいいのでしょうか?」 「足あるじゃねーか。」   ぴたぴたとゲンマがハヤテの足を叩く。   「ここまで実体がありますと・・・・・任務をするべきでしょうか?」   ゲンマは、生真面目な台詞に呆れたような顔をするが、ハヤテらしいと苦笑する。   「それは止めてくれねーか?出来るだけ一緒の時間をもちてーんだ。」 「しかし・・・火影様はもうご存じのはず・・・・。」 「大丈夫だろ、今三代目はもういない。火影の地位は空いたままだ。」   それを聞いてハヤテが辛そうな顔になる。 自分が生きて戻れなかったせいで、肝心な時に役に立たなかった事を後悔する。   「お前がそんな顔をする必要はない。  お前が戻ってこれなかったのだから、俺達の誰が行っても同じような結果がだっただろう。  あれは、Aランク止まりの任務だったはずだ、しかし相手は、Sランクレベルだったのだろ?」 「・・・・・しかし私が未熟なばかりに・・・・・・・。」 「お前は未熟じゃねーよ。あの手配をした戦略部が未熟だったんだ。  オレは・・・・・・・・殴り込みに行きそうになる自分をどれだけ押さえた事か・・・・・・・。」   固く拳を握り締め俯くゲンマ。 その姿に、自分の後悔なんか些細な事だとハヤテは片付ける。 この人にこんな顔をさせた自分をもっと責めるべきだった。   「すみません・・・・・。」 「お前は何も謝る事はねーよ。そんな事より、オレはお前に再び会えて嬉しい・・・。」   自分がどんな形であれ、側に居てくれるのが嬉しいと言ってくれる相手に、涙が出そうになった。そして今の自分に出来る事をしようときつく抱きしめた。   「私は、貴方が任務の時にもご一緒します。貴方の中に居させて下さい。  何かあった時には、私もお手伝いします。いいですよね?」   それはお願いではなく、決定事項を言い渡していた。自分の居場所を作ってくれと言っていた。 ゲンマは片手で顔をおさえ、くぐもった声を出す。   「本当に情けねーヤツですまねー。  お前が成仏できねーはずだよな・・・・・・でも・・・・オレはお前が居てくれてすげー嬉しいよ。  ありがとう・・・・・ハヤテ。」   まわした腕が緩んで、自然と二人は重なった。 短い間だったけど、触れられなかった温もり。同じ生ではなくなってしまったけど、それでも暖かかった。   はじめから深く重ねられた唇は、空いてしまった時間を埋めるようにいつまでも離れようとはしなかった。     【End】    





    うわっ駄目じゃん(>_<;)自分の小説の中でも殺しちゃったらだめだめじゃん!!o(>_<;)   幽霊?憑依霊?・・・・やはり死人(しびと)かっ?・・・・・やばげな世界行ってる気がするけどf(^-^;)アンハッピー嫌いやしなぁ。 って・・・・一応ハッピーに見える・・・・・よね? (ハヤテ、異界があるぞっ!と心のどっかで叫んでたりする未読猫。FFXが分からないと理解出来ないネタだf(^-^;))   ハヤゲンなのに、結構シカナルが絡む・・・・(^-^;) ここでは、シカナルはスレてませんけどねf(^-^;)ちと書きづらい。   シカナルないとあっしはだめなのかっ(゚▽゚;)<病進行中   ところで、これを尻切れ蜻蛉と思う人・・・・・((((;。。)/はぁい。