○月×日 晴れ 今日の下忍の任務で兎の白太ちゃんを捕まえるのに半日かかった。 何で、探索の術を使わねぇんだ? 夜の任務 豪炎の術で三人 クナイで一人 みんなよわっちかった。 ○月△日 曇り 今日の下忍の任務で失くした本を探し出すのに一日かかった。 確かに下忍が使うには難しい術ってのは分かったけど、もっと簡略化できないのか? 闇!術の改良得意だろ?何とかしろ。 夜の任務 クナイで五人 最後の一人が結構いけた。 交換日記 ため息が零れる。 目の前には、交換日記。 だいたい、交換日記してること自体が理解不能。こんなモノ、アカデミー入りたての子供でさえしていない交際術。 余計な事を教えたイルカセンセの古代教育に、こめかみが痛む。 付け加えて、交換日記って言ったら、もうちょっと甘いイメージを喚起させねーか? この内容は何だと問いたい。 下忍レベルの問題提議に、暗部の仕事内容の抜粋…しかも殺した人数って…あまりにも殺伐な内容と世間知らずの高レベルな問い。 それに毎回毎回律儀に答えてるオレもオレだが…交換日記に見合う内容ってのがあるだろ?と問いたい。 そこら辺まで教育してこそ教育者じゃねーの?と、イルカセンセにまであたりたくなる。 既にこの日記はそこら辺に放せないレベル。 表紙に禁書の二文字が似合う内容。一部アカデミー教育者向け。 ため息… とりあえず想いは通じたはずだよな? ナルトもオレの事をそれなりには好意を持ってるはずだよな? だからこその交換日記のはずなんだよな? ……どうすりゃいいんだ? 今からでも再教育って受け付けるか? もしかしてこれってのは、イルカセンセからの挑戦か? 昨日のナルトの日記の最後に書かれた文字を見て、再び不審の眼差しになる。 明日から一泊二日で出る。 研ぎ屋に行くから、お前も分身に下忍任務をさせとけ。 八時に木の葉の門、夜用変化をしてこい。 これは、デートのお誘いと思っていいのだろうか? その前の内容が内容だけに、素直に受け取れない。 ため息が止まらない。 なんてお子様に惚れてしまったんだ?…闘っている姿が綺麗だと見惚れてしまった自分が可哀想になる。 窓から空を見上げる。 ま、惚れちまったもんはしょうがねぇかと、きっぱり頭を切り替えた。 「明日な…見てろ、きっちりデートにしてやるっ!」 メンドくせー返上したオレが、どれだけのものか覚悟しやがれと、ナルトん家の方に向かって宣誓してみた。 ◇◆◇ 「な…ナルト…」 「何?」 いつも以上の速さで森を疾走させられていた。 確かに自分は暗部で、他の忍びに比べれば体力があるとは思う…思うがしかし、ナルトの無尽蔵の体力に勝てるモノは持っていない。 走り始めて2時間弱。 オレは行き倒れる前に、ナルトに行き先を聞いとくべきだったと後悔していた。 「い…行き先は?」 「言ってなかったっけ?短冊街」 「はぁ〜?」 さらっと、尋常じゃねぇ事を言うなっ! この速さとかかった時間、そして何で一泊二日も時間があるのに、こんな走りを要求するんだっ!と心ん中で怒鳴っていた。 「午前中に出せば、夜には出来上がってっから」 ナルトの簡潔な答えを聞いて、ランナーズハイぎみな頭は、勝手に一晩ゆっくり出来るのだと思ってしまった。 その時に、何で夜に出来上がらなくちゃいけないかって事をちゃんと考えれば良かったと、後で後悔するのも知らずに…。 全速力で走った後、短冊街の町並みも堪能せずに研ぎ屋に直行する。 オレはといえば、夜にどうやって口説き落とすかを真剣に考えていた。 「なぁ、今夜使う得物はどれだ?」 「はぁ?」 ナルトがしばし考える。 「あ、言ってねぇ?」 清々しいほどの笑顔が向けられた……そんなで騙されるかと、視線をきつくする。 「あはは…、今夜任務だからVv」 目いっぱい目つきが悪くなる。 「あ…は…ここれ任務書な…」 おずおずと書類が渡される。しかも研ぎ屋のど真ん中で………。 ざっと任務書に目を通して……二枚もありやがった。 「銀線とクナイ五本を九時までに用意しておいてくれ」 店主に事務的に話す。 「お前は?」 「あ…おオレ?…オレは、銀線とクナイ二本で…」 「それ以外は、明日の昼に取りに来る。それでいいな?」 店主が分かりましたと頭を下げ、オレはそれを見ずにナルトの手を掴んで店を出た。 「碧…」 「なな何かなぁ〜?」 「お前は夕方までに、こっちのターゲットの下調べな」 いつもだったら、オレが一手に引き受けている下調べ作業。 とりあえず半分はナルトに引き受けてもらって、なんとかして二人の時間を過ごそうと足掻いた。 一応任務の事を言ってなかった負い目があったようで、ナルトはしぶしぶと頷き、オレの目の前から消えた。 だいたい、何でターゲットが揃いも揃って態々短冊街に来てやがるんだと、今から押しかけて行って怒鳴りたかった。 どちらの人物もある程度の知識は持っていた。 猜疑深く、強いフリーの忍びを所有し、自分の周りを固めている。 そんなやつらが、遊びになんか来るなと言いたい。 しかも同時に。 どちらも時間を食うだろうとは、簡単に予想がつく。 一瞬短冊街もろとも派手な術で壊滅させようかとも思ったが、任務書にあった、殺しを昼過ぎまでは悟られるなという文字が憎い。 ため息を一つついて、足をターゲットが泊まる予定の宿に向ける。 それでもオレは進展させてやるっ!と一応決意を新たにしてみた…。 ◇◆◇ ナルトから報告を受けた結果、自分が下調べをした方が容易いと考え、さっさと仕事を終わらせた。 幻術を張ったターゲットの部屋は、昼まで囲った女とターゲットが寝ている様子しか見えないよう細工をしてある。 現実は、血まみれの男が一人布団の上で事切れていた。 ここまでは良かった。 結論………ナルトに任せたオレが馬鹿だった。 確かに部屋の状況、忍びの配置は合っている。 しかし、ターゲットの目的を聞いてなかった。 もし、聞いたとしても、ナルトも調べてなかったので答えられなかっただろうが…返す返すもオレが馬鹿だったと肩ががっくり落ちる。 頭は悪くない、暗部としての生活も長いのだから、何を調べればいいかなんて自明の理と思い込んでいた。 いつも力づくで全ての任務をこなしていた相手の職歴をすっかり忘れて。 眼下には、ターゲット以外にも集まった、殺してはまずいだろうという肩書きの一団との宴会光景。 ターゲットは、もう一方のターゲットと違い、遊びでここに来ていた訳ではなかった。 これをどうやって、明日の昼まで分からないよう殺せばいいんだ? 『ごめん…』 恐る恐る上目遣いで見上げるナルト。 あぁ、可愛い!可愛いけどなっ! この場で考えられる作戦は一つ。 この宴会が終わるのただひたすら待つしかねぇじゃねぇかっ! しかも宴会が終わったからと言って、ターゲットがいつ一人になるかが分かりゃぁしねぇ。 ………徹夜決定かよ………しかも人様の屋根裏で………さすがにここじゃぁ押し倒せねぇだろうがっ……… 屋根裏に強固な結界を張る。 音も内部の様子も外部からは窺い知れない結界。 「ナルト寝てろ」 「へ?」 「どうせ先は長ぇだろ? オレが先に見張ってる。お前は寝とけ」 「…でも…う〜闇わりぃ…」 一応反省して項垂れているナルトの頭をぽんぽんと叩く。 ただ、デートという言葉は忘れていない。 「あー気にすんな。まぁ、ごめんと思うならキスの一つぐらいしてから寝ろ」 ニンマリ笑ってナルトを見る。 「きききききキスぅ〜?」 「おう、お前の手抜きでこうなったんだろ?」 「ぐっ……」 真っ赤になってあーだの、うーだの足掻いているナルトに、視線がきつくなるのは仕方がない。 オレの今回の目的をこれだけぱぁ〜にしやがったんだから、この程度の意趣返しは当たり前だ! ナルトにこっちへこいと手招きする。 う〜と唸りながらナルトが近寄ってきた。 一瞬だけ、頬に触れる柔らかい感触。 オレはナルトの腕を取って、自分に引き寄せた。 「これじゃぁ駄賃にもならねぇなー。」 「おおお闇っ?!」 真っ赤な顔で睨んでくる。 オレの昨日から一日練り上げた作戦を全ておしゃかにしたお前が悪いと、心の中で愚痴る。 少し開いた唇を啄ばむように、いくつも口付ける。 ナルトの体から少し力が抜けたのを感じ、唇を深く重ねた。 今朝からの腹いせとばかりに、執拗にナルトの口の中を蹂躙していく。 完全に力が抜けた時に、静かにナルトから離れた。ついでとばかりに唾液で光ってる唇を一回舐める。 「お前の番が来たら起こすからな。」 既にオレの視線は、眼下のターゲットに向かっている。 こんな状況で、ナルトの顔なんか見たら、冷静でいられる訳がねー。 ちらりと見た潤んだ蒼い瞳が、非常にやばいですと下半身が言ってる。 とりあえずナルトへの腹立ちは、さっきのキスで解消。 目下の苛立ちは、全て眼下のターゲットに向かった。 どう殺してやりましょう?と考えていたら、ナルトの呟きが聞こえた。 「……闇のスケベ……」 「あー?」 「…エロ闇」 「あーはいはい、オ子様ニハソウ感ジルカモシレマセンネ」 「む〜……絶対起こせよ!オレだって戦いたいんだからなっ!」 そう言って、背後でパタンと倒れる音がする。 ため息が漏れる…本当にお子様相手って空しい……かといって積極的なナルトなんか想像がつかねぇよなー…不毛だ…再びため息を漏らした。 ◇◆◇ 結局ターゲットの腹黒い宴会が終わったのは、明け方近くだった。 前のターゲットと同じく、幻術をやたらめったらかけて、細切れにした。 や、オレはちょこっとしかしてねぇって。 なぜだか、気合の入ったナルトがオレの銀線に上乗せしてきた。 お子様の気持ちはわからねー、キスされた腹いせか? ま、それはおいおい聞いていく。 現在、睡眠欲マックス。 行きと同じく、全力疾走させられ、火影邸なんかを経由させられ、やっと自分の部屋に到達した所。 じじぃへの報告ついでに、ニッコリ笑って今夜の仕事は無くした。 机の上には、昨日渡された交換日記。 任務先に持っていたらしいそれは、交代でオレが寝ている間に書いたらしい。 さすがイルカ先生の弟子というべきか?律儀だ。 しかし、オレはそれを見る元気も無く、布団に倒れた。 起きたら交換日記を書いて、今後の対策を練ろうと考えた事だけ覚えている。 ○月×◇日 晴れ 任務先の屋根裏で 信じらんねぇっ!任務先の屋根裏だぞっ! オレのミスがあったのは確かだけど、悪いって思っているけど、何でキスなんだ? ほっぺだって立派なキスだろ? つか、まだ交換日記書いている最中にキスってだめだろ? どうやって交換日記からキスに移行するかは知らねぇけど…でもだめだろっ! まだ手もつないで歩いてないじゃないかっ! お子様には分からねぇって、お前だってオレと同い年だっ! もう少し年齢に見合った行動しろっ! ところで、一番目のターゲットにした幻術の仕方教えろ。 どうやって時限にしてるんだ? ナルト 現代の年齢に見合った行動をしてやるっ!
闇と碧のギリギリ据え膳シリーズという、素敵ネーミングをくれたまつながさん、これでどでしょか? あまりにシカマルが可哀想だったんで、キスぐらいはさせて?あげました。あはは…。 ほんに素敵絵の御礼がこれでいいのかっ!状態ですが、お馬鹿でへっぽこが取り得?なんで許して下さい。 どか楽しんでもらえる事を祈って 未読猫【05.07.26】 えっへっへっへ…挿絵もろちゃったVv ちぅ〜ですよぉ〜ちぅ〜Vv可愛いよねぇ〜ナルちゃん。 可哀想だよねぇ…据え膳(゚゚*)ぐふふ。 なんか、一生据え膳させたいわVvなんつー野望を持ってしまった素敵挿絵に乾杯! ありがとう〜まつながさぁんVv素敵挿絵がもらえるなら、私なんでも書きますっ!<おいおい (^・^)〜V 未読猫【05.08.05】