「はー・・・・・・好きなんだよなー。」 「誰を?」 「ナルト・・・・・。」   空を眺めながら愛しい人を想う。 あまりに考え込みすぎていた。 側に誰かが居るのも気付かなかった。   誰と聞かれて、躊躇いもなく答える。   誰?と言ったのは・・・・慌てて飛び起きた。 目の前に居たのは、真っ赤になって硬直している子供。 自分の好きだと言った相手。   目があった。 その瞬間背を向けられ、駆けていく。   追いかけようと思った時には、もうナルトはどこにも居なかった。   思いもよらず告白なんかしたらしい。 結果は明日分かるだろう。 今までと変わらなかったら、友達のまま。 無視されたら嫌われたと思えばいい。   たぶんどっちかだろう。 オレだって、きしょいと思う。 男が男を好きになってどうする? 男が男を可愛いと思ったなんて・・・・・まじきしょい。   でも、無視されたら・・・・・・へこむなー。     【どちらも片想い】     「・・はよ。」   いつものアカデミーの教室。 オレは、いつもの通りに後方の指定席に座る。 もう結構みんな来ていて、わいわい騒いでいる。 その中にナルトが居ない。 普段だったらもう来ている時間。 どうしたと思いながら寝る準備をする。 準備なんて、大した事はない。ただ腕の中に顔を埋めるだけ。   聞きなれた慌しい足音が響く。 寝坊か?   「お・・・おはようだってばっ!!」   勢い良く開かれる扉。 息を切らしながら、いつもの指定席へナルトの足音が向かっていく。 オレの斜め後ろの席。 別にどこに座ってもいいはずなのに、今日も変わらず自分の斜め後ろに座る。 とりあえず嫌われなかったってことか?   「ナルトー、遅いじゃねぇか。」   キバが楽しそうにナルトに話しかける。   「うっ・・・・・寝坊したってばよ。」 「遅刻しなくてよかったね。」   チョージが朝から何か口に詰め込みながら話す。   「へへっ、頑張って走ってきたってばっ。」   楽しそうに話している。 とりあえず、オレは寝たふり。 とてもじゃないが、話す勇気なんかカケラもねー。   イルカ先生が入ってきた。 とりあえず寝たまま。 寝ていれば少しは気が楽・・・・・・・・・寝れねー。 ちきしょう、いつもなら1分も必要としねーのに・・・・・勘弁してくれ。   「シカマルっ!」 「へー・・・・・・。」   イルカ先生の声が教室に響く。 諦めて立ち上がろうとしたら、背後で物凄い音があがる。 振り向いたらナルトが椅子から転がり落ちていた。 目があった。 思いっきり顔を背けられた。 ・・・・・・嫌われたって事か。   教室から笑い声があがる。 イルカ先生がナルトどうした?と走ってくる。   「だだだだだだ大丈夫だってば。  ちょ・・ちょっと消しゴムを拾おうとしたら、かかか体ごと落ちちゃったって・・・・ば・・・。」   ほらもう消しゴムは拾ったと、手にある物を見つける。 イルカ先生が、物を拾うときぐらいは静かにしろよと言うと、再び教室に笑い声があがった。   居ずれー。   「あー、イルカ先生?何っすか?」   再び背後からガタガタ音がしたが、気にせず話をする。 なにせオレは寝てーはずなんだ。寝かせろ。   「あぁ、シカマルすまなかったな。  で、お前はオレの話を聞いていたか?」 「・・・・・全然。」 「オレは起きろと言ったんだ。」   イルカ先生が仁王立ちしていた。 そして再び教室に笑い声があがる。   「最初っから寝ているなっ!」   それは途中からなら寝ていいって事だよな?   目を開けていれば退屈な授業。 目を閉じるとさっきの困った顔のナルト。そして背けられる顔。   寝ようとする寝ようとする・・・・・・ナルトの顔が背けられる。   一日中、机に顔を埋めていた。 最後の鐘が鳴る。 立ち上がった。   「シカマルー、遊ぼうぜ。」   キバが楽しそうに話しかけてくる。 オレはいつもの通り、メンドくせーと一言。 それでもいつもなら、遊んでいた。 今日は足が既に扉に向かっている。 振り返りもせずに手を振った。   へこみ状態から抜けねーとどうしようもなんねー。 今、ナルトを見る勇気が無い。      ・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・   最後の鐘が鳴る。 毎日、ただひたすら机に顔を埋めて、帰ってくだけを繰り返す。 キバには付き合いが悪ぃと文句を言われた。 チョージは心配そうな顔で菓子を一袋くれた。 ナルトは・・・・・・遠くからしか見ていない。 あれから一言も話していない。   アカデミーに行くのがつれー。   いっその事行くのを止めようとも思ったが、それでもナルトの側に居たかった。     今日もオレの斜め後ろに座っている。 それだけが変わらない。     ナルトに告っちまった場所で空を見上げる。   「つれーなー・・・・・・。」   今日は誰もオレに問いかけない。 だいたいここにナルトが居た事が自体が不思議だった。 ここは、オレが一人で空と雲を眺める場所。 誰にも言った事はない。 めったに人が来ない静かな一人の場・・・・・・・ドタドタと派手な足音があがる。 聞きなれた足音。 突然タックルされた。 地面にしたたか頭を打ち付ける。   「っっつ〜〜!!」   タックルかけたヤツは、オレにしがみ付いていた。 恐々話しかけてみる。   「・・・ナルト?」   返事は返ってこない。 ナルトはオレの上着をきつく握り締めている。 後頭部の痛みが別世界のようで、ナルトの重みだけが感じられた。   「ナルト?」 「・・・・・・・・・・・・・・。」   ナルトの拳が白くなっている。   「おいっ!ってか、お前何でここに居んだよっ!」 「・・・・・・カ・・・・・・ど・・・・・・・・な・・・・・・。」   声が小さくて聞き取れない。   「聞こえねーよ。」   無理やり顔をあげさせたら、目の前に涙をぼたぼた零しているナルトの顔があった。   「どどどどどどうしたっ?!」   再び抱きつかれた。 何を言っていいか分からない。 ただ、ナルトが落ち着くまでと、ナルトの背中を撫でた。                   「う・・・・ごめん。」   ぐしょぐしょになった俺の上着をすまなさそうに見る。   「あー、別にいいって。  で、どうした?  オレの側になんか居たくねーだろ?」   ナルトの顔を見ずに言う。   「ち・・・・違うっ!」   オレは理解できずに再びナルトを見る。   「シカマルの・・・・・言葉嬉しかった・・・・・ってば。」 「はぁ〜?」   予想外の言葉が聞こえた気がする。 オレの頭がイカレタらしい。   「シカマル聞いてるっ?!」   目の前のナルトが必死にオレの腕を掴む。 そこがやけに熱い。 現実味の無い世界が目の前にある。   突然ナルトがオレをぽかぽか殴り始めた。   「い・・・た・・・・・つか、痛ぇっ!何だよお前っ!」 「オレはシカマルが好きなんだってばっ!!!」   復帰したと思ったオレの頭は再びフリーズした。   「・・・・・シカマルは?  オレが聞いた好きっていうのは・・・・・やっぱり違う・・・・?」   ナルトの目に再び涙が溢れてくる。   「ちちち違わねーっ!  つか、何で?きしょくねー?  じゃねぇっ!意味ちゃんと分かって言ってんのか?」   ぶんぶん頭を横に振っていたと思ったら、突然縦に頭が振られる。 なんか、都合よく解釈しそうになるだろっ。   もう良く分からねー。 ただ、目の前でオレにしがみ付いているナルトがすげ〜可愛くて。     気付いたら頬にキスをしていた。 逃げられないよう抱きしめていた。     「全然分かんねーよ、お前。  オレの側に居たら、こうなんだぞ。」   腕の中でナルトが小さく頷く。   「だったら、何で逃げんだよ。  てか、オレから顔背けたじゃねーかっ。」 「シ・・・シカマルだってっ、全然顔合わせてくれなかったっ!  ずっと寝てて・・・・・直ぐに帰っちゃった・・・・毎日ずっと見てたのに・・・・。」   ずっと見てた?   「好きだって・・・・・聞き違いかもしれないし・・・・・シカマル・・・・そんな事言うようなヤツじゃないし・・・・・・・ずっと見てた・・・・から・・・・夢見たと思った・・・・・・だから辛くて・・・・・逃げて・・・・・・・それから・・・・シカマルの声聞こえる度にどうしていいか分からなくて・・・・・・・どうしていいか分からなくて・・・・うぇっ・・・・・・・。」   呆然とナルトの声を聞いていた。 何だ・・・オレら両想いってやつか?   ナルトの顔を見る。 涙がぼたぼた落ちている。 上着で顔をごしごし拭う。   「オレはナルトの事が好きだ。  ちゃんと聞こえたか?」   目が見開かれる。 ぶんぶん凄い勢いで頷かれた。 すげぇ〜可愛い。 ナルトの顔を自分に向けようと・・・・・目の前に二組の足・・・・・げっ?!!   「ね、僕の言ったとおりだったでしょ?」 「よーナルトよかったなぁ。」   目の前にチョージとキバが居た。 オレはナルトを抱きしめている状態で・・・・・っっっつ?!!   「お・・・・お・・・お・・・なななな。」 「ナルトにこの場所教えたの僕だもん。」   しれっとチョージが答える。 何で話が通じてんだよっ! つか、何でお前ここ知ってんだよっ!   「お前ら分かりやすすぎー。  チョージに聞いて、オレは疲れたぞ。」   チョージがニッコリ笑っている。 キバが呆れた顔をしている。   「覗きかよっ!」 「くすくす、シカマル顔が真っ赤ー。」 「手伝ったオレらとしては、成り行きを確認するのは当たり前だよなぁ〜。」   くそっ!頭が痛ぇー。 一番知られたくねーやつらに、しかもしっかり貸しを作られてるしー。   「ナルト・・・相談するなら相手を選べって。」   ぶんぶん横に振られる首。 何だ・・・・ってことは、こいつらが勝手に首つっこんできたのかよっ!   「シカマル、最近ナルトの事ほとんど見てなかったでしょ?  ナルト、すっごい元気なかったんだから。  友達としては心配するのが当たり前。」 「そうそう、誰が見たって、お前らが変だったの分かるって。」   や、心配してくれてどーも・・・・か? すげぇ〜嬉しい結果にもなったから、礼も言わなくちゃいけないだろう・・・・・・って事がわかってっけどなっ!   「ま、オレらの事は気にすんな。  続きやって構わないぜ。」   キバがいけしゃぁしゃぁと言う。 横でチョージがうんうんと頷いている。   「っっつ!!出来るかぼけ〜〜〜!!」   ナルトに二人を攻撃だと笑いながら指示する。 おうっ!と楽しそうに笑ってナルトが走っていく。   久しぶりにに笑える。 久しぶりに仲間と遊ぶ。 隣には、恋人になったらしい仲間が居る。   嘘みてー。              

【End】    




 


    マイブーム(色々ありすぎる気もするがf(^-^;)) ノマシカ×ノマナル。 どうもシカナルと書いても、スレが無条件で付いている気がするんで、ノマ付けてみました。   すっげぇ〜可愛いナルトが書きたいっ! ごくごく普通の面倒臭がりなシカマルが書きたいっ!   ふふふふふ、思った以上に楽しい。 そして、恋人になる一瞬ってすげぇ〜好きなんすσ(^_^* ノマな二人でもっと書きたいと思ったッス(^-^)v   えと、こんなんですけど・・・つか素敵絵に対して・・・・ほんにこんなんでしかお礼が出来ない自分ってどうよ? つか、すみません。未読猫の精一杯の感謝を込めて。 ニクス様ありがとうございました。   【04.09.26】     みみみ見られましたかっ?! ささっ!皆さん一緒に叫びましょう!可愛いぞぉ〜みんなぁぁっ!!大好きだぁぁぁぁっ!!   ニクス様のイラスト頂いちゃいましたvv(相変わらず我侭な未読猫である。) 海老で鯛を釣ったなんてもんじゃない。くぅ〜〜なんていい雰囲気の素敵絵っ(轟沈) このお話を書いている間中、自分はずっとニクス様のナルトを思い浮かべて書いていました。 思い浮かべた絵の半分も可愛らしさが表現出来てないひ(;_;)くぅ〜<頑張れよ。   未読猫、心からの御礼をニクス様へ。   もし、ニクス様のサイトに行かれてない方はぜひっ! 激しく可愛いナルトと、シカマルらしいシカマルに出会えます。     


【04.11.02】