【報復は徹底的に2】     湿った音が部屋の中に響いている。 明りは窓から微かに入る月明かり。 薄いカーテン越しにほんのりと届いていた。   そんな僅かな光の中でも、浮き上がる白い肢体。 未だ大人になれない小さな躯。 それなのに、口元から淫らな音をたて、指を動めかす。     僅かな光が、その小さな躯を隠すように、無くなった。                           雰囲気ぶち壊しの騒々しい音と共に開かれる窓、そして常識なんかカケラも無い男がひょっこり顔を出す。   「やぁvもしかして邪魔だったかなー?」   シカマルは、ちらりと窓の方を一瞥するが、何事もなかったように作業を続行。 アスマは一瞬呆れたと表情にあらわすが、とりあえず目の前の楽しみを優先する。   飛び込んできた、非常識野郎ことカカシは、ちょっとその態度って何?といじけ状態。 最初に二人が何しているか知ってて乱入した自分は棚の上方に放り投げ。 そのうち、カカシの耳には、アスマが終った呻き声なんかが飛び込んできたりして、終ったんなら少しは構って欲しいのぉ〜って言うオーラなんか出してみる。   「悪ぃけどオレ、イルカ先生の所で続きやってくるから。」   唇を腕で一つ拭って、シカマルがアスマに伝える。   「なっ?!!」   過去の忌まわしい思い出をやっとこさ思い出すカカシ。硬直。   「いいだろ?」 「…毎度これじゃぁなぁ。ま、ほどほどにしてこいよ。」 「あ"っ?!!」   シカマルを信頼してんだか何だか、一応恋人同士じゃないのっ?!と心の中でつっこむカカシ。 言葉が続かない。 その間にもシカマルはさくさくと服を着て、髪を上げる。   「じゃぁ行ってくっから、その馬鹿繋ぎ止めておけ。」 「おう、後で感想聞かせろよ〜。」   シカマルは手をひらひら振って、アスマの家を出た。 アスマは、腕の中にカカシの首を封じ込め、キリキリと締め上げる。   「わっわっっ!アスマっ!…た……たんまっ!」 「あ"〜〜〜〜?」 「ごめんっ!!死ぬ!まじ死ぬっ!死ぬ〜〜〜〜!!」   今更謝っても、もう遅い。 てめぇのせいで、愛しい子をイルカに貸し出ししなくちゃならなくなったんだぞっ!とカカシを締め上げるアスマ。 夜は、まだこれから、その中で切れ切れの悲鳴が響いていた。   ・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・   「イルカ先生。」 「ん?シカマルどうした?もう夜遅いぞ。」   子供は寝る時間だと、熱血教師イルカ先生はのたまう。 その子供はさっきまで某アスマの某息子さんを咥えていましたとは言えない。   「すんません、でも親父がイルカ先生にお世話になったんだからって、これもってけって…。」   シカマルはメンド臭げに手に持った紙包みをイルカの目の前に掲げる。 そんな様子を不思議そうにイルカが見る。 卒業してから随分と経っていた。今の時期にどうしてと困惑する。   「今日おやじが先生を見かけたらしい。  イルカ先生残業だって?ものすごく疲れてるように見えたんだと。」   イルカがなるほどと納得する。 毎日残業続きの睡眠不足。顔に出始めたかと、げんなりする。 そして、シカマルの父親を思い出す。 その豪快な父親なら、思いついた時点で、時間関係無くこんな事を言い出しても不思議はない。   「これオレん家特性のお茶で、疲れが取れる。  オレが入れてやるから、台所貸りっぞ。」   イルカの返事も聞かずに、ずかずかとシカマルが入っていく。 先日一晩お泊りしたおかげで、間取りは頭に入っている。 さくさく台所に入って、湯を沸かし始めた。   「シシカマルっ。」 「あ、気にしねーでいいから。ちょっとしたコツってのがあってさ、親父がちゃんと入れて差し上げろだと。」   人様の家の茶箪笥を物色して、湯のみと急須を取り出す。   「イルカ先生は、ちゃぶ台ん所で座って待っててくれる?」   人の動揺を無視して、話をサクサク進めるシカマルにおされるようにイルカは大人しく頷き、台所を後にする。 シカマルは、イルカの気配が無くなった台所でニンマリ笑う。 奈良家秘伝のお茶…だけではなくシカマルの趣向が加わったお茶、普通のお茶っ葉に白い粉が混じっていた。           目をうっすら開ける。 目の前には天井、そして体にかかる重みを感じる。 不思議そうに、そっちを見ると今まで見た事も無い表情を浮かべたシカマルが居た。   「おはよう先生。」   シカマルが頬を染め、楽しそうに笑う。   「今…入れたばかりだから…安心して楽しんでいいぜ。」   目の前に居るシカマルは、服を何一つ着けておらず、そして自分の下半身から想像外の快楽を感じた。   「なななななっししししシカマルっ!」 「あー?」   慌てて起きようとイルカが体を動かすが、力が入らない。   「無理、疲れを取るお茶にオレ特性の薬を混ぜた。  あ、副作用はねぇから、後2時間ぐれーそんな感じってだけ。」 「シカマルっ!」   声は普段どおりに出ている、下半身もなぜだか使用可能状態になっている、なのに腕や足に一切力が入らない。 イルカは、ギリギリと歯軋りをした。   「一応裏世間で有名な氷姫がお相手してるんだから、歯軋りはねーんじゃねーの?」 「氷姫…?」 「あーイルカ先生は、さすがに知らねーか。  簡単に言えば大人の欲求不満処理用のおもちゃってやつ?  ま、慣れてっからイルカ先生も楽しんでくれると嬉しいんだけど?」   イルカからくる殺伐とした視線に困ったような表情を返す。   「慣れているだと?  お前はいつから、こんな事をしている?」 「8歳から。  あ、勘違いするなよ。今は好きなやつとしかやってねー。」   イルカが深々とため息をつく。   「お前のことだ、どうせメンドくせーとか言って、好き勝手させてたんだろ?  普通そういう時は、親に相談しろっ!」   一年見てきた生徒の性格はきっちり把握していた。 イルカは、未だ困ったような顔を向けてる子供に再びため息をつく。 親に言うのもメンドくせーと思ったであろう子供…卒業しても間違いなく自分が受け持った生徒…現在の自分の状況を忘れて、何かしてあげられないかと考える。   「あー先生余計な事考えると萎えるって、今現在ちゃんとした虫避けも居るしー?結構楽しんでいるから問題ねーって。  あの時言っただろ?アスマとの夜の生活につっこんできた馬鹿への報復だって。」   あの時確かにそう聞いたが、自分はアスマがシカマルを訓練する為に預かっていると聞いていた。 それを素直に信じた自分が馬鹿だったとアスマに怒りが募る。 シカマルの状況を知っていて、そんな生活をさせているとなると納得がいかない。   「虫避けはアスマ先生…なんだな?」   シカマルが少し照れたように頭をかきながら視線を逸らす。 その表情に呆気にとられる。 まさか、あの無気力一直線のシカマルがそんな顔をするとは思いも寄らなかった。 なるほど、楽しんでいるとは、そういう事かと納得する。   「で…今日は何でオレなんだ?」   まさか痴話喧嘩に巻き込まれたんじゃないだろうなと訝しげにシカマルを見る。   「理由は、先回と……同じ…な…はは…。」   言葉を続けるごとに険しくなるイルカの視線から逃げるように目を逸らす。   「…カカシさんか?」 「ははは…。」 「先回は、煩わしかったからだったな…今回は何をしてきたんだ?」 「……Hしてる最中に窓から乱入してきやがった。」   あまりに険しくなった視線に、続きをやって誤魔化そうと腰をあげたら、動くなとやたらめったら低い声で凄まれた。   「そこまでは分かった。  で、何でお前は今オレの上に居る?」 「………イルカ先生、カカシ先生の事どう思ってる?」   呆れたような視線がなぜ自分に注がれるのか分からずに、イルカは、しごく普通の真っ当な回答をする。   「腕が良く、いい先生だと聞いているが?」 「カカシ先生は誰が好きでしょう?」   シカマルの言葉に含まれる意味に気づいて、イルカが嘘だろう?と目を見開く。   「…お…れ?」   未だ半信半疑の言い方に、シカマルは一つ頷く。   「オレより問題ありそうな大人発見…。」 「お前と一緒にするなっ!  しっかし、あの人もオレも男だぞ…。」 「その上間抜けだ…イルカ先生、オレ達今どういう状態?」   シカマルが自分の下半身を指差し、ため息をつく。   「そそそそれはっお前が一服盛った結果だろうがっ!」 「や、そうだけど…そのケがなければ普通萎えねーか?」   未だシカマルの中で主張し続けるものに対しての素直な感想。   「おお前っ!性格すこぶる悪すぎだっ!…さっきからユルユル刺激を与え続けてんのは誰だっ!  男ってのは、刺激が与えられれば簡単に反応する生き物なんだっ!」   目が覚めて驚いた時点で萎える予定の下半身だったが、シカマルの下半身が巧みに力を抜き入れして刺激を与えられ続けていた。   「あのさーイルカ先生、普通そのケがかけらもなかったら、刺激を与えられても気色が悪くて萎えるって。」   楽しそうに言われる言葉にイルカがしかめっ面を向ける。   「元生徒を気色悪いと思えるか…。」   ぼそっと呟かれた言葉にシカマルが笑う。   「すげー殺し文句。  アスマを知らなかったら、イルカ先生に惚れてたかもしれねー。」   シカマルの言葉にイルカが真っ赤になって、何言ってんだと慌てる。   「オレとしては、そんなイルカ先生がナルトとくっつくと嬉しいんだけどなー。」 「…ナルト?」   何でナルトの名前が出てくると不思議そうにシカマルを見る。   「あいつ、一人だろ?  オレもそんなんだったからさ…あいつにもいいヤツが側に居ればいいのにって思ってたんだ。  ナルトもイルカ先生に懐いているし、イルカ先生なら安心して任せられるんだけどな。」   シカマル的には、カカシ以外なら誰でも良かったという言葉も心の中で付け加わる。 そして考えるようなイルカにニンマリ笑った。   「ま、ということで、オレとしては続きやりてーから、犬に噛まれたと思って諦めような、イルカ・先・生。」 「あ諦められるかっ!アスマ先生が好きなんだろっ!帰ってアスマ先生とやれっ!」   すっかり、18禁な世界を肯定するような台詞。 シカマルがクスクス笑う。   「別に罪悪感なんて必要ねーって。アスマにはイルカ先生とやってくるって言ってきたしー…問題無ぇだろ?」   口の端をあげたシカマルが、イルカが何かを言い出す前に腰を動かし始める。 今までユルユルと締め上げられ、生殺し状態だったイルカの雄は急激な刺激に敏感に反応する。 シカマルをおし止めたいが、未だ手足が自由に動かない。 問題大有りだぁぁっぁっと叫びたいが、とんでもない事になりそうで、奥歯をかみ締め我慢した。   「くっ…。」   そんなイルカを少し潤んだ目で眺めながら、イルカの掌を取る。   「ん………借り…る……はぁ……から。」   イルカの掌を自分のモノにあてがう。 未だ薬が効いて動かない掌をシカマルの掌が動かす。   「んぁっ……んんっ………。」   イルカは、普段とかけ離れた目の前の子供を呆然と見上げた。 諦めたようなため息が漏れた。 まさか、生徒の下半身の世話まで教師の役目だとは思わなかったと、心の中でぶつぶつ呟く。 そして、未だうまく動かない掌に力を入れた。     ・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・     「これ以上オレを巻き込むな。」   イルカは、シカマルの頭を景気良く叩く。 痛ぇと言いながらもシカマルは楽しそうにイルカを見上げる。   「昨日言ってた事、考慮してくれんなら考えてやる。」   目の前の子供は、ニンマリ笑うしたたか者。 情事の後の朝、色気のカケラもここには存在しない。 玄関に居るのは、先生と元生徒だった。 そこに乱入者約2名。   「いいいいイルカ先生っ!…あぁぁぁぁぁっぁっ!!!」   イルカの首筋を指差し固まる片目の上忍。   「世話になったな。」   しれっとした物言いで、しっかりシカマルを腕の中に抱える咥え煙草の上忍。 イルカは深々とため息をつく。   「アスマ先生…二人をちゃんと抑えていて欲しいんですが…。」 「あー?オレが?シカマルとこの馬鹿をか?…無理だろ?」   あっさり、さっぱり切り捨てる。 イルカの眉間に皺が刻まれた。   「だからと言って、毎回オレが巻き込まれるのは迷惑です。」 「だから、昨日言ってた事を実行すれば巻き込まねーって。」   イルカが怒ったまま、僅かに困ったような表情を浮かべる。   「…オレは出勤しますから。  シカマル、お前は二度とうちの敷居を跨げないと思っておけ。  アスマ先生、この固まっている人をどっかに連れて行って下さい。」 「分かった分かった。  あのなイルカ、今日は額当てを首につけている方がいいぞ。」   そう言ってアスマは、イルカの額当てを首に付け直してやる。 そして、シカマルとカカシを抱えたアスマは、頑張れよーと一言残して目の前から消えた。           イルカが首筋に残っていた紅い跡にやっと気づいた頃、カカシを道路に捨ててきたアスマとシカマルは、アスマの家に戻っていた。   「あまりオレにやきもきさせるなよな。」   アスマがシカマルの唇を軽く啄ばむ。   「あんな色気のねーHなんか、やきもきするレベルじゃねーって。」   したたかな子供は、嬉しそうにアスマの首に腕をまわして唇を重ねた。     【End】  




 


  えーーーー一応…ってか、まぁ〜…たぶん…アスシカお久しぶりでっすm(__;)m 一応最初の最初は、アスシカには間違いないっ!<おい   そして…えーーーとまぁ…イルカ先生とやってますけど…f('';) イルシカはさすがに…考えてないです…書いちゃったけど。 報復ですから報復(;・o・)b こんな色気のねーHも書いていて悲しいなー……さすがイルカ先生だよ。参りましたm(__;)m 希望としては、一生涯片思いのカカシ&イルナル?&アスシカ辺りが幸せだなぁ〜とf('';) イルナルは…書かない…たぶん。 でもイルカ先生って、とっても書きやすいなー…非常に楽しかったでっす。   相変わらず可哀想なアスマでしたーm(__;)m