【仲間】         「子供を全員もらおうか。」   突然現れた、10人にもなる忍びが自分達を取り囲んでいた。 今日は、3班合同の大量遺失物の探索日。 それぞれ子供達がこれから探しに行こうとした矢先の出来事。   しかし今、担当上忍達は、己の子供達を後ろにかばいクナイを構えていた。   「ふふふ・・・たった三人でどうするつもりだ?そんな足手まとい達を守れるとでも?」 「それはどうかしら?」   紅が艶やかに笑って切りおえた印を開放する。 子供達のまわりには奇麗に結界がはられた。   「これなら、子供達に被害はないわ。」 「では、お前たちをさっさと片付け、後でゆっくり結界を壊すとするだけだ。」   それが合図だったかのように、敵が動き始める。 担当上忍達は背後に結界を置き、目の前の敵を倒す事に専念した。   3対10。決して相手が突出していたわけではない。しかし、相手のリーダーによる的確な指示と動きによって普通の敵がかなり手ごわい敵になっていた。 隙をついて付けられる傷・・・・・流れる血・・・・このままでは全員が倒れるのも時間の問題だった。     『・・・・限界だな。』 『メンドくせー。で、どうする?』 『終らせようぜ。こんなだるいお守りから離れられるなら助かる。』     尋常じゃない殺気がナルトから広がる。一切の表情を顔から消したナルトは、結界を一撫でで消滅させた。   「ナルト・・・・・?」   サクラがナルトの方に腕を伸ばしかけようとするが、ナルトの冷ややかな一瞥で手が硬直する。   「邪魔するな。」 「強い結界を張るからお前ら大人しくしてろよ。身動きするな。」   シカマルが印を切り終り再び結界が現れる。 そして、二人からの殺気は、敵味方をあわせた大人達までもが行動を奪われる。   誰もが二人を見ていた。ただの下忍のはずだった子供。 しかし、誰も見た事がない子供が二人立っていた。   「今まで通りだっ!子供を適当にあしらってつぶせっ!」   敵のリーダがいちはやく復帰して、攻撃を促す。   「あんた達、一応上忍なんだろ?少しは頭を使えよ。」   シカマルがぼやくように言いながら素早く術を発動させた。敵のリーダが口をぱくぱく開いてはいるものの声が一つも出なくなっていた。   そして、ナルトは、無表情のまま上忍達をいちべつし、向かってくる敵を物に変えていく。続いてシカマルも参戦する。 二人が動きをとめた後には10の物体が地面に転がっていた。 未だ二人は返り血一つ付けずに立っている。   ナルトが何かを投げると、全ての死体が青白い炎に包まれる。 シカマルが複雑な印を切り終ると子供の周りにあった結界はなくなっていた。   子供達は誰も動かない。   上忍達の二人を見る目は、不信と恐怖が織混ざっていた。   「シカマルお前は任務でここに居るのか?」   アスマが紫煙と共にため息のような言葉を吐く。   「あぁ、メンドくせー子守役だ。」   そうかとアスマは下を向いたまま小さく呟く。   「シカマル君、君の名前は?」   紅は先程から片時も二人から目を離さなかった。自分の受け持ちじゃないという事もあり、アスマやカカシ以上に不信に囚われていた。 そんな紅を冷ややかな目線でちらりと見て、それでも律義にシカマルが答える。   「鹿夜。」   三人の上忍の目が見開かれる。 噂は上忍達の所にまで流れていた。   暗部の中の頂点にいる二人。   任務の成功率100%。   夜そのもののに魅入られ、闇夜は全て二人の味方。   漆黒を真っ赤に染め上げていくほどの経歴と技量。   その片割れの名が鹿夜だった。     「ナルト・・・・お前は?」   カカシが睨みつけながら言葉をはく。   「狐夜。」   冷ややかな視線と共に想像通りの鹿夜の片割れの名が紡ぎだされる。   「そうか狐夜・・・・・・すっかりだまされたな・・・・・・何で性格まで誤魔化す必要があった?」   カカシが手で顔を覆い、喪失感に呻く。   「あんた達大人から身を守る為。里の連中が何してきたか知らないとは言わせない。  それともここで身の上話でもしてやろうか。何も知らない子供達用に。」   ナルトがより一層冷ややかに、笑っていない目で楽しそうに話す。上忍達は何も言う事が出来ない。ナルトに関して知っている事が口を開かせなかった。   「ナルトっ!」   今まで黙って眺めていたシカマルが突然声を荒げる。ナルトを案じるように顔が歪む。   「シカ、オレは平気だぜ。  それに、いくら禁止令が出ていようと、本人のオレが言うんだから無効だしな。」   シカマルはため息一つついて傍観者に徹する事にした。   そして、ナルトの昔話が始まる。 九尾の事、器の事、里人から身を守る為に自分がしてきた事、そして里人から受けた数々の仕打ち。ナルトは楽しそうに微笑みを浮かべて子供達に語る。何も知らされなかった子供達は、初めて知った事実に変貌した二人を見た時以上の衝撃で顔を歪ませる。 そんな子供達に向かって、ナルトは、より一層冷ややかな目線を送り、バラしたから、もう二度とこの任務を受ける事はないと最後の言葉を送る。       ナルトが、行こうとシカマルを促す。 二人は全てに背を向けて歩き始めた。   誰も動かなかった。動けなかったその中で唯一進み出た子供がいた。   「ナルトくん!シカマルくん!」 「?!」 「あー?」   ナルトは驚いて、シカマルは変わらない様子で振り向いた。   「どこに行くの?」 「どこってなぁ?」 「あぁ・・・・どっか?」   何でそんな事を聞かれるのかが分からないナルト。 探るようにヒナタを見返すシカマル。   「何で二人が行っちゃうの?どうしてっ?!」 「お互い居ずらいのは嫌だろ?」 「あぁ、メンドくせー。」   それでもヒナタは必死な様子を変えずに言葉を続ける。   「違うっ!だめっ!」 「ヒナタ・・・?」 「・・・・・・・・・。」   ヒナタは混乱の中で一生懸命言葉を探す。   「だって、任務だったんだよね?任務に騙すも騙さないもないよ。当たり前の事だよっ!  それに、誤魔化してたんじゃないっ!  命に関るのなら、誰だってそうするよね?それなら、私達が怒らなくちゃいけないのは、里であって、ナルト君達じゃないっ!!」   真っ赤になって、いつも荒げる事のない口調を一生懸命あげる。 そして、ヒナタは二人を見つめ続ける。まるで目を離したら、どこかに行ってしまうんじゃないかと思いこんでいるように、片時も外さない。   ナルトは、ヒナタが話し始めてから、ただただ目を見開いていた。言葉は聞こえていたが、理解しているか分からない。 そんなナルトを横目で見ながら、シカマルがため息をつく。   「ヒナタ・・・お前の考えはいかしてるけどな・・・・少数派だ。」   シカマルが周りを見渡して言う。 しかし、ヒナタは首をふり、違うと言う。   「短時間にいっぱい詰め込みすぎだよ。みんな、まだ混乱しているんだよ。  私達に少し時間を下さい。だって、私達仲間でしょ?」 「・・・それはどうかな。」   シカマルから冷たい目線が返ってくる。   「シカマル君、無条件で私達と線を引いている。それじゃぁシカマル君だって里人と変わらないっ!」   今だに目を離さずヒナタが真摯に訴える。   「・・・・シカ。」   ナルトが困惑している顔をあげる。シカマルはその顔を見て、一瞬考えるような顔になる。   「しゃぁねぇなぁ。じゃぁ、俺達を見つけな。一ヶ月時間をやる。  お前らが見つけられるレベルで隠れてやるよ。・・・ナルト。」   シカマルがナルトに目くばせをする。   「先生・・・・あんた達には忘れてもらう。」   未だ立ち尽くしていた担当上忍達の目の前でナルトは印を切り終わり、術が発動する。 上忍三人が、人形のようにぱたぱたと崩れ落ちた。   「何?」 「記憶を消しただけだ。」   ナルトはヒナタを見もせずに言う。   「ヒナタ・・・お前なら先生達を頼らなくてもどうにかするだろ?  ま、楽しみに待っているぜ。たとえお前だけでもな。」   そう言って、二人は何一つ痕跡を残さず掻き消えた。 今まで押さえていた涙がこぼれる。それでもヒナタの目は閉じられる事なく、二人が居た場所を強い眼差しで見つめ続けていた。       「シノくん・・・シノくんならどうする?何からする?」 「オレが逃げるとは思わないのだな?」 「だって、シノくんはこの中で一番公平に物事を見れる人・・・・なら、逃げるとは思わない。」   今までのおどおどしたいた雰囲気を一掃してヒナタは、考え、行動していた。 あの二人を見つける為、どんな事をしても見つけ出す。その為には何でも使うとヒナタは、そう決心していた。    「まず先に振り分ける事だな。それから逃げないやつをフルに利用しろ。」 「分かったわ。」   ヒナタが未だどうしていいかわからず立ちすくんでいるみんなを見渡す。   「もう全部聞ける事は聞いたわ。みんなはどうするの?」   ヒナタの強い視線を受け全員が動きはじめた。   「ぼくは逃げない。」   チョージが真っ先ににっこり笑う。   「当然じゃないっ!猪鹿蝶トリオを脱会なんて許さないわよっ!」   イノが雄々しく拳を握る。   「しゃーんなろっ!水臭いわよっ!絶対見つけるわっ!」   同じくサクラが拳を握って笑う。   「またあいつらと悪戯してーよな。」   ニカッとキバが笑う。   「ったく、あのウスラトンカチがっ・・・・。」   サスケが相変わらずの仏頂面で言う。 ナルトくん達見てるよね?みんな君達の仲間だよ。だから私達から離れないでとナルト達が消えた場所をヒナタは少し見つめながら思う。 今まで以上に決意を表情に上らせて、ヒナタは顔をあげた。   「シノくん、2つに分かれるのはどうかな?」 「どのようにだ?」 「少しでも腕をあげる者とトラップを研究する者。」   シノは少し考えてから口を開いた。   「先に全員で火影様に会おう。その方が的確な術を教えてもらえるだろう。  断られた場合には、下見になる。」   言外に、忍び込む事も考えろとシノは言っている。にっこりヒナタが笑った。   「みんな!火影様の所へ。」 「「「「「「おうっ!」」」」」」       「火影様、色々なトラップや、術を2週間で教えて欲しいのです。よろしいですよね?」   自然とヒナタがリーダーとなって動いていた。言葉や話し方をいのやサクラからレクチャーしてもらったヒナタはおじけづく自分を叱咤しながら、堂々と火影の前に立って話す。   火影の目の前には決意を明確にあらわした7人の未だ子供の下忍達。 適当にあしらってもいい相手だったが、たぶんあの子供らの為に動いているのだろうと推測する。 火影は目の前の子供達には詳しい事を何も聞かず、にっこり笑って、厳しい2週間になるぞと言った。       シノ、サクラ、チョージ、イノは、火影と一緒に、ありとあらゆるトラップを学んだ。同時にナルトとシカマルの性格について詳しく尋ねていた。   「あの二人はお主達の方が詳しく知っておるであろう?」   不思議そうな、それでも面白そうな顔で火影が聞き返してくる。   「いいえ、表の顔じゃありません。本当の性格を教えて下さい。じゃないと、あの二人用のトラップが作れないっ!」   目の前に居るのは里のトップの火影。そんな事は今自分達がやらなければならない事には些細な事だと態度にしっかり出ているイノ。握り拳を固く握り締め、火影にせまった。 しかし、そんな子供達の様子も微笑ましいとしか火影の目には写らないようで、楽しそうに火影は答えた。   「シカマルは、この里一番の頭をもっておる。戦略部も形なしじゃよ。  面倒臭がりなのはお主達も知っておるな?あれは、自衛の一種。  自分の本当の姿を決して見せない。見せれば利用されるか、疎まれるかのどちらかだと、小さい頃から分かっていたのじゃろう。  そんな子供がナルトを見つけた。そして、あの子は、ずっとナルトを守って来たのだよ。あの頭と腕を総動員してな。」 「むぅ〜!!幼なじみのくせして水臭いわっシカマルっ!!」   横でチョージが手に何ももたない状態で頷く。 ここで学んでいる間、チョージは食事の時間以外まったく食べなくなった。あの二人を失う事が、食べれない事より数億倍恐かったから。   「ナルトは?」   シノが話を促す。   「あの子がどのような状態だったかは聞いておるな?  その為に誰も信用しない。たった一人で生抜いて来たのじゃ。シカマルに出会うまではな。」   火影がいったん話しを切って、ため息を一つつく。   「里の者に殺されぬよう、わしが持ちうる全ての技と知識をあやつに伝授した。  あやつには才能があった・・・・・4才からの暗部入隊。そして、その結果全ての感情をなくしてしまった。」 「でも・・・・でも・・・・・ナルトは楽しそうだったわ。  あれは全て演技だったの?」   それでは、納得出来ないとサクラが不思議そうに聞く。   「お前たちに会う、2年前にナルトはシカマルと出会った。  あやつの頭は既にナルトがどういう存在だか知っておったよ。  詳しくはわしも知らなんだが、それからナルトは感情を少しずつ持つようになり、シカマルはナルトの為に腕を磨いた。」   火影は一息ついて、話しを続ける。   「シカマルと出会って数ヶ月経ったと思われる頃・・・・わしは初めてあやつの笑顔を見た。  それから、毎日楽しそうに動物や、木々の話しをわしにしてくれるようになった。  大人達からの、大人達に言うがままの子供達からの、蔑視は変わらなかったが、それ以上にシカマルがナルトを癒していてくれたようだった。    そして、今あの二人は、この里で最高の暗部じゃ。」 「最高ですか・・・・・・。」   サクラが考え込むように下唇を噛む。   「どうした?」 「・・・・そんな二人にどうやってトラップを張っていいか・・・・難しいですね。  最初は一楽のラーメンとトラップを大量にばらまこうかと思ったんですけど・・。」   へへっとサクラが冗談ごとを言う。しかし、瞳は笑うどころか、深く考えていた。   「あやつらは、お主らでも分かるように隠れると言ったのじゃろ?」 「えぇ・・・・・。」 「安心しなさい。きっと見つかる。」   火影は不安げな子供を安心させるように微笑んだ。         ヒナタ、サスケ、キバは、火影推薦の暗部に寝る間もおしんで特訓を受けていた。 重点を置いたのは、幻術、気配の操作、そして素早さだった。 あの二人が上手くトラップにかかったとしても、捕まえられなくては、意味がない。 3人は寝る間もおしんで、訓練に明け暮れていた。そして、休憩の合間にトラップ担当のメンバーから二人の情報を色々聞いた。   その訓練の最後の日、ヒナタはシノに会った。   「シノ君。たぶん間違いないと思うの。だから見学に来てくれる?」 「分かった。蟲を使おう。」   表情があまり変わらないシノが口の端をあげて言った。その顔には楽しみだと書いてある。   そして昼食後、トラップ担当メンバーのシノとチョージが広い格闘場の片隅で成り行きを身動き一つせずにじっと見つめていた。   「今日が最後の日だ。全員死ぬ気になってかかってきなさい。」   真っ白な面を被った暗部の一人が穏やかな口調で話しかけてくる。 目の前に居る三人の暗部は、信じられないぐらいの腕だった。確かに自分達は、ただの下忍で上忍でさえも天と地以上の差がある。しかし暗部というのが、ここまで自分達が届かない相手だとは思いも寄らなかった。 たった、2週間。それでも寝る間もおしんで訓練してきたのに、今だに触らせてももらえない。相手はかなり手加減をして、遠話は使わず、術も下忍レベルで相手をしてもらっているのにも関らずだ。   目の前の三人は、真っ黒に塗りつぶされた面を被った者をリーダとし、全ての指示が黒面から与えられ、動いていた。 真っ赤な面を被っている者は幻術を真っ白な面を被っている者は体術を主体に攻撃をしてきていた。 真っ黒な面の者の技量は分からない。未だ動かす事さえも出来ない。ただ、二人に指示する言葉の的確さ・・・・自分達の力量を完全に理解し、二人の部下の力量に合わせて指示をする・・・・・凄いという言葉しか出ない。しかも自分達の為になるような指示は、驚嘆に値するものだった。     そして、その頭脳にヒナタは疑問を持った。   ヒナタが床を蹴る。行き先は黒面。 それをサポートするように、サスケとキバが同時に幻術を放つ。   あと拳一つ分の所で真っ黒な面が掻き消えるが、ヒナタはにっこり笑う。 既に二人が放った幻術は無効化され、体術の応酬が始まっていた。 ヒナタはそれをサポートするように幻術を発動させる。   10分・・・・20分・・・・・どれぐらい時間が経っただろう。今まで身動きもせずにずっと見ていたチョージがにっこりと笑い、同じく横に坐っていたシノがチョージを見て頷いた。 シノが手を振った瞬間、今までどこに居たのか大量の蟲が黒面に襲いかかる。 そして、格闘場のあらゆる所から術が発動された。   「シカマルくんっ!」   ヒナタが黒面に向かって叫ぶ。さっき視界に入ったチョージの笑顔が、この黒面が誰だかを明確にあらわしていた。   「よぉ。」   黒面の男がヒナタに向かって手を上げ、そして次々と発動した術を解除していく。 しかし、下忍が出した術とは思えないものが二つ。 なぜか、白面と赤面の二人が身動きできずにサスケとキバに押え込まれている。 そして、かなり高度な術が部屋の外からいくつもかけられて黒面を襲った。 白面と赤面をフォローしたくても、あまりにも効果的な術が、次から次へと黒面を襲い阻まれていた。   その中でも黒面は蟲を避けながら、的確に術を無効化していく。   「ヒナタ、お前は何もしねーの。」 「私は、一番最初にやったわ。2週間ではあれが精一杯。それでも可能だとは思わなかった。」 「蟲か・・・・。」   かすりもしなかったヒナタの拳は、黒面に蟲を付ける事。事前にシノから渡されていた蟲を拳をふるう勢いで黒面につけていた。   「えぇ。」 「それに、おやじとじじぃまで使うとはな・・・・・分かった。」   白面と赤面を押さえつけている術は、影縛り。ここまで効果的に使えるのは、自分の父親以外はいない。 そして、さっきから自分に放たれている術。火影まで巻き込んでいるに違いない。 シカマルは面を取り、ニヤリと笑って、虚空に向かって叫んだ。   「ナルトっ後は頼んだ。オレが無理矢理参加させられることを考慮に入れとけ。」   シカマルは変化の術を解除し、ニンマリとヒナタに笑った。       「シカマル久しぶり。」   チョージが嬉しそうにシカマルに笑う。 お前ポテチはどうしたよというシカマルの言葉に、チョージは照れ臭そうに願掛けと一言呟いた。   「なぁ、オレって何か癖があるのか?」   楽しそうにシカマルがチョージに聞く。部屋の空気がかわったのはチョージが動いたからというのをシカマルは気づいていた。   「・・・・シカマルはいつも通りに指示していたでしょ。」   にっこりとチョージが笑う。   「そうか・・・・・ま、付き合いがなげーもんな。」   シカマルがチョージの肩を叩いて、いつも通り菓子を食っとけよとナルトはすきっ腹じゃみつけられねーと言った。   「シカマルくん・・・・。」 「お前なぁ。何でも利用するってどうよ?」   言葉の内容はともかく、楽しそうにシカマルはヒナタに言う。   「・・・・だって、私達だけじゃ・・・・・・敵いそうにないんだもの。  イノちゃんが、使えるものは全部使えって。」   ヒナタがにっこり笑う。   「・・・・・お前、強くなるのはいいけどよ。イノやサクラみたいにはなるなよ。」 「シ〜〜〜カ〜〜〜マ〜〜〜ル〜〜〜!!!」   シカマルの背後に話題の主が二人じと目でシカマルを見ていた。   「オレは嘘言ってねーって。」 「だいたい、あんたねぇっ!猪鹿蝶トリオを脱会出来るとでも思ってるのっ!」   ビシッと指をシカマルに差すイノ。   「まったくっ!水臭いわよっ!!」   腕を組んだままサクラがシカマルを睨みつける。 シカマルが意地悪げな顔つきで、それでも二人からそれなりに離れて言う。   「あ〜?イノは脅えてた。サクラはナルトを否定してただろ?あれはナルトじゃねーって。」   二人が一瞬口ごもるが、そんな事に負ける二人じゃない。 驚いただけよっ!!と叫んだのはイノ。 衝撃が強すぎたのよっ!と言い寄ったのはサクラ。   そんな二人を嬉しそうに見て、へいへいとシカマルは答えた。   「で、じじぃ・・・・・・年寄りの冷や水って言葉知ってっか?」 「言われなくても知っておる。しかし、生半可でない脅しにあってのぉ〜。」   火影がさりげなくイノとサクラの方をちらりと見る。   「・・・・・分かったけど・・・・何でおやじまで居る?」 「そりゃぁ〜火影様から緊急召集が届いたら来ざるえないだろ?」   オレは関係ねーとばかりに、しれっとした顔でシカマルの父親が言い放つ。 再びシカマルが火影を見ると、顔全体にわしでは無いっと書いてあった。   「で、シカマル。」   ニンマリとサクラが笑う。   「当然手伝ってくれるわよね。」   逃がすものかと胸ぐらをつかんでイノが笑う。   「よろしくシカマルくん。」   とどめがヒナタの笑顔だった。   「・・・・・ったく、ここで手伝わねーって言ったら、何されるか分からねーじゃねーか。」   相手はただの下忍3人。当然シカマルの腕であれば、今からでも抜け出すのは簡単だったが、シカマルはそうしなかった。ここに居る全員の2週間の努力と行動力を認めていたから。 あの直後にはなかった雰囲気を今全員が漂わせている。ただ一言仲間だと。   シカマルは破顔した。   「ヒナタ、お前がリーダーだろ?オレはどうすればいい?」   楽しそうにシカマルがヒナタを見上げる。   「ナルトくんはどうやったら捕まる?」   全員が期待いっぱいにシカマルを見つめる。 そんな様子も嬉しそうに見て、シカマルは口を開いた。   「あー?やっぱ一楽のラーメン?」 「おいっ!」   サスケが呆れたように言う。   「やっぱり?」   サクラがそうだよねぇと言う。   「まじかよっ。」   とは、キバ。 横でシノがため息をつき、チョージがあははと笑う。。 イノがヒナタに向かってヨシッとばかりにポーズを取り、ヒナタがにっこり微笑んだ。   「じゃぁ、ラーメン屋さんにバイト行こうか?」       ヒナタがバイトに行こうかと言ってから一週間後の今日。 里のあちこちで妙で、あやしくて、不穏な光景が見られた。 何が不穏かって、一杯のラーメンが地面に置かれている。 そのラーメンの上には人が入りそうなほどの大きな篭が斜めに一本の棒をつっかえ棒にし、覆われている。 その棒からこれでもかってぐらいオーソドックスに太い綱がつけられ、大抵背後の茂みの中まで続いていた。 そう、スズメを捕まえる手段?や、スズメじゃなくても何でもいいんですけど・・・・この餌は何? 一般世間の通行人はあまりのあやしさに、遠巻きになって通りすぎていった。   そして、一番目立たない死の森の手前には2つも篭が用意されていた。 餌はラーメンとシカマル。 シカマルは仏頂面と眉間の皺を大量に育てて、自分の父親の影縛りに囚われていた。   「どっちに引っかかるかなぁ?」 「シカマルくんだよね?」 「シカマル見捨てられて、ラーメンに引っかかったら笑えるよねぇ。」   ここの担当サクラ、ヒナタ、イノが楽しそうに会話していた。 その時突然空気が動いて、額に青筋の浮いているナルトがシカマルの近くに現れる。   「お前・・・・何してんだ?って言うより、オレを馬鹿にしてんのか?」   一応シカマルくんの方にきたねとヒナタが嬉しそうに囁く。 でも、来たというよりは怒ってるみたいよとはイノ。サクラは、今まで見た事もないナルトの表情を興味深げに観察中。   「ちょっとまて、これはオレの案じゃねーって。つかオレがこんな案を出すわけねーだろっ!」   同じくらい青筋を育てていたシカマルがぶつぶつ文句を言う。   「だったら、さっさとそこから出てきやがれっ!」 「だったら、後ろで手をふってやがる、オレのおやじをどうにかしろって!」   あの細い体でどこまで体力があるんだか、無尽蔵にあるかと思われるチャクラをきっちり使って影を抑えられている状態では、さすがのシカマルも動く所ではない。 ラーメンを仕掛けている最中だった。父親の気配があるのも知っていた。しかし、まさか自分が餌の対象になるとは、かけらも思っていなかった。周りの仲間オーラにすっかり騙されて、イノやサクラの性格を忘却していたというのが正解。まったく自分の迂闊さに腹が立つ。   「ナルトっ!シカマルとラーメンどっちがいい?」   サクラが景気良く乱入する。ナルト一歩後退。   「早くしないと、ラーメン伸びちゃうわよっ!」   イノ暗にラーメンを選べと言っている。ナルトもう一歩後退。 シカマルが絶対裏で賭けをやってると思いながら眉間の皺を増やした。   「ナルトくん捕まえたっ!」   ナルトはイノとサクラの勢いに気をとられていた。 まさか、今までとまったく変わらない態度で来るとは思わなかった・・・・建前上仲間と言っていた相手。 混乱していたせいでナルトは、ヒナタの気配があったのを忘れていた。 気づいた時には、ヒナタにがっちり背後を取られ、抱きしめられていた。   「シカマルくんお願いっ!」   既に父親の影縛りは解けていた。へぇへぇ人使いが荒いよなーとぶつぶつこぼしながらも、ナルトに影を伸ばし捉える。   「ナルトありがとうねっvvあたし賭けに勝ったっ!」   サクラが嬉しそうにナルトに抱きついて、儲けでラーメン奢るわと付け加える。   「・・・あ・・・あぁ。」 「くぅぅぅ!!このデコりんっ!受け取りなっ!」   イノが悔しそうに10両をサクラに叩きつけ、キッとナルトに目線を移し、指を突きつける。   「ナルトっ!あんたのラーメン好きはその程度だったのっ?!  あんた、一楽の無料クーポン券貰う資格ないわっ!」   イノが未だ捉えられたままのナルトの胸ぐらを掴んで、がんがん揺らす。   「イノ、それぐれーにしとかねーと、ナルト吐くぞ。」 「え?えぇっ?!」   慌ててイノがナルトを離す。既に影縛りは解除されていて、当然引力なんかが効果をあらわし、ナルトはしっかり地面に衝突した。   「わっ、何であんた頭をぶつけるのよっ!あんた里一番の暗部なんでしょっ!」   慌ててイノがナルトを抱える。それでもナルトは、ぼーーとしている。 打ち所が悪かったのっ?!とイノは、ぺちぺちと頬を叩く。   「ナルトっ!」 「・・・・・・・・何でだ?」 「あ・・・・しゃべれる、大丈夫?」   心配そうにイノとサクラとヒナタが覗きこむ。 後ろではナルトが今何を思っているか唯一分かっているシカマルが、一つため息をついた。   「何でだ?」   再びナルトが同じ言葉を言う。   「ナルトくん・・・何でって・・・・何が?」 「何がって・・・・・・・・・・・・何でオレなんかを気にするっ!何で引き止めるっ!!」   イノがヒナタを振り返る。サクラがヒナタを見つめる。二人とも嬉しそうに笑っていた。 ヒナタは今までイノが居たナルトの目の前に進み、ナルトににっこりと笑った。   「助けてくれてありがとう。  守ってくれてありがとう。  みんなナルトくんが大好きだよ。ずっと仲間で居たいと思っているよ。  だからみんな、ここに居る。」   ナルトは目を見開きヒナタの言葉に後ずさる。しかし、ヒナタはナルトの腕をしっかり掴んでいる。 そして、事前に火影から習った遠話で里中のラーメンを守っていた?みんなを呼び出していた。   「お前オレに稽古つけろ。」   と、サスケが少し頬を染めて相変わらずの仏頂面を見せた。   「なぁっ、シカマルが気合い入れた悪戯を計画してよ、またイルカ先生をはめに行こうぜっ!」   胸元で赤丸がワンと鳴いた。   「ナルト・・・・これ一緒に食べよう。」   チョージは、願掛けの間に溜めておいたお菓子の山をナルトの前にドサッと置く。   「もったいないから、オレが作ったラーメン食べてくれないか?」   一週間ヒナタとシノが一楽にて新たな修行を積んでいた。ラーメン作りのバイト。 他の面々は、料理のかけらもした事がないという体たらく。もう一人シカマルも出来たのだが、メンドくせーと一蹴された。   ナルトは、今までと変わらない様子の皆にどうしていいか分からず、呆然としていた。 それでも手渡されたラーメンと箸をもって、みんなの食べてみろという言葉に操られれるように箸を動かしている。 再びシカマルがため息をつく。しょうがねーなと呟いて、ナルトの前に進んだ。   「ナルト、目の前に居る全員がお前の仲間だ。  こいつらしつけーからよ、お前逃げれないぞ。」 「シカマル・・・・。」   すがるような瞳がシカマルに向けられる。   「お前は色々なものを見るようにして来ただろ?今度は人間を見るものいいんじゃねーの?  こいつら見てるだけでも飽きねーしよ。」   その言いかたって何?と全員が思ったけど、ナルトが分かったと、嬉しそうに笑った笑顔に全員が見惚れてしまった。               九尾の器が居た。その子供は蔑まれ呪いの対象だった。                               間違った事実を間違った現実を正そうと、大人ではない小さな子供達7人が里の英雄に手を広げた。                           【End】    




 


    ふふふ。バレネタだよっ( ̄ー ̄)v ただ、皆さんご希望の展開じゃないかな・・・・と・・・・・・f(^-^;)   お笑いとハッピーエンド推奨の自分の手は、このやうなものを造りあげました。 ヒナタちゃんラブってのもかなり入っていますf(^-^;) どないなもんでしょうか?気に入ってもらえると嬉しいです。   この、狐夜と鹿夜がカップルかどうかは、未だ不明ですがf(^-^;)<おい とりあえず、自分でもシカマルがナルトをどうやって見つけたか気になっているんで、それぐらいは書きたいなぁ〜と思っています。<天からの御啓示があればですが・・・<おいっ   しっかし、難産でした(;_;) ヒナタちゃんが話しはじめてからの場面を最初にばばっと書けたのに、その前がかけない。 つか、人数多すぎ。どうやって目の前に浮かんだ妄想を文字にしていいやら、かなり困った。 ううっ・・・・・その部分だけ・・・・書き直しするかもですm(__)m <情けないあっしに暖かい目プリーズ。 ついでにすっげぇ〜長くなりました(;。。)前後に分けようか悩んだのですが、分ける場所がいまいち自分的に見つからず。すんません・・・・・1ページで秀丸エディタ約700行ってお初です。ごめんなさいm(__)m   ちなみに俺達の仮面はバレネタのうちに入ってないっすよね?(・_・?)