【幸せ追求させろ隊 8】     「…それでいいんじゃねーの?  まー、あと1ヶ月しかねーからよ、これからまとめってとこだろ。」 「では、明日からもよろしく頼むぞ。」   全員が三代目に向かって静かに頭を下げ、そして楽しそうにキラキラとした瞳を一斉にシカマルに向ける。   「あ"ー?」 「今日は、誰が何をしてきたんだ?」   ゲンマが、ものすご〜く楽しそうにシカマルに詰め寄る。   「聞きてーか?」   目つきが悪くなったシカマルにびびる事無く、集まった面子全員が頷き身を乗り出す。   「新月にシカマル抹殺の個人的な依頼が来た。」   −大爆笑−   今、木の葉の影で動く者達が二つ。   現在戦略部にシカマル(分身)が配属されている。 その才能とここ数ヶ月の実績から、己の地位を危惧する者達が現れた。 今まで変革を望まず、自分の地位を固執してきた者達、三代目でさえ手を着けられなかった木の葉の病巣が、ここに来て顕著な動きを見せ始める。 自分の地位を脅かされたと一方的に思っている者達が一つ。   上忍達の訓練で見せたナルトの実力に木の葉の危機を感じる者達が現れた。 ナルトの人格や正確な生い立ち、そして九尾の封印に関する知識を一切持たないまま、危険だと判断する。 無知な上に恐怖という勝手な思い込みによって、危険なモノだと一方的に思い込み、あまつさえ己が正義だと豪語する者達が一つ。   全てナルトとシカマルに向かった。   「ナルトは大丈夫か?」   心配そうに聞いてくるイルカに、ナルトがう〜んと唸る。   「大丈夫なんだけど…シカの言う通りに戦ったら、なんか変なんだよねー。」 「シカマルの言う通り?」 「うん、殺気出すのは禁止で楽しそうに戦えって。出来ればシカを思い出しながらが、いいって…。」   全員がシカマルを見てるナルトを思い浮かべ、その最強の笑みを想像して納得する。 あの表情を見て、排除したいとか、嫌悪感だとかを思うのは至難の技。 しかし、その雰囲気に、ナルトが分からないと膨れる。   「ナルトくん…一回鏡で見てみるといんですね…。」   ハヤテが、天井を見上げながらナルトの頭を撫でる。 ナルトは、訝しげに自分の顔を弄った。   「シカマル…記憶を消すか?それとも死んでもらうか?  どちらにせよ、オレにやらせろ。」   イルカは、ナルトに穏やかな視線を送りながらも、言葉は殺伐。   「どっちもメンドくせーし、凛の給料は高いからいらねー。」 「オレは、面倒ではないし、無料働きでいい。」   座った目をシカマルにむけて、断固やらせろオーラをイルカは出していた。   「それでしたら、私も参加したいんですね。」   イルカと同じ表情でハヤテがニンマリ笑う。   「あー?理由は?」 「アカデミーってやつは、姑の嫁いびり場みたいなもんだったな。」   イルカが遠い目をして爽やかに語る。当然背後に暗黒オーラ出血大サービス状態。   「意味の無い事をネチネチネチネチ…オレがそれに対してすっきりしたいって思うのは当然だろ?」   具体的な事は一切言わないイルカだったが、全員がいびられてい理由を思いついた。 ほとんど全ての教師が、ナルトを可愛がり、生徒を平等に扱うイルカとは相容れなかったのだろう。   「あー…んで、ハヤテは?」 「そうですね…今はシカマルくんがターゲットになっていますが、以前は長だったんですね。  しかも…私が長に可愛がられているなどと言う大層不愉快な噂のおかげで………どれだけ腹立たしい状況だったか……だいたい長を抹殺出来るならテメェらなんかに言われなくても、さっさとやっているさ!あぁやっているともっ!………」   恨みがましい視線をきっちり、長ことシカマルこと新月に当て、普段使わないガラの悪い殺伐とした台詞をブツブツ言い続ける。   「そりゃぁ……悪かったな。」   その一言でおしまいかよっ!というハヤテを抜かした全員の心の声と、既に諦めきっていますとばかりのハヤテの表情、そして表情とは違って殺気だつ手に握られている刀…観衆はゴングの音を聞いた。   「ハヤテ、危ないからしまえって。ここの机は高いぞ。」   ここは火影の執務室。少しは他の部屋よりも一応金がかけてあったりする。   「大丈夫です、貴方のおかげで、残業代つきまくりな上に使う暇もないんですね…。」   観衆のオオーという音無き声が心の中で響き渡る。   「ハヤテ、刀を使うより毒殺という手はなかったのかの?」   火影のじじぃ、突然とんでもない突っ込みを入れる。 しかし、そのお陰でハヤテの殺気考え中…長考中…観衆、慌てて押し止める方向にハヤテに話しかける。   「…とりあえず安心して下さい。  殺すなら、この自分の腕で止めを刺したいと思ってるんですね…毒殺は一応考えてません。」   まったく安心できない言葉。他は考えているとしか思えない。 しかし、ゲンマやナルトは二人の言葉遊びって変だよねーと頷き会っていた。   「なー、ネジは大丈夫か?」   突然ナルトが心配そうにネジに話をふる。   「いや…オレにとっては、いつもの事なんだが…ヒナタ様が……。」   ヒナタの名前が終わるか終わらないかで、イルカとゲンマがネジに詰め寄る。   「「ネジっ!ヒナタと二人でオレの家に来いっ!」」 「って、何でゲンマさんが叫ぶんですか?」   イルカがヒナタはオレの生徒だとばかりに聞いてくる。   「ヒナタの午後の先生やってますんでね。」   こえーと一言言いながらも、心配する権利はあるとばかりに千本を揺らす。 そしてネジは二人の勢いに、呆然。   「イルカ先生も、おっさんもだめだって。ネジはともかく、ヒナタは女の子なんだからな、独身の家に泊める訳に行かないって。」   ナルトがうんうんと頷きながら二人にもっともらしく説教をしたり、万年独身のイルカと建前独身のゲンマは、それはまずいと他の手を考え始めたりする。   「なぁナルト、ネジの荷物とヒナタをオレん家に移動させとけ。  オレん家なら問題ねーだろ?」   シカクが面白そうにイルカとゲンマを見ながら、ナルトに話しかける。   「うん!  ネジ、必要なものってどこにある?」 「あ…あの…いいのだろうか?」 「あぁ、気にしねぇよ。  どっちかって言えば、かーちゃんがすげぇ喜ぶ。」   横でナルトがうんうん頷く。   「オレは当分帰れねぇって、かーちゃんに言っといてくれ。」   シカマルが眉間の皺を増やしてぼそっと呟く。   「なんだよ?かーちゃんのお小言、オレ一人受け持てって言うのかぁ?」 「あんたは、旦那だろ?」 「おめぇは子供だろ?」   さりげに情けない表情で助けろと訴える父親、そして一切目を合わせないとばかりに書類を見続ける子供。 ネジが不安そうにナルトを見る。   「あ、別にネジ達が来るのが、迷惑って訳じゃないから大丈夫。」 「いや…しかし……。」 「うんとねぇ、ネジとヒナタだろ?すっげぇ〜礼儀正しいし、真面目だから、お母さんにすっごく気に入られて………シカが怒られ…る。」   ナルトは、シカマルの方を一切見ずに天井の一点だけを見つめて、ぼそぼそと呟く。   「シカマルは、ちゃんと仕事をしているではないか?」 「う……うーーーーシカって言葉使いが…ね…それに、家に居るシカは、メンドくせー一直線だし………はは…。」 「……そ……そうか…オレもシカマルのようにすればいいのだろうか?」   ナルトが慌ててブンブン頭を横に振って、呆れたゲンマとイルカがこれ以上態度のでかい子供が増えるのは嫌だとばかりに止めろと叫ぶ。   「あー、気にすんな。ナルト、早くヒナタん所に行ってやれ。」 「あ…あのだな…。」   ナルトが窓から出ようとするのをネジが服を握って止める。   「どうした?」 「もう一人増えても構わないだろうか?」   すまなそうな顔のネジにシカクが構わねぇぞぉ〜と声をかける。   「ハナビ様も連れて来てくれ。」 「おぅ、分かった。  じゃぁ、行ってくるなー。」   ナルトが元気良く、窓から消えていく。 相変わらず、お約束道り、三代目がぶつぶつと文句を言ってたりした。   「ネジ、ヒナタの妹は何でだ?」   イルカが不思議そうに聞いてくる。   「ハナビ様もヒナタ様と同じ考えを持っていらっしゃって……取り仕切っている方々との対立が随分酷いと…。」 「日向家は、当主以上に周りのものがプライド高く、頭が固いからのぉ…。」   三代目の眉間に皺が寄る。   「えぇ…ただ…あの…ヒナタ様もハナビ様もナルトと一緒に来てくれるかどうか…。  お二人共、たぶん最後まで説得し続ける事を選ぶような気がするのですが。」 「ナルトが行ったからな…たぶん…違う展開になると思うぜ…結果どうなるかは分からねーけどな。」   シカマルが未だ書類を見ながら、ネジに心配せずに待ってろと言う。 ネジは少し微笑んで頷いた。   「ところで、長は仕掛けてくる方々を今後どうしたいと思っているのですか?」 「んー、下っ端はほっておく。乗り換えてもいいし、そのまんまでもかまわねー。」   興味なさそうに、別の書類を見ながら、ハヤテに答える。   「オレの楽しみを奪うのか?」   イルカが不服そうに言う。   「オレは下っ端は、って言っただろ?」   書類から目を離し、楽しそうにイルカを見上げる。   「お前の言う下っ端ってどこからだ?」   イルカは目を見開いて、そして初めて見るかのようにシカマルを見る。   「あ、分かったか?」   シカマルが口の端をあげる。   「自分の授業内容ぐらい覚えている…しかし…お前起きていたのか?」 「や、イルカ先生のご意見は、この忍びの里としては興味深いもんだったぜ。」   イルカが驚いたとばかりに目を瞬かせた。   「あれを覚えていたのか?」 「あぁ、だから実践している。」 「長、何を実践されているのですか?」   ハヤテが周りの代表で質問をする。 シカマルがメンドクセーといつも通りの一言。仕方がないので、イルカが説明を始めた。        集団が一つの思想だけで進んでいくのは、とても安定しているように見えるし統治もしやすい。    ただ、誰も疑問を持たずに流されていくのは一見楽に見えるが、思想によっては洗脳になりかねない。    例えば…  思想と合い合わない意見を全て排除してしまう…真っ当な意見を潰してしまう可能性。  歪が生じたとしても、それを正す術が思想と合い合わなければ、無視をしてしまう…破綻の前兆に繋がる。    何事にも是があり、否がある。  それにより、話が進まなくなる可能性もあるが、その話し合いは決して無駄ではない。  新しい結果を導く可能性がある。    それ故、自分の敵を潰してしまってはいけない。    敵の話に耳を傾ける心の余裕を持ちなさい。  殺してしまった相手は、二度と生き返らないのだから、使えるのなら敵でも使うぐらいの度量を望みます。     イルカが淡々とアカデミー教師の顔で語っていた。 その姿と内容を嬉しそうに頷いた三代目が最後の言葉を加える。      何が正しくて、何が間違っているかを見極める目を養いなさい。  そして、自分と異を唱える人の言葉を注意深く聞く心を持ちなさい。     「四代目の言葉じゃな。」 「はい、すごく印象的な言葉でした。  なのに忘れていたようです…なるほど、忘れないよう毎日唱えなくちゃいけないかな…。」   イルカが鼻の頭をボリボリ掻きながら、苦笑を浮かべる。   「あの私利私欲の塊の頭もそのままかい?」   ゲンマが、楽しそうに聞いてくる。   「あぁ、あいつらな。  五代目さん、面子予定表は出来たんか?」   今まで楽しそうに話を聞いていた綱手が、紙を一束振ってから、シカマルに投げる。   「お前が提案した通りにほぼなっている。」   ざっと紙束に目を通してから、シカマルが楽しそうに頷く。   「ま、こんなもんだろ。  人がいねーと回らねーからな。」   渡された書類、五代目の元で働く人間の一覧を見ながらシカマルが苦笑を浮かべる。 自分達と対立している集団に居る名前がちらほら見受けられた。 忍び以外にも人材不足が蔓延している。 今は、人員整理よりも人材育成するしかないと目の前の書類は言っていた。   「あたしが火影している間に、下が育つのを楽しみにしてな。  使えるやつは、速攻で入れ替えだ。」   綱手の口の端が楽しそうにあがった。     【続く】    




 


    ぜーぜー長いよーーついでに話をまとめるのが大変だよーーー。 ついつい、自分の性格上深刻な話にするのが嫌なんですよね。 実際、ドロドロしていたり、怒鳴りたくなったり、もー止め刺したいとか思ったり…な世界のはずなんですが、主要メンバーがメンバーなんで、楽しそうな?話になっています。 …たぶんねf('';) 嫌な事を笑い飛ばせたらいいですよね。 うんうん…理想な面子を書きすぎているよなーーーf(^-^;) ま、それなりにイルカ先生もハヤテさんも怖いですけどね('';)   四代目の台詞は、うまくまとめられなかったです…すんません。 うーーー言いたい事がうまくまとまらない…ぐおぉぉぉ文才が欲しいよーーー(T^T)o"     【05.02.21】