【幸せ追求させろ隊 補6.4】 「・・・・・ゲンマ・・・・何してる?」 やっと、医療チームに関する会議が終わった所。 ついでに木の葉病院にある資料を見ようと治療室兼資料室に入ったら血だまりな光景。 椅子には真剣な顔をして、チャクラを練っているゲンマ。 腕から大量に血が溢れてる。 ゲンマの背後で医療班の者が、困ったような顔をして立っていた。 ゲンマの発するチャクラは次々と変化していく。 傷口が閉じようとはするのだが、その度に歪な傷口が出来上がり、再び血が吹き出たり、傷口が突然ぱっかり開いたり、大量の内出血が発生したりと、次々と変化していく。 しかし、傷口が綺麗に無くなる事はない。 そして冒頭の言葉に戻る。 ゲンマが未だチャクラを腕にかざしたまま、情けない顔を声の主に向ける。 「綱手様〜オレの血がなくなる前に、傷無くなりますかね?」 綱手はため息一つ吐いてから、ゲンマの腕を取り、傷を瞬く間に塞ぐ。 そして、背後に立っている医療班の者に話しかけた。 「今日の成果は?」 「先ほど見た光景そのままで・・・・・。」 医療班の人間がゲンマにすまなさそうに小さな声を出す。 「私の講義は覚えているな?」 「い・・・一応。」 ゲンマがひきつった笑いを浮かべる。 「では、さっきお前が切った所はどうしなくちゃいけなかったんだ?」 「溢れた血を除去し、筋肉及び血管を結合した後、皮膚の結合。」 綱手がため息をつく。 回答は間違っていないが、大雑把なチャクラを出す男は、回答までが大雑把だと顔を顰める。 「ゲンマ・・・・どうしてもお前が、覚えなくちゃいけないのかい?」 「どうしてもですね。 てめぇの始末はてめぇでつけたいんですよ。」 子供を教えていて、自分が発した言葉がそのまま自分に返ってくる。 今回の事で、思いっきり気づかされた。 苦手だからと言って、逃げていては何にもならないという事。 医療忍術がどういうものだかは、おおまかには知っていた。 細かく教えてもらって、自分に不向きだという事も嫌ってほど分かっている。 けれども、ここで逃げるわけにはいかない。 二度とハヤテに迷惑をかけたくなかった。 そして、教えている子供達に顔向けできない事はしたくなかった。 「講義受けてっから4日だよな? 進歩は?」 ニヤニヤと笑いながら、ゲンマより少し若い男が部屋に入って来る。 綱手は誰だ?という顔をして、ゲンマはすこぶる嫌だという表情を浮かべて、そして医療班の人間が目を輝かせて迎え入れた。 「海さん!とうとう医療班に転属ですかっvv」 ハートマーク付きのお出迎え。 海と呼ばれた男は、速攻で違うと掌を横に振り、医療班の男は見た目にも分かるぐらい、がっくりと肩を落とした。 そんな様子を見て、綱手が訝しげに海を見る。 今まで自分に与えられた資料で見かけた事が一切無い。 雰囲気から察するに渡された資料に出てこないほど弱いとも思えない。 そして、医療班の態度を見る限り、医療にも造詣が深いと思われる。 しかし、そんな人間を綱手は知らなかった。 医療チームで会議をしているのにも関わらずだ。 「お前は?」 「はじめまして綱手様、オレは三代目直属で動いている海って言います。」 言葉使いは丁寧だが、顔つきはこれでもかというぐらいニヤついている。 綱手の表情が険しくなった。 「それで、聞きたいのですが、ゲンマは貴方様の講義を受けて変わりましたか?」 「・・・・不安定な状態で傷口を塞ぐ所までだな。」 不信全開の視線をものともせずに海は、ゲンマに話を続ける。 「仕方がねーなー。 あ、悪ぃこれから二人に話しがあるから、退出してもらえるか?」 ため息をつきながら、医療班の男に海が頼む。 医療班の男は、分かりましたと言って、他の仲間を連れ退出した。 扉が閉じられるやいなや海が印を切り、確固たる結界が三人を覆う。 「ゲンマ、諦めろ。」 「嫌だね。」 「あのなー、お前はタイプが違うってのは言わなくても分かってんだろ?」 「分かってるから、努力してんだよっ!」 ゲンマと海が睨み合う。 「努力ねー、それならこの程度はサクサクやって欲しいんだけど?」 海の腕の周りに極細のチャクラが光る糸として次々と巻かれていく。 腕が一通りチャクラの光に覆われた時、チャクラの糸がゲンマに向かって放たれ、光が咥えていた千本を通り過ぎた。 ゲンマが目を眇めて咥えていた千本を、千本に開いた小さな穴を凝視する。 手持ちの千本を海に放った。 片手で千本を受け止めた海は、楽しそうに千本を咥え、斜に構える。 ゲンマが海と同じようにチャクラを細く細く、自分で制御可能な限りの細さに練り上げ、出来上がったチャクラを海に向けて放った。 千本が千切れ飛ぶ。 「綱手、4日間見てこの先どこまで行けるか想像付くよな?」 海の技量に唖然としていた綱手が、突然の呼び捨てに、海の胸倉をつかむ。 「お前、誰だ?」 「あー?あぁ、この姿知らねーか。」 胸倉掴まれたまま、海が変化の術を解除、綱手の手を振り払って現れたのはシカマルだった。 「お前・・・・医療忍術まで出来るのか?」 「俺、怪我してくっと五月蝿ぇやつがいてよー。」 回答はそれで分かっだろと、続きの言葉を適当に濁す。 「で、ゲンマはどうだ?」 「はっきり言わなくても無理だね。」 「綱手様〜。」 情けない顔をしながら、ゲンマが頑張りますからと練習を始めようとする。 「ゲンマ、オレと訓練な。 怪我しなければいんだろ?そうなれば医療忍術なんて必要ねーよな。」 クナイを握ったゲンマの腕を掴んで、シカマルが口の端をあげる。 「・・・・・医療忍術を覚えるより、怪我を絶対しない方が確率が高いってことかよ。」 ゲンマがふて腐れて、シカマルを見上げる。 「そうだ。 まー、凛程度?それぐれーになれば大丈夫だろ。」 凛程度ってどんなレベルだよっ!とゲンマが叫ぶ。 自分の推測では、自分のレベルは、上忍の上程度。 凛は、木の葉のトップ3。 そんなレベルになる方が、医療忍術の初歩を取得するより可能性があるってと、とほほ〜で情けね〜とがっくり肩を落とす。 「なるほどな、確かにその方が見込みがありそうだね。」 「医療のスペシャリストが教える方が的確で何とかなると思ったんだけどよー。 ま、結論それってことで。 今夜から綱手に付いて暗部のバイトしろ。 任務書の方はオレが操作しておいてやる。」 「げっ?!!」 「訓練の方も時間が空き次第、やろうな。」 とてつもなく、楽しそうに、しかし意地の悪〜い笑みをシカマルが浮かべている。 強くなりたい気持ちは無いとはいわない。 しかし、ナルト以上に洒落にならない訓練をやりそうな相手の笑みに、かなり逃げ腰状態。 「これからここは、非常に忙しくなる。 つまりは、あんたの面倒見る余裕がなくなるって事。 諦めろ。」 「そうだな、確かに劣等生を持つ余裕はどこにも無いな。」 シカマルと綱手が両側からゲンマの肩をばしばし叩く。 窓際のおっさん、リストラされました状態。 「あーーーー分かった!分かりましたよっ! ちきしょーーーっ!! ということで、下忍の春野、中忍のたたみを鍛えてくれっ! くそーーーー!あいつら、サクサクやりやがるんだろうなーーー! 八つ当たりしてやるーーーーーーっ!」 一通りゲンマの雄たけびを聞いた二人は、再び肩をがしがし叩きながら笑う。 「安心しな、二人ともちゃんと予定に入ってるよ。」 「あんたは、二人の将来より間違いなく強くなるんだから、それで我慢しろ。」 医療はあっちの方が上と言われたも同然。 「絶対八つ当たりーーーーーーっ!!」 ゲラゲラ笑う二人の声をバックに、ゲンマの声が結界内に木霊した。 【End】
ということで、幸せ追求させろ隊から、不幸な人を出してしまいましたf('';) 最初は、とことん医療の勉強させるつもりで書き始めたんですけどねぇ。 何があったんでしょ?(^-^;) あぁ、連鎖でハヤテも不幸だよなぁ。 なんか将来の木の葉の構成人員に不安がっ。 今の自分頭の中にある構成人員になるように、なるように、頑張っているんですが・・・・この話逸れ始めてないかい? ・・・・・が、頑張れあたしーーーー!!<ものごっつー不安。 【05.01.01】