【幸せ追求させろ隊 6】     「イルカん所はどうだ?」   火影の執務室。 訓練担当者が集まっていた。 ゲンマが千本を揺らしながら、楽しそうに聞いてくる。   「・・・・皆さん頑張っていますよ。  ゲンマさんも一回は、参加しませんか?」   未だ、上忍や特別上忍に対し丁寧な話し方をする。 いつになったら、自分も上忍だと自覚すんのかね?と、ゲンマが少し呆れる。   「あのなぁ、お前上忍だろ?つか、オレはしがない特別上忍だぞ。  その言葉使いおかしいだろ?」 「・・・・・中忍時代が長かったですからねぇ。  はー・・・・・今からでも中忍に戻れないですかね?」   ハヤテからイルカの訓練内容を聞いていたゲンマが、そりゃ無理だろと突っ込む。 トップクラスの腕を特別上忍から上忍までしっかり、目に、体に、焼きつけられている。   「・・・・オレだけってのはずるいと思いませんか?  やっぱり、ゲンマさんも参加しましょうねっ!  オレと一回戦うのもいいと思いませんか?」   爽やかに笑うイルカ、背後に黒いオーラ付き。 イルカは、ゲンマやハヤテが特別上忍とは名前だけで、かなり出来ると見抜いていた。 それだけに、自分一人が上忍になるのが納得できないっ黒いオーラが現れる。 さりげに二三歩イルカから間を開けて、オレ忙しいからとゲンマが逃げた。   「それによー、お前の技くらったら、折角覚えた知識が全部飛ぶ。間違いなく飛ぶ。  一から覚えなおすのだけは勘弁してくれっ。」 「・・・何を?」   訓練するのに何か覚える必要事があったかとイルカが不思議そうに問いかけてくる。 そこに、げらげらと笑い声。 中忍を苛め・・・・いや訓練して来たシカクが、楽しそうに部屋に入ってきた。   「なんだ、イルカ知らねーのかよ。  こいつ今医療忍術習得中。  医療班にすっげぇー苛められてるらしいぜ。」 「ぐっ・・・・仕方がないじゃないですか・・・・・オレは体力担当であって、考えて術なんか使った事ねーんですっ!」   相手は一応上忍様。今まで中忍だったイルカにはラフに話せても、上忍様には形をとらなければならない縦社会。 妙な男は、妙な言葉使いで、ぶちぶち文句を言う。   「医療忍術ですか・・・・・覚えたら、オレにも教えてもらえますか?」 「・・・・・無理。今だに知識が頭に定着しねー。  とりあえず、成功した時のチャクラを覚えて、再現しようとしてる。  こんなんで、解毒の方法覚えられんのかねー・・・・・。」   さりげに悲しくなってきた妙な男は、頭を抱えて体力勝負で治療出来る方法ってねーのかよーと情けなさ全開。   「ゲンマ・・・・そのような事は、ハヤテに任せれば良いじゃろうに。」 「火影様〜それじゃぁ意味がないんです。  オレは、自分の始末は自分で付けたいだけですから。」 「それでは頑張るしかないのぉ。  ただ、子供達を実験台にするな。医療班から文句が来ているぞ。」   あさっての方を見て、頬をぽりぽりかくゲンマ。 オレも修行しないといけないですしと、愁傷な言葉で飾ってみる。 しかし、火影と熱血教師イルカが同時にモノを投げつける。   「ゲンマさんっ!子供に消えない傷が出来たらどうするんですかっ!」 「そのとうりじゃ。やるなら、自分の体で試せっ!」   子供との訓練で傷さえもつかねーってのと、一応飛んできた文鎮と、湯のみを両手に持って、ぶちぶち言うゲンマ。 そこに集団が窓から飛び込んできた。   「たっだいまぁ〜。」 「唯今帰りました。」 「じじぃ、久しぶりだな。」 「先生元気そうだね。」 「お久しぶりでございます。」   それぞれ、ナルト、ネジ、自来也、綱手、シズネ。 シカマルは手をあげるだけで、ちゃっかりすましている。   「・・・・・窓から入ってくるのは誰の案じゃ?」   懐かしい面々に声をかけるよりも何よりも、窓からの侵入にむっとする三代目。 そんな三代目に一切気を使わず、楽しそうに手を挙げるのはナルト。 片手をズボンのポケットにつっこんだまま、いつもの事じゃねーかとシカマルが言葉を添える。   「窓はドアじゃないと、いつも言っておったはずだが?」 「ま、そんな些細な事はほってよ、ほれ綱手だ。」   些細ではないわっ!ととりあえず、つっこみを入れて、三代目が綱手を見る。   「元気そうじゃの。」 「あぁ、シカマルに傀儡しないかって誘われてね。  五代目しに来たよ。」   ハヤテが口元に笑みを浮かべる。 ゲンマが楽しそうに千本を揺らす。 シカクが面白そうに綱手を見る。 三代目が鷹揚な微笑みを浮かべる。   その中で一人イルカが不思議そうな顔をする。 傀儡・・・意味は分かる。 イルカはシカマルを見た。 シカマルが、口の端をあげてニヤリとイルカを見上げる。   「シカマル?・・・・・お前・・・・廊下に立つか?」 「あー?オレもう、アカデミー生じゃねぇし?」 「おおおお前っ!何をしたっ!いや、何を企んでいるっ!!」   シカマルの上着を掴んで、ガシガシイルカが揺する。   「イルカ、大きくなったねぇ。」   楽しそうに綱手が笑う。   「は?・・・あっ!・・・・その節は大変お世話になりましたっ。」   深々と頭を下げる。   「お前、強くなったんだって?  楽しみだな。今度手合わせをしよう。」   綱手がイルカの頭をぽんぽん叩く。 シカマルは、綱手がイルカに話しかけた時点で間をあけている。 さりげに綱手に手をあげていたりして、既に綱手傀儡状態?   そんな様子を三代目以下居残りメンバーが、確認しながら呆れる。 綱手の状態を知っていた三代目、三代目から話を聞いたシカク、ハヤテ、ゲンマ達の目には、どうやって手なずけたか知らないが、既に五代目がシカマルの手駒に見える。 背中に流れる何かがあるのは、気のせいではない。   「ハヤテ、二人の指示書は出来てるよな?」 「はい、これがお二人用です。  それから、こちらにあるのが、長が居ない間の状況を取りまとめたものです。」   サンキューと言って、シカマルは書類を受け取り、書類の内容を確認し始める。 相変わらずの読むスピードに、慣れた面々が苦笑する。 そして、そんなの見飽きたレベルのハヤテは、ニッコリと笑って、綱手と自来也の前に立つ。   「これが、自来也様の分です。  そして、こちらが綱手様の分です。」   自来也が書類を一瞥して嫌な顔になる。 内容は、訓練のサポートと、夜中の仕事をするようにとの指令。 三代目を見返る。   「里のトップが当分忙しいのでの、お主のリハビリに丁度いいのではないか。」   慈愛に満ちた笑みを返された。 逃げる算段を考えようとした瞬間に、三代目の言葉が続く。   「抜け忍として、日食と新月に追いかけられたいのか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった・・・・・くそじじぃ。」 「何じゃ?」 「別にぃーーーー。」   下忍と担当上忍の会話みたいだと、ナルトが呆れる。 他の面々は、これが有名な三忍の一人が発する言葉かと、綱手を抜かした全員の顔に書いてあった。   「先生、リハビリにしては、仕事量が多すぎないかい?」   じぃーっと指令書を見ていた綱手が、自来也とあまり変わりない表情を浮かべている。   「お主も、随分と休暇が長かったであろう?  これからは休みが無いと思ったほうがいいじゃろう。」   再び、三代目の慈愛に満ちた笑みが広がる。 綱手が、そんな顔にだまされるかいと三代目を睨みつける。   「幾らなんでも、寝る時間は欲しいねーー。」 「寝る時間に何をするのじゃ?  賭博は禁止と書いておるはずじゃが?  酒は控えなさい。医療スペシャリストなら、適量は分かるじゃろ?」   今だ小さい子供のように扱われる、三忍と呼ばれている二人。   「先生っ!」 「お主が五代目に付く前に、やって欲しい事がある。  訓練のサポートは当然ながら、医療関係のチェックをして欲しい。  今だお主が提案した事が、実現出来ていない。  シズネ、帰ってきた早々で悪いが、お主にも頼んだぞ。」   綱手は口をへの字にしたまま、小さな声で仕方がないねーと一言。 シズネは、御意と頭を下げる。   「で・・・先生、私はいつから五代目になるんだい?」 「だいたい半年後かのぉ。  里の忍び全員の試験終了し次第じゃ。  それまでは、ワシが火影じゃな・・・・沢山働いてもらうかのぉ。」   三度、三代目の慈愛に満ちた笑みが広がる。 自来也も綱手も、苦笑を浮かべている。 懐かしい、会話。 昔はあともう一人居たが、居なくなってしまった。 それでも、懐かしい。 だから、仕方が無ぇなと、仕方がないねと、そう思ってしまう。 横でナルトが、やっぱりじじぃは壷を売りつけるのが旨いよなーと心の中で呆れた。   「ゲンマ。」 「おう、何だ?」 「明日、オレとナルトとネジがそっちに参加する。  丁度良い時期だろ?編成し直す。」   ゲンマが千本を揺らしてニヤリを笑う。   「イルカセンセ、明後日から人数が増えると思ってくれ。」 「下忍達の中で誰か上がってくる?」 「ネジが筆頭だな。」   ネジがイルカに、よろしくお願いしますと頭を下げた。 頑張ったんだなとイルカがネジの頭をガシガシかき回す。   「楽しみにしているよ。」   にっこりとイルカが笑う。   「おっさん、イルカセンセのサポート。」   自来也が面倒じゃのぉ〜と言いながらも諦め顔で頷く。   「ハヤテ、そっちは今まで道りお前に任せる。」 「長・・・・仕事がたまっています。  最低2時間は戦略部に来て下さい。」 「あー・・・たぶんな。」 「長・・・ここで抜刀致しましょうか?」 「んー・・お前がどれだけ強くなったか知りてーけど、それはまた今度だな。」   今までの会話の中、シカマルは一切顔を上げずに、書類を読みながらの会話。 その面持ちがいつもより、一見真面目に見える為、一応はハヤテが譲る。 確かに目の前の仕事が山積みなのは分かっているので、戦略部は自分で遣り繰りしなければならないと、ため息一つ。 いつになったら、のんびり?任務に出れるか、今だ霞の先である。   「おやじ、明々後日にそっちへ行く。」 「悪ぃけどよ、ネジをイルカの所に行かせる前に、こっちに貸しちゃくれねぇか?」 「・・・・じゃぁ、一旦下忍から上がる連中全員をそっちにやるか。  そうすれば、危機感の一つや二つ出てくっだろ。」 「そういう事。すまねぇな。」   シカマルが今だ書類に目を向けながら、問題ねーと掌を振る。   「じじぃ、ハヤテとゲンマからアカデミーの事は聞いてるか?」   初めてシカマルが顔を上げる。   「おぉ、聞いておる。  出来ればイルカ、ハヤテ、綱手に担当してもらいたいと思っている所じゃ。」 「・・・・・・・・・・・・・・ま、いっか。頑張れ。」   いっかは、自分じゃないから、どうでも良いって事か? 頑張れと声をかけられた三人は、シカマルを睨みつける。   「あー?ここでの取りまとめ、戦略部、暗部、訓練の全部をお前らがやるか?」   言われた仕事量に、さすがに悪いとは思うが、外見子供、そして偉そうな態度、素直に頷けない。   「本当に戦略部を任せていいのですね?」   ハヤテが睨みながら聞く。   「暗部の仕事をちゃんとやるんだな?」   イルカが今までお前らが居なかった分、そっちにまわせと睨む。   「私は、まだ傀儡じゃないはずだな?」   綱手が初っ端から洒落にならない仕事量を目の前に突きつけられて睨む。   「戦略部の方は、仕方がねーから、なんとかしてやる。  暗部の仕事は、ナルト、自来也、綱手で、随分減るだろ。  で、長い休暇を取ってた綱手サン・・・・オレらは忙しいんだ。諦めろ。」   綱手の額に青筋が浮く。 シズネが、一生懸命抑えていたりする。   「じゃぁ、これからの担当。  じじぃが総括で変わらず。     三代目がウムと頷く。    イルカセンセは、上忍達担当に加えてアカデミーの再編、暗部の仕事は減らしてやる。     偉そうな言葉にムッとしながらも、諦めたようにイルカがわかったと頷く。    おやじは、中忍担当と暗部で変わらず。     シカクが、はいよとひらひら手を振る。    ゲンマは、下忍担当に加えて、綱手のサポート。  ついでに、医療忍術習っとけ。     ゲンマがおうと、シカマルに頷き、綱手によろしくお願いしますと頭を下げる。    おっさんは、イルカのサポートと暗部の仕事。     自来也が、むう〜〜と渋い顔をしながらも諦めて頷く。    綱手は、医療チームの再編とアカデミーの再編、加えて暗部の仕事。     分かったよっ!と綱手も渋い顔。    シズネは、綱手の医療関係の全サポート。     シズネは、分かりましたと、素直に頷く。    ハヤテは、アカデミーの再編、そしてオレのサポート。     貴方のサポートがどこまで減るかが楽しみですねと、ハヤテがため息まじりに頷く。    ナルトは、各訓練のサポートと暗部の仕事。     おう!元気良くニッコリ笑う。    で、いいな。」 「何か手伝える事はあるか?」   部屋の隅で、展開を一人眺めていたネジがシカマルに聞く。   「あー・・・・うー・・・・・・ものすげぇ〜悪ぃんだけどよ、雑用頼んでいいか?」 「構わない。」   ネジは、自分の能力を考えれば当然だとばかりに、頷く。   「お前、食事作れる?」 「・・・・・すまない。」   ネジが一瞬目を見開いた後に、慌てて頭を下げる。 そこにゲラゲラ笑ったシカクが口を挟む。   「それ、かーちゃんに頼んでおけ。」 「お、それいいな。  じゃぁ、まじで雑用。レポートの整理や、買出しやら、伝言やら。  それを頼んでいいか?」   ネジが再び無言で頷く。   「じゃぁ、ネジは、午前中は訓練。午後はここに居る全員の雑用。」 「よろしくお願いします。」   礼儀正しく頭を下げる姿に、シカマルとナルトを覗く全員が、子供らしく良い子だと心の中でネジに拍手を送る。   「じゃぁ、この後じじぃ、ハヤテ、イルカセンセ、綱手、シズネ残って打ち合わせ。  明日全員朝一でここに集合。  以上、何か質問あるか?」   間違いなく、ここのリーダはシカマルだった。 三代目が、子供の成長を目を細めて微笑む。 綱手が苦笑まじりになりながらも、楽しそうにシカマルを見る。 自来也が壁に寄りかかりながら、目を閉じ、口の端をあげる。 シズネが、事務処理は手馴れたものだと、医療関係の書類を捜しに楽しそうに席を外す。 シカクは、かーちゃんの所に行って当分の飯を頼んでくるわと、ひらひら手を振って消える。 シカマルに慣れているハヤテは、いつもの事だとさっさと書類を片付け始める。 ゲンマは、下忍達の自主練があるから付き合えと、ネジを抱える。 ネジは、慌てて失礼致しますと言って、ゲンマとともに消える。 用事があったら呼べと一言残して、ナルトがネジとゲンマを追いかける。 イルカが、ため息をつきながらも、アカデミーの事なら仕方が無いと、ハヤテに事情を聞こうとする。 シカマルが取りまとめしている事に、疑問は無い。 ここら辺、イルカセンセったらうかつさんVv     シカマルが肘をついて、楽しそうに増えたメンバーを見上げた。         【続く】    




 


    ぐぉぉぉぉ、人数多いぃよほぉ〜(T^T) それぞれを書いているうちに、行が増える増える。 ま、うちの一番ファイルサイズ大きいのに比べたら、まだ半分か? いいやぁ・・・<おいおい   という事で、皆さん戻ってきました。 やー・・・4、5ってシカが出てないから・・・いまいち楽しくなかった<おい まぁ、毒吐きしたり、適当に<まて 濁したり・・・・。 のでので、6はサクサク打ち込めた。 いやぁ〜楽しいねぇ(゚゚*)シカ。 というより、新月君が楽しいです。 すっかり、シカマルという名前の枠からはみ出てしまった気がする。 まぁ、シ3よりはマシかもしれませんがf(^-^;)   さて・・・7ってどこまで話を飛ばそうか? いやいや、その前にこの話をどの時点で終わらそうか? 相変わらずの先行き不透明で突っ走ってすんません。 自分も続きが気になります。誰か教えて下さい<おいっ!!   【04.11.23】