普段だったらとうに寝ている時間。 いっぱい寝返りをした。 一生懸命羊も数えてみた。 眠れない。   今度は星でも数えてみようと、窓を開けてみる。 暖かい空気が部屋に入ってくる。 天頂には、沢山の星。 窓から顔を出して眺める。 視界の端に何かが動いた。 何だろうと、そっちに体を乗り出す。 窓枠からかなり身を乗り出していた事も忘れていた。 グラリと体が揺れる。 慌てて窓枠を掴もうとしたけど、遅かった。 小さな声が出る。 怖くて目をキツク閉じた。     バフンと柔らかい所に落ちる。 何が起きたんだろう? 恐々目を開けたら、目の前に白い面、自分の顔を覗き込んでいた。   「・・だぁれ?」 「子供は早く寝ないといけないって、アカデミーで習ってないのかな?」   優しい声が面の中から聞こえた。 自然と口が開く。   「イルカ先生・・・。」   ぎゅっと首にしがみつく。   「助けてくれて、ありがとう。」     【幸せ追求させろ隊 補5.1】     「イルカ先生〜。」   アカデミーの子供がイルカにタックルをかける。   「先生〜アカデミーは〜?」 「つまんないよぉ〜。」   子供達が次々にイルカに話しかける。 イルカは嬉しそうに笑うが、困ってしまう。 帰れる予定が今の所まったく無い。 自分は帰りたいと声を大にしたいいたいが、現状それどころではない。 アカデミー生に代わり、上忍や特別上忍が生徒。 半年後には、お役放免になるだろうが、戻れるのだろうか? 上忍になってしまった自分がアカデミー教師に戻れるとは到底思えない。 イルカはしゃがんで子供達の目線に合わせる。   「御免な。  戻るつもりなんだけど・・・・お前達を教えるのには間に合いそうにない。」   イルカが子供達の頭を一つづつ撫でていく。   「でもな、お前達が強くなれば、先生と一緒に任務に行けるぞ。  楽しみに待ってるからな。」   イルカがニカッと笑う。 子供達がそれぞれ楽しそうに残念そうに、すぐに強くなるから〜と、イルカをバンバン叩く。   「ほら、もうこんな時間だぞ。早く帰りなさい。」   子供達が一人を除いて、イルカに向かって手を振る。 さようなら〜と、バイバイ〜と、元気良く家の方向に向かって走っていく。   「どうした?早く帰らないとご両親が心配するぞ。」   少し離れてずっと居た子供、その一人残った子供にイルカはニッコリと笑って話しかける。   「・・・・先生ぐらい強くなるにはどうしたらいいの?」   イルカが目を瞬いて子供を見る。   「大丈夫だよ。  先生そんなに強くないから。すぐに一緒に仕事が出来る。」 「でも先生は、暗部でしょう?」   目の前の子供は、何ヶ月か前に記憶を消したはずの子供。 イルカがにこやかに笑いながら首をかしげる。   「先生は、万年中忍から、やっと上忍になったばかりだからな。  暗部には縁がないよ。」 「先生、あたし覚えているよ。」   子供の掌がイルカの足の上でぎゅっと拳を握る。   「絶対忘れないんだから。」   瞳から涙がぼろぼろ流れてくる。   「あたし絶対強くなる!絶対先生に追いつ・・く!・・・うぇっ・・・・ま・・・待って・・・い・・・。」   イルカは困った表情を浮かべながらも、いとおしげに子供の頭を撫でる。 暗部の自分をアカデミーの子供に知られてはならないのは分かっている。 けれども再び記憶を消去しようとは、思わなかった。 こんな風に思ったのは、初めてのこと。 こんなに必死な子供に水を差してはいけないと、教師の自分が記憶消去を拒否した。   「なら、泣いてちゃだめだろう?  先生はずっと待っているからな。ちゃんと自分の足でオレの所に来るんだぞ。」   子供がぶんぶん頷く。 声はもう出ない。出したら泣き声になってしまうから。 そんな声を出したら先生に呆れられちゃうと必死になって頷く。   「モエギ、待ってるからな。」     【End】    




 


    イルカ先生、ロリですか〜?(゚゚;) 18歳年下って犯罪じゃないのかなぁ?((((^-^;)   ということで、モエギちゃんの王子様の話でした。<おいおい すんません、イルネジ期待していた人いましたか? それも、ありかと思いましたが、どっちも真面目ってどうよ?と思い、結局ノーマルCPになってしまいました。 って、ノーマルか?ロリはノーマルなのかっ?!!     【04.11.30】