【幸せ追求させろ隊 補4.3】     「なぁ、オレはサスケの家の事情を詳しくしらねーから、お前を怒らすかもしれねーけど、オレ的にゲンマ先生の話を一生懸命考えたんだよ。  何で、ヒナタやネジの話をって言われたのかとか、何で、お前に話さなくちゃいけねーのかとかさ。  オレ、頭良くねーから間違ってるかもしれねーけど、たぶんこういう事なんだと思う。  不幸酔いするなって。」     キバが困ったような顔で、サスケを見ないで言う。 胸元に居る赤丸もキバの雰囲気を察して神妙な様子。 その隣に苦虫潰したような仏頂面のサスケが座っている。   「オレはさ、同期の中では幸せな方だと思うんだ。  だからさ、大変な連中を見ていると、どいつも大変そうで、その中で足掻いているのを心の中でしか応援出来ねーのが、辛いんだ。  オレがそんな事で辛いって言うのは、間違っているってのは分かってんだけど、それでも辛いって思っちまうんだよ。」   キバがため息をついて、何も言わないが、未だ隣で座ってくれているサスケに少し安心する。   「なぁ、ヒナタって凄いんだぜ。  あいつは、本家で、跡取りで・・・・だけどあの性格だから、親から見捨てられて、妹に遠慮しなくちゃいけなくて、そして、分家のネジにまで気を使って、それでも前へ進もうと一生懸命努力している。  なぁ、オレはサスケん家の事って、一族がお前以外全部殺された事しか知らねーんだけど、お前の不幸とヒナタの不幸って、どっちも同じぐらい辛いもんだと思わねー?  ヒナタは、親から温かい目で見られた事なんか、オレが知ってる限り、一度もねーんだよ。  お前なら、そんな事はねーだろ?  そういう意味で、お前は幸せだと思わねーか?」 「・・・・・・それが・・・・・どうした?」 「サスケは、復讐するんだってな。  そうすると、ヒナタは父親か?それとも妹のハナビにか?  でも、ヒナタは辛い思いを振り返りもせず、前を向いてる。」 「ヒナタは、大切な者を失ったわけではないだろ?  復讐する必要などない。」   サスケが吐き捨てるように言う。 キバは一瞬怒鳴りそうになるのを押え、拳を握り締める。   「じゃぁ、ネジは?  お前ネジの事を知っているか?  ネジの父親は本家のヒナタの父親に殺されたと言ってもいい状態だ。」 「・・・・ネジは復讐を考えなかったのか?」 「ついこの間まで、ネジはお前と同じ雰囲気だったな。たぶん、本家を憎んでたんだろう。  でも今のネジは違う。  あいつも、乗り越えたんだろう。ヒナタが嬉しそうに話してくれた。  どうもナルトとの戦いのおかげらしい。  ナルトも辛い思いをもっているみてーだから、きっとネジの心を開放できたんだろうな。  あいつは凄いよ。」   ナルトという言葉にサスケがピクリと反応する。   「ナルトが・・・・辛い?」   サスケはキバの言っている事が理解できない。   『ダレガツラクテ、ダレガスゴイ?』   「あぁ、あいつは、何も無いだろ?  両親も居ない。  理由は知らないが、里から嫌われている。  たった一人で生きているのは、すっげー辛いと思う。」 「・・・・・でも失うモノもなくて楽だろう?」   キバがサスケの胸倉を掴んでいた。   「お前馬鹿だろ?!  オレより馬鹿だっ!  オレは幾ら馬鹿でも、これぐらい想像付くぞっ!  親が居ないんだぞ!  両親の記憶も無いって、あいつは言っていた。  たった一人で、温かい思い出さえ一切なくて・・・お前の方がずっと恵まれてるっ!  そんな事も想像できないくらい、不幸酔いしてたら、お前絶対馬鹿一直線だっ!」 「ふん、お気楽だな。  失う物が無いなら、オレはそれを選ぶ。  一人の方がずっと楽だ。」 「・・・・分かった、オレが証明してやる。  オレには、失う悲しみを乗り越える強さはねーけど、オレはそいつらを守る。  守る強さなら負けねーっ!!」 「フン、そんなもので強くなるなら、訓練など必要ないだろ?」   二人とも立ち上がる。 キバが赤丸に離れていろと指示する。   「赤丸が一緒じゃなくていいのか?」   嘲る様にサスケが言う。   「いらねぇよっ。赤丸が居なくてもお前を倒せるっ!」   キバが真っ直ぐサスケを見て言う。 そして、先に動いたのはサスケだった。   クナイの触れ合う鋭い音と、体が触れ合う鈍い音が続く。 静かな森の一角が騒然とする。 強く鈍い音が響いた時、キバとサスケが離れる。 サスケは口の端に血を滲ませ、キバはわき腹を右手で押えて、屈んでいた。 しかし、キバは未だにサスケを真っ直ぐ見つめている。   「へっ、うちはってこの程度かよ。  そう言えば、木の葉のトップに、うちはって名前は聞いた事ねぇよな。  けっ!うちはって偉そうに威張ってただけの集団かよっ!」   キバが走る、サスケは睨む目を一層強くして、キバの蹴りや拳を一つ一つ受けていく。   「どうした、勝つんじゃなかったのか?」   再びサスケの蹴りがキバの腹にきまる。 サスケは、キバに背を向ける。もう終わったと、こんなの分かりきった事だと。   「お前・・・・・何帰ろうと・・してんの?  まだ・・終わっちゃいねぇぜっ!」   弾かれたようにサスケが振り向く。 キバの拳がサスケの頬を掠める。 サスケの頬から血が流れてきた。   「油断大敵ってな。」   キバがニヤリと笑う。 しかし、どう見ても劣勢はキバで、瞬時に返されたサスケの拳を避けるのが手一杯にしか見えない。 でも、表情が違う。 今だキバは強い光を瞳に湛え真っ直ぐサスケを見る。 サスケは困惑するように瞳が揺れる。 瞬間瞬間には、キバを睨んでいたりするのだが、それでも表情は何かに怯えるように揺れる。   「もう、終わりだっ!」   キバが遠くにすっ飛ぶ。体が地面に当たって跳ねる。 それでも、腕が動く、足が動く、ふらふらになりながらも、キバが立ち上がる。   「・・何言ってやがる。・・・そういえば・・・お前・・ヒナタの試合見てなかったな・・・・。  まだまだだぜ。  オレは、あいつらの強さを守るっ!!」   再び繰り返される、殴り合い。 キバはその度に飛ばされそして立ち上がる。 そしてサスケも少しずつ傷ついていく。   徐々に、サスケ瞳の揺れが大きくなる。 そして、目の前のキバがフラフラになりながらも、また立ち上がった。 サスケの瞳が閉じられ、口元が小刻みに震える。   「千鳥っ!」   キバが泣きそうな顔になる。 そして、千鳥が目に入らないかのように、一歩一歩ふらつきながらもサスケの前に進む。   「サスケ・・・・。」   キバが一歩進む。 サスケが千鳥を発動しながらも、一歩後退する。   「泣くなよ。」 「泣いてないっ!」   キバがもう一歩進む。 サスケが目を見張る。足が動かなくなったかのように痙攣する。   「お前を苛めてるみてぇじゃねぇか・・・・・。」   キバがもう一歩進む。 サスケが首を振る。   「なぁ、オレはまだお前より弱ぇけど、それでもあいつらが居るっていうだけで、あいつらが頑張ってるってだけで、ここまで頑張れるんだぜ?  なぁサスケ、お前もオレが守ってやる。  だから、泣くな。」   サスケの目から涙は出ていない。 それでも、キバの目には、サスケが泣いているように見えた。   「・・・・っ!!」   サスケが、今だチチチと鳴っている右手を振り上げる。 キバが困ったような顔で笑う。   「オレはお前も守る。  だから、しっかり前を見ろ。」 「うあぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっ!!」   サスケがキバに向かって掌を振り下ろす。 キバは表情を変えずに少ない動作で避け、サスケの鳩尾に深々と拳を叩き込んだ。   「・・ちくしょうっ!・・・・マジ訓練しねーと、誰も守れねー!!  くそっ!オレって口先だけじゃねーかっ!!」   倒れこんできたサスケを右腕で支えていた。 しかし、膝が抜ける。   「死ぬ気で頑張んな。  その気持ちを忘れなければ、なんとかなんだろ。」   顔を上げると、楽しそうに笑っているゲンマが居た。 キバの手からサスケを拾い、キバを抱えていた。   「皆を守れるようになれる?」 「あぁ、何だったら追加訓練でもすっか?  いくらでも遊んでやるぜ。」   ゲンマは、ひょいと二人を両肩に担ぎ上げて言う。 キバがぶんぶん頷く。 泣いても訓練やめねーからなと言いながら、ゲンマが笑う。   「ご苦労さん。  サスケに伝わってるといいな。」 「・・・・・う・・・ん。」     【End】    




 


    あぁ、またもや毒吐いているなぁ(゚゚ ) つか、本誌設定ならOKだけど、約束シリーズ設定だと問題あるかなぁ(゚゚ ) だって、ナルト3才までは一応幸せ家族いたもんなぁ(゚゚ )。 まぁ、ナルトが言っているわけじゃないし。 キバだし・・・いいやぁ(;^-^)>   という事で、今度はキバが書きたくて書いた物です(^O^)/ キバいい子や(/_;) チョージとは違う路線でいい子やぁ〜(/_;) あたしん中では、一生涯ヒナタ片思い設定イメージのキバ君ですが、大丈夫です。<何が? キバはいい男になるよヾ(〃゚ー゚〃)ノヾ(〃。。〃)ノヾ(〃゚ー゚〃)ノヾ(〃。。〃)ノうん。   そして、青春の王道をまい進するような、内容ですんません。 リーじゃなかったのが残念('';)<おい。 まぁ、さすがに殴りあった後で仲良く笑うなんつー世界はなかったね。良かったい。 あ、キバサスなんてカケラも考えていませんから。<言うまでもないかヽ(´ー`)丿     【04.11.23】