【幸せ追求させろ隊〜生贄ネジ編〜 2】 「狸寝入りはだめだってばよっ。」 ナルトがネジを寝台に放る。 「すまない・・・・起きるきっかけをなくしていた。」 しっかりと足から着地したネジがナルトを見上げ、丁寧に頭を下げてきた。 ナルトは頭をポリポリと掻いて、少し頬を赤くして言う。 「あのさー、ネジってオレより年上だろ? それに一応中忍試験の同期じゃん。 そんな丁寧に接っするのって変だってばっ!」 ネジは、そんなナルトの言葉に小さく微笑んでから、真面目な顔になる。 「それでもお前達がオレの師になる事には変わりがない。 ・・・・・それにナルトも話し方が変だろ?」 「・・・・・う〜〜試験時そうしてたっけ?忘れてた〜。 どうせ、狸寝入りの時にバレバレだよなぁ・・・・分かったネジの前では普通の話し方する。 でも・・・・・表のオレと全然違うからな。あれを期待しても出てこないぞ。」 不思議そうな視線がネジから帰ってくる。 それが分からなくて、ナルトも小首を傾げる。 「全然変わった気がしないが、言葉使いが少し違うとしか感じられない。 もっと変わるのか?」 「・・・・分かんない。変わらない?・・・・う〜ん・・・・・う?あっ!」 考え込んでいたナルトが突然ネジに近寄る。 気を失っても変化をしたままというネジを評価していたが、いたる所から血が滲んでいた。 「ネジっ!怪我っ!」 ナルトが荷物から用意してあった薬を取り出す。 一つ一つ傷の具合を確認しながら軟膏を付けていく。 「シカ容赦ないなぁ・・・・ま、この程度で押さえたシカの技量を誉めるべき? それともネジがちゃんと避けて、この程度にした?」 「・・・・シカマルを誉めるべきだな。 オレがお前に集中しようとすると、必ずクナイが飛んで来た。 よく、これで済んだと思う・・・・・。」 ナルトに向かってクナイを投げる。 何一つ当たらない。 全て寸前で躱される。 しかも、ナルトにクナイを向けようとする度に、どこからかクナイが自分に向かってくる。 気がつくと、目の前にクナイがあり、辛うじてかわすのが精一杯だった。 全速力の走りを強いられる、変化が解けないよう維持し続ける、白眼を使えない。 ただ、白眼を使わない分、チャクラに余裕があったはずなのに、いつ来るか分からないクナイの為に、気を張り続けなければいけなくなった。 目の前を走るナルトからも目が離せない。 気がついたらナルトの肩の上だった。 ナルトやシカマルとの距離は気にならなかった。 木の葉のトップと比べても仕様がない。ただ、いつかは追いつく、それだけだった。 しかし、自分のあまりな不甲斐なさに歯噛みする。 寝る間も惜しむ必要を感じた。 「ネジ・・・・あのなぁ、焦る必要なんかないって。 オレ達は・・・特にオレは普通じゃないから。 オレは、理由はなかったけど、死にたくなかったから、こうなるしかなかった。 シカは、こんなオレとの約束を守る為に、死に物狂いに強くなってくれた。 ネジが強くなりたいのなら、絶対にオレ達が強くするから。 木の葉の里に帰るまでには絶対に強くするから。 だから、無理するのも駄目だし、焦るのもだめだ。」 ナルトの言葉に分かったと頷く。 ただ、ナルトの言いかたが気になった。 自分を救ってくれた者に相応しくない言葉。 「ナルト・・・ナルトは、こんなではないだろう? どうしてそんな言いかたをする? お前はオレに言ったはずだ。 上には上があるかもしれないが、下も多く居ると。 不幸に酔うのは馬鹿だと。」 ナルトは驚いて、目を見開く。 ネジは、この任務の最初と変わらない様子で、落ち着いた瞳を自分に向けている。 あの、中忍試験で対峙した時とは嘘のように静かに自分を見つめ返してくる。 ナルトが花が開くように、笑う。 笑みが広がる。 ネジっこれからもよろしくっ!と抱きついた。 その時、ネジの目の前でドアが開かれた。 ネジと白髪ロン毛のおっさんと長い黒髪の奇麗な女性とそれぞれ目が合う。 「どういうこ・・・・ナルトっ!」 白髪のおっさんこと、さっきまで鼻の下を伸ばしていた自来也がナルトを見つめたまま硬直。 長い黒髪の女性は部屋の中を見て、一瞬目を見開くが、すぐに半眼になる。 変化を解き、扉を閉め、自来也の影を支配し、結界を張る作業を一瞬のうちに済ませる。 シカマルが立っていた。 聞く暇がなかったが、さっきナルトの肩の上で聞いた痴話喧嘩。離婚がどうのこうのと言っていた二人。 たぶんそういう仲なのだろう。そうするとこの態勢は問題があるかもしれないと、ぼんやりネジが思う。 そして、不思議そうに未だネジを抱きしめたままのナルトがシカマルに手を振る。 「シカ、早かったねー。 で、この結界は?自来也とまた戦うのか?」 シカマルがニッコリと笑う。 表情としては、楽しそうに、嬉しそうに、しかし目が全然笑ってない。 「お前とだ。」 「へ?」 「早くこっちへ来いっ!ネジから離れろっ!」 やっぱりまずかったかと、ネジはナルトの腕から離れる。 しかし、このまま放っておくわけにもいかず、シカマルに話をしようと口をあけたとたん、シカマルにネジは黙ってろと先制攻撃された。 どうしようかと悩んでいたら、おっさんが呆れ声でシカマルに文句付ける。 「シカマルっ!お前らが喧嘩するのはいいが、ワシを自由にしろっ!」 シカマルがチラリと自来也を振り返る。 少し考えた後、自来也とネジを一ヶ所に集め、囲むように小さな結界を張った。 「そこから自力で出ようとすると、楽しい事になるからな。 大人しくしてろよ。」 今だににこやかにに話すシカマル。 しかし、自来也の背中に冷たい何かが流れる。 全然笑っていない目が恐かった。そして視線は氷点下だった。 シカマルがナルトに振り向く。 「オレ、さっき言ったよな、オレはお前以上に我慢できねーって。 そういう事だから、大人しく殴られろっ!」 「なっ?!!全然わからねーよっ! しー!ちゃんと言えよなっ!!」 ナルトは真剣に訳がわからなかった。 とりあえず、目の前のシカマルが凄く怒っている事だけは分かる。 しかも自分に対して。 言われた通りに、大人しくシカマルを部屋で待っていた。 それにも関らず、何でこんなに怒られるんだと、ナルトも一気に戦闘態勢。 結界の中に大型台風2つが暴れはじめた。 「はー・・・・なんだかのー。」 大型台風を見て、自来也ため息。 そして、困った顔のネジを見、心配するなと一言添えてから、ネジの肩を軽く叩いた。 ネジの変化の術が解除される。 「・・・白眼・・・日向家のものか・・・・。 お前は、ワシが何で連れてこられたか知ってるかのー?」 「日向ネジと申します。」 とりあえず、外の台風は自分ではどうする事も出来ないと諦めた。 ネジは自来也に頭を下げ、指令書に書いてあった事と、二人から聞いた事を順を追って話す。 自分達が囲まれた結界の外は相変わらずの暴風雨。 はでな音をBGMにネジは淡々と説明する。 「面倒じゃのー。なぜワシが綱手探しに付き合わなければいけない?」 そう自来也がぼやいた時、突然結界内に巻き物が現れ、自来也の手の中に落ちた。 自来也は、呆れたように結界の外で痴話喧嘩中のシカマルを見上げる。 「まったく・・・・あいつの頭はどんな構造になっておるかのぉ。 あのナルトと喧嘩しながら、この結界のチェックまでしておるのか・・・・・。」 「あの・・・・聞きたい事があるのですが・・・。」 「何かのぉ?」 「あの二人はどちらが強いのですか?」 自来也は、あのナルトというように言った。それだけならナルトの方が強いと思える。 しかし、シカマルは、そのナルトと戦いながら、この結界をチェックしていると自来也は言った。 自来也の言葉が分からず、口が自然と開いていた。 「まぁ、力だけならナルトだろうのぉ。 しかし、シカマルにはあの頭がある。 あのナルトと戦っていてなお、こちらの結界の様子も処理出来る。 そして、ナルトには決定的な攻撃を与えさせない。 まぁ、ナルトがシカマルをとことん攻撃出来るわけもないのだがのー。 たとえ、攻撃出来たとしても、ナルトは勝てないだろうのぉ。」 なるほどと思った。 強いというのは、力だけではないのだと理解した。 ネジはありがとうございますと自来也に一礼し、シカマルとナルトの戦いを真剣に見つめた。 これも訓練の一環として。 自来也は、出てきた巻き物を開く。 三代目からの指令書だった。 目の前の3人と行動を共にし、綱手捕獲の手を貸すようにと記されてあった。 又、逃げた場合は、ぬけ忍扱いとすると止め付き。 自来也の顔が盛大に曇る。 じと目になった自来也が諦めて続きを読む。 そこには、綱手に伝える事が記されていた。 なるほど、そういう事だったのかとニヤリと笑った。 綱手は六代目の繋ぎである事。 その間の準備をする為の火影という立場である事。 これは面白いと、三代目の掌で遊ぶ事になるだろう事だけが腹立たしいが、そんな事が気にならないぐらいの餌だった。 六代目に向けて里を変革しようとしてると書面は言っていた。 「お主は、まだ下忍か? なぜ、あいつらと一緒に居るのかのー?」 ネジが見つめていた戦いから目をそらし、自来也をまっすぐ見る。 「あの二人は、オレの師です。」 ネジは、木の葉の里を出る時の三代目が号令を出した、集会について話す。 自来也はなるほどなと、口の端を上げた。 既に六代目を迎える為の準備が始まったらしいと、心の中で頷く。 ただ、なんとなく自分の直感が、これは三代目だけが考えた事ではないと囁く。 自来也は、結界の外で未だ戦っている二人を見る。 三代目は、この二人に甘かったからのーと苦笑しながら呟いた。 よっこらせと立ち上がる。ワシも一応三忍と呼ばれているからのーと、結界を触る。 シカマルの言っていた事が気になったが、通常の結界として、無理矢理内側から解除してみた。 何事も起らず、奇麗に消えうせる結界。 ちっ脅しかよとぶつくさ文句を言いながら、戦っている二人に近寄る。 両手にチャクラを集める。 二つ作るのはしんどいのーと呟いて、一気に二人めがけて螺旋丸を放つ。 当然二人共、自来也の行動に気づいてはいた。 ナルトは、速攻で同じ螺旋丸を作り相殺し、シカマルは鈍く光ったクナイを使い、丸く集められたチャクラをクナイで吸い込んでしまった。 そして、二人は自来也に対峙する。 自来也は半眼になって二人を睨む。 「お前らの・・・・いい加減にせい。 ネジが困っているぞ。 ったく、夫婦喧嘩なんか、自分達の家でしろっ! ワシを巻き込むなっ! で、ナルトは原因が分かったのかのー。」 ナルトの頬が膨らむ。 「分からねーっ!」 「シカマル、まだ言ってないのか・・・・ったく言えないのなら怒るな!餓鬼っ!」 その声で、目の前で起った事に未だ目を奪われていたネジが復帰する。 「ナルト・・・・シカマルはお前が遊郭に行く事は我慢出来ないと言っていたな。 つまり、自分以外の者にお前が触れるのも、触れられるのも我慢出来ないという事ではないか?」 こんな淡々と説明されると余計恥ずかしさが込み上げてくるもので、シカマルもネジの言葉に頭を抱える。 率直な説明するなーと心の中でシャウト。 しかし、ネジの言葉に未だナルトが小首を傾げている。 「シカマルが入ってきた時に、お前はオレに抱きついていた。」 あ・・・と小さく声を上げる。 そして、真っ赤になるナルト。 「い・・・・い・・・・言えばいいだろ〜〜〜!!!」 「い・・・・・い・・・・言えるかぼけぇ〜!!」 真っ赤になった二人に気合の入った拳固が落ちてくる。 「お前らの喧嘩の原因はそれかのー・・・・・。 今度ワシが居る時に、痴話喧嘩したら、ガマブン太の餌にするからの。 覚えておけ。 ワシは隣に部屋を借りる。 今夜は飲み屋のちゃんとしたおねぃちゃんと一緒してるからな。 邪魔はしないでもらおうかのー。」 変化したシカマルに騙されるとはのーと未だぶつぶつ言いながら自来也がドアを開ける。 「わーったよ。 頼んだ。」 シカマルは、自来也の顔を見ずに掌を振った。 【続く】
うちのネジって・・・・・なんか変。 真面目?ボケ?・・・・・なんかようけ分かりません。 つか、二人を信じているらしいのはいいのですが、対応がなんだかなぁとf('';) シカ、怒ってます。つか、嫉妬ッスね(・o・)b うんうん、可愛い(゚゚*) ところで、自来也は二人を知ってるようです。 当然その出会いはどうなったんだ?という疑問もありましょう。 実は、それが挫折した準備小説でありまして(;__)_ 一応、アカデミー終わり間近に出会っております。 ・・・・1/3は書いたんですけどねぇ・・・・そのうち日の目を見れるように天の御啓示を待っている次第でございます。 ・・・・・す・・・・すんませんっm(__)m^^^^ 【04.09.09】