【幸せ追求させろ隊〜生贄ネジ編〜 1】     木の葉の里を後にした5分。 もう木の葉の門も見えなくなった。   「ネジ、変化。  だいたい10才上載せな。」   そう言って、シカマルが突然青年になって現れた。 同じく横を歩いていたナルトも20前半ぐらいの青年に、そして髪の毛は黒く長くなった。 ネジは目を一瞬見開き、少し考え変化をする。 シカマルとナルトに合わせたのか、黒髪を不揃いの短髪ににし、前髪を垂らしていた。   「こんな感じでいいのか?」 「お!格好いいってば。」   面白そうにネジの周りを一周したナルトが、ネジの背中をポンポンと叩く。   「白眼のままだと、ばればれだから、目に色付けて、額あても外す。」   チラリとネジを見たシカマルがしっかりチェック。 ネジが分かったと言って、目を黒く色づけ、額あてを外した。   「何の為に変化をするのだ?」 「あぁ、これから子供じゃいけねー所に行くんだよ。  ま、お前には何もさせねーから安心しとけ。」   何でもない事のようにシカマルがさらっと話す。 ネジは、子供に行けない所は、飲み屋だろうと推測する。   「シカっ!今回はオレがやるっ!  オレだって幻術そこそこに上手いってばっよ!」 「あー?だめに決まってんだろっ!  お前は酒場でネジと情報収集。」   ネジの前で突然二人が睨みあう。 ナルトはこの間の中忍試験で負けたばかり、技量も自分より遥か上だという事が分かっている。 そして、前座と称しながら、そのナルトと対等に戦っていたシカマルも自分には勝てないだろう。 その二人の険悪な雰囲気をどうしたものかとネジは考える。 しかも、何を言っているのかも分からなかった。 とりあえず、疑問を解消しようと、シカマルに話しかけた。   「幻術を何に使うのだ?」 「へ?・・・あぁ・・・・・遊郭で情報収集する時の基本術。」 「綱手様は遊郭にいらっしゃるのか?」   ネジの記憶が確かならば、綱手様というのは女性だったはず。 男性客用だけでなく、女性客用の遊郭もあるのかとしばし考え込んだ。   「ネジ・・・・お前ちょっと間違った方向に考えが行ってると思うぞ。  まず、オレ達は自来也つぅ〜おっさんを探す。  そのおっさんが綱手の事に詳しいから、探すのを無理矢理手伝わせる予定。」 「自来也ってのは、すっげぇ〜スケベだってばっ。  だから、遊郭とか、女の人が居る飲み屋で探すんだってばよっ。」 「・・・・分かった・・・が、シカマルはオレより年下だったな?  そのような所に行ってはいけないだろう。  オレが行く。」   シカマルとナルトがきょとんとした後爆笑した。 ネジは笑う所だったかと不思議そうに二人を見る。   「ネ・・・ネジ・・・・お・・・お前っ・・・・無理っ!ぜってー無理っ!」 「ネジ・・・・・・し・・・心配しなくたって、シカは慣れてるってばっ!!」 「慣れている?」   未だ笑い転げている二人を訝しげにネジは見る。   「あぁ・・・・オレは、諜報活動とか結構行くから。  そんときにいくらでもな。」 「・・・・・そのような事をオレに言っていいのか?」   シカマルの言葉は只の下忍じゃなかったと言っているも同然。 そして、シカマルが嘘をついているようにも見えなかったネジはシカマルを心配そうに見る。   「へ?・・・・ナルト・・・・お前言ってねーの?  てっきり、バラしたと思ってたぞ。」 「え〜っと、九尾の事は言ったけど・・・・他は言ってない・・・ってば。」 「そんで、そんな話し方してんのか・・・・ま、いいや。  オレ達は・・・・そんなもんだ。」   さっぱり説明になっていない。 それでもネジは一つ頷いて、分かったと言った。 そして改まって二人の前で頭を下げた。   「シカマル、ナルト、今回の任務の間の訓練をよろしくお願いする。  その時に、幻術も教えてもらいたい。  いくら慣れているとはいえ、子供がそのような場所に行くのは良くないと思う。」   ナルトは、目を見開いて、そして嬉しそうに笑った。 シカマルは、内心の嬉しさを表には出さなかったが、心の中で合格と一言。   「ネジ、幻術は後だ。  とりあえず、残った連中に抜かされねーよーオレ達が十分鍛える。  木の葉のトップ二人がお前の面倒を見るんだ、オレ達に恥をかかせるなよ。」   ネジは目を丸くして、楽しそうに自分に笑いかけてるシカマルを見る。 木の葉のトップと言った。 一応日向という名の元で育った自分は、多少なりとも暗部の噂を聞ける立場にある。 今、木の葉のトップと言ったら、日食と新月という名前があげられるだろう。   「さすが、日向家ってところか、オレ達の名前知ってるみてーだぞ。」 「そっかぁ〜オレ達って有名?」 「一応ビンゴブックには載ってるからなぁ。名前だけだけど。」 「じゃぁ、それにさ、ネジの名前も載っけちゃおう!」   既にネジに背を向けて、さっさとシカマルとナルトは歩き始めている。 ネジは慌てて後に付き、ビンゴブックまで載らなければいけないのか?と律義に質問する。 再びシカマルとナルトは爆笑する。 ネジって・・・・すっげぇ〜おかしいってばっ!とナルト。 お前天然!絶対天然っ!なんか中忍試験前のお前が嘘みてーと、シカマルがネジの首に腕をまわしてゲラゲラ笑う。 シカマルが怪訝そうなネジの顔を見上げる。 前髪に隠れていた呪印がチラリと見えた。   「忘れてた。  ナルト、ネジ押さえろ。」 「は?!!」   気がついたらネジは地面の上に、見えない何かに押さえつけられていた。 驚いてナルトを見ると、大丈夫だからと言われた。 これから何が始まるのだろうと、自分の上に伸し掛かっているシカマルを見上げる。   「それ、邪魔だろ?  とっちまおうぜ。」 「何か邪魔なモノがあったか?」   この状態で、慌てる事もなく、真面目に聞き返してくるネジ。   「額の飾り。いらねーだろ?」   そう言って、シカマルが印を切り始める。 シカマルの掌に集まったチャクラを不思議そうにネジは見ていた。 鈍く光った掌がネジの額におかれる。 ネジは、熱くはないのだなと思った。   「解。」   ネジの額の印が、何も無かったように消え失せる。 努力したかいがあったよなーとシカマルがナルトに言い。 ナルトが、ネジのカッコ良さ、10割り増しだってばっとにっこり笑った。   「呪印を解除したのか?」   呆然と目の前の二人を見上げる。   「おう、日向家にそれの説明本があったおかげで、楽に解除出来た。  普通だったら、相手を壊す可能性大だもんな。」   うんうんと横でナルトも頷く。   「本家に忍び入んだのか?」 「夜中ちょこちょこっとね。  シカが、ネジの額はあんなもんない方がいいだろって。」 「ヒアシの頭の中を再び記述する以外、もうあの術の方法は残ってねーから。」   いらねーだろ、あんなもんとシカマルが掃き捨てるように言う。 燃やしちゃったとナルト。   「すまない・・・・・手間をとらせてしまった。」 「や、いいって。  ネジが立派な暗部になって、オレ達がのんびり余生暮らせればいいから。」   ネジが困惑する。 余生とか、のんびりとか・・・・木の葉のトップが何言っているのだと眉間に皺をよせる。   「オレ達は、働きすぎなの。  ほんの餓鬼の頃からずっと暗部してたんだよ。  いい加減引退して、のんびりしてーじゃん。」 「・・・・・・トップの座を守らなくてもいいのか?」 「全然。ネジって、そんなの欲しい?  オレ、そんなの大事なもんじゃないから、いらないってば。」   あっけらかんとナルトがニコリと笑って言う。   「他に大事なもんてねーの?守らなくちゃいけねーもんとか。」   なるほどと思った。 これから、この二人について行くのには、考え方も一から直さねばと思った。 ナルトとの試合で、色々なモノが見えてきたように感じた。 しかし、まだまだ足りない。 この二人から色々学ばなければならないと改めて思う。 そう、自分にだって、守りたいものがあるのだから。 ネジは、そうだなと小さく呟いて、立ち上がった。   ナルトとシカマルは、そんなネジをニヤニヤしながら見つめる。 さぁ、やりますかとシカマルはクナイを取り出した。   「ナルト、お前はネジより少し早い程度の早さで逃げろ。  ネジはナルトを追いかけて、クナイで攻撃。  当てろ。  オレは気配消して気が向いた時にお前にクナイを投げる。  絶対当たるなよ。  それから、白眼は禁止。変化も絶対解くな。    ナルト、ネジ、行け。」   当ててみなと、ナルトが楽しそうに笑う。 ネジは一拍遅れて、ナルトについて行く。 シカマルは、クナイを指でぐるぐる回しながら、一言メンドくせーとぼやいてから走った。       「ここに居るっていう情報はいつの?」 「・・・・・3日前だからなぁ・・・・・もしかしたら、次に移動しちまったかも。」 「で、しーがやるの?」   気を失っているネジを肩に担いだナルトが膨れっ面になる。   「当然だろ。オレはお前にやらせるつもりはねーよ。  つか、やったら即座に離婚を考えるからな。」 「・・・・・むぅ〜それずるいっ!  オレが同じ事を言っても、しーは聞かないじゃないかっ!」 「仕方がねぇよなぁ。オレ書類関係全部把握してるし?  お前がいくら離婚届出しても受付ける気はねぇし。  諦めろ。オレは、お前以上に我慢出来ねーんだよっ!」   もうシカマルはナルトを見ていない。 顔を見せられないから。 それでもうっすら赤くなった耳を見て、ナルトが苦笑する。 ずるいと心の中で叫ぶ。そんな台詞貰って、そんな様子見たら文句が続かないじゃないかと。 それでも背中に向かって、一応捨て台詞。   「ネジが起きたら、近くの飲み屋に行く。  適当に帰ってこいよ。  じゃないと、ネジの前でお前に押し倒されるからなっ!」   シカマルが訳わかんねーよとぶつぶつ文句を言う。 そんなシカマルを残してナルトは、さっさと宿屋に足を向ける。 どうもネジが狸寝入りしているようだ。 説明がメンド臭いなーとシカマルみたいな事を思った。     【続く】    




 


    いや〜んVv嬉しいっ(゚゚*) やっとネジだよ。ネジにぃさんだよ(゚゚*) くぅ〜書きたかったんだよぉ〜。くぅ〜潤うなぁ〜o(≧▽≦)o   という事で、生贄ネジ編です。 あはは、絶対一話じゃ終るわけもなく。別途扱いにしました。 本編の3扱いです。(ファイル名もhappy31.htm〜という感じですし(・o・)b) ただなぁ。副題に偽りあり?なんかネジって素直に生贄にならないというか、 態度が素直すぎて、いまいち生贄らしくないというか・・・・困ったf(^-^;)     【04.09.09】