【幸せ追求させろ隊 補1.8】     「これが報告書です。」   明け方近く、最後の任務が終った。 火影の前には、ハヤテ風味の凛。   「うむ、ご苦労じゃった。」 「では、これで」   凛が火影に一礼する。   「凛、お主に話したい事があってのぉ。  もう少し、ここに居なさい。」   火影が静かに微笑む。 急用な話があったかと、凛は悩む。 どちらかと言えば、この仕事量をどうにかしてくれと言いたい自分の方が話たい。   「お主には上忍になってもらう。  よろしいな。」 「なっ?!!・・・・それはお断りしますと以前より言っていたはずですっ。」 「凛・・・・話を全部聞きなさい。」   火影が静かに凛を諭す。   「イルカ・・・・お主は大蛇丸の襲撃に対する木の葉をどう思った?」   ほんの数ヶ月前の事だ。 忘れようにも忘れられない。 自分が大切にしてきたものが、全て無くなるかもしれないと思ったあの焦燥感。 あの時、生徒を自分の分身に任せ、里内に潜伏していた敵を屠っていた。 負けるわけにいかないと思った。 自分一人で全てをどうにか出来るとも思わなかったが、それでも出来る限りの敵を屠る事を自分の命とし、銀線をずっと操っていた。   予想より多い敵。 試験会場には、ナルトとシカマルが居るから大丈夫と思っていた。 ただ、里の中に居る仲間は、それほど多くはなく、そしてあの二人のように安心して任せる事も出来なかった。  仲間が一人二人と倒れていく。 まるでたちの悪い夢のように。 しかし、それは現実で、叫びだしそうになった。   そんな時、目の前に巨大なガマが現れる。 あぁ、自来也様がいらっしゃると、子供みたいに安心する。 そして、再び敵に銀線を向けた。   「・・・・・・不安でした。  全てを失うかもしれないと・・・・・恐かった。」   火影は目を閉じてイルカの声を聞いていた。 そして、再び開いた瞳は、とても老人とは思えない強い光を湛えていた。   「イルカよ。  準備が整い次第、お主には特別上忍、上忍達の指導をしてもらう。  お主の生徒全員が半年後にはお主と共に戦える事を望む。  そして、お主にも今まで以上に強い心を持つ事をワシは望む。  ・・・・・イルカ・・・・・頼んだぞ。」   目の前に居るのは木の葉の里のトップを行く者。 そして、木の葉の全てを懐に入れられる者。 火影が静かな笑みを湛えていた。   イルカは膝を付き、頭を垂れ、御意と一言。 そして、立ち上がり再び頭を下げてから、イルカはかき消えた。         「・・・・・・じじぃ、壷売るの得意だろ?」 「ナルト何を言ってるのじゃ?  全てワシの本心じゃよ。」   さっきとは全く違う火影がそこに居た。 目の前に居る子供と変わらない、悪戯ッ子のような表情を浮かべている。   「イルカ先生・・・・・大丈夫かなぁ?  オレすっげぇ〜イルカ先生の将来が心配っ。  なんか、家に帰ったら大量の壷がありそうっ!」 「大丈夫じゃろ。  表のイルカはしっかり者で通っている。」   あれでしっかり者っ?!だったらオレの方が、百倍もしっかり者だってっ!と、ナルトは呆れ顔。   「で、用事はなんじゃ?」   イルカが来る少し前に、ナルトが火影の執務室に来ていた。 イルカの気配に気づいたナルトが、オレ隠れてるからと楽しそうに気配を消してしまって、なぜここに来たかも聞けなかった。   「あ、書類は全部上がったから。  後は、しーとハヤテが仕上げてお終いだって。    じじぃ!オレ達全員、徹夜で死にそうだから、明日いっぱい休ませろvv」   徹夜のせいで、少しくたびれてはいたけど、極上の笑顔付き。 火影は仕方がないのぉと、笑う。 シカマルも、この効果を考えてナルトを寄越したに違いない。 それが分かっても、抵抗出来ないナルトの笑顔。 相変わらず里最強であった。   「イルカ先生が、オレ達の分まで任せておけって言ってたから、あと一日ぐらい大丈夫っ!」   何が大丈夫なんだかと火影が呆れる。 やっぱり、イルカの家には壷があるかもしれぬと火影は思う。 今度確認しなければと家庭訪問を決意した。     【End】    




 


    くすくす。相も変わらずイルカ先生が生贄です。 なんか、生贄っていう自覚がないあたりがお素敵ですっ! で、壷買ってるでしょ?つか、あるでしょ?いくつあるか言ってみ?と聞きたい。   まぁ、極悪二人の掌の上ですからねぇ。 仕方がないかもしれぬf(^-^;)     【04.09.14】