小さなベッドにすやすや寝ていた赤子が、驚いたかのように目を開く。 そして幸せそうに微笑んだ。     生まれた… 一緒の時が始まる     赤子の表情が、突然曇る。何も知らぬ赤子とは思えぬ、悲痛な面。 しかし、泣き声はあがらない。   何だ?この禍々しい気配は? どうして、あいつの気配に混ざっていく? ……………今度もだめなのか? いつもいつも、あいつは悲しく辛い運命の元に産まれる。 いつか幸せな運命があいつの元に訪れたら、自分はそれを見て消えようと思っているのに。 また同じ運命を見なければいけないのか?   今は動けない。 ただの赤子では何も出来ない。 ここは、どのような世界なのだろうか? 早く知らなければ。 ……辛い運命ならば、それを変えられる自分に…今度こそ…手を差し伸べる。   二年…いや、あの気配はあまりに危険すぎる。 一年で、動ける立場になるとしよう。 そう自分の頭の中には知識がある。 そしてそれは、この世界でも変わる事は無い。     どの時でも…どの宙でも…どの世界でも…変わる事を祈って…  −プロローグ−     「金色の髪と蒼い瞳の子供は、どこだ?」   三代目の首筋に突然現れたクナイ。いまだ気配は何一つ感じないのに、クナイを握る白い指先が見える。   「誰じゃ?」 「控えていた忍びは、全員寝てもらってる。  問いに答えろ。」   何一つ表情の無い声が三代目の頭に直接響く。   「心話…そしてこれほどの気配の消しよう…お主は誰じゃ?  儂は、名のらぬ者に話す言葉など持たぬ。」   三代目は口を閉ざし、クナイを気にすることなく煙管を咥える。 漂う煙を見つめたまま、何一つ動く事のない気配を待った。   「…オレは、お前が信用できない。  あの子供によって救われたはずの里人が、吐き出す言葉や態度を放置しておくどころか、助長させているような行動するお前を信用できない。」   ため息まじりに煙が吐き出される。 三代目は苦々しい表情を浮かべていた。   「お主は、何を知っておる?」 「人の口に登る唾棄すべき音。  封印された本に書かれた、悲しき事実。」   火影執務室から、音が無くなった。ただ煙管から流れる煙だけが時間の流れを感じさせる。 その中で焦れた様に、ほんの僅か、火影という名を持つものでさえ捉えるのがやっとの針の先ほどの気配が揺れた。   「言え。」 「儂はお主が信用できぬ。  顔も見せず、声も出さぬ、素性も分からぬ。  そのお主が、あの子に害を成さないとはとても思えぬ。」   また少しの間、静けさが部屋に満ちる。   「なら、先に違う問に答えろ。  お前は、あの子供に害を成すのか?それとも守るのか?」 「お主は、儂の言葉が信じられぬと言った。  たとえ、儂がナルトを守ると言って、お主は信じられるのかのぉ?」 「………分かった。  お前は、ここの最高権力者だ。もし味方になるのなら、一番の者。  一時だけでも、お前を信じよう。」   クナイを首筋に当てられても、それを意識もせずに煙管を咥えた。 見えない自分に声を荒げる事も無く、淡々と言葉を紡ぐ。 そして、ナルトという名前を紡いだ時、僅かに滲み出る憐憫と愛情を感じた。   三代目の前に人影が現れる。   「お主はっ?!………シカク…?」   現れた人物は、木の葉の上忍奈良シカクそのものだった。 ただ、纏う雰囲気があまりにも違った。そして顔には、傷も髭も無かった。   「違う。  これは十数年後のオレ。名前は奈良シカマル。」 「何を言っておる?  シカマルはシカクの息子、未だ赤…っ?!」   不審を露にした三代目の目の前に、変化が解除される音と煙が立ち昇る。 そして、床の上には小さな赤子が座り込んでいた…冷え冷えとした瞳のまま。   「これでは、話も出来ないだろ?」   シカマルの声が三代目の頭の中に響く。 再び変化の術が発せられる。   「これで、一応オレの素性は信じたか?」 「……いや……」   三代目は目を見開き、小刻みに震えていた。 いくら才能のある忍びでも、未だ歩くのがやっとと思える赤子が、術を使い、大人と変わらぬ言葉を操るのは不可能。 何か、とてつもない意思を感じ、背後を薄ら寒く感じた。   「お前には、長い話を聞いてもらう。  全ては無理だが、それでも長くなる。  それを全部聞いてから、先ほどの問いに答えてもらおう。」    




 

  はいはい、一応木の葉の話でした。 これを踏まえて、素晴らしくパラレります。<こんな言葉があるか? 管理人の趣味爆裂の世界が展開します。 ので、元ネタを知らない方は気にせず続きを、元ネタ知ってらっしゃる方は、ニヤリと笑いながら各種パラレルな世界をお楽しみ下さいまっせ(^-^)さぁ、始まるよ!