◆頭のいいヤツって、頼られるもんだろ?…うん  

  突然目の前に現れたるは、黒いマント(酷く趣味の悪い雲柄入り)を纏った、金髪ロン毛のにぃちゃん。暁と呼ばれる組織の一人、デイダラ。 彼は、シカマルの目の前でしゃがみこみ、その黒い瞳を覗き込んでいた。   「あー?」 「お前は、頭がいいんだよな…うん。  だから、教えろよ」   正体不明じゃないけど、敵は理解不能な物体だった。     ◆頭のいいヤツって、頼られるもんだろ?…うん   「シカマル〜、いるってば〜?」   勝手知ったるシカマルの家。ナルトは、お邪魔するってばよの一言で、堂々と進入する。 そして、もう一人の侵入者と目があった。   「…………あーーーーーーっ!!」 「九尾じゃん」   チラリとナルトを見た後、もう用事は無いとばかりに、再びシカマルを凝視する。     「教えて欲しいんだな。うん」   デイダラは、シカマルの服をひっぱりながら、それ以外の言葉を語らない。 頭がいいんだから、それで分かるだろうという態度。 シカマルは深々とため息をつき、ナルトを手招きした。   「これ、だれだ?」 「暁のぉ〜……っと…お前、だれだってばよ」   デイダラの口が、への字になる。   「お前なー、旦那がオイラの名前呼んでるの聞いてたよな?」 「……………忘れた…」 「あー、いい。名前なんかいいから、やっぱり、これは暁のヤツなんだな?」   敵と和んで会話をしているナルトに、シカマルの頭痛が加算されていく。   「よくない。  デイダラ。いい名前なんだな。うん!」   得意げなデイダラに、頭痛への加算が加速する。   「んで、何だよ?何が聞きてーんだ?」 「一つ目は、イタチの好みなんだな」 「はぁ〜?」 「ほら、イタチって無口だからさー、どういうヤツが好みか知りたいんだな…うんVv」   少し頬を赤く染めたデイダラが不気味。 そして、不気味度は、デイダラの顔の横から降ってきた声に、レベルアップする。     「おい」   怪訝そうに、シカマルとナルトは、不気味声の方向に嫌々顔を向ける。 デイダラの耳の上には、「蠍」と一文字入った髪飾りっぽいもの。 ここにサクラが居れば、間違いなく一撃で粉砕するだろうブツだった。   「オレの話を忘れてるぞ」   その髪飾りが、微妙に動きながら、堂々と声を出していた。   「えー、旦那ぁ〜オイラの話が終わってないじゃん。まだだめなんだな、うん」 「オレの方が、切羽つまっている。手前は遠慮しろ」 「むぅ〜オレだって、切羽つまってるんだな。それに、旦那はこのまんまでも構わないじゃん」   IQ200を超えても、理解不能な…いや理解したくない会話が続く。 シカマルは、暁ってどんな団体?と思いながらも、自分が戦った相手は真っ当だったなーと、遠くを見始めた。 こんなヤツらに殺されてたら、アスマも浮かばれないって所だったと、変な安心をする。 そして、ナルトは凝視していた。 酷く凝視していた。 見つめる先は、その妙な物体。 必死になって、頭を回転させて、ようやく思い出したとばかりに、ポンと掌を叩いた。     「サソリだよなー!生きてたんだー」 「あー?」 「ほら、オレん所の班と、ガイ先生の班で砂に行った任務があっただろ?  そんときの敵だったってばよ」 「なんで…旦那の事は思い出せて、オイラを忘れるかなー」 「手前の技が、いまいちだったんだろ?」 「優雅に空を飛んだオイラの方が、カッコいいじゃん。旦那はばばぁにやられたんだな…うん」   デイダラは横目でサソリらしき物体を睨みつけ、その物体は怒ったように暴れる。   「あのよーあんた達、敵だろ?何、木の葉で和んでいやがる?」   あ、そうかと、シカマルの言葉に居住まいを正すのはナルト。 居住まいを正すのも違うだろ?と、シカマルは思ったが、面倒だったんで、スルー。 それよりも、小首を傾げて、何でって顔している、デイダラの方が大問題。   「だって、オイラ、教えて欲しいだけなんだな。敵とか関係ないんだな…うん」   しみじみと頷くのも、間違い。 シカマルは、この超異次元感覚の相手をするのが、嫌になってきて、とりあえず話しを聞き、さっさと帰ってもらおうと結論づけた。   「イタチの好みなんか知らねーぞ。  ってか、そんなのは、大蛇丸のとこに居るサスケに聞け」 「えーーー、木の葉の方が近いしぃ〜、お前頭がいんだろ〜!」   ぶーぶー膨れる相手に、気力を奪われる。 敵と和んでいるのも変だし、その敵に、まったく馴染みの無い人間の事を聞かれるのもどうかと思う。   「それ関係ねー」 「…サスケの好みなら、ちょっとは知ってるってばよ?でも、あの兄弟似てないもんなぁ」   なぁと、顔を向けられても、自分は名前しか知らない相手、返答不可能。 シカマルの頭痛は加算しすぎて、桁が凄い状態になってきた。   「とりあえず、それでいいや。サスケの好みって何?」 「トマト。すっげートマト好きだってば」   なるほどとデイダラは、懐から取り出した雲柄メモ帳に書き込んでいる。 暁支給品か?と、シカマルはつっこんでもしょうがない、頭痛の加算原因になりそうな事を無意識に思う。   「あんた、大蛇丸の居場所しらねーの?」 「うーん、知ってるけど、めんどくさいから、こっちに来たんだな、うん」 「木の葉は弱いし、簡単に進入出来るからな」   暁の二人に、好き勝手な事を言われる。 シカマルは、五代目〜と心ん中で叫んでいた。 しかし、ナルトは、目の色を変える。   「どこだってばよっ!」 「何がー?」 「大蛇丸ん所だってば!」 「んーお前、行ったら即死だな。間違いないな。うん」 「うるさい!うるさいってばっ!教えろっ!!」 「手前は九尾だ。それを大蛇丸に渡す訳がないだろ。  そのうち誰かが手前を殺しに来るから、大蛇丸の所に行く必要はない」 「なっ……シ、シカマルっ!絶対教えてやるなってばよっ!こいつら、感じ悪っ!!」   膨れっ面のナルトは、デイダラとサソリ(感じ悪いというか、敵だし?)を指差す。 シカマルの頭痛は進行しすぎて、飽和状態。 この状況を処理しないと、己の平穏は訪れないと、諦めのため息をついた。   「んで、他の質問は?」 「シカマル〜だめだってばよー」   頭痛解消の為、ナルトの言い分は無視。   「この体を修復できる技術を持っているやつを教えろ」     頭のできなんか、関係ない。そんなのは、自分で探せと言いたい。   「デイダラ…イタチの事が知りたいなら、一日中張り付いてろ。嫌でも分かる」 「えーそんなの芸術的でないだろ〜」 「……関係ねー!イタチの事が知りたいんだろ?観察が一番だ」 「美しくなーいー」 「んじゃ、他に方法があんのか?」 「…………………分かったんだな…うん…んで、観察結果をここに持ってくる。解析してVv」   ニッコリ笑顔で言われても、そんなもの了承なんかしたくない。   「自分で解析するのが、愛ってもんじゃねーのか?」   愛も方便。言葉も使いよう。   「愛っ!そうなんだな…うん!」   とりあえず勝ったように見えたシカマルだったが、この助言により、イタチの恨みを買うのは将来の話。 あるいみ、負け?   「サソリ、砂に行け。木の葉に、そんな技術はねー!」 「カンクロウに聞けばいいってばよ」   敵に、カンクロウが、そんな話しをするかどうかは不明。 不明どころか、速攻戦いになるのが、みえみえ。 そして、怒っていた割に親切なナルト。 大蛇丸の居場所は、自力で探すってばよと、前向きに燃えていたりする。   「ってことで、帰れお前ら」   シカマルの掌が、シッシと振られる。   「砂経由で帰れ」 「えーーっ、旦那酷い〜、オイラ、直ぐにでもイタチにひっつくんだな、うん」 「だったら、イタチにオレを付けろ。その後、砂にイタチを連れて行け」   デイダラは、わが意を得たりと、ニンマリ猫のような笑みを浮かべ、立ち上がる。 シカマルの前まで来て、再び顔を覗き込んだ。   「次もよろしくなんだな、うん」 「はぁ〜?」 「お前は、頭いいんだろ?次もよろしくなんだな」   にっこり笑顔で言われる言葉に、シカマルの顔が引きつる。 全然勝ってなんかいない。敵は、とことんずうずうしかった。   「何言ってるんだってばよっ!イタチに告白するんだろっ!  そしたら、デートとかで、忙しくなるってばっ!」     びっしっ!と、デイダラを指差す態度は男らしいが、言ってる事がドベ。 しかしシカマルは、そのおぽんちな意見に乗る事にする。 ナルトの横で、一生懸命肯いた。   「そ、そっか〜Vv」 「オレは暇だ…」 「サソリも、彼女を作ればいいってばよ」   にっこり笑うナルトを見た髪飾りは、なるほどと、ぴくぴく動いた。   「それじゃぁ〜なぁ〜。おいらの幸せを祈って欲しいんだな〜うん!」 「頑張る…」   なにげなくやってきた敵は、シカマルに多大な疲れを残し、ナルトに熱意を与え、嵐のように帰っていった。                 ◇◆◇                 「早急にお願いします」 「…う、うむ…」 「言われたままで、いいんですか?」 「た、確かにそうだがな……」   シカマルは、火影執務室で、五代目を睨んでいた。   「木の葉は、大蛇丸の所みたいに、小さくないんだよ」 「ナルトが死んでいいんですか?」     暁の正当な狙いはナルト。 ナルトファンの五代目にとっては、とーーても、大切な事柄。 五代目は、速攻前言を気合入れて撤回した返答を返し、とりあえず一息をつく。 しかし、シカマルは手を休めなかった。 ナルトの事は、ほっておいても、五代目が何とかする。 しかし、自分はとなると、激しく怪しい。 二度と敵の侵入をさせないよう、数々の本をひっくり返し、父親まで巻き込んで、自宅のまわりに強力な結界を張った。   とりあえず、自分さえよければ、後はどうでもいい、疲れたシカマルだった。   -End-  

     

  えー今回の話は、素敵漫画サイト「デンキヒツヂ」様に激しく感化されています。 もー感化されているどころか、私にとって、デイダラや、サソリは、デンキヒツヂさんの所が、正当になりつつありまして…あはは…。 管理人様にご連絡できなくて、無断な感化なのですが、どなたか連絡できる方がいらっしゃいましたら、「いつも楽しんでいます。設定お借りしました。ありがとうございます」とお伝え…下さいm(__)m   んで、何でこの話かといいますと。 Lukeさんからのリクで、暁というのをもらったからです。 りゅりゅLukeさん、これでいい? わ私ね、お馬鹿話しか……作れ……なひ…げぼげぼっ。 Lukeさんの大好きな二人がへっぽこで、すんません。 気に入ってもらえる事を祈っておりますです。   素敵絵もらっちゃったヨ。こんなに幸せでいいの?幸せすぎて、ごろごろです〜Vv ということで、TOPからリンクしちゃうヨVvうふふふふふVvみんなも堪能してねVv ついでに宣伝。Luke殿の素敵絵シカマルが堪能出来る、本の在庫まだあります。

  07.01.15 未読猫