「本当にそれが、貴方方の意思なんだね? 後悔はしない?」 「しない。 これが俺とジェクトの意思だ。」 あの時、俺は迷いもせずに言った。 たぶんジェクトが側に居たら、同じ言葉を綴っただろう。 【俺様ンち 9−3】 「なんだよぉ〜。 俺様は無駄な時間を使ったってことかよ。」 ふて腐れたジェクトが目の前に居る。 当然だ。 祈り子に会う為に長期休暇を取ってまでビサイド島に行っている間に、祈り子はジェクトの家に来て、俺に詳しい話をしていった。 無駄足と言わざるえない。 「ただ、お前がビサイドに行かなかったら、祈り子はここに来なかっただろうな。」 「くそっ、あの勝気君の野郎〜!!」 「はは…奥方に会ったのか。」 思い出される、ブラスカと奥方との会話。 最初は仲良く、落ち着いた恋人同士と思っていた。 それが、すぐに違うと分かる。 包容力のあるのは、奥方。 その豪快で優しい腕の中に、あのブラスカが身をゆだねていた。 穏やかな空間だった。 そして、強い絆だった。 奥方を無くしたブラスカは、いつもどことなく不安定に見えた。 それでも、あの性格がそれを良しとせずに前を見続ける。 今ならそれが、間違った方向だと言える。 しかし、ただ奥方を失って悲しむのでなく、ユウナの未来の為にと立ち上がった姿に心を奪われた。 それが、たとえ自身を失う事であったとしても、その心の強さにひかれた。 そしてもう一人、強き心をもつ男、見知らぬ異国で自分を見失わず最後まで自分の意思を貫き通す。 その男が目の前で、再び強き心を持って動き始めていた。 「おめぇの事だから、あの夫婦の楽しい話の一つや二つ知ってんだろ? 教えろ。 あの勝気君、ティーダに毒持ちすぎ。 確かにユウナちゃんは可愛いがよぉ。 ティーダを失う俺らの方が何倍も不幸だぞ。」 どちらも気合の入った親馬鹿…自分はユウナもティーダもどちらも見ていたせいか、ジェクトの意見もブラスカの意見も受け入れられない。 二人が一緒に幸せになるなら、自分は素直に嬉しいと思う。 「俺、長期休暇取っちまったけど、無駄だったか?」 「そうだな…今ユウナ達は、スフィアに写っているのが誰だか分かった程度だそうだ。」 祈り子からスフィアの意味から、ブラスカの意図、そしてユウナの現状を詳しく聞いていた。 それを、そのままジェクトに話す。 「シューイン…クソ腹の立つっ!」 「安心しろ、ユウナ達が動いているという事は、そのうち当人と会えるという事だ。」 「おめぇ…怒ってんだよな?」 「当然だ。」 祈り子にシューインの話を聞いたとき、死んだ事も忘れ無意識に幻光虫を剣に変えていた。 自分はただ見ていただけだったが、それでも子供達が見つけた新しい未来を無にする行動が、許せなかった。 祈り子が静かに自分の剣に手を添える。 『大丈夫、ユウナも、リュックも、パインも、それを許さないよ。』 祈り子が、ニッコリと意味ありげな微笑を自分に向けた。 「当人と会う時には、祈り子も一緒したいそうだ。」 ジェクトが口の端をあげる。 「俺の分も残しておけよ。」 「あぁ〜たぶん大丈夫じゃねぇの?」 シューインの意識がなくなる前に、俺が速攻で切り刻まないと楽しめそうにもないな。 仕方がない、素早さを上げる訓練でもするか。 「なぁ、お前は当分どうするんだ?」 「お前は?試合生活に戻るのか?」 ジェクトが一瞬考えるように視線を漂わせてから、静かに視線を俺に戻す。 「戻るぜ。特にビサイド・オーラカ戦は絶対はずせねぇなぁ。 朝の訓練メニューも増やさねぇといけねぇし………だろ?」 真っ赤な瞳が優しく物騒に輝く。 なるほど、後どれだけ時間があるか分からない、伝えられるモノは全て伝るという事か…。 「俺は、ティーダと遊ぶ時間を増やすとしよう。 剣と体術はいくらやっても、あの世界では足りないという事は無いしな。」 俺は立ち上がり、台所からグラスを取ってくる。 無言でジェクトに投げると、昼っぱらからいいのかよと言う声。 「これが最後だ。 俺は当分禁酒でもしようと思っている。」 真っ赤な液体をジェクトのグラスに注ぐ。 「へぇ〜じゃぁ俺様も参加ってことで、慣れてっしな。」 ジェクトが瓶を横取りして、俺のグラスに酒を注ぐ。 「次に飲む時は二人だな。」 「あぁ…旨い酒が飲めるといいな。」 重なったグラスが小さい音を立て、酒は一息で無くなった。 【続く】
ははは、短いなぁf(^-^;) さぁ〜次は、ティに話してもらって…その次で終わるか? いやいや、前も予言して大はずれしたじゃないか。 ということで、相変わらず先行き不透明ということでm(__)m<おい 【05.02.28】