【俺様ンち 2】
 

「ティーダ!」
「・・・・」
「ティーダ!起きろっ!」
「ほぇ?」
「起・き・ろっ!」
「おやじ?・・・朝?」
「おめぇ寝起き悪ぃな。ほら出かけるから支度しな。」
「今何時ッスか?」
「あぁ?何時でもいいから支度しろっ!」

無理やり起こされて今海ッス。
まだ太陽出たばかりッスよ〜。寝てぇ〜〜。
まったくこんな早くから軽く朝練だ!ってなんだよ?

「おめぇその格好で大丈夫だな。とりあえずあそこに見える岩まで泳ぐぞ。」
「は?」

それってすげぇ遠くに見えるあの岩か?

「体慣らしだからのんびりでいいからな。」


***

・・・俺生きているよな?いやここは異界だから、何て言えばいいんだ?
あれから何キロ泳いだ?その後にダッシュ&ストップやら、筋トレやら。
これって朝から軽くやる練習じゃないだろう?

「おめぇ、もう少し体力付けねぇとだめだろ?ほら、もっと食べて使った分の補給しろって。」
「おやじ・・こんなの毎朝やってたのか?」
「当たり前だろ?これぐらいしなくちゃキング様を維持できねぇじゃねぇか。」
「おやじって練習嫌いじゃなかったのか?」
「人前でやるのは嫌ぇだったな。練習しなくても出来るってやつが格好いいじゃねぇか。」
「見栄っぱり。」
「うっせぇなぁ。それより、徐々に練習量増やすからな。おめぇ体力なさすぎ!もう少し筋力も鍛えろ!」
「う〜ッス!」

あまりに身に覚えのある指摘すぎて、言い返せない。
さすが、キング様か・・・おやじあの練習の後も全然平気だもんなぁ。
朝メシ作れないほどへばっていた俺の代わりに、御飯作って・・・
くっそぉ〜意地でも体力つけるっ!おやじには負けねぇッス!

「俺ちょっと寝るからよぉ〜。おめぇどうする?」
「朝おやじが起きている所見たことなかったのってこのせいか?」
「さすがにな。眠ぃ〜おめぇも寝るかぁ?」
「俺ここでいい〜。」

ブラスカさんが用意した寝室・・・何考えているんだ?あのおっさん。
寝室にすげぇでっかいベッドが1つ・・・
普通さぁ、俺の部屋にベッドを1つ、おやじの部屋にもう一つって二つ用意しないか?
なんで、17にもなっておやじと一緒に寝なくちゃいけないんだよ!

「うわっ?!!」
「さぁ〜愛しのおぼっちゃま、一緒に寝ようや〜。」
「俺ここでいいっって!!」
「なぁに照れているんかね?うちのぼっちゃまは〜。」
「降ろせぇ〜!!」

なんで俺がおやじにお姫様抱っこされなくちゃいけないんだよっ!!

「あばれると落すぜぇ〜。」
「おやじ悪ふざけしすぎっ!」
「悲しいよなぁ〜。俺様は愛しい息子を大事に大事にしているだけなのによぉ〜。」
「俺、もうそんな歳じゃないだろっ!子離れしろってば!」
「10年居なかったんだからしょうがねぇだろ?子離れは10年後にとっておくからよ。」

また!その表情ずるいってば!本当にいいお父さんに見えてきちゃうだろっ!

「まぁとりあえず一ヶ月の予定だからよ、付き合え。」
「一ヶ月だけだからなっ!」
「はははは。分からねぇなぁ〜。」
「おやじっ!」


***

「おやじぃ〜昼みひゃいだよぉ。」
「あ〜〜〜?」
「寝過ぎスぅ〜。」
「う〜〜〜〜。」

おやじ・・明け方あんなにすっきり起きてたのに・・二度寝したら・・・
あ、そうか、昔も寝起き悪かったもんなぁ〜。
二度寝の寝起きが悪かったんだな。

「腹へったぁ〜。」
「あ〜〜〜。ルカ散策ついでにメシにするか。」

ふぅ〜んルカの街って微妙に違うなぁ〜。
やっぱり実際住んでいる人の個性が出るのかな?
俺達は今広場にあったオープンカフェで軽い昼飯を食っている。
ルカってやっぱ大きい街だよな。スピラではだけどさ。
いろいろ店があって楽しいよな。

「今のルカってこんな感じか?」
「へ?・・あぁ微妙に違うッス。」
「俺が知っているルカとも違ぇんだよなぁ。これって、全部幻光虫で出来てるのかね?」
「俺もそうなのかな?」
「幻光虫ってなんかすげぇな?」
「うんうん」

なんかこんな他愛ない会話が楽しいって変・・・だな。

「おめぇのそれ美味そうだな。」
「欲しいッスか?」
「あ〜ん」
「・・・おやじ・・・勝手に食べろってば!」
「おめぇに食べさせてもらいたいんだから仕方がねぇじゃん。」
「普通親が小さい子供にする事だろっ!」
「ほぉ〜。じゃぁ〜口あけな。俺の食べさせてやるよ。」

おやじには世間の目が見えないのか?
そんな親子いないッスよぉ〜!!

「俺は自分で食べれるっ!」
「おめぇ、親がやることだって今言っただろ?ほら口開けろ、あ〜ん。」

小さい子供にだってば!さりげに言葉削るなっ!

「絶対やだっ!」
「じゃぁ俺に食べさせろよ〜。」
「どっから『じゃぁ』が出てくんだよっ!」
「おめぇ男のくせに細けぇなぁ!」

って言って無理やり俺の手操作するなぁ〜!!

俺の手が、勝手におやじ育てしてるっ!いやだ〜〜〜!!
無理やり手を外そうとしたけど、びくともしないって、おやじってどれだけ握力あるんだっ?!

「むぅ〜〜〜〜!!!」
「おめぇ〜ちゃんと『あ〜ん』って言ってくれなくちゃだめだろぉが。」
「お・や・ぱくっ?!!」

口開けた瞬間に肉が飛び込んできた。

「あ、『あ〜ん』って言うの忘れた。」
「・・・・おやじっ!!!!」
「一ヶ月は付き合うって言ってたじゃねぇかよぉ。」
「おやじが拗ねてもかわいくないっ!」
「確かにな、おめぇならさぞかわいいだろうな〜。」

・・・なんかいやな予感ッス。

「おめぇ、拗ねる時ってどゆう時だぁ?」

俺に直接聞くなよ・・・

「知らね!」
「ちぇぇ〜。あ!アーロンに今度聞こうっ!」
「アーロンがそんな事話すわけないだろ。無視されるのがおちッスよ!」
「おめぇ、アーロンと10年も一緒に暮らして何見てたんだぁ?」
「へ?」
「おめぇのアーロンってどんなやつ?」
「え〜〜落ち着いていて、家事上手で、すっごく優しくて、怒るとすっげぇ恐い。」
「おめぇ俺が撮ったスフィア全部見たんだろ?」
「あれは驚いたッス。全然違うよな。」
「あれが地だぞ。今もたぶん変わってないぜぇ〜。世話好きで、心配性で、直情型な所。」
「あ、分かる分かる〜。アーロン何かあると、一人で突進していくもんなぁ〜。後先考えてないっていうの?」
「あいつは・・・すっげぇ〜優しいからな。守る者の為なら突き進んで行くのさ。」

友か・・さすがアーロンがそんな風に言ってただけの事はあるんだな。
おやじがアーロンを語っている時、すげぇアーロンと重なる。
アーロンがおやじの事を話していた時、とても大事そうに大切そうに語っていた。あの姿に。

「うん、アーロンらしいね。」
「だから、あいつは教えてくれるさ。聞き方を間違えなければな。」
「むぅ〜〜〜〜!!!」
「おまえさぁ、アーロンと暮らしてた時の話してくんねぇ?」
「あ、俺も聞きたいっ!おやじの旅の話っ!」
「なら、これから毎晩少しずつお互い話そうや。」
「楽しみにしてるッス!」

若い頃のアーロンとブラスカさんとおやじの旅の話、楽しみだな。
あ!おやじが一人でアーロンに会わないよう気をつけないと!
からかわれるネタいっぱいありそう・・・いや、ある・・・
口止めしなくちゃ!

【end】
 


らぶらぶ?(゚▽゚;)えっと・・・普通の親子のほのぼの小説ってはずなんだけど・・・
らぶらぶらぶ?(゚▽゚;)
決して恋人同士にする予定はない・・・はず・・・なんだけど・・(゚▽゚;)
今回アーロン名前だけ・・・ちぃ〜と淋しいのぉ〜(;_;)って、タイトル的に出てこないだろうってば