【俺様ンち 1】
 


最後の戦いが終り、俺はみんなと別れて飛空挺から飛び降りた。
ブラスカさんとさっき異界送りされたアーロン、そしておやじが俺を迎えて・・・あれ?

「?」
「どうしたよ?」
「俺消える予定だったんだけど?」
「それなら俺も消える予定だったけどよ、シンだったせいかね?」
「説明する人が来てくれそうになさそうですね。気にせず、異界ライフを送ったらどうですか?」

うわぁ、そんないい加減でいいッスか?ブラスカさん・・・

「ブラスカは、ビサイド島か?」
「あぁ、今は妻と二人で過ごしているよ。アーロンはどうするんだい?」
「俺は、ジョゼ寺院にある書庫が気になるから、ミヘン街道近辺に家を探す。」

アーロンって相変わらず本好きだなぁ。
俺はどうしよう?

「おめぇは俺様とルカだからな。ブリッツやるだろう?」
「ブリッツ出来るッスか?!」
「おう!さっきブラスカに聞いたぜ。チームもあるみてぇだからよ、入るよな?」
「うッス!」


***

今度はスタジアムで会おうと約束して、みんなと別れた後、おやじと二人っきりになった・・
何話せばいいんだ?

「当分家はあれだから。いこうぜ!」

ここルカだったのか?
で、目の前に見えるあの家が俺の家ッスか?

「家がもうある?」
「おう!ブラスカが用意してくれたみてぇだ。」
「消える予定だったのに?」
「あいつ・・何か知っているみてぇだな。ま、素直に説明とかしてくれるやつじゃねぇから、
 異界ライフを楽しむしかねぇな。」
「ユウナのお父さんだよな?」
「おう、ユウナちゃんは、いい子だったろ?」

なんか、『は』がすごく強調されているのが・・・

「あぁ・・」
「父親に似なくて良かったよなぁ〜」
「ブラスカさんってどんな人?」
「・・・迂闊なこと言って、バハムートに新居を壊されたくねぇよなぁ・・・」

そ・・そんなにやばい人?!
ユウナよかったな、お父さん似じゃなくて・・・
そんな事思っていたら、もう家の前。
ふ〜ん。海に近いんだ。いい所だな。

「中身もあるって言ってたから、コーヒーでも用意してくんねぇ?」
「あぁ、いいッスよ。」

おやじにコーヒーを入れる。なんか変な感じ。
うわぁ〜食材やらなんやら色々用意されている。これ・・・後で請求される?
バハムートが請求に来たら、いやだなぁ。

「おやじ、砂糖やミルクいるのか?」
「いんねぇ。」
「じゃ、これ」
「お、ありがとよ。」

ありがとう・・・おやじからありがとう・・・
すげぇ変な感じ。

「おめぇも座れや。」
「あぁ」

感じのいいリビング。ベージュのソファーが置いてある。
おやじの前に座って顔を見たら・・?・・・真面目な顔?

「あのよぉティーダ、すまなかったな。悪かった。ごめん。」
「へ?」

おやじが謝っている?俺に?

「アーロンがこっちへ来て最初にした事なんだか分かるか?」
「アーロンが?・・・分からない・・」
「真っ先に俺に征伐をぶつけて来やがった。」
「なんで・・?」
「俺の子育てについての感想とおまえに謝れと。
 シンの中でがんばってた俺様に挨拶もなしだぜぇ。
 あいつがそれほど怒るって事は、俺が全面的に悪いって事でよぉ〜。だから、すまなかった。」

再びおやじが俺に頭を下げる。

「もう・・・もういいッス。俺言っただろ。あんたの息子で良かったって。もう分かっているから。」
「でも、けじめは付けねぇとな。
 でよ、おめぇチームに入るの一ヶ月待ってくんねぇ?」
「は?」

おやじの話の展開について行けない。一ヶ月?

「一ヶ月俺と一緒に親子してくんねぇ?」
「はぁ?・・一ヶ月後はどうなるんだ?」
「忙しくなるだろ?俺もおめぇもどっかのチームに入って試合生活するんだからよ。」
「それって、一ヶ月間おやじとゆっくり親子するってことか?」
「おう!いいか?」
「いいッスよ。」
「それと、もう一つ頼みがあるんだけどよ。いいか?」
「何ッスか?」

今度はもっと緊張した顔?今日はおやじの珍しい顔ばかり見ている気がする。

「俺、おめぇと話すとあがるみてぇで、暴言吐きまくりみたいだからよぉ。
 思う事があったらその場で言ってくんねぇ?」
「は?」

あがる?おやじが?あのおやじが?・・・俺に??

「なんでぇ、その顔はよぉ〜」
「だって・・おやじが?あがる?俺に?・・・はははっはははははははは」
「こんのっ!」

おやじがテーブルを飛び越えてヘッドロックをかけてくる。

「うわっ何すんだよっ!」
「ん〜?聞こえねぇぜぇ〜。」
「馬鹿おやじっ!」
「俺様がおやじで良かったんだろ?」
「前言撤回っ!」
「前言撤回なんかさせてやらねぇ。俺、おめぇの事すっげぇ愛してるんだぜ。」
「ばっ!」
「おやおやどうしましたか?ジェクトさんちのおぼっちゃまは、顔が真っ赤ですよ。」
「だ・・大嫌いだっ!!」

俺が叫んだ瞬間におやじが俺を抱きしめる。

「そんな事言うなよ。俺、おめぇの事が大好きなんだからよ。」
「・・・」

そんな優しい表情で、そんな事言うなんて、反則だっ!

「おめぇ、相変わらずだなぁ。泣き虫。」
「うっさいなぁっ!」
「ま、お父様の胸ならいつでも貸してやるからよぉ。いつでも泣きな。」
「泣かない!」
「じゃぁ〜今日から、息子のティーダ君。よろしくなっ。」

昔のままのおやじだったら、なんとか対処できそうなのに。
今のおやじって、愛情全開放状態のおやじって・・・どうしたらいいんだ?
ま・・・ちょっとうれしいけどな。ちょっとだけだけどな。

そんなこんな、色々思っていたら、おやじがいない?あれ?
台所から料理をしている音が聞こえる??おやじ料理作れるのか?

「おやじ・・料理作れたんだ?」
「おめぇがちぃせぇ頃結構作ってやっただろうが。」
「へ?知らない。」
「冷てぇなぁ。ま、仕様がねぇか、おめぇがすげぇ小せぇ頃だったからなぁ。
 あ、おめぇ料理は出来るのか?」
「アーロンに仕込まれた。一人暮らしするなら覚えろっ!とか言われてさ。」
「そうか、あいつらしいな・・・・・・飯当番は、毎日交代だな。」

ん?おやじどうした?

「思う事があったら言えって言ったのはおやじだろ?なんだよ?」
「おめぇも立派なエースなんだな。」
「んだよ?」
「試合を取りまとめるにはチームメイトの気持ちまで分かって指示しねぇと、乱れが生じるだろ?
 そいうのをよぉ瞬時に把握出来ねぇとな。特に試合中にはそれが必要だろ?
 それが出来なきゃエースなんかなれねぇよ。」
「そうだけど?」
「俺はブリッツ仲間とか自分の女房とかは得意だったんだけどよぉ。
 おめぇの事になるとなぁ・・
 アーロンが俺より長い時間おめぇと一緒にいたのが羨ましいな。
 まぁ、あいつの方が父親らしいしよ。」
「馬〜鹿おやじ、そんなもんこれからいくらでも時間を重ねられるだろう?」
「かぁ〜〜〜うれしいこと言ってくれるねぇ〜。」
「うわっ!懐くなよっ!」

でかい図体のおやじに抱きしめられても、うれしく・・・ないことはないか?!

「料理出来たら持っていってやるから、あっちで待ってろや。」
「はぁい。パァパジェクト。」

げたげた笑うおやじ。
あの頃にこんな感じだったら良かったのにな。
でも今、これからずっとこんな感じならいいか。


【end】
 


あっしが書く小説でアーロンが、まったくわき役。というか名前程度っていうのって・・・
でもねぇ〜ジェクトも好きなんだよぉ〜。
ジェクトとティーダこの二人っていい感じだよねぇ。
だからといって×までは・・・さすがに勇気がないんで、俺様ンち。
ほのぼのファミリー小説ってところでふ。