「・・・・・・・・・ジェクト!・・ジェクト!」 煩いなぁ〜。俺はまだ寝てたいんだよっ。 「ジェクト!バハムートに起こしてもらいたいのですか?」 「!!」 「起きましたね。迎えにいきますよ。」 「ブラ・・スカ?」 「あなたは、私の顔を忘れるほど、呆けてしまったのですか?」 あ〜〜ブラスカだ・・・でも何だ?なぜこいつ怒ってる? 「ほら、アーロンもあちらに居ますから、さっさと来なさい。」 ブラスカに無理矢理引っ張られた。なるほどここが異界か。 アーロンもここに来たんだな。 でも俺を見ようともしない。あいつも怒っている・・・よな?何でだ?? 「ほら、来ましたよ。」 誰が? 皆が上の方を見ている。・・・・ティーダ?! 点を入れた時のように、勝利を勝ちえた時のように、 ティーダと手を叩きあって・・・そして強く強く抱きしめる。 「ティーダ!」 「お・・やじ?」 「おう!おめぇ偉かったな。良くやったぞ。俺はおめぇを誇らしいぜ!」 「偉くない!」 怒ったアーロンの声。 「ティーダ、おまえはザナルカンド遺跡の前に消える事を知ったはずだな?なぜ俺にそれを言わなかった!」 「アーロン・・・だって。」 「消えない可能性がある事を俺は知っていたんだぞ。」 「え?」 びっくりしたような顔をティーダがする。 消えない可能性・・な・・・。 アーロンが俺の顔を睨みながら言葉を続ける。 「ジェクト、俺が気がつかないとでも思ってたのか?おまえはあれだけの情報を俺に与えたのだぞ!」 「だって、おめぇこの間会った時、何も言わなかったじゃねぇか。」 「おまえが言うのを待っていた。でもおまえも最後まで言わなかったな。」 これが怒っている理由か・・。 「私もお二人に言いたい事があります。」 「おめぇに怒られる覚えはねぇよ。」 「ジェクト!あなたは、祈り子にアーロンを迎えに行ってくれと伝えましたよね? 私の気持ちに対してそれは、考えなしだと思いませんか? 私の謝罪や感謝さえも受付けずにあなたは、消えるつもりだったのですよ。 そして、ティーダあなたは、私の娘にも同じ状況を作っています。 まったく親子そろって馬鹿です!馬鹿!」 「ブラスカよぉ〜、俺雇ったのって、アーロンを一人にしない為だったんだろ?同じじゃねぇか。」 「私はいいのです!ここに来るのは最初から分かっていた事なのですから!」 おめぇ・・相変わらず自分の事は棚の上のほうに放り投げているのかよ。 「だいたいおめぇ俺に貸しがあるだろう?貸し返せよなぁ〜!」 「あれは次の日、御飯お代わりさせたので終わりです!」 おいっ!まじで御飯だけかいっ! 「祈り子からあなたの話を聞いた時に、アーロンからも伝言も受けました。 消えない可能性を作れないかと・・祈り子と二人でなんとかできないかと・・・。 私が天才だった事に感謝しなさい!」 「おめぇ相変わらずだな。」 「この貸しは大きいですよ。そうですね。あなたは祈り子でしたね。 家の掃除から洗濯まで召喚してやってもらいましょう。」 「そんな事に究極召喚するんじゃねぇよ!」 「・・・・・。」 「ブラスカさん。そのぐらいにしてあげて。アルテマは良くないよ。」 うわっ!ブラスカおめぇ、魔法唱えていたのかよ! 「おう、ご苦労だったな。おめぇは生まれ変わる準備しねぇのか?」 突然現われた祈り子に話を振る。 これ以上恐ぇ話をブラスカとする根性はねぇよ。 ブラスカの精神攻撃はエボン・ジュより恐ぇぞ。それってどうよ? 「僕だけ当分この異界に居る事になったんだ。ジェクトさんとアーロンさんがここに飽きて 生まれ変わる決心をするまで。」 「なるほどな、それで?」 「あなた達の祈り子が消える前に引き継ぎをしたんだよ。 でも・・ごめんね、ティーダ君。 君にいらない悲しみを与えちゃった。引き継ぎがちょっと手間取っちゃって。」 「ううん。でもいいのか?疲れたって言ってただろう?」 「大丈夫だよ、君ぐらいならね。それに君にはそのうちスピラに行ってもらうから。 僕が居なくても大丈夫なようにちゃんと生きてもらうからね。」 「できる?!本当に?」 「たぶん。ごめん、まだ絶対って言えないんだ。もう少し待ってね。」 「分かった。でも無理はしないでくれよな。」 「僕は、君とジェクトさんには返しきれない恩があるからね。気にしなくていいよ。」 「おやじに?」 「うん、後で直接聞いてごらん。君たちの全ての道を作ったのはジェクトさんだよ。」 「何言ってやがる。俺は伝言板を聞いてただけだ。何もしてねぇよ。 それより、俺達が飽きるまでってどういう事だ?」 「くすくす、相変わらず照れ屋さんだね。」 「俺は質問してるんだぞ。」 「くすくす。ブラスカさんと僕の案だよ。 貴方とティーダ君を消したくなかったから、僕がここに残る事にしたんだ。 もっといい案が出来たらまたどうにかするよ。」 「おめぇはそれでいいのか?」 「うん。今更少しここに居るのが延びたって微々たるもんだよ。」 「俺、アーロンと一緒に居るんだぞ?微々たるもんになるわけねぇだろう?」 「僕、あなた方が好きだから、一緒に居たいんだ。それじゃだめかな?」 「だめな訳ねぇだろう!」 祈り子のフードを外し、がしゃがしゃ頭をなで回す。 「アーロン、ジェクトは祈り子と浮気してるのでは?」 「ブラスカっ!愛しあってる二人に波風たてるなよなっ!」 「ほぉ〜愛しあっているのですか?本当に?何も告げず消えようとしていたのに?」 「そうだな、愛されてないな俺は。」 「アーロンっ!」 なんか背中をつつかれている?何だ?俺は今やべぇ状態に立たされてるんだよっ! 「おやじ?」 「なんだよティーダ!」 「アーロン・・・おやじと愛しあってるって??」 あ・・こいつに説明しなくちゃならねぇんだった。 「ティーダ、説明は後でじっくりしてやる、ちょっと待っててくれや。」 「ティーダ、この男は最低の馬鹿ですけど、ちゃんと話をしてくれるはずですから、 後でゆっくりお聞きなさい。 あなたは、スピラに戻るまでこの馬鹿と同じ家に住んでもらいますから、時間はいくらでもあります。 馬鹿で阿保でどうしようもない男ですが、今回の件に関しては、一番のすばらしい働きをしたのが あなたの父親です。一緒に暮らしてこの男を理解しなさい。」 「はい!」 ブラスカ・・・酷い形容詞が飛び交ってねぇか?こっちに来てから余計容赦のない性格になった気がするぞ。 まぁ、ティーダがにっこり笑って返事したから許してやるけどよ・・・。 「アーロン!」 「・・・・・」 「アーロン!!」 「なんだ。」 「こっち向けや!」 ちぇ〜向きやしねぇなぁ。しゃぁねぇ。 「おまえな、なんで俺が消えると思ったんだ? それこそずっと傍らに居るって言った俺の言葉信じてなかったんか?」 「何を言ってっ!」 お、こっち向いた向いた。つぅ〜か全員こっち向いたな。 「俺は、祈り子でシンだったし。エボン・ジュと10年も意識の取り合いをしてたんだぞ。 あの、召喚士としては最高レベルのエボン・ジュと・だ。」 「どういう意味だ?」 「俺、試してないけど、ブラスカより魔法上手いと思うぜ。」 「ほぉ〜。机上でしか知らない素人がそのような事言いますか。」 ・・・でもその邪悪なオーラが・・・勝てねぇつぅ〜か、こえぇよ。 「まぁな。でだ、俺はちゃんと努力したぜ。俺のままで有りつづけるようにな。 自分自身に向かってやるのにちぃ〜と心配だったけどよ。 祈り子が手伝ってくれたおかげで、今俺様はここにいるぜ。」 「そうか!それであんなに楽だったんだっ!」 「ふふん。」 「あなたを、ジェクトさんを引き継ぐ時に、僕、不安だったんだけど、随分すんなり貴方を形作れた。 あれは・・僕がやったんじゃなかったからなんだ。」 「いや、助かったぜ。おめぇの力は感じてたからな、素直に使わせてもらった。」 「もしかして、ティーダ君も?」 「おう、当然じゃねぇか。」 「僕、ティーダ君の時に引き継ぎが上手くいかなくて、彼を取りこぼしそうになったんだけど・・・ あれを全部集めてティーダ君にしてくれたの・・・ジェクトさんだったんだね。」 「俺の我が侭で振り回しちまったからな。罪ほろぼしってやつだ。 ティーダをスピラに戻す方法。俺も手伝うからよ。その時は呼んでくれや。」 「おやじ・・。」 「おめぇ・・・・泣き虫だけは直せ。しょうがねぇなぁ。」 ティーダの頭をがしがし撫でてやる。 「で、何か文句あんのか?アーロンとブラスカよぉ〜。」 ニヤっと笑って、二人に顔を向ける。 文句があるなら言ってみやがれってんだっ! 「すまなかった。ジェクト・・。」 「分かったぜ、アーロン。後はゆっくりベッドの中で聞いてやる。」 「っ!!」 当然だろうよ。何あわててんだよアーロン。 「で、ブラスカは?俺、謝罪とか感謝とかおめぇから聞きてぇなぁ〜。」 「むかつくぅ〜〜〜〜!!!!」 「おめぇ、そんな顔して、そんな台詞はいてもなぁ。」 「本当に、聡すぎますよ。いつかとどめをさしてあげますからね。」 「はは、おめぇらしすぎだ。で、俺達これからどうすんだ?」 「ジェクト、アーロン、ティーダはルカに家を用意してありますから。そちらに住みなさい。 ブリッツのチームもありますから、都合がいいでしょ?」 「ルカ?ブリッツのチーム?なんで異界にそんなもんがあるんだ?」 「さぁ?私に聞かれても知りませんよ。 ただ、異界はスピラと酷似しています。まぁ、全然変わらない生活が送れると思って下さい。」 「おめぇはビサイドか?」 「いいえ、最近引っ越しまして、私と妻もルカに住んでいますよ。」 「・・・・近所か?」 「徒歩1分ぐらいですよ。」 ・・・・勘弁してくれ。何かあったら魔法が飛んで来る距離じゃねぇか。 「祈り子、おめぇは?」 「僕は、ブラスカさんの所に居候です。」 「おめぇ、気をつけろよ。ブラスカの真似だけは絶対するな!」 「どういう意味ですか?ジェクト。」 「そのまんまだろっ!」 「大丈夫だ、ジェクト。奥方が一緒なら問題ないだろう。」 「アーロン!」 ブラスカがアーロンに怒鳴っている?珍しいもん見た。 いや、アーロンがブラスカに向かってこんな事が言うのが珍しいのか。 「どういうこった?」 「ふっ、ブラスカは奥方に弱いからな。奥方もブラスカの操作に手慣れたもんだぞ。」 「ブラ・・スカが・・・尻にひかれているのか?」 「あぁ。」 ど・・・どんな奥さんだっ?!! 「安心しろ。優しく穏やかな奥方だ。」 「でも・・ブラスカを尻にひけるんだな?」 「ははは、今度見てみろ。面白いぞ。」 「えぇ、ぜひ家にいらっしゃい。無事に帰せるかどうかは分かりませんけどね。」 邪悪だ。なんで、あんな奇麗に微笑んでんのに、こんな邪悪なんだか・・。 「ま、落ち着いたら行くからよ。とりあえず、家に案内してくれや。 もうのんびりしていいんだろ?」 「あ、待って、アーロンさん、戻しますよ。いいですか?」 「あぁ、お願いする。」 「戻すって?」 「成長続けたままにすると、アーロンさんの幻光虫に負担がかかちゃうんです。 だからアーロンさんを戻します。」 祈り子がアーロンの体に手を置いた。 うわっ! 「うわぁ〜アーロン!昔のアーロンだ!」 そっかティーダは一緒に成長して行ったから懐かしいんだな。 俺はこっちのほうが慣れているからなぁ。 「結構邪魔だな。切るか。」 青年の顔にグラサンを乗せたアーロンが髪を握ってつぶやく。 「Hしてるときに広がって奇麗なのによぉ〜。もったいねぇだろ?」 「切る。」 可愛いんだけど、さすがに10年の重みか、外見は若いのに雰囲気が随分落ち着いてやがる。 「別にいいけどよ。俺どんなおめぇでも愛してるから。」 「ばっ!・・・。」 「はいはい、いちゃつくのは家に帰って、ティーダが寝た後にして下さいね。鬱陶しいですよ。」 「おやじっ!恥ずかしいやつすぎっ!さっさと家に行くからなっ!」 はは、なんでティーダが真っ赤になるんだ? 「やきもちかぁ?大丈夫だぜ、俺おめぇもすげぇ愛してるからよ。ティーダ。」 「あぁ、俺もだ。おまえを愛してる。ティーダ。」 アーロンと二人でニヤニヤ笑ってティーダを見つめる。 真っ赤になって固まったティーダの手を取って歩きはじめる。 「うわっ!」 「ほらちゃんと歩けよ。」 「少しは落ち着いた行動を取れるようにしろ。」 俺とアーロンに手を取られたティーダがどういう顔をしていいか分からない様子で、すげぇ可愛い。 真っ赤なティーダを引きずりながら、ブラスカの後をついて行く。 ブラスカが白い屋根の家の前でとまる。 「あなた方はあちらに見える青い屋根の家です。ジェクト、アーロンお疲れ様でした。 では明日。」 まるっきり普通の挨拶。もしかして、感謝ってこれだけかよ、おいっ! 「あぁ、明日おめぇの感謝と謝罪を楽しみにしてるからよ。じゃぁな。」 ブラスカの顔を見ずに手を振って歩こうとしたら、背後にやばい気配。 「えぇ、私も明日が楽しみです。おやすみなさい。」 ・・・・明日生きてられるかね?あぁ、俺死んだんだからその点だけはでぇじょうぶだよな? 余計不安だけどよ・・・・・。 「ジェクト・・短い異界生活だったな。」 「・・・・やっぱし?」 「あの気配じゃな。」 「ブラスカさんって本当にユウナのおやじさんなのか?」 「だめだ、ティーダ。ブラスカが聞こえる範囲でそんなこえぇ話題しちゃなんねぇって。」 「・・・・・・・。」 うんうん。スピラに戻りたければ大人しく生きていかないとな。 「なぁ、おやじ。」 そう言ってティーダが耳打ちしてきた。 「おまえいい事言うな。」 ティーダと指で合図を取り合いながらティーダの案を実行する。 うんうん。お互いブリッツやっていて良かったよな。こゆ時便利だぜ。 「せっと!」 「ばっ!!ジェクトっ!」 折角俺様が抱っこしてるのに、怒鳴らなくてもいいだろうよ。 「なんだ?アーロン、動くと落ちるぜ。」 「これは、何の真似だ?」 「ティーダがよぉ〜。新郎は新婦を抱っこして新居に入るもんだってよ。」 「っ〜〜〜〜!!!」 「なぁ、ティーダ。これが普通だよなぁ?」 「当然ッス!」 あぁ〜あ、こいつ極上笑顔を乗せて・・・アーロンこうゆうの弱そうだもんなぁ。 「さぁ、俺達の新しい住まいだ。これから三人で幸せしていこうぜ!」 ふふん。俺様のらぶらぶな生活は異界でずっと続くぜ。 じゃあな。 【End】 |
ティーダ贅沢だっ!!!o(--#) ハスキーな声と渋い声二人に愛してるなんて言われてっ!うらやましすぎだぞっ!! ということで、いい加減なあっし的FFX解釈は無事完結しまひた(^-^;) じゃなくて、ジェクトさんの愛な話が終りました。 というか、異界なんで無限に続く?(^-^;) あぁ、ジェクトさんならきっと無理矢理無限に続かせてくれるでしょう。 エボン・ジュ以上ってことだね(^-^)b 各所で笑いに走りたかった所が大量にあるので・・<それってどうよ? 後のこの三人は番外編にてお会いできたらいいなぁ〜とか・・m(__)m<本当か?<無理っぽ?