【ジェクトのLove Story外伝1:ティーダの憂鬱】
 

・・・・俺は今家族?3人で異界に暮らしている。
あのシンを倒す旅の後で消える予定だった俺を、俺のままで異界に残してくれたおやじと、
夢のザナルカンドで一緒に暮らしていたアーロンの三人でだ。

おやじ・・・俺の一番嫌いだったやつ。
子供の頃は、会う度俺にいやがらせを言ってきたり、してきたりしたやなやつだった。
スピラの旅で知ったおやじは、子供に不器用で愛情深いおやじ。
でも夢のザナルカンドにいた頃の俺はあまりにも子供で、そんな事はまったく分からなかった。
つぅ〜か、あれを愛情だなんて、不器用だったなんて、どうやったら分かるんだ?
だいたい、試合中のおやじや、テレビの中にいるおやじをみる限り、どうして不器用だなんて思う?
ザナルカンド・エイブスのスターとして君臨してきて、
人々の口に登るブリッツの神としてのおやじが、不器用ッスか?なんだそれって感じッス。

アーロンから今回の件に関して聞いたおやじの実行力は、不器用からはほど遠いエースとしての手腕を見せつけられた感じ。
俺だって一応(はぁ〜おやじを見ていると一応としか言えないのが悔しいけどさ。)、
エースだったから、全体を見てその時に出来る最良の事を見つけ実行する。そして試合の勝利をもぎ取る。
当然の行動。
あの時のおやじの試合は、大切な人達を守る事、助ける事、救う事。そして最高の結果を出した。
愛する者の為に動けない場所からでもなんとかしようとするおやじの意思の大きさはすごいよな。

まぁ、ここまではいいんだ・・・で・・・これ誰だ?

「アーロン〜この間のシチューすげぇ〜うまかったんだよぉ。
 突然こんな時間に言われても大変だって分かっているけどよぉ。食いたいんだから、しょうがねぇだろ?」
「ジェクト・・明日作ってやるから、諦めろ!」
「だって、俺今日食いたいの。
 あれ食べるとすげぇ〜おめぇの愛情感じて食事がすげぇ〜幸せになるんだもん。」
「っ!・・・・・分かった。時間が掛かるぞ。大人しく待ってろよ。」

・・・もん?・・・・なんだそれ?つぅ〜か、おやじ子供?

アーロン。夢のザナルカンドで俺を育ててくれたおっさん。
とても厳しくて、とても優しかった人。母さんが死んだ後もずっと俺を見守ってくれた。
スピラの旅のアーロンは、俺と暮らしていた頃よりより無口で、ひたすらザナルカンドを目指していた。
それが導く者の役目だったと聞かされた今は、文句ないけどさ。
旅の途中でおやじの話をするアーロンを見る度、
やっぱりアーロンもおやじの為に動いていたんだとあの時は、そんな風に思ってちょっと落ち込んだ。
でもおやじの為だったけど、俺の事もちゃんと愛していたと言ってくれたからいいんだ。

アーロンとの事は、おやじから聞いた。そしておやじの記憶を見せてもらった。

「俺は帰る努力を放棄しちまった。すまねぇティーダ。おめぇは俺を恨んで構わねぇよ。
 ただ、あの旅の真実を知った時点で俺は、旅の仲間を選んだ。
 それに、こんな顔してるアーロンを残せねぇだろ?」

あの頃の暗く沈んだアーロン。そしておやじをまっすぐ見つめて自分の死を語るブラスカさん。
まるで、俺やリュック、ユウナを見てるようだった。
そして俺も選んだ。戻る事を諦めて無限の可能性を探す事を。
だからおやじを恨むわけなんかない。

うんうん。俺おやじを恨んでなんかいない。
ただ、目の前のらぶらぶな光景について行けないだけなんだ。
ここに居るアーロン・・本当にあのアーロンッスか?
俺と暮らしていたアーロンでも、スピラに居たアーロンでもない。
どちらかって言うとスフィアに映っていた昔のアーロンが一番近いかな?
今のアーロンは、おやじの奥さん化してるつぅ〜か・・・すげぇおやじに甘い。
アーロン、おやじに何か弱みでも握られてるんッスか?ってまじで思っちゃうほどおやじに甘すぎ。
それからアーロンって無口じゃなかったんッスね。
おやじと暮らしてるアーロンはとても良く喋る。つぅ〜か怒鳴ってる?
俺と一緒だった時のアーロンとは別人じゃないかって思うほど。
学校の友達の親に無茶苦茶アーロンはもててたんだよな。無口で渋〜い!とか言われてさ。
これ見たら幻滅するだろうなぁ〜。

「ジェクト!食べたかったら、だらだらしてないで少しは手伝え。」
「アーロンが、キスしてくれるならいいぜ。」
「・・・・・手伝わなくていい。」

あ、おやじがアーロンにキスしてる。
はぁ〜、こんな事を平気で見てられる俺って・・・・こんな状況に慣れちゃった俺って・・・。

「なんだ?ティーダ。おまえもキス欲しいか?」
「いっ!いらないッス!!」
「遠慮すんなって。」
「絶〜対いらっ・・・。」

俺・・・唇奪われた?!・・・それって親のやる事じゃないだろう?
いや、俺が知らないだけ?普通の家庭ってこんな感じ?
今度ルールーに会えたら聞いてみよう。一番ちゃんとした解答をくれるはずだもんな。
でも、それが普通よって言われたらどうしよう・・・・。

「おやじ!!!!!」
「なんだよティーダ。」
「こんなでかい息子にキスするのは変だろ!?」
「変なのか?」

・・・まじで答えてる?やっぱこれが普通なのか?俺が間違ってる?

「俺・・・いらないからな。」
「ティーダ、俺の事嫌ぇか?」
「き・・・・・嫌いじゃない・・・。」
「なら問題ねぇだろ?俺おめぇ愛してるしさ、オールOKじゃねぇか。」

これだ・・これが始まったッスよ。愛情の全放出。
これ言われたら俺、何も言えなくなっちゃうの知ってて言ってるだろ?

結局俺は、おやじが嫌いだったんじゃなく、母さんを盗られるのがいやだった子供な自分がいただけ。
そして、俺が分からなかっただけで(つぅ〜か、子供にあんな感じ悪い言い方して分かるか?)、
俺が喜ぶ事はちゃんと分かっていて色々してくれたおやじ。
それに気づいたから、愛してるなんておやじの口から言われるとだめなんだよなぁ。
それ、すげぇ〜ずるいッス!

「嫌いじゃないって言ったの俺は!」
「じゃぁ、おめぇ俺の事好きじゃねぇの?」
「っ〜〜〜〜!!!!おやじっ!!!!」
「顔が赤くなっていますよ。ティーダおぼっちゃん。」
「む〜か〜つ〜くぅ〜!!!」
「ティーダ。」

アーロンが手招きしてる。なん・・・っ!!!!!

「ご馳走さま。」

アーロンが・・・アーロンが・・・・あの・・・アーロンが・・・・
俺・・・アーロンにまで唇奪われちゃったッスか?

「アーロンっ!!あんたそんな事するやつじゃなかっただろっ!!!
 おやじに感化されすぎっ!!!」
「ははははは。」

ずっと一緒に居ても聞けなかった。心の底からの楽しげな笑い声。
俺聞いた事なかったから、アーロンのこんな声を聞くと弱いんだよなぁ。
なんかこの二人、絶対俺の弱点分かっていて、それをついてきてるだろ?!

「二人とも俺で遊ぶなっ!!!!」


***

夕食はおやじの希望通りのシチューが出てきた。
こうして食卓を囲んでいると、全然不自然じゃなく昔からこうしているような感じ。
まぁ、アーロンとは、ついこの間までこうしてたもんな。
でもおやじがいる風景って・・・新鮮なはずなのに・・違和感がないのはアーロンがいるせい?
そいえは、この二人のなれそめってどんなんだ?
だいたい、元々真面目なアーロンが何でおやじなんかに惚れるんだ?
まさかおやじ・・・アーロンを無理矢理・・・・。

「なぁ、おやじってアーロンのどこら辺に惚れたんだ?」
「ん〜。闘っている時の顔だな。」
「それって、カッコイイじゃないのか?」
「旅してた時にアーロンと真剣勝負をしてよぉ。もう自分と対峙している時のアーロンの顔って
 すげぇ〜グッとくるぐらい妖艶な笑みで、俺様メロメロ。」

メロメロ・・・・おやじ、それ死語だって。

「おまえは、あの時さかってたのか?勝って当然だったんだな。」
「おまえなぁ〜、あんな試合の最中にずっとさかってられっか。おめぇの隙を作るのに必死だったんだぞ。」
「やっぱり。アーロン強いもんな。」
「一応俺様、スピラの剣士のナンバーツー貰ったんだぜ。ティーダ、俺様とやるかぁ?」
「おやじもう負けてんじゃん。」
「なんだとぉ?!」
「だって、俺シン倒したッス。」
「おめぇ、真剣勝負ってのはタイマン勝負を言うんだ!アーロンに助けて貰った試合で威張れるかい!」
「ならちゃんと試合するッス!」
「おう!」
「おまえ、俺とは試合しないのか?」
「やるか?」
「あぁ。」

おやじ・・この物騒な笑顔に惚れたってやつッスか?
妖艶より・・・恐いッス。俺が、お子様なせいか?

「なぁ、アーロンは?」
「何がだ?」
「おやじのどこに惚れたかって話。」
「あ、俺様も聞きてぇ〜。」
「・・・・知らんな。」
「えぇ〜アーロン冷てぇ〜。教えてくれたっていいじぇねぇかぁ!!」
「もしかして、アーロン、おやじに襲われたとか・・・。」
「俺様、同意の無ぇHはしねぇよ。」
「・・・俺、同意したか?」
「迷惑か?って聞いたら、そんな事ねぇっておめぇ答えただろ?」

・・・・なんかおやじの言葉にはめられた?

「それは同意か?」
「おめぇ、嫌だったら、ぜってぇ迷惑だっ!って俺を怒鳴ってるだろ?」

あ・・アーロン真っ赤だ・・・珍しいもん見てるなぁ〜。

「そんな事よりよぉ〜。おめぇ俺にいつ惚れた?」
「知らんな。」
「かぁいくねぇなぁ。アーロン、今夜覚悟しとけよ。」
「ティーダ今夜は、おまえと一緒に寝るからな。」
「アーロン、俺を巻き込むなってばっ!」
「俺は、どこのベッドでも構わないぜ。アーロン。」
「俺が構うつぅ〜のっ!」

この二人俺の話聞いてないだろ?

「俺とティーダであのベッドはいっぱいだな。おまえの入る余地などない。」

やっぱ聞いてない・・・。

「俺、一人で寝たいんだけど・・。」
「俺、横じゃなくて、上だから構わねぇよ。」
「だぁぁぁぁ!!!おやじっ!アーロン!そゆのは、ブラスカさんの所でやってこいっ!」
「そんな恐ぇ事出来るわけねぇだろうが。」
「ティーダ俺と一緒に寝たくないのか?子守歌も付けるぞ。」
「アーロン・・・・俺もう子供じゃないッス。」
「いいなぁ〜ティーダ。アーロンの添い寝プラス子守り歌で寝てたのかよ。」
「さっきの質問全部一生聞かないなら、子守り歌ぐらい歌ってやるぞ。」
「ずりぃ〜!!」
「歌、聞きたくないのか?」
「ご馳走様。俺寝るからな。」

まだ言い合ってるよ。俺の声・・届いたのか?聞く気ないだろ?
あ、風呂まだだった。


***

湯船に浸かって流れない今日の疲れを少しでも癒してるッス。

はぁ〜。おやじとアーロンと一緒に暮らしてるのは嫌じゃないんだけど・・なんでこんなに疲れるんだ?
新婚家庭にまぎれ込んだ俺が馬鹿?
いや、二人でいちゃつくだけならいいんだ。微笑ましくない風景だけど・・・。
なんであの二人は俺まで巻き込むんだ?いつも、いつも・・・。

突然風呂のドアが勢い良く開く。

「え?・・う・・・うわっ!!!」
「げっ!なんでティーダ居るんだ?」
「ジェクト、どうした?」
「うわっ!アーロン!!」
「テ・・ティーダ?!」

・・・もしかして・・・この二人・・・あの後何しましたですか?
さりげにアーロンの首筋に赤い跡が見える・・・ッス・・・・。
俺・・・・泣きたくなってきた・・・。

「お・・俺・・出るっ!!!」

なるべく二人を見ないように風呂から出ようとすると、腕を捕まれた。
な・・何ッスか?・・・な・・なんか・・・俺見られてる?

「おめぇ、アタック仕掛けるのも仕掛けられるのもだめだろ?」
「ぐっ!!」
「アーロン、こいつちゃんと食べてたんだよな?」
「当たり前だ、俺が食事を作ってたんだからな。」
「まだ身長は伸びているんか?」
「あ・・・あぁ。」
「ん〜。筋トレ増やせ!足腰、腕、胸・・・全部足りねぇ!
 こいつの獲物はなんだったんだ?剣使ってた割に右腕もまだまだだよな?」
「片手剣。おまえと変わらんが、軽めだったな。」

すげぇ手痛い評価が・・・反論出来ないッス・・。

「仕方がねぇなぁ。また期間区切って訓練すっか。おめぇ、覚悟しとけよ!
 それから、筋肉付けてスピード落ちたらただじゃおかねぇからなっ!」
「げっ!まじッスかっ?!」
「当たりめぇだっ!おめぇ一応エースだったんだろ?新しく入るところでも一番目指すのが当然だ。
 まぁ〜俺様がいるから、おめぇ万年二番だけどよ。」
「むぅ〜〜〜!」

むぅかぁつぅくぅ〜!!

「当然アーロンもおやじもやるんだよな?!」

・・・なんかすげぇ〜まずい事言った?二人していやぁ〜な笑み浮かべてるんですけど・・。

「当たり前じゃねぇかぁ。」
「じゃぁ、今から行くか。」


***

あの二人化け物だ・・・嬉々として訓練を最後までこなした。
途中まではよかったんだよ。チームでやっていたしさ、でもなんでこんなに盛り沢山なんだ?
しかも剣術まであったッスよ。俺、ブリッツチームに入るんだけど・・・途中からついていくだけで精一杯。
だいたいいつの間にアーロン泳げるようになってたんだ?
異界に来て覚えたって言ってたけど、いつやってた?
スピードも、泳ぎ方もまだまだヘタだけど、遠泳について来た、10Km。
腕の筋肉と足の筋肉がちゃんとあればなんとかなるもんだと実感させられた。
泳いで、水中戦して、陸トレして、素振りして・・・・なんでその後楽しげにじゃれる元気があるんだ?
プロチームより辛い訓練って何んッスか?
あんたら人間?つぅ〜か、これ明日もやるの?精神的ダメージに加えて肉体的ダメージまで?

「ティーダ!こんな所で寝るな。風呂入ってからベッドで寝ろ!」
「ん〜?」
「なんだ、ティーダ俺様に脱がして欲しいのか?」
「!!」

目ぇさめた!まじさめた!ぶんぶん首を振る。声出ない。

「遠慮すんな〜。」
「ふ・・ふざけるなぁ〜!!」

走って風呂場に逃げたッス。
あぁ〜こんな余分な体力も残ってなかったはずなのにぃ〜。勘弁してくれぇ〜。
とりあえずシャワーを浴びて、寝室にもど・・・・・まじッスか?俺まだ寝れないの?

「おやじ・・・なんでここにいるんだ?」
「ん〜。アーロンに怒られちまった。」
「何したッスか?」
「いつ好きになったんだぁ〜?ってずっと問い詰めてただけだぜぇ〜。」

なんでこんなとほほな理由で俺が寝れなくなるんだよぉ〜!

「おやじ、俺眠いから、おやじも勝手に寝ろよ!」

これで、今日が終るはずだ!兎に角睡眠!夢の中へダッシュッス!

「・・・・・・・・・・・・・・・・おやじ・・・何やってる?」
「アーロンがいないから淋しくてよ〜。気にすんな、俺勝手にやってっから。」
「おやじ・・・俺が気にするっ!つぅ〜か息子に手ぇ出すなっつぅ〜のっ!」
「手持ちぶたさぐれぇ解消させろよぉ〜。」
「・・・・・・・ぶちっ!・・・・・・・・・・・・・アーロン、犯される〜〜!!!」

目一杯大音量で叫んだッス。兎に角寝る為ッス!
アーロン速攻で来たしね。俺の対処間違って無かったよな。

「ジェクトっ!」
「俺犯してねぇって。」
「アーロン、なんでもいいからおやじ連れてって。俺眠い〜!」

アーロンに引きずられておやじも無事消えたし、やっと寝れる。
なんで異界に来てまでこんなに睡眠が必要になるんだ?
なんか隣から地響きが響いているけど、どうでもいいやぁ〜。
明日は無事に平和でまっとうな生活が遅れます・・・よ・・・う・・・・・に・・・・。

 


ティーダなんで憂鬱になるんだっ!すばらしい生活じゃないかっ!うらやましいぞっo(゚゚*)
訓練はいややけどな(ーー;)

つぅ〜か、なじぇか思いこみがあって、剣士とかプロスポーツの選手って皆訓練おたくってイメージ。
当然No1の位置にある人ってそゆのを楽々こなしちゃうつぅ〜か、こなせないとだめだめって感じ(^-^;)
もちろんあっしはまったく知らない世界ですけどねぇ(^-^;)

なんか気がつくと、どの連載物も訓練ネタが必ず一つは・・・f(^-^;)
だめじゃん・・・・いや・・・すまねぇ・・・きっと・・・また・・・(;。。)