【知らない自分の家族(前)】 任務中に送られてきた心話に従って。 瑠璃と玻璃と九重は、奈良家の前で日食と新月を待っていた。 程なくして、音も無く。 気配も無く。 新月と日食が現れた。 「お、さすがだな。もう揃ってやがる。」 ニヤリと笑って。 新月は日食に言えば。 九重が門の前でヒラヒラと手を振った。 それに、触発されたのかはわからないが。 日食が新月の手を掴んだ。 「しー、行こっ!」 苦笑を浮かべた新月が、半ば引き摺られる様に日食の後をついて走る。 ゴメン!と、日食がすまなそうに、頭を下げる後ろで。 飄々と新月は立っている。 そんな様子に、瑠璃と玻璃は喉の奥で笑い。 九重は、二人の頭を撫でた。 日食は嬉しそうだが、新月はとても厭そうだ。 「おーおー、お熱いことで」 ニヤリと笑う九重。 「夫婦ってこんなんでしょ?」 からかう九重の言葉に、小首かしげて不思議そうに日食が返すから。 瑠璃と玻璃は座り込んで、今にも爆笑しそうだ。 「日食・・・なんか、間違ってると思うっ」 肩を震わせて、いかにも笑うのを我慢してます。といった風に瑠璃が言うから。 日食は更に、不思議そうに小首を傾げた。 「熱いって…ハヤテ達みたいなのじゃないのかなぁ?」 脳裏に、ハヤテとゲンマを浮かべてそういえば。 今度は瑠璃が首を傾げた。 「なんで、特上がそこで出てくんの?」 こちらはこちらで、とても不思議そうだ。 そんな会話を半ば呆れながら、聞き流して。 新月は、家の中へと心話を送る。 送る先は、自分の父親であるシカクだ。 『おやじ〜聞こえてるよな?今まん前。かーちゃんと一緒に玄関に来てみ。』 『あーわかった。』 その会話を聞くともなしに、聞いてしまって。 玻璃が呟く。 「・・・うっわ・・・父さんと心で会話しちゃってるよ・・・」 本当に、処変われば扱いも変わるし、環境も変わるんだなぁ・・・と。 そんなことを思う。 新月が二人の方を向いて、玄関を顎で示す。 「ほら、さっさと玄関入れって。玻璃と瑠璃が先な。」 その言葉に、瑠璃は不思議そうな顔をするが。 その家の住人に言われれば頷くしかなく。 玻璃と共に門をくぐって。 玄関を開けた。 とたん。 「きゃぁ〜〜〜Vv」 女性の黄色い声が上がり、瑠璃を抱きしめた。 「大っきいナルちゃんも可愛いっvv」 「うぉあっ!?シカマルのお母さん!?」 行き成り抱きしめられて、瑠璃が一歩後ろへと足を引いて。 抱きついてきた新月の母・・・ヨシノを支えた。 そんな妻を微笑ましそうに、見ながら。 シカクは二人を面白そうに観察する。 事情はずいぶん前に、新月に聞いていた。 無言で。 けれど、優しい瞳で見下ろすその人に。 玻璃が一応の確認にと、聞いてみる。 何せ、親の記憶といえば、五歳前後で止まっているのだから。 「えーっと・・・コッチのオレの父さん?」 見上げてくる、少し年を増している世界は違えど息子に。 苦笑をこぼして。 無言のまま、玻璃の頭を撫でるように叩いた。 「ほら、はいんな。」 「はぁ・・・お邪魔します」 その行動がなんだったのか、サッパリ分からぬまま。 促されて。 サンダルを脱いで、家へとあがる。 横で、やっと開放された瑠璃が上がれば。 ヨシノが瑠璃の手を握って、奥へと促した。 「食事用意してあるわよぉ〜。」 楽しそうに笑うヨシノに。 目を白黒させて、瑠璃がとりあえず横に並んで歩く。 「え?さっき、食ったんですけど・・・・?」 日食に貰って・・・と、言えば。 屈託無く、笑った。 「大丈夫よ、こんなに大きいんですもの。いっぱい食べなくちゃ。」 え、いや、これは変化してるだけなんですけど・・・。 という言葉は、その笑顔の前に飲み込んだ。 なんだか、断ってはいけない気がしたし。 一仕事終えた後なので、小腹がすいているといえばすいているからだ。 頷いた瑠璃に目を輝かせて。 ヨシノは玻璃を今度は見た。 「シカマル、あんたも食べるわよね。」 行き成りこちらを向かれて。 更には瑠璃の時とは違って、どこか有無を言わさぬ顔で言われて。 玻璃は驚く。 対応が遅れる。 母親へどう接すればいいのか、サッパリ分からない。 玻璃の、良く泣いていた母親の顔が脳裏にちらついた。 「え?あ、はい。母さん、頂きます」 瑠璃も食べるというのだから、お相伴に預かる方がいいのだろうと。 そう思って、首肯すれば。 ヨシノは笑った。 「母さん?…よそよそしいわねぇ。かーちゃんでしょ!」 にっこりと笑うヨシノに、玻璃は苦笑を返す。 今までの言い方を行き成りは変えれない。 ある意味、他人に等しかったのだ。 そう、行き成り。 そんな風に接されても、困ってしまう。 戸惑いを隠せない。 「・・・ソレは無理ですね」 すみません、と申し訳なさそうな顔をする玻璃。 そんな玻璃に、ヨシノはそういうものかしら、と変に納得する。 いくら、息子とはいえ。 世界が幾分か違うのだから、そういうこともあるだろう、と。 「だめかしら?ま、いいわ。食べるわよね。」 「頂きます」 そのアッサリとした態度に苦笑をこぼせば。 ヨシノは玻璃も、抱きしめた。 「へ?母さん?」 予想外のことに、玻璃はなす術も無い。 少しの間、抱きしめて。 満足そうに、腕を解くと台所へと消えていった。 不思議そうな顔の玻璃。 その一連の事を見て、新月がニヤリと笑って。 日食と九重へと耳打ちする。 「当分面白そうなもんが見れそうだな。」 それには、二人とも思いっきり頷いた。 リビングへと向かう途中で、九重がふと思いついたように新月の髪を引っ張った。 それに、憮然と振り返る新月。 まさか髪を引っ張られるとは思わなかった。 ムスっとした表情で、カカシとアスマの間くらいの身長の九重を見上げた。 九重はヘラっと笑うと、自分を指差して。 「俺のことなんていったわけ?」 「九尾。」 簡潔に言う。 それには言外に、何当たり前のこと聞いてるんだ?という含みがある。 それにケラケラと笑って。 ニィっと悪戯っ子の様な笑みを浮かべた。 「端的すぎだってーの」 新月の頭を撫でながら、笑い続ける九重。 それを見遣って。 「ちげーの?あってんだろ?」 「あってっけどよー・・・次元飛び越えてきた、スーパー九尾とでも言えってーの」 それに、ふむ、と頷いて。 前を歩くシカクに声をかける。 「おやじー、訂正が入ったぜー。」 あ?と、のそりと振り向くシカク。 新月は、九重を指差して。 「次元を飛び越えてきた、スーパー九尾だってよー。」 そのままを伝えた。 はぁ?と、気の抜けた声を返すシカクに。 更にケラケラと笑う九重。 「いーねぇ、その素直さ!」 九重のそれに、アンタが言ったんじゃねーか。と呆れ顔の新月。 横で日食はクスクスと笑っていた。 実に面白い、と、九重は笑い続ける。 シカクの背中を、バシバシと叩きながら。 笑い上戸な九尾の妖狐だなぁ・・・と、呆れ半分なのはシカクだ。 あまり力も入っていないようだから、放置したが。 ヨシノは台所へと、向かい。 暖簾の間から、顔だけを出して瑠璃と玻璃へと笑顔を向けた。 とても嬉しそうな。 けれど、少しばかり凄みのある。 そんな笑顔で。 「期待しないと怒るからねっ!ナルちゃんもよぉ〜。」 「「は、はい!」」 瑠璃と玻璃の二重奏を聞いて、満足したのか。 台所の中へと姿を消す。 リビングに入れば、新月と日食は既に定位置なのだろうか。 テーブルの右側に二人で並んで坐り。 シカクは一家の大黒柱らしく、上座へ。 その真横になる位置に、九重がだらりと坐る。 瑠璃と玻璃は顔を見合わせた。 はて、何処に坐ろうか。 迷っていると、シカクが促す。 「ほら、お前ら坐れって。」 その言葉に、数秒更に時間を費やして。 「どうも」 玻璃がそう、言葉少なに云い。 九重の横に坐る。 瑠璃の腕を引っ張って、横へと坐らせた。 その一連の動作を見遣って。 日食は幸せそうに頷き。 これがはたから見てる光景かよ…問題あり…だな…と、新月がため息をついた。 そう思っていても、改善する気は無いだろう。 何せ、今現在ですら。 日食が新月にしな垂れかかっているような格好なのだから。 問題があると思い、改善しようと思うなら。 まず、それをやめさせているだろうから。 坐ったことで、一息ついたのか。 瑠璃が、日食の方へと乗り出した。 聞きたいことがあったからだ。 「・・・つか、母親って、あんなん?」 「お母さんしか知らないけど。普通じゃないの?」 首を傾げる瑠璃に、日食も首を傾げ。 そのまま、視線を新月へと移動させた。 どうなの?と、問いかける。 新月は言葉に詰まる。 普通・・・そうか、普通か・・・。 普通ねぇ・・・。 「あー…まー……普通じゃねぇの?」 何をとって普通と称するのかは、かなり。 いや、心底。 ・・・激しく、疑問では在ったが。 自分達にとっての『普通』の母親で良いのならば。 それは、ヨシノ以外に居ない。 従って、首肯する以外に無い。 「その微妙な間が気になるな」 玻璃の突っ込みに、そりゃ・・・と口を開きかけるが。 食事を運んできたヨシノの姿を見て、口を閉じた。 言わぬが仏。 いや違うか? まぁ、なんだって構わない。 自分に被害さえなければ。 心の中で拳を握り締める新月。 瑠璃と玻璃の前に大量の食事を、機嫌良く運んできたヨシノは。 その笑顔のまま、二人の前に次々に料理を置いていく。 それを暢気な顔で見遣る、シカクに。 仏頂面のままの新月。 終始笑顔の日食。 うん、面白い。 九重は笑いを堪える。 なんて面白いんだろう、と。 九重の笑いの基準は何処か、別次元に飛んでいる byキバ。 そう、云われたことのある九重だ。 いったい、この平凡な極ありふれた(?)食卓を見遣って。 何がそんなに可笑しいのか。 九重に聞いても、返ってくる答えは一つだろう。 その極ありふれた食卓っつーもん自体が面白ぇ・・・と。 九重のその姿に何を思ったのか。 はたまた、何も思っていなかったか。 よくは判らないが、シカクが頷く。 「こんなもんだ。」 それは、瑠璃の問いに対しての返答なのか。 或いは、九重の無言の笑いに対してのそれなのか。 よく判らないが、テーブルに肘を突いてだらりとしたままのその態度は。 面倒臭がりな『シカマル』を彷彿とさせるには十分で。 玻璃が面白そうに微笑した。 「へぇ・・・つか、父さんからの遺伝ナワケか・・・面倒くさがりは」 ちらりと新月を見遣れば。 憮然とした表情で、眉間に皺まで寄せて。 こちらを睨む。 「一緒にすんな。」 心底厭そうな顔でいうが。 瑠璃がきょとんとした顔で、首を傾げる。 「似てるじゃん」 ケロッと、何の含みも無く言われたそれは。 逆に、嫌だ。 むしろ嫌だ。 ムスッとしている新月の方を見て。 ヨシノが首を傾げた。 「シカマルは何かいるの?」 「オレはいらねー」 その応えに、そう。と、詰まらなそうに頷くと。 瑠璃と玻璃の前に料理を並べ終えて、にこりと笑み。 二人の正面・・・つまり、日食の隣へと坐った。 「いっぱい食べてね。」 「有り難う御座います」 何故か丁寧に、礼を言う玻璃に苦笑を零すのはシカクで。 目をキラキラさせて、料理を見るのは瑠璃だ。 「おいしそーーvv」 その言葉の通りに、テーブルの上に並べられた料理はどれもコレも美味しそうだ。 料亭のように人参が花の形に切られているわけでもないのに。 とても輝いて見えるのは、やはり、ヨシノの腕がいいからだろう。 二人が黙々と、しかしながら美味しそうに食べるのを見るとはなしに見ながら。 新月が、先程のままの憮然とした顔で。 茶碗を片手に、母親の料理に舌鼓を打っている玻璃を見遣った。 「だったら、玻璃も同じだろ?」 唐突なそれに、けれど慌てる事は無く。 蒟蒻を咀嚼してから、玻璃は新月の方を向いた。 「オレのは、九重からだし」 自称・スーパー九尾を横目で見る。 それにつられるように、九重を見て。 にやり、と笑った。 「や、体ん中に流れるものには逆らえねーんだって。」 一理はある。 しかし、血族だからといって全く同じ人間には育たないように。 両親に育てられた覚えは三分の一くらいの玻璃にとって。 それはあまり関係が無いように思えた。 性格は占いでは決めることなど出来ない。 それと同じだろう。 占いは、平均。 平均に当てはまるか否か・・・それだけの話。 性格の形成に一番重要なのは、環境。 周囲の状況。 それだけだ。 つまり、周囲に九重と瑠璃と三代目。 この三人しかいなかった自身の状況と環境を思い浮かべ。 口調に関していうなれば。 一番色濃く影響を受けただろう、相手は九重だ。 「うーん?瑠璃、どーよ?」 首を傾げつつ、半分同意を求めているそれに。 瑠璃は、金平ゴボウを飲み込んでから、頷いた。 「九重に似ちゃったからだよね。だって最初・・・ですます口調だったし」 昔を思い出しているのか。 少し遠くを見るように、笑う瑠璃。 それに、溜息をついたのはヨシノだった。 「はーー…やっぱり?環境?」 少し恨めしそうに自分の夫を見て。 その視線を避けるように、シカクは茶を啜った。 「それはわかりませんけど・・・」 苦笑を零す玻璃に、新月がニヤリ、と笑った。 「九重さんとおやじが親戚か?」 似たような格好で、だらりとしていた二人は、顔を見合わせて。 低く笑う。 それはそれで、面白そうだ、と。 「だったら、笑うだろー?俺だって、敬語くらいは出来るぜー?年下に使う気はねぇけど」 九重はクツクツと笑った。 それに呆れるのは、瑠璃と玻璃だ。 「・・・九重より年上って・・・この世にいねぇってばよ」 瑠璃のそれに、まぁなーと笑う。 確かに。 自分よりも年上のモノ・・・そうそう居ないだろう。 というか、居たら見てみたい。 笑う九重。 ヨシノは日食の向こう側に坐っている新月を、睨みつけて。 いや・・・睨みつけている気はないのだろう。 しかしながら、そう思えて。 新月は内心、冷や汗を掻いていた。 「シカマル、少しは見習いなさいっ!」 名前を呼ばれたからか、一瞬反応を返すものの。 玻璃は自分を見て無いとわかって、大根と白菜の味噌汁を味わうことに戻る。 「言葉使い悪すぎっ!」 んなこといわれても・・・と溜息しか出てこない。 「そいつもオレと同じだと思うけど?」 玻璃を見遣れば。 すまし顔・・・というか、さも関係ないかのように肉じゃがへと箸を伸ばしていた。 一瞬、ムカついた。 「ってか、きもいから、口調元に戻せって。」 玻璃に云えば。 ニヤリ、と笑われるだけで。 それ以上の反応はなかった。 日食はその晩御飯と呼ぶよりかは、夜食を食べながら。 シカマルが真面目な言葉使うのもいいなぁ〜Vvと、暢気に思っていた。 日食からしてみれば、一連の流れは微笑ましくも楽しいものだったのだろう。 ニコニコと笑う表情からそんな様子が、見て取れる。 うん、と心の中で頷いた。 何時ものシカマルも良いけど、というか好きだけれど。 ちょっと違ったシカマルもいいなぁ・・・と。 少し大人びた玻璃と。 自分の最愛の夫である新月を見比べながら、そんな事を考えていた。 「つか、目上の人に敬語はとーぜんじゃねぇの?」 軽く首を傾げられる。 うーん・・・と唸って。 とりあえず、姿勢を正して。 シカクとヨシノを見遣った。 「父さん、母さん…それがお望みですか?」 一瞬、シンと静まり返るそこ。 しかし、次の瞬間に爆笑が起こった。 そこで笑っていないのは、新月だけだ。 「ぶはっ!!やめろっ!きしょくわりー事すんじゃねーよっ!」 ゲラゲラと大笑いしながら、床をバシバシと叩くシカク。 ひぃひぃいいながら、目じりには涙すら浮かんでいる。 傲岸不遜な自分の息子の口から、よもやそんな言葉が出てくるとは・・・。 コレが笑わずにいられるか!?いや、いられまいっ!! この場にイルカとハヤテとゲンマと三代目が居なかったことが、悔やまれる。 途中、酸欠に陥ってゲホゲホと咽た。 「はーーーー……諦めたわ。」 笑いながらであったために、迫力に欠けるが。 しかし。 もう二度と望まないだろう、色が目には浮かんでいた。 声に出せないほどに爆笑しているのは九重だ。 後ろに転がって、のた打ち回っている。 「新月、諦められてるよ」 瑠璃がそういえば。 向かいで、こちらも九重と同様に腹を抱えてのた打ち回っている日食が懸命に頷く。 「オレっていったい・・・」 異界とは言え、此処まで笑われる新月に対して呆れと。 それ以上の笑いがこみあげる。 いやもう、あの新月が云うと何故か笑える。 魂の質は同じだろう。 しかしながら、とても笑える。 むしろ笑える。 大爆笑を一身に浴びて。 ムスッとした顔で、鳥肌のたった腕を摩った。 本人がそれなのだ。 周りの反応には頷くしかないだろう。 「当たりめーだ。うわっさぶっ!死ぬっ!」 「死ぬって・・・敬語できっと楽だぞー?」 新月にチョップをしつつ、笑う玻璃。 なんとも、面白いと目の前の新月に対し思う。 その言葉に、新月はふむ、と頷いた。 何しろ、面倒臭い事は死んでもゴメンなのだ。 楽という言葉ほど、好きな言葉も無い。 「楽ねぇ……」 そう、声に乗せた瞬間、日食が必死の形相で新月の頭を殴った。 頭を抑えて、涙目の新月が日食を軽くにらみつけた。 「敬語ぐれーで死ぬわけねーだろっ!マジでなぐるなっ!」 「しーは、楽って言葉に弱いから、心配なんだっ!」 それに、ぐっと詰まったのは新月。 流石によく判ってやがる・・・と、ばつが悪そうに視線を逸らす。 そんな新月を、心配そうに見る日食。 そんな一連の流れを、見終わってから。 瑠璃と玻璃が、爆笑しだした。 「め・・夫婦漫才!!!」 「いえてるっ!」 ゲラゲラと笑い続ける二人に、そっぽを向いていた新月が。 少し頬を赤らめた。 遣り辛い・・・と、正直思う。 向こうも思っていることだろうけれど。 まぁいいかと、視線を戻した。 無理やりにでも、この会話を終わらせようとシカマルが口を開いた。