交差する記憶 ]  

    ◆交差する記憶 ]     「全ての遺体は、祖国に帰ってきました」 「そうか。ご苦労だった」   ガブラスは、若い部下に向かい手振りだけで、下がれと指示する。 部下が部屋を出るのを確認した後、重い兜を脱ぐ。ため息が、自然と漏れた。   (死体は、見つからなかった)   直ぐには、バハムートを対処する時間が取れなかった。 それよりも、戦後処理という、対外的な取り決めや、若い皇帝に揺らぐ国内向けの殺伐としたものばかりで、時間が忙殺されていった。 ようやくバハムートの処理について、ダルマスカ側と話が出来たのは、あれから一ヶ月も経った後。 内部調査の初日は、一人で赴き、自分の目で、焼け焦げ、崩れた内部と、腐っている死体を一つ一つ確認をした。   (出てこないでくれ)   その悲惨な光景に真っ先に思ったのは、彼の姿のカケラを見つけたくないという望み。   (良かった……)   全てを確認した後に感じたのは安堵。決してこの仮面の主が思ってはいけない事。この時ほど、兜に隠れた姿に感謝した事は無かった。 それほど、自分は感情を隠せなかった。   (あと、どれぐらい…)   生きているのなら、彼は自分の元に現れると、疑いもなく思っていた。 たとえ今の姿が、彼が忌み嫌い、捨てたジャッジの姿であろうとも、自分が自分であるなら、彼は姿を現してくれる。それを待てばいい。 そう思ってはいても、時は何事も無く過ぎていく。 国というものに、相変わらず首輪を付けられ、身動きが取れない自分が、生まれて初めて疎ましいと感じた。 待つ事が、帝国に繋がれていた時より辛かった。   (いつまで待てば…)   間違いなく、彼は生きている。 だが、怪我を負ったのではないかと、バッシュは考えていた。 プライドの高い彼のこと、弱みなど、誰一人として見せはしないだろう。ただ一人の例外として、相棒のフラン以外には。   (妬ましい…)   付き合いの長さといい、生きてきた年月といい、彼に対する洞察力といい、彼女に勝てるものは、何一つ持っていない。 だから今、心の中では、彼の傍にいるであろう彼女を頼っている。   (早く、姿を見せられるように……それまでは……) 「ガブラス殿」 「何だ?」 「ラーサー様がお呼びです」 「分かった」   今にも走り出しそうになる心を押えつけ、ガブラスという兜を被ったバッシュは、立ち上がった。    ・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・   「それが、全てだ」   血だらけになっていたバルフレアと、骨折していたフランは、切羽詰った状態にも関わらず、行き先を決めかねていた。 足は帝国のもの。だが、鎧も着ていない男と、ヴィエラの女の組み合わせは、あまりに目立つ。空賊としては、それは避けたい。   『お兄様達に、連絡を取りましょう』   そう言ったフランの提案以外、他にいい案も浮かばず、出立の日に持たされた小型通信機を初めて使った。 出迎えた二人の兄は、バルフレアの状態に真っ青になりながらも、速攻で医者を手配し、目立たない奥の部屋へ二人を運んだ。 今、バルフレアは、バッシュが執務している場所から、それほど遠くないブナンザ邸のベッドの上で、二人の兄と向かい合っていた。 そして、ここに来るまでの旅の全てを、二人の兄に話した所だった。   「そうか……、お前に全てを背負わせてしまったな…」   長兄が、バルフレアを抱きしめる。   「ファム、ありがとうな」   中兄は、長兄の後ろで、にっこり笑う。 その変わらない態度に、バルフレアの口から、小さな息が吐き出され、肩の力が抜ける。ここは、自分のかつて居た場所。そして、今も居ていい場所だと、再確認する。だからこそ、守るべきものは、守らなければならない。   「ヴェインと、親父が手を組んでいたのは、周知の事実だろう」   アルケイディア帝国として、あそこまで多くの人が死に、何事もなく終わらせる訳にいかないだろう。   「ラーサーと一緒に居たのは、まだ旅の最初。シュトラールは、見られていない。ただ、俺の名前とシュトラールは、対だからな。そこから探られたら、バレる可能性がある」   バルフレアは、真っ直ぐ長兄を見上げる。   「あんたの家訓は?」 「父さんと変わりようがないだろう?」   ブナンザ家の家訓は、「気が向いたら結果を出してやる。だから、素人が口を出すんじゃねぇよ!」という俺様家風。 シドは、たまたま自分の意思と同じ方向にある者と手を組んだだけで、ソリドール家と組んだつもりは無いだろう。   「それより、ファムはどうするんだ?」 「俺は、バルフレアだ。それ以外の者になんかなった覚えはないね。  だが……ここは、まだ俺の居ていい場所なんだろ?」 「当然だ」 「だから、いくらでも手を貸すさ」   その言葉に、二人の兄は、笑みで答える。   「ファム…その情報だけで十分すぎる。  だいたい、お前には、やたら面倒な後始末をさせてしまっただろう?  これ以上を貸しが増えたら、俺達は、お前にくっついて専用整備士になるしか道がないよ」 「あ、俺、そっちの方がいいなぁ」 「お前は、研究所のお守りをすると約束したな?」 「う〜〜」 「ノノ達が居るからな。俺にこれ以上、整備士を雇う金なんかないぜ」 「でも、居る間に一回は、見せろよ」   中兄は、眼を輝かせて、「改造しただろ?」と、聞いてくる。   「お前の事だから、しっかりまとめてあるな?」   長兄も、同じ機械工の目をしてバルフレアを見ている。   「だから、ヴァンに預けたと言っただろ?資料もそん中だ」 「取りに行くんだろ?」 「そりゃぁ、あれは俺の船だからな」   バルフレアの片眉があがる。   「解体は、すんなよ」 「そろそろオーバホールが必要じゃないか?」 「ちゃぁんと組み立ててやるからさ」   やっぱりと、バルフレアの肩が下がる。   「組み立て直して、調子悪くなったらどうすんだよ」 「そんな、微妙な改造をしたのか?」 「してる訳ないだろ」 「なら、心配する事なんかないじゃないか」 「………余計な、機能を付けるなよ」 「余計でなければいいのだろう?」   これ以上言っても無駄な事は、十分分かっている。自分でさえ、同じ立場であれば、過去自分が造った船が、どう改造されたか知りたいし、全分解をしたい。 だが、だがだ。二人の兄の腕を知っているだけに、どんな新改造が入るのか、怖くて素直に頷けない。   「……事前に、改造内容の提出を希望する」 「少し離れていただけで、随分と信頼がなくなるものだな…」 「あの涙をためた大きな目の可愛いファムランは、どこにいっちゃったんだろうなぁ〜」 「そんなの、もう居るか」   バルフレアは、心の中で苦笑していた。少しではない。六年という月日を離れていたのに、今の会話は、その隔たりを一切感じさせない。 だからと言って、貴族の邸宅を、空賊のアジトにする気はない。それだけは、丸め込まれないようにしたいと切に思う。家族ぐるみで空賊なんて、恥ずかしい状況は絶対回避したい。 だが、ブナンザ家の家系は、例外なく意思を貫く根性が半端じゃないという事を、家に戻ってようやく気づいた自分が、二人を相手にどこまで対抗出来るか、不明だった。   「それより今は、手がいくらあっても足りないだろ?対外的には出られないが、手を貸すぜ」   怖い話しから、無理やり話題を戻したバルフレアは、右手をひらひらと振る。   「ただ、そう長い間は無理だがな」 「分かっている」 「悪いなファム。俺の所より、兄さんの方をなんとかしてやってくれよ。流石に二人でやってた、あの仕事を一人ってのはなぁ…、洒落になんないよ」   研究をこよなく愛していた父親は、今まで大貴族としての仕事をほとんど顧みず、息子二人にその仕事の大半を押し付けていた。 そして、ヤクトディフォールから帰ってきてからは、一切顧みなくなった。   「そうだな。ファム、少しの間だけ付き合ってくれ」 「おう」 「なら、対ソリドールは、楽勝だな」   長兄とバルフレアは、ニンマリと性質の悪い笑みを浮かべる。今まで父親が省みなかった貴族という家の仕事は、いい人間では到底勤まらない。強かな貴族の長男と、強かな空賊は、間違いなく血が繋がっていた。   「なぁ、それより、ガブラスって、本当に大丈夫なのか?それこそ部下になったんだろ?」 「心配無用。あいつは、仲間を裏切るような性質に出来てない」   バルフレアの言葉だが、中兄の眉間の皺が取れない。   「だけどなぁ、ガブラスが、あのダルマスカの将軍って、本当に間違いないのか?」 「俺が、あいつを間違いる訳がない。だから、ガブラスは、バッシュだ。保障するぜ」 「ほぉ〜」 「へぇ〜」   バルフレアの言葉に、2人の兄は彼と同じような笑みを浮かべていた。 バルフレアは、その言葉に含まれる意味を隠す気は無い。そして、受けた二人は、正確に弟の言葉に含まれる意味を拾い、その対応を頭の中で展開する。 それを、部屋の片隅で静かに眺めていたフランは、笑みを浮かべていた。それぞれ持つ雰囲気はまったく違うのに、こんな所は兄弟なのだという事を強く感じさせる。ここには居ない父親も、思い返せば同じような笑みを浮かべていたと、思い出す。 四人共、うちに篭りがちな機械工とは思えないほど、専門分野以外でも行動力に溢れていた。   「なぁ、その人呼べないか?」   中兄が、バルフレアの顔を楽しそうに覗き込む。   「……この家と、ガブラスじゃ、繋がりがなさすぎるだろ?」 「ファム、お前は、空賊なんだろ?ちょっと、盗んでこいよ」   部屋の片隅で噴出す声が聞こえた。フランは、バルフレアから背を向け、盛大に肩を震わせている。   「フラン」   咎めるような相棒の声にも、返答不可能。 笑いを堪えるので精一杯。体を支えている松葉杖までもが揺れている。   「ファム、直ぐじゃなくていい。お前が完治するまでに、必要なものを揃えておくからさ。それまでは、ゆっくり療養するんだぞ」 「そうだな」   二人の兄が、にっこり笑い合う。   「やはりな」 「そうだよな」   バルフレアは、そんな二人を見て、頭が痛くなる。こんな二人を見たのは、二度目。フランを紹介しろと言った顔と、まったく同じ。あの時は、なぜそんな事を言うのか、理解出来なかったが、今なら十分に分かる。あの当時フランは、笑っていた。まるで、時間が戻ったかのように、今も同じように笑っているフラン。激しく、恥ずかしい。いったい自分を幾つだと、この二人の兄は、思っているのだか知りたいと思う。 自分に過保護すぎる兄達に、促進する頭痛。だが、バルフレアは、変らない空気に笑みを浮かべていた。    ・・・‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥・・・   目の前の光景が、滲んでくる。 足を動かしたいのに動かせない。 手に持っていた兜が落ち、煩い音をたてて転がっていった。   「んだよ、もう俺を忘れたか?」   首を横に振る。声が出ない。   「なぁ、バッシュ・フォン・ローゼンバーグに用があるんだが、今、いいか?」 「バッシュ?」 「あぁ、ガブラスに用は無い。バッシュに来て欲しい」   彼の背後には、開けたままの大きな窓。 彼が寄りかかっているのは、二人乗りのエアバイク。 そして、変わらない笑みを浮かべたバルフレアが目の前に居る。 まるで、自分の部屋では無いような光景。 その非現実的な光景が、現実だと理解出来ない。   「バルフレア」 「何だ?」   自分の声に、返答してくれる。 バッシュの顔に、ようやく笑みが浮かんだ。   「少し待っていてくれ」   バッシュは、慌ててクロゼットの前に行きながら、身につけたモノを落としていく。   「おいおい、久しぶりに会ったのに、俺の腕の中に来るのが、最初じゃないのかよ」 「あ……すまん。だが、急いでいるのだろう?」 「そうだけどな」   バルフレアは、仕方がないとバッシュの傍に行き、背中から抱きしめた。   「これでは、着替えられん」 「バッシュ」   シャツを手に持ったままのバッシュを、自分の方に向かせる。   「俺は、あんたに飢えてるんだ」 「それは、私……」   バッシュの言葉は、バルフレアの口の中に吸い取られた。 二人は、ようやく自分の腕に欲する熱を感じ、今まで無理やり抑えていた欲しいという欲を開放する。それは、男性という性が故に、甘いものはカケラも無く、最初から貪り食らい尽くすようにお互へ意思が向けられる。 下品で淫らな湿った音が部屋に響く。 伸ばす舌は相手の奥深くを欲し、絡まり、吸われる。 もっと深く重ねたいと、相手の頭にまわす掌に力が入る。 舌先が痺れ、口元からだらしくなく涎が零れ、息が苦しくなっても、欲は収まらない。   「ん……んんっ…」   下半身に集まった熱に突然触れられ、バッシュの口から声が漏れ、体が跳ねた。 だが、その瞬間、バルフレアの体がバッシュから離れる。   「…バルフレア?」 「続きは……あーーちっ、用事を明日にすれば良かったぜ」 「当分、この辺に居るのか?」 「あぁ」 「ならば、この部屋を使え。部屋は、余っている。  やり放題だぞ」   バルフレアは、脱力して座り込んだ。   「相変わらずだなぁ…あんた」 「待ちくたびれた。私が、どれほど君を待っていたと思っている?」 「悪かった。怪我は、治っていたんだが……まぁ、来れば分かる。俺があんたを押し倒す前に、さっさと着替えてくれ」 「……それでも、構わないのだがな」 「時間が無いんだよ。用件が終わるまで、諦めてくれ」   バッシュは、クロゼットから取り出した服に着替えながら、「それまで、もつかな?」と、ボソリと呟く。 バルフレアは、まったくだと、心の中で呟き、苦笑を浮かべた。             「ほら、連れて来たぜ」   バッシュは、バルフレアの二人の兄囲まれた。   「は……?」   暗闇に紛れて連れてこられた場所が、分からない上に、空賊とはかけ離れた豪奢な建物の中に置かれ、見知らぬ二人の人間に遠慮の無い視線を浴びせられて、バッシュは困惑していた。 部屋の隅に居る、バルフレアとフランを見る。バルフレアは苦笑を浮かべ、フランは声を出さずに笑っていた。 状況が掴めない。   「ここは、ブナンザ邸。あんたの右側に居るのがシドの長男で、左側に居るのが次男だ」 「初めまして、バッシュ将軍」   笑っていない笑みが、自分を見ている。   「噂だけは、色々聞いてる」   挑戦的な視線が、自分を見ている。 バッシュは、なぜ事前に説明をしなかったのだ?と、バルフレアに恨みがましい視線を送った。 彼らのその無遠慮な視線は、自分の品定めをしている。長年、軍生活で生きてきた自分には、覚えのある視線だった。 だが、その意図が、ブナンザ家とソリドール家間の問題か、バルフレアとの問題かが見えない。   「初めまして、私は、バッシュ・フォン・ローゼンバーグ。今は、弟の名を借り、ジャッジ・ガブラスとして皇帝の下に籍を置いています」   意図が読みきれない以上、余分な事を言わないでおいた方がいいだろうと、挨拶は簡潔にすます。だが、立ち居振る舞いは、失礼の無きよう、ダルマスカの所作を取り、帝国には無い礼を示す。   「ファム」 「ん?」 「お前が、組み敷かれてるのか?」 「んな訳ないだろ」 「へ〜」   中兄がまじまじと、バッシュを見直した。 今の、あけすけなやり取りに、動じもせず立っているバッシュに、少し好感度をあげた。   「やはり、君を下さいと言うべきなのか?」   中兄の無遠慮な視線が、意図は後者だと、言っていた。   「それは、俺があんたの両親に空へ向かって言う事じゃないのか?あんたが、俺に嫁ぐんだろ?」 「だが、言わないと、俺の立場が悪くなりそうなんだが…」 「別に、ブナンザ家に入る訳ではないのだから、そのような気遣いは無用。俺達は、貴方がファムに相応しいかどうか、知りたいだけですよ」   真っ直ぐに突き刺さるような視線を向けるバルフレアの二人の兄に、バッシュはもう一度礼を取る。   「私がこの国に居るのは、ダルマスカの為です。そして、弟との約束を果たす為に名を捨てジャッジの鎧を纏いました。  ダルマスカに何かがあれば、それを第一として動き、ラーサー殿に害を成すものがあれば、進んで排除するでしょう。たとえそれによって、彼が敵対する事になっても、私の意志は変りません」   バッシュの声は、部屋の中に淡々と響く。二人の兄は、その言葉を聴くだけで、何も言わない。   「だが、彼が敵対する事は、絶対ありあえないと思っています」 「たぶんな」   バルフレアが、笑いを含んだ言葉を返す。   「そして、その2つの事以外であるなら、私の最優先は、彼です」 「そうですか」 「なるほどな〜」   二人揃って振り返り、バルフレアの顔を見る。   「いい男だろ?」 「まぁ、悪くはない」 「いいんじゃないの」   その感想に笑みを浮かべながら、バルフレアはバッシュに近寄り、あと少しの所で立ち止まった。   「ジャッジ・ガブラス」   その呼び名に、バッシュの眉間に皺がよる。   「ブナンザ家は、帝国に対し、今まで通りの支援しかしない」 「それは?」 「利用されるのは、ごめんだ」   バッシュの前に、三人のブナンザの人間が立つ。   「あの旅の事は、全て伝えてある。もし、ソリドール家が俺の存在を知って、ブナンザ家を脅してくるのであれば、同じ理由で俺達は全力で反撃をする。  俺に、それをさせるなよ」   バッシュの口元に、笑みが浮かぶ。   「ラーサー殿も、馬鹿ではないぞ」 「さぁて、どうかね?あの子供は、自分の意思を貫く為に、アーシェを利用しようとした。そうだろ?」   バルフレアは、ラーサーをただの純粋な子供として、見ていない。小さい頃から、次期皇帝候補として教育された者。その上に立つ者として、利用出来る者は、最大限に利用する行動力を、言葉を、短い間だったが、見てきた。 自分が、ブナンザ家の者と知って、シドの息子だと知って、そのまま放置するとは思えない。   「国内を平定するのに、手を貸せば、借りがもう一つ増やせるのではないか?」   バッシュは、変らない笑みを浮かべる事で、それを返事とする。   「貸しねぇ…それも断る」 「ブナンザ家が、ソリドール家を支援しているような印象を、他の貴族に持たれては困る」 「それは、研究所も同じだな」   ブナンザ家の意思は、はっきりとしていた。   「だが、他の貴族を支援する気も無い」 「分かりました。ブナンザの頭脳を、失うよりは、何もしない方が得だという事を頭に入れておきましょう」   バッシュは、今度はガブラスとして、帝国の礼を示す。   「んじゃ、帰るか」 「どこへだ?」 「あんたの所。泊めてくれんだろ?」 「あぁ、そうだが。ここでも構わないぞ」   バルフレアの周りに、不穏な空気が発生。   「デバガメ必須だぞ」 「私は、さっさとやりたいのだがな」   その独特な気力を奪う物言いに、少しは慣れたバルフレアは、肩を下げる程度にすんだが、二人の兄は、バッシュを凝視したまま固まった。   「自分で抜くのは飽きたのだが」 「眺めててやろうか?」 「見るか?」   本気で、このまま、ここでやりそうな気配に、慌ててバルフレアがバッシュの腕を掴む。   「兄貴達が石化したぞ。ったく、あんたは、もう少し自分に不正直になれよ」 「それで、お前と出来なかったら、後悔する。もう、こりごりだ」   背後に、フランの止まらなくなった笑い声。きっと、二人の兄は、未だ固まったままだ。   「フラン、朝には帰ってくる」 「えぇ。私は、研究所に手伝いに行っているわ」 「ん?」 「飛空石の制御の改造をしたいのよ」 「なら、ノノも呼んでおけ」 「そうね」   笑みを含んだままのフランの声に、振り向かず手を振って、バルフレアは、バッシュと共にエアバイクの方へ向かった。   to be continued…     08.06.29 砂海
バルフレアのへたれさに、磨きがかかって……orzしくしくしくしく さぁて、あと何回書き直せば、なんとかなるかなぁ?(書き途中の一言なり…結局かなりの回数…orz)   「くそっ」って言葉は、サンジくんだよねぇ?バルフレアに使っちゃまずいよねぇ?(^-^;)声が同じなだけに、勝手に頭の中のいい声が、そんな言葉を……orz混乱中