惚れた相手の慰め方  

  傷だらけの背中を見ていたら、一本目がきた。 まだ分からなかった。 敵になるかもしれない仲間の元へ、迷いもせず歩き去った後姿に、二本目がきた。 逃れる事が不可能な敵地に行くことを一切ためらいもせず剣を抜いた姿に、三本目がきた。 心のざわめきが大きくなる。 主に頬を叩かれても、彼の揺るがない振る舞いに、四本目がきた。 砂塵の音に混じって流れて来た言葉に、五本目がきた。 ようやく、自分の気持ちに気づいた。 戦友と戦う瞳、そしてその最後を見ていた瞳に、六本目がきた。 もう、自分の心は貫かれた矢でずたぼろ。 見え隠れする過去の影よりも、それを修復する事が先決。 相手が男だとか、空賊にとって敵である将軍職についているとか、己の常識とか、全部捨てた。一切合財捨てた。 頭の中のどこかから、ブチブチッと切れる音がする。 そして、久々に、口の端が笑みの形にあがった。   ◆惚れた相手の慰め方   「あんたに、惚れたんだ」   そう言ったバルフレアは、そのまま唇をあわせ舌をからめてきた。バッシュは石化した。 惚れたという言葉は、とりあえず、一応、とにかく、もしかしたら、いい事なのかもしれない。なにせ好意だ。仲間として、喜ぶべかもしれない。 口付けというのも、とりあえず自分の感情を事前に言っているのだから、その次の意思表示としては、もしかしたら彼の生まれた場所では普通なのかもしれない。 ただ、今は、夜とはいっても酒を飲むより食事をするような時間で、泊まった宿の食堂の真ん中で、人が大勢いて、ついでに仲間も全員揃っていて、加えてその中には未青年の子供達までいる、そんな状況で口付けというのは、どうだろう? さっきまで、ガヤガヤと煩かった食堂が、やけに静かになった気がする。 だいたい、最初から、こんな深い口付けというのは、行き過ぎじゃないだろうか? なんか、酸欠で頭がくらくらしてきた。   「ふ……ぁ…」   ようやく開放された口からため息が漏れ、唾液の糸が唇にまとわりつく。   「あんた、すっげぇ色っぽいな」   その声と共に再び軽く唇を啄ばまれて、ようやく石化の効力が弱まった。   「バッ、バルフレアッ!!」 「ん?」   ここが食堂だという事を忘れてしまいそうな、色気のある声。そこにのんびりとした声が割り込んでくる。   「ファルフレア〜、俺、寝つきはひゅっげぇいいし、煩くても起きないひゃら〜」   ヴァンは、二人が口付けしたのを一瞬見た後、食べる方を選んで、現在肉を咀嚼中。   「バルフレアさん、バッシュ叔父様、頑張って下さいね」   にっこりと笑って言うパンネロ。手には、ニンジンが刺さったフォーク。 バッシュは、泣きたくなってきた。子供達の、まるで日常かのような、当たり前だという様子と会話が凄く嫌。   「なら、時間をつぶすか。ヴァン、ちゃんと寝てろよ」 「もご!」   バルフレアはフランにウィンク一つして、未だ微妙に石化状態のバッシュをひきずりながら、陽気に出て行った。         「あ、ああああ、あ、あの……」 「なぁに?」   こちらも、バッシュと同じく石化していたアーシェが、かろうじて動くようになった口を動かす。   「ばばばば、バ、バルフレアは、じょ、じょ、女性だだだ、だったの?」   もしかしたら、あの気合の入った服装は、体のラインを隠す為だったの?とか、半分ぐらい脱いだ体を想像してしまったとか、アーシェの頭ん中は色々混乱中。   「そう、見える?」   アーシェは、ぶんぶんと頭を横に振る。   「アーシェ、バッシュも男だからなー」   どっちも、一緒に風呂に入ったから、ちゃんと確認済みだと、頬を食物で膨らましながらヴァンが伝える。   「え…あ……で、でも………」   真っ赤になったアーシェは、困惑中。姫君教育に、同性との恋愛は一切無い。というより、今の今まで考えた事も無かった項目。   「ふふふ、好きなら、相手が同性だとしても、問題無いでしょう?」 「そそそそそ、そう、そういうものっ?!」   声が裏返る。   「えぇ、体を交える事も、ちゃんと出来るわよ」 「そうだよなー」 「でも、どっちがどっちなのかなー?」   会話に、普通に加わる子供達。一層混乱するアーシェ。 年齢、数年しか変わらないのに、この態度の違い。下町育ちは、とーても情報通だった。   「ねぇ、アーシェ。衝撃で、少しは元気になれたかしら?」   一瞬、何の事か分からず見開いた瞳が、瞬く間に伏せられる。   「これは……私の為ですか?」 「まさか。彼は、本気で口説いていたわ」   フランは、楽しげな笑みを口元に乗せる。一夜の女性を口説く姿は、いくらでも見てきたが、あんなに必死になって口説いている姿を見たのは初めて。随分と可愛い態度だったわねと、反芻中。   「ねぇ、貴方はバッシュに言わなければいけない言葉があるわよね?」   彼が、最後に見せたウィンクは、色々なものを含んでいた。あの生真面目な男に惚れた男の相棒として、フォローしておくべきだろう。   「な…にを…?」 「長いこと傍に居た臣下を失った事に嘆くばかりで、今生きている臣下の何も知ろうとせず、無償で忠誠を得ようとする事を、王家の者は当然だと考えるものなのかしら?」   アーシェの顔が歪む。 失ってしまった臣下。長い事一緒に居たのにも関わらず、彼の考えている事を汲み取れなかったどころか、追い詰めてしまった事に歯噛みしていた。そして、彼を永遠に失った。 その傷は、まだ真新しく、こうやって掘り起こされる度にじくじくと痛む。   「悲しいというのは分かるけれど、彼はもう死んだのよ」 「フラン!」 「ねぇ、アーシェ。バッシュの体は、鞭の跡で覆われていたわ」 「うん、小さな籠の中で、一切動けないよう拘束されていたよ」   フランとヴァンの言葉に、アーシェの目が見開かれる。   「そんなだったのに、あんたを助けるって、真っ直ぐダルマスカを目指した」   その言葉に含まれる意味に気づき、『あんた』という言葉に嫌悪感を抱くのさえ忘れた。   「そう、私達の盾になってね」 「でもっ」 「そう、貴方は知らない。知らないままにしていたから」   アーシェの瞳が、二人から逸れる。   「でも、叔父様は、気にしていないですよね?」 「えぇ。未だ、何も出来なかった自分を、責めている」 「はい」 「アーシェ、貴方が主としての立場を貫くのなら、臣下に甘えていてはいけないと思わない?」   アーシェの体が、ビクリと揺れる。今まで何も見ていなかった自分を、ようやく頭と心で理解した。そして、それはフランの言う通り、放置しておいていい事じゃない。 バッシュと再会した時のような感情は、シヴァで彼が見せてくれた言葉と態度によって、一切無くなっている。そう、今思い返せば、自分の頑なな態度にも関わらず、いつも彼は手を差し伸べてくれていた。今まで気づかなかったのは、見ようとしなかったから。 アーシェは、不安げに仲間の顔を見回す。   「貴方の思うまま、前に進みなさい」 「それで…」 「バッシュなら、分かるって」 「うん、そうだよね」   ここにも、気づかなかったものがあった。   「………ありがとう」   仲間は、笑みを返してくれた。                  ◆◇◆                 「飲めよ」 「バルフレア……」   動揺しているうちに酒場に連れられ、気が付いたら、自分の目の前に酒の入ったグラスが置かれていた。   「それとも、直ぐに抱かれたかったか?」 「バルフレアッ!!」   テーブルに肘を付いて見上げてくる顔は、先程からずっと変わらない。今まで、見た事の無かった表情を乗せている。それを見ていると、なぜか背中がゾクゾクする。   「あ、あの、だな…」 「もしかして、俺を抱きたいとか?」   声が出ない。とりあえず、違うと首を横に振る。   「じゃぁ、いいな」   そういう意味でもない。もう一度違うと首を横に振る。 振りすぎて、またもや頭がくらくらしてきた。   「どっちなんだよ」   そういう次元の問題じゃないと言いたいが、どう言っていいやら、さっぱり言葉がみつからない。   「でも、ま、諦めな。俺は、あんたが欲しくて気ぃ狂いそうなんだ」   さらりと言われた言葉は、内容と違って、いつもの彼とあまりにも変わらない。   「き、君は……頼む、頼むから、からかうのは止めてくれ…」   そう言うのが、精一杯だった。   「からかってるように見えるのか?」 「あ、あぁ…」 「俺は、本気であんたを口説いてるのに?」 「本気?」 「今まで生きてきて、こんなに本気で口説いたのは、初めてなんだがな」   自分を見ている瞳は、一切反らされない。   「どう言えば、あんたに伝わる?」   今まで見た事の無かった表情は、自分にだけ向けられているもので、それが何を含んでいるのか、ようやくバッシュにも分かった。   「私の、何が……?」 「そうだな、あんたの意思の貫き方…かな」 「私の意志?」 「そう、絶対変わらない、曲がらない、進み続ける……なぁ、俺はあんたの邪魔をしないからさ。せめて傍に置いとけよ。結構便利だろ?」   その言い方に眉根が寄る。   「結構どころか…」 「ん?」 「君が居ないと困るのは、私達だろう?」 「そりゃぁ、嬉しいねぇ」 「あの………だな……」   バッシュにとってのバルフレアは、皮肉な笑みで本音を隠し、決して率直な言い方をしない相手。その彼が、素直に言葉を連ねているように見える。いや、彼の瞳が今の彼の言葉を肯定していて、否定する事が出来ない。   「私を…抱きたいのか?」   でも、その事に対し、自分の持ちえる言葉が見つからない。   「当然」 「今…か?」 「その方がいいだろ?」 「?」 「洒落になんない衝撃的な出来事が頭をしめたら、前へ進みやすいだろ?」   バッシュは、目の前で自分を見上げている男をまじまじと見返した。 そう、夕食の前まで、頭をしめていたのは、シヴァでの出来事。戦友の最期の姿。その記憶を違う記憶で塗りつぶしてしまえと、彼は言っていた。   「だから…今なのか?」 「いいや、俺ん中のあんたへの気持ちが、溢れておかしくなりそうだったからさ。今のは、後付だ」   確かに後付かもしれないが、それでも状況を考えての行動なのだろう。今までの行動を振り返れば、何が後付かは、十分想像が付く。   「なぁ、バッシュ。  返事は、この旅が終わってからでも十分だ。あんたは、前に進み続ければいい」   率直な言葉は、今まで巧妙に隠されていた彼の優しさを白日の元に晒す。   「今夜は、この俺を一晩無料で貸してやる。セックスでも、添い寝でも、酒を飲むんでも、あんたの思いのままだ」   尊大な言葉使いでも、それは霞まない。 バッシュは、笑っていた。   「んだよ」 「では、飲み明かそう。そうだ、君にとってはつまらないだろうが、昔話でも聞いてもらおうかな」 「年寄りの昔話かよ。長くて面倒臭そうだな」   笑いが止まらない。   「君が、言ったんだぞ」 「我慢して聞くとしますか。さぁ、聞かせろよ」   お互いの手の中にあったグラスが重なり、チンと小さな音を立てた。                  ◆◇◆                 「叔父様、おはようございます」 「おっはよ〜」   いつもなら返って来る返事はなく、バッシュは片手をあげるだけ。現在バッシュは、二日酔い中。   「バッシュ…」 「あ……殿下……おはようございます」   アーシェが見たのは、いつもとは違う顔色の悪い彼。   「あ…、ああああああのばばばばばバッシュ…」 「はい?」 「ああああああのあの、だだだだ大丈夫なななののかかかかかかかしらっ?  つつつつつつ次の日は…、あの…、すごく………あの…、いいいいい痛いとととととととかっ」   昨晩、同性同士の恋愛について、二人の先生から知識を伝授されたばかり。アーシェの顔は、真っ赤だった。   「あの、確かに痛いですが…これは…」   アーシェの視線がすっごい下。というより、ある一点を凝視している。   「ああぁぁっぁぁぁ殿下っ!ちちちちち、違いますっ!〜〜っ」   自分で叫んだ声が頭に響いて、頭痛を促進させた。   「こいつ、二日酔い真っ最中だ」   後から現れたバルフレアは、ニヤニヤしながらアーシェを見る。   「二日酔い?」 「あぁ、昨日、一晩中飲んでいたからな」   そう言うバルフレアは、二日酔いのカケラも無い様子。   「君は、化け物か?」 「あ〜?」   こめかみを揉みながら、恨めしげにバッシュが言う。   「つきあえって言ったのは、あんただろう?」   バッシュが覚えているのは、空き瓶が11までだった。あれから、どの位飲んだか分からない。だが、その半分は彼の体内に入ったはず。それにも関わらず、目の前の顔は非常に涼しげに見え、八つ当たり気味の怒りが沸く。   「あんた、途中から覚えてないだろう?」 「…あぁ……っ?!」   今度は、爽やかな朝日の降り注ぐ食堂で、昨日の夜と同じ光景が展開された。しかし、バッシュは石化していない。二度目で耐性が出来た模様。二日酔いで痛む頭をかかえたまま、必死になって抵抗する。   「バルフレアっ!」 「んだよ、昨日あんたが言ったんだぜ」 「何をっ?!」 「話を聞いた駄賃に、好きな時に、すきなだけキスをしていいってさ」   人差し指をあて、ニンマリ笑う唇。   「わわわ私がかっ?!」 「あぁ」   昨晩バッシュは、ウォースラとの昔話をしながら、無意識にグラスを口に運んでいた。それに対しバルフレアは、話を聞きながら、のんびりグラスを傾けていたので、両者の飲酒量は格段に違っていた。最終的に開いた瓶は、18。その大半をバッシュが飲んでいた。体調の差は、飲酒の差である。 しかし、それをわざわざ言うバルフレアではない。 酔って言った彼の言葉は、嘘ではないが、キスなんかしていたら、襲いかねない自分を知っている。そんな衝動を毎回毎回耐えていたら、自分の精神がもたない。 今のは、仲のよい主従の光景に対する、単なる牽制。 フランへの目配せは、しっかり通じたようで、アーシェのバッシュに向ける視線が和らいでいる。それが少々気に食わない。自分が望んだ事なのに、それが実現すると納得出来ないのは、恋心のなせる業なのだろう。   「ほら」   バッシュに向かって、小瓶が飛んできた。慌てて、それを受け取る。   「二日酔いの薬だ。迎え酒の方が、良かったか?」 「い、いや、…ありがとう。これがいい」   それを一気に煽る。   「本当に、二日酔いなのですか?」   薬を噴出しそうになった。無理やり根性で飲み込んだが、それでも少々気管に入り、盛大にむせる。   「殿下っ!」 「ならば、先へ進みましょう」   浮かべた表情は、未だ強張っていたが、真っ直ぐバッシュを見つめている。   「はい」   バッシュは小さく微笑み、頷いた。   「ヴァン」   バルフレアの目配せに、察しよくヴァンが頷く。   「なら、食べた後に、ダルマスカの俺ん家へ行こうぜ。ここじゃ、まずいだろ?」   シヴァの爆発から逃れた一行は、爆心地にほど近い村で休息を取っていた。   「そうだな」   各自、それぞれが席につき、用意された朝食を食べ始める。 それは、今までと変わらない光景だったが、たった一人の意識の違いで、ほんの少し空気を柔らかく変えていた。   「バルフレア」 「ん?」 「ありがとう」   その違いを感じたバッシュは、真横に座っている彼を見る。働きかけたのは、彼の意図を察して動いた、彼の信頼する相棒だろう。だが、それをもたらしたのは、間違いなく彼の意思。 バッシュは、この旅が始まって初めて、心からの笑みを彼に向けていた。   「げっ…」   バルフレアの眉間に、くっきりと皺がよる。   「どうかしたか?」   諦めたようなため息が、バルフレアの口から漏れる。   「あんたらしいな…」   惚れたと言った言葉は忘れていないだろう。その相手にこの笑顔が、どう効果を及ぼすかも、言えば分かってくれると思う。たぶん…。 バルフレアは、必死になって冷静になろうと勤めた。この笑顔は、感謝の心を素直にあらわしただけだと、呪文のように何回も唱える。効果いまいち。   「……今夜、押し倒すか」   その物騒な呟きに、アーシェは真っ赤になって固まり、バッシュは笑った。   「邪魔は、しないのだろう?」   しっかり覚えていた。   「邪魔にならない程度にしといてやる」   ニンマリ笑う。   「ただ、あんたが俺に近寄ってきたもんは、知らないぜ。なぁ、キスはし放題なんだろ?」 「バッ…」 「あんたが、言ったんだからな」   その唇が軽く重なる。「随分と塩味の効いたデザートだな」と呟いた口元を舐めながら、バルフレアは椅子から立ち上がった。   「じゃ、俺は荷物をまとめてくる」   相手の反応を見る余裕が無い。さっさと背を向け、ひらひらと手を振って、食堂を後にした。   (ったく、情けない…)   先に進む姿に惚れたしまった自分は、彼を拘束する事も、奪う事も出来ない。出来ないどころか、進む事を無意識に支援する始末。   (ちっ…)   なのに、もっと心の奥底にある無意識が正反対に体を動かし、それを止められない。 同時に正反対に動こうとする自分に、振り回されている。   「この旅が終わったら…」   空賊としては、体たらくな考えに苦笑が浮かぶ。   「奪うとするかね」 「私をか?」 「あんた以外に、誰が居るんだよ」   いつの間にか、バッシュが部屋に入っていた。   「悪ぃ、バッシュ」 「何だ?」 「突然、あんたを押し倒すかもしれない。気をつけろよ」   とりあえず、断っておけばいいだろうと、荷造りの手を休めず、さらっと言う。   「どう……気をつけろ…と?」 「あぁ、気にすんな。言ったもん勝ちだろ?  ストレスが溜まると、あんたをサポートする腕が鈍るからな」 「いや……君の腕がたとえ鈍っても、十分だと…思うが…」   まったく、分かっていない。 バルフレアは、荷物をまとめる手を止め、困った表情を浮かべているバッシュを見上げた。こんな危機感の無い相手に、自分が我慢しているのも馬鹿馬鹿しい。そんな状態になったら、その時だ。考えるのも面倒くさいと放棄した。やばい事になったら、バッシュが自分を殴り正気に戻してくれるかもしれない。ただ、もっとおかしくなる可能性もあるかもしれないが。   「バッシュ、あんたに惚れてる。ってことで、色々諦めろ。とりあえず、俺の手はあんたをサポートするると思うぜ」 「あぁ、期待している」   そんな事を言ってくる相手を見ると、穏やかな笑みを浮かべていた。   「あー、せいぜい期待してろ」   この先、激しく不安だが、とりあえずなんとかなるだろうなんて、お気楽な言葉が沸いてきた。危機感の無さは伝染するらしい。   「用意は済んだか?行くぞ」   話しながらも、相手はさっさと準備を終わらせていた。 その扉に向かっている背中を見て、しょうがないなと思いながら、バルフレアの足は勝手にその背後をついて行った。   -End-    

 

08.04.27 砂海 悩まないバルフレアは、非常に書きやすいですなぁ(^-^)<いつものヤツよりは、悩んでいない。 いつも、こんな人だと非常に助かります。まじで……他のをどうにかして〜と思う昨今でありました。