「関羽人形」の眉や髭はその質感から馬毛を染色して使っていると思われます。そこで、「引き廻し用山車人形」の毛も馬毛を染色し植毛します。
右足首は鎹を打ち込むために彫った部分や割れなどで強度が著しく低下しているため、新たに木で芯を設け補強しました。
経年劣化で割れて薄くなっていた箇所をエポキシ系の人口木材で補強しました。
足首を接合。
右足首の割れを接着
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見た目には分からないのですが、足首がぐらぐらで今にも取れそうでした。
剥がした布地を定着。
 山車人形
  山 車


仲町山車人形「関羽」の右足と引き廻し用山車人形の顔の修復
「関羽人形」の髭は、馬毛を何十本か集めて「房」を作り溝にはめ込み和紙の紙縒で固定していることが判り、「引き廻し用山車人形」も同じように「房」を作り黒い紙縒で髭を固定しています。
右足首をはずしたところ。
経年劣化で木部に割れや薄くなっている箇所、補強や過去の修復で追加されていった鎹が効かなくなっているところがありました。

右足の修復編
引き廻し用山車人形の顔修復編
 仲町には、明治12年に購入した、三代目原 舟月作の「関羽人形」と、平成13年に仲町町内外の寄付で制作した「引き廻し用の山車人形」2体を持っていますが、「関羽人形」は、経年劣化のためか左右の足部分と青龍偃月刀の鞘部分が損傷してしまい、「引き廻し用の山車人形」は、山車解体の時に誤って、人形の顔、胴体を一部損傷してしまいました。そこで、文化庁 平成27年度文化遺産を活かした地域活性化事業に申請し、文化庁と佐倉市の補助金、仲町町会の自己資金でこの2体の人形の修復を京都にある「京都科学」に依頼しました。
 今回の仲町山車人形修復にあたり「関羽人形」は明治時代の貴重な文化財であることから、「関羽人形」の足や鞘は、制作当時の形や彩色を残しており、修復はクリーニングや接合のみで、補彩はおこなわない事と
「引き廻し用山車人形の頭」は、顔面の目、鼻部分に亀裂が生じており、引き廻しに耐える強度を回復するためには損傷部分だけでは強度を回復できないため、顔面部分を解体し、解体した部分は「関羽人形」より顔の型をとり成型し修復する事としました。
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次に石膏をながし「引き廻し用山車人形」の「顔の外型」を作ります。
固まった石膏の外型に、「関羽人形」に塗ったシリコーンゴムをはがし、石膏の外型に貼り付けます。その上にエポキシ系樹脂とガラス繊維で顔を成型します。
石膏の外枠を壊し、シリコーンゴムをはがすと「関羽人形」とそっくりな「引き廻し用山車人形」の顔が現れます。
「関羽人形」の目はガラスで出来ていますが、ガラスで同じ物を作るのは難しいため「引き廻し用山車人形」には「アクリル製」の目を用いました。これは最初に塗ったシリコーンゴムを元に、耐熱石膏の型を作り、アクリル板をプレスすることで同じ形の目が作れるからです。
眼は、「関羽人形」同様に綿で白目部分を作ります。顔の裏側から玉眼、綿を当て木で固定します。
解体した「引き廻し用山車人形」の顔部分を修復するため、「関羽人形」の顔から型を取り成型します。
型を取る前に「関羽人形」の毛を養生し、全体にスズ箔を貼り顔の彩色を守ります。顔全体を養生後、その上に薄くシリコーンゴムを塗ります。

「関羽人形」の顔下地には胡粉(ごふん 貝殻を砕き水処理した白色絵具)が使用されており、その上に彩色がされているようですが、「引き廻し用山車人形」の顔には水性塗料のアクリル絵の具で彩色をおこないます。
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修復された仲町山車人形「関羽」(左 引き廻し用山車人形 右 三代目 原 舟月作)