第二回やさしい社会問題 6月1日(内容紹介) 「相模原事件から見えてくること」 ■最初に、今回のコーディネーターから、2016年7月に起こった相模原事件(津久井やまゆり園事件)の概要(事件のあらましおよび容疑者の人となり)と論議するにあたっての論点4つが示されました。 論点は、@犯罪を犯した人の個別的・社会的背景についてA精神病(精神障がい者)医療と国の施策の問題点についてB知的障がい者を差別・忌避・排除・隔離しようとする動きや考えについてC福祉介護施設の抱える諸問題について 論点の提示を受けて、参加者(主催者・コーディネーター含め8名)から次のような意見が出されました。 ▲教育関係の仕事をしていた時は障がいを持つ子どもや親とのかかわりがあったが、仕事を辞めてからは地域などで障がいを持つ人と接する機会は少ない。意識的にかかわりを持つように努めないと障がい者は自分とはかかわりがない人になってしまう。 ▲前の職場に何人か軽度の障がいを持つ人がいたが、かかわりは少なかった。かかわることの難しさを感じていたが、その点は現在でもあまり変わってないかもしれない。 ▲今回の容疑者は障がい者の施設に就職したからこの殺傷事件を起こしたと思う。老人施設に就職していたら、老人を殺傷したのではないだろうか? ▲自分の差別意識とどう向き合うかが、人との関わりの中で大切だと思う。今の職場でも、仕事ができるできないなどで同僚に優劣をつけてしまっている自分がいる。今回の容疑者と似たような意識が自分にもある。容疑者が職場の施設の中で同僚とどういう関係を持っていたのかが気になる。この事件は、自分の差別的な意識とどう向き合うか、人との関係をどうしていくかを考えさせられる。 ▲何事も効率性や能力などで評価される現在の社会の風潮がこうした事件の背景としてあるように思う。役に立つかどうかでなく、人として共に生きていくという視点が大切だと思う。 ▲単に「犯罪者個人が悪い」という一面的な見方ではなく、今の社会がこうした犯罪者をつくっているという点を考える必要があると思う。社会の中にある優性思想なども影響していると思う。 ▲親の友達の子が障がいを持っていて、それが障がい者との初めての出会いだった。親は障がい者を好意的には見ておらず、自分もその影響を受けていたと思う。子どもの時に親から受け付けられた考えは根強く残っているように思う。 ▲自分の親は犯罪を犯した人のニュースなどを見て一方的に罵倒するようなことを言う。自分の生活の中の不満やストレスをそうすることで発散しているのかもしれない。自分はそうした言動は嫌だと思うが、親には面と向かって言えない。 ▲生活にゆとりや心の余裕があるかどうか?どの人も様々な不満やストレスを抱え余裕がない生活になっている社会の状態をどうしたら変えていけるのか、考えていく必要がある。 ■そのほかにも、ざっくばらんにいろいろな意見が出されましたが、犯罪者を生み出す社会の問題や排除や隔離ではなく共に生きていく社会はどうしたら作って行けるのか、今後も共に考えていきましょうとコーディネーターからまとめがあり、それぞれが参加した感想を述べて終わりました。参加者からは、こうした社会的な問題は、日頃なかなか話す機会が少ないので、今回、こうした場に参加できて、考えるきっかけができてよかったという声がありました。 今回、論点についてすべて議論できたわけではありませんが、自由な雰囲気の中で、参加者が自由に発言し、お互いから学ぶという観点では良かったと思います。 |