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ハンナ講座 やさしい社会問題 第65回講座(2026年2月28日)まとめ 「格差の問題から今の社会や人間のあり方について考える」 厳しい寒さが少し和らぎ、徐々に春めいた気候になってきた中、いつも通り講座を開催しました。 ●Hさん 「尹東柱を知り、歩みゆかねば」という記事を紹介。清冽な詩で知られる韓国の詩人・尹東柱(ユンドンジュ)が京都に留学中、治安維持法違反の疑いで逮捕され、獄死した日から81年になった。尹とゆかりがあり市民の手で記念碑が建てられた宇治市と尹が学んだ同志社大で追悼の集いが開かれた。宇治市の記念碑建立委員代表の安斎郁郎立命館大名誉教授は「平和とは人が生きたいように生きられる社会。詩人として生きる道を閉ざした治安維持法は巨大な暴力装置。二度と繰り返してはならない」と訴えた。同志社大は「歴史の教訓を心に刻み、新しい時代を展望すべき」だとして尹に名誉文化博士の学位を贈っている。 ●SEさん 「耕さない農業入門講座(中島岳志評・農文協編)人知は自然にかなわない共存のススメ」という本の書評記事を紹介。「耕さない農業」と呼ばれる不耕起栽培に注目が集まっている。農薬や化学肥料を過度に使用し多様な生物を排除する現代の農業は土地を劣化させ生産性も弱まっている。多様な生物を排除せず、自然の調整力に委ね、様々な生物の生き方を尊重する不耕起栽培は、自然を統御するのではなく、多様な非人間の主体に沿いながら調和状態を整えていくもので、これからの農業の方向性を示していると中島さんは言う。 ●SIさん 二つの新聞記事を紹介。 @「スパイ防止法を考える」与党と野党の一部がスパイ防止法の制定に向けた動きを強めている。自民党が1980年代に提案し、「思想・信条の自由を侵すおそれがある」などと批判を受け廃案になった法を今なぜ制定するのか。賛否の立場が異なる二人の専門家に話を聞いた。元内閣情報官の北村さんは「これからの安全保障を進める上でこれまで脆弱だった情報機能を高めるために必要」と言い、弁護士の海渡さんは「情報機能などは特定機密保護法で十分であり、この法律はスパイだと断じて異論を封じ、戦前のように社会を委縮させる恐れがある」と言う。賛否の分かれる法案は十分な論議と慎重な決定が必要だ。 A「自国国旗損壊罪 必要?」自国の国旗を傷つけることを法律で禁止する。そんな国旗損壊罪の新設を自民党などが検討している。憲法学者の志田陽子さんは、「国旗が損壊されて心が痛むという心情とその行為で社会の秩序が揺らぐから法で処罰するというのは違う。国への愛ゆえ抗議することまで規制して法で強制しても、委縮による追従は得られても国への尊敬や帰属感はかえってもろいものになるのでは」と言う。 ●Mさん 岡山倉敷の大原美術館が所蔵しているヨーロッパの名画の展覧会が大阪中の島の香雪美術館で開かれている。 名画を収集した洋画家の児島虎次郎とそれを支援した実業家・社会事業家の大原孫三郎、そして大原が影響を受けた社会事業家の石井十次を紹介。大原は石井の影響で民衆への支援の大切さを知り、労働者の環境改善や教育、小作農支援、孤児支援、社会問題研究所や学校、病院、美術館の創設など、実業家の枠を超えて、多くの民衆支援の社会事業を手掛けている。石井は生活に困窮する母親から子どもを預かったことをきっかけに、キリスト教信仰に根ざした岡山孤児院を創設して、生涯を孤児救済に捧げている。 また、岡山の地でキリスト教信仰にもとづく慈善事業をおこない、石井とともに岡山四聖人と呼ばれた留岡幸助、山室軍平、アリス・ペティ・アダムスも紹介。留岡は日本の社会福祉の先駆者で児童自立支援教育の実践家として知られ、現在の児童自立支援教育にも影響を及ぼしている。 次回は 3月14日(土)の予定です。
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