ハンナ講座 やさしい社会問題 

第60回講座(2025年7月26日)まとめ

「格差の問題から今の社会や人間のあり方について考える」

ここしばらく続いている厳しい猛暑の中、参加者は汗をふきながら、講座を開催しました。

 

Mさん

@島本高槻沖縄戦戦没者の尊厳を守る会学習会「ウチナンチュの肝心4」(6月28日高槻クロスパル)の開催報告。沖縄戦体験者の赤嶺助八さんのお話を聞いて感想や意見交流をおこなった。赤嶺さんは沖縄県豊見城市に生まれて。8才で沖縄戦を体験し、その後18才で関西に来て、建設業などに携わりながら、高槻市沖縄県人会や唄三線の会(でいご会)などを立ち上げ、ウチナンチュとしての誇りを失うことなく生きてきた。赤嶺さんのお話で特に印象的だったのは、家族で助け合いながら沖縄戦を生き延びたこと、皇民化教育と沖縄方言抹殺の政策(方言札など)、ヤマトでの沖縄差別などで、今後、戦争体験を継承し、日本が真の平和国家になるために自分たちが出来ることは何かを考えるとともに沖縄差別や基地の問題など現代の沖縄をめぐる問題を考え沖縄理解を深めていくことが大切だと感じた。

A「日本の植民地主義を問う・日本軍慰安婦問題の解決とは何か(7月27日)という講演会の紹介。

B10月11日(土)のハンナの講座は「神戸在日コリアンくらしとことばのミュージアム(ナドゥリミュージアム)へのフィールドワーク」ということの確認。ミュージアム見学、館長の金信縺iキムシニョン)さんのお話、長田の街のフィールドワークなどを行う予定。

SIさん

@「沖縄の80年終わらぬ戦後・続く暴力、不条理な日常」という記事を紹介。沖縄戦の終結から80年たった今も沖縄には在日米軍基地の7割があり、米兵犯罪が絶えず「戦後0年」とも言われる。沖縄戦を掘り下げる意義や基地と併存する苦難に本土の人間はどう向き合えばいいのかと琉球大教授の上間陽子さんは問う。

A「加害と被害、認識する視点を・皇民化と地上戦」という記事を紹介。真の平和を考えるためには、沖縄戦の被害だけでなく、沖縄戦に至る過程で戦争を招き、満州事変、日中戦争を戦った大日本帝国国民としての加害の視点を忘れず、国のために個人を犠牲にすることがあってはならないという教訓を大切にしてほしいと沖縄大客員教授の新城俊昭さんは言う。

B「特別扱いの心理学・信頼の総和を大きくするために」小学校で多動性の児童の扱いをめぐり、すべての子どもにとって特別扱いの持つ意味を社会にも広げて考えていきたいと臨床心理士の東畑開人さんは言う。

④「良い人はどこにいる」という記事を紹介。イラン旅行で心優しく親切な人たちに出会った経験から、国の顔とその国の人の心は別物だということを忘れないようにしたいと花園大特別教授の佐々木閑さんは言う。

Nさん

@「「参政党の憲法案を叱る。天皇主権国家めざす暴論」という記事を紹介。公表された参政党の「新日本憲法案」は、天皇主権や教育勅語の復活など、戦前の大日本帝国憲法を思わせる時代錯誤としか評価しようがなく驚かされたが、国会でこの党が一定の議席を得ると改憲発議への動きを誘発するかもしれず軽視できないと慶応大学名誉教授の小林節さんは警鐘を鳴らす。

A「排外主義の台頭どう見る」という記事を紹介。「日本人ファースト・外国人排除」など極端な排外主義を掲げる参政党が勢力を拡大している。その背景には人々の生活苦への不満を利用し、デマを拡散して不安をあおるなど、欧米での動きと酷似しており、戦前のナチスも想起させる。外国人がいて今の日本社会は成り立っており、日本人と外国人が力を合わせる社会こそがメリットがあると伝えていくことが大切だと弁護士の神原元さんは言う。

B「ガザやまぬ配給所へ付近への攻撃・食料求め死の旅」「群衆追い払うため発砲」という記事を紹介。

Mさん

排外主義の台頭についての私見を述べる。現在世界各地で排外主義、保護主義が広がっているのはグローバル化の負の側面が強く出ているからだ。グローバル化は人材の交流・多様化、資金・資本の流動化、自由貿易による多様で豊富な商品の流通など良い面が多くあるが、反面、仕事の奪い合い、国・人の経済格差の拡大、資金・資本の無制限な拡散など負の側面も多い。負の側面は、国々の政府によって、「自国民を守る」という保護主義的な政策を生み、国々や国内での人々の対立が深まる。対立を回避するためには「自国・自分だけでなく他国・他人の立場も尊重した対話と理解」が大切だが、根本的には、国を解体して国境をなくし、地球全体が「世界共和国」になっていく以外に道はない。経済・文化・人のグローバル化(世界化)は進展する一方なのに、それを妨げる国境と民族国家(政府)があることが、問題の根源になっているからだ。世界共和国はカントが提唱したが、現代の日本では柄谷行人が発展的に主張している。

Mさん

@「拘禁刑を導入・刑罰転換〜「こらしめ」から「立ち直り」へ軸足」「矯正施設の現場改革・課題」という記事を紹介。刑罰から懲役と禁錮をなくし、「拘禁刑」に一本化する改正刑法が施行された。受刑者の立ち直りを促すという趣旨は良いが、保安を重視する刑務官の意識改革や研修、人員増強など課題も多い。

A「頑張ると言う前に〜「べき論」手放してみては」「能力平等観・報われぬ社会」「無理をしない生き方幸せ」という記事を紹介。何のため、誰のために頑張るのか?頑張るという呪縛から解放されるには、こうあるべきだという自分らしさを持つことを強いる社会を変えることが必要だと看護師で僧侶の玉置妙憂さんは言う。

 

8月は講座はお休みで、次回は9月13日(土)です。