ハンナ講座 やさしい社会問題 

第59回講座(2025年6月14日)まとめ

「格差の問題から今の社会や人間のあり方について考える」

梅雨に入り、ムシムシした気候の中、いつも通り講座を開催しました。

 

Fさん

「中学生から知りたいパレスチナのこと」という本を紹介。アラブ文学・思想専門の岡真理さん、中東欧史専門の小山哲さん、ドイツ現代史や食と農の歴史の研究者藤原辰史さんという、3つの分野の研究者による対話で構成されている。パレスチナ問題とは、中東の国で起きている中東の国の問題ではなく、ヨーロッパの問題であるとする岡さんの提起に、ヨーロッパ史を専門とする二人の歴史学者が応える形で議論は進む。パレスチナの歴史とイスラエルの成り立ちから見えてくる近代ヨーロッパの植民地主義、人種・民族主義の問題。しかし、それはそのままかつてのアジア諸国における日本の在り方が問われることでもある。Fさんは本の中で印象に残った文をいくつか紹介し、パレスチナ問題を自分ごととして、本当の意味での世界史認識と自分たちの歴史観を問うものだと問題提起した。

「私たちが見たパレスチナ〜占領下に生きる人々と暮し」(会場・主催:長谷川書店水無瀬駅前店)という写真展も紹介。

Hさん

「つながる世界 パレスチナのこどもたち写真展+絵本作家の絵画展」(京都・堺町画廊)という展覧会を紹介。「こどもたちを傷つけない平穏な世界を願うパレスチナをみつめる絵画と写真の展覧会」として、吉田尚令さんなど20名あまりの絵本作家の絵とパレスチナの子どもたちの写真が展示されている。画廊で無料配布されていた、イラストレーターのはしもとゆかさんの「パレスチナに行ってきた話」というイラスト入りの小冊子も紹介。また、「パレスチナ連帯!京都クイア映画上映会(628日京大西部講堂)」のチラシも紹介。

あと、「ミャンマー支援 街頭募金100回」という新聞記事を紹介。日本ビルマ救援センターのメンバーや大学生・高校生・留学生などが、軍政と水害・地震などの被害が続くミャンマーへの支援を継続。

SEさん

先日、福島県へ旅行し、「東日本大震災原子力災害伝承館」を訪問した。施設は、福島第一原発のある大熊町のとなりの双葉町にあり、被災の写真展示や西田敏行さんの展示コーナーもある。大熊町出身の20代の、被災当時は中学2年生だったという女性の語り部の方からお話を聞いた。被災当日とその後の避難生活の様子と被災についての様々な思いを率直に語ってくれたが、「復興って何?私は元の生活に戻りたいだけなのに」「マスコミはキラキラした人ばかり取り上げる(黙って耐えてきた人は取り上げない)」という言葉がすごく印象に残った。被災から14年、現地の人の率直な話を直に聞くことができ。改めて原子力災害や復興のことを考えるきっかけになり、良かったと思う。

Uさん

「認知症世界の歩き方通信」という小冊子を紹介。日本は、高齢化社会が世界に先駆けて進行し、認知症の課題も先行しているにもかかわらず、認知症への偏見や誤解が多く理解も進んでいるとはいえない。誰もが認知症になる可能性がある中で、認知症への偏見と誤解をなくし、正しい理解を広め、日本と世界の認知症観を変えたい。認知症の人を特別視し隔離するのではなく、認知症を正しく理解した家族や知人とともに共に生きる社会の実現を目指すことが大切であり、誰もが認知症とともに人生を楽しめる社会を実現したいと、issuedesignの代表・筧祐介さんは言う。

 

Oさん

@ホームレスの人たちを支援している釜ヶ崎の「ふるさとの家」を紹介。ホームレスの人たちの中には障がいを持つ人たちが多くおり、その存在は可視化されていない。ふるさとの家では、こうした障がいを持つホームレスの人たちが、生活保護やヘルパー、金銭管理などの支援で何とか生活できるよう取り組みを進めている。障がいを個性と考える釜ヶ崎という街は、暖かく懐の深い街だと思う。今後、ハンナでも見学やFWなどもできればと思う。

A「島本高槻・沖縄戦戦没者の尊厳を守る会(仮称)学首会 ウチナンチュの肝心(ちむぐくる)」

628日高槻市クロスパル会議室401号)という企画を紹介。沖縄戦を体験した赤嶺助八さんのお話を聞いて、意見交流などを行う。

 

次回は7月26日(土)です。