ハンナ講座 やさしい社会問題 

第53回講座(2024年12月14日)まとめ

「格差の問題から今の社会や人間のあり方について考える」

寒さが本格化し、年の瀬も近づく中、いつも通り講座を開催しました。

 

●Nさん

「妊娠中の母親の血液中の有機フッ素化合物(総称PFAS)の濃度が高いほど、子どもの染色体異常の発生が多い傾向がみられたという調査結果を信州大学の研究チームが発表した。専門家はリスク評価の見直しや高汚染地域での調査の必要性を指摘している」という新聞記事を紹介。

 

●Uさん

北九州市で長年「認定NPO法人抱樸」を拠点に路上生活者の支援を続けてきた奥田知志さんの取り組みに関する記事を3つ紹介。

奥田さんは、個別の支援には限界があることを知り、困っている人が誰でも「助けて」と言えるまちづくりが大切だと、北九州市の一角に「希望のまち」と名付けたプロジェクトを進めている。それは、地域でのつながりを大切にし、「家族機能の社会化」をめざすもので、他人でも家族同様の関わりが可能な地域社会をめざす。「なんちゃって家族」大実験と銘打ったその取り組みは、誰ひとり取り残されないまち。それを全国に先駆けて作ることを目指している。

 

●Sさん

経済学者・暉峻淑子(てるおかいつこ)さんに関する記事を紹介。「豊かさとは何か」の著書で知られる暉峻さんは、誰もが自己肯定感を持ち、他者の人権を尊重し、相互承認と対話を基本とする社会が豊かな社会だと言う。そして、民主主義を棄損し続ける社会への怒りを消去するには対話しか手段はないと言う。暉峻さんが自分の人生について語った記事が朝日新聞に14回にわたって連載された。そこには、

暉峻淑子という、日本社会の希望とも言うべき硬骨の学者が生み出された背景や歴史が如実に語られている。

あと、Sさんは、国際ジャーナリスト堤未果さんの新著「国民の違和感は9割正しい」という記事を紹介。堤さんは、国民の主体的な判断や考えが国によって奪われ、国に統制・支配されつつある現状に警鐘を鳴らす。この現状に抗うキーは「地方」だと堤さんは言う。Sさんは、これに関連して、自身の地域の社協等での活動を紹介し、奥田さんや暉峻さんの話もふまえて、地域での対話や助け合いの重要性と課題について話された。

 

●Mさん

今年一年の講座を振り返って、Mさんは「戦争と平和」「政治と民主主義」に大きな関心があったということで、「地べたから政治を立て直す〜選挙が示した変調:政治学者宇野重規さん」と「長崎で当たり前の記憶が〜同世代に発信、私の仕事:俳優長濱ねるさん」の記事を紹介。平和や民主主義を守っていくには、地域での地道な活動や一人ひとりの地道な発信や行動が大切だと実感したと言う。

 

このあと、1年の終りということで、一人ひとり、1年間の講座の感想を交流しました。日常生活に追われる中で、この講座で、社会問題について共に考えることができるのは、とても有意義で大切な時間だという声が多くありました。来年も、社会問題についての記事や本などの交流はもちろん、外へのフィールドワークや講師を呼んでの講座もまたできればということで、1年の締めくくりとしました。

 

次回は、1月18日(土)の予定です。