ハンナ講座 やさしい社会問題 第47回講座(2024年5月11日)まとめ 「格差の問題から今の社会や人間のあり方について考える」 ウクライナやガザでの悲惨な戦争が際限なく続いている中、日本はゴールデンウイークで、観光地はコロナ前の賑わいだというニュースに何とも言えない複雑な思いを抱えながら、新緑の5月、いつも通りの講座を開催しました。 ●Fさん 来月の講座(6月22日)の確認と案内。大山崎町で農家をされている島照子さんを迎えて、食料自給や食の安全供給の問題などについて共に考えていく内容。日本の農業のこれからは非常に厳しいという、徳島の農家に取材した内容の新聞記事(「なんちゃって農地」の備え)も紹介。 ●SEさん、SIさん 先日、ハンナの講座参加者を中心に行った岡山・福山・鞆の浦への旅行について簡単に報告。 ●Nさん いくつかの新聞記事を紹介。 ① 「ガザ大量虐殺6カ月」イスラエルはガザ地区への空爆に際し、AIを使って標的を自動的に設定し、誤爆で多くの民間人を巻き添えにすることを承知で攻撃を許可していたことが報道で明らかになり、グテレス国連事務総長は深い懸念を表明した。関連して、イスラエルを支援するマクドナルドでの食事はジェノサイドへの間接的な加担になるという記事も紹介。 ② 東京外かく環状道路(外環道)の関連工事を施工している鹿島建設JV(共同企業体)が、住民を監視・盗撮し中傷するやりとりをしていたことが報道で明らかに。鹿島やNEXCO東日本は、工事の安全確保のためと説明したが、監視・盗撮目的以外には考えられない人権無視の実態が判明し、住民の怒りはおさまらない。 ③ 大川原化工機の社長らが軍事転用のおそれがある装置を不正に中国などに輸出したとして外為法違反の疑いで逮捕されたが、検察は公判直前に起訴を取り下げ、警視庁公安部のねつ造だと判明した。 この事件は、現在国会で審議中の「経済秘密保護法案」と関連した経済安保政策に便乗した冤罪事件であり、防衛に名を借りた経済活動の制限や公安警察による治安維持、警察国家化の推進などが背景としてあると考えられる。 ④ 経済秘密保護法案についてジャーナリストの青木理さんへのインタビュー記事。 経済秘密保護法案は、特定秘密保護法案や共謀罪法などと同じく、政府が秘密裏に指定する内容について、企業の社員や研究者、メディア記者や市民運動家まで身辺調査や刑事罰の対象となるもので、治安維持を目的とする警察国家化や軍事大国化への動きに拍車をかけるものと言える。 ●Uさん 1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された「飯塚事件」についてのドキュメンタリー映画「正義の行方」と森達也さんの文を紹介。DNA鑑定などによって犯人とされた久間三千年は否認を続けたが、2006年に最高裁で死刑が確定、2008年に異例の速さで死刑執行された。刑死した翌年には冤罪を訴える再審請求がされ、事件の余波はいまなお続いている。映画は、弁護士、警察官、新聞記者という立場を異にする当事者たちが語る「真実」と「正義」を突き合わせながら事件の全体像を多面的に描き、この国の司法の姿を浮き彫りにしていく。森さんは、映画を見て、「とんでもない映画を観ている」「ぎしぎしと正義が軋む」と表現し、さらに多面的に検察や裁判所、法務省にも取材したパート2の制作を切望する。 ●Hさん ①「患者発言中マイク音切る〜水俣病めぐる環境相懇談で国側」の記事を紹介。 公式確認から68年となった水俣病をめぐり、熊本県水俣市で開かれた環境相と患者らの懇談で、患者側が発言している最中に環境省職員がマイクの音量を切って発言を遮る場面があった。環境省側は事務局の不手際と言い、環境相はマイクを切ったことを知らないと述べた。水俣病問題についての国の姿勢が改めて問われている。Hさんは、水俣病を知らなかった自分自身の姿勢を振り返り、改めて問題に目を向ける。 ②アカデミー賞国際長編映画賞受賞作「関心領域」(アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族がいた)を紹介。5月24日全国ロードショー。 ●SIさん 二つの新聞記事を紹介。 ① 「共同親権は母子の命に関わる」という記事。 離婚後の共同親権を導入する民法改正案が衆院本会議で可決された。しかし、DVの加害夫と離れてようやく安全な生活ができるようになった被害女性と子どもたちにとって、共同親権の導入は命に関わる。国際社会で共同親権が一般的だからという理由で政府は法改正を急いでいるが、DVなど身の安全さえ保てない被害者のために、被害者救済の施策を含め、立ち止まって考えるべきだ。 ② 「民間研究機関『人口戦略会議』の分析結果に疑問」の記事(朝日・天声人語) 少子化が進むのは子どもを産む年齢の女性人口が減るためだという分析結果はおかしい。少子化の最大の原因は男女の晩婚化と非婚化にあるのに、女性の出産率減だけを問題にするのはおかしい。人口減には家事や子育てを平等に分担できる働き方や男女の賃金格差の解消など政策で対応すべきものも多い。女性は子どもを産むだけに存在しているのではなく、個人の幸せのために、生きたいように生きたいのだ。 ●Mさん 二つの新聞記事を紹介。 ① 重苦しい言語空間「縁を切らない言葉で対話を」の記事を紹介。意見が異なる相手と議論ぜず対話を拒絶するような姿勢は社会の分断を進める。対話と共存の姿勢が大切だ。 ② 「増える外国人住民 共生のまちとは」の記事。 外国人住民比率が高い3つの地域(茨城県常総市・大阪市生野区・岐阜県可児市)のNPOが集い、フォーラムを開き、保育や学習支援などを中心に共生への具体的な取り組みについて交流した。 次回は、6月22日(土)「土を耕して 〜農業従事者として気がついた事」お話 島照子さん 参加費800円 事前予約が必要です。申し込みはハンナホームページで。
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