ハンナ講座 やさしい社会問題 

第37回(2023年6月10日)まとめ

「格差の問題から今の社会や人間のあり方について考える」

コロナがほぼ終息気配を見せていますが、日本や世界の政治・経済状況は厳しさが増しているように思います。梅雨の曇り空の中、いつものように講座を開催しました。

 

SEさん

①旧姓使用は海を超えない

選択的夫婦別姓制度の代わりに政府が進める「通称としての旧姓使用拡大」は、海外ではまったく通用しない実態を報告したのは、欧米で働く国連や省庁で働く7人の女性。海外で女性が旧姓で働くには、離婚や旅券の名義不変更などしかない。政府の「旧制併記」はガラパゴス的で、「女性活躍」は欺瞞だといえる。

「脱原発」ドイツと「回帰」の日本

ドイツは2002年に脱原発法を制定し、2010年には広範な識者で構成された政府の倫理委員会が「脱原発が妥当」をの結論を出し、今年4月に脱原発を達成した。日本では、福島の原発事故の教訓は生かされず、原発利権を守ろうとする政府の主導で、原発への回帰が進む。

 

Uさん

①安倍政権はメディアの「忖度」で「反省」と「改善」の機会を奪われ、結果、あらゆることが上手くいかなかった

今、政権はマスコミの萎縮で、やりたいようにできてしまう。それで政策はすべて上手くいかず、日本の国力は落ちている。政権批判ができない国は衰退する。マスコミの政権批判が弱いと感じたら、別の番組や新聞をみてほしい。国民みんながそうすれば、マスコミも目が覚め、日本も改善していくかもしれない。

戦争はいつも、自衛の名のもとに行われる。歴史は繰り返すとは恐ろしい言葉だと思う。

防衛費が増額され、政府やマスコミは他国の脅威と防衛力強化を声高に訴えている。先の戦争は自衛のもとに行われ、結局武力では国民を守れず、日本が降伏した結果、今私たちは生きている。武力を放棄した平和憲法のもとの日本がすべきことは各国の緊張を和らげるために動き続けることだが、政府は反対の、緊張を煽ることばかりしている。大人が自衛という声を上げる分だけ、多くの子どもたちが死ぬことになる。歴史は繰り返すとは恐ろしい言葉だ。

 

SIさん

①認知症700万人時代・ともに生きる社会へ 京都新聞・松村和彦・鈴木雅人 発行:かもがわ出版

外出やめない。仲間と過ごす。地域で支える。認知症の人たちが織りなす豊かな人生と、「温かい社会」への確かな一歩を照らす一冊。近日発売予定。

京都新聞特別版:認知症の世界、共に歩く、心の旅、心の糸 

認知症で行方不明になった夫を亡くした人の夫への思いと写真家松村和彦さんの認知症の人と共に生きる社会の大切さを訴える写真と文。これから、私たちは認知症の人たちへの理解を深め、認知症の人たちとともにどのような社会を創っていくのかが問われている。

京都四条烏丸にある障がい者アートなどを扱うお店「はんけい5m」のフリーマガジンを紹介。

障がいを持つ人をはじめ、多様な人たちの、個性と魅力にあふれたアートや手作り作品・商品、ユニークな起業などの様々な活動や思いなどを紹介している。

 

●Mさん

①伊豆大島に伝わる、「おたあジュリア」の話を紹介。

文禄の役でキリシタン大名小西行長の養女とキリシタンになり、その後、キリシタン禁令で伊豆大島などに流されりして、日本で苛酷な人生を送った朝鮮の少女の話。

②「NPOにおける多セクターとの共創による包摂型地域コミュニティ生成・高槻市におけるアクションリサーチ」という論文を紹介。

現在、高槻富田地域で著者が運営している地域支援NPOの取り組みを、企業や団体、学校、病院、自治会などの幅広い協力・連携のもとに、他地域に広域的に広げていく取り組みを理論化したもの。これからの、困難な状況に置かれた人たちを一人も取りこぼさず誰もが幸せに共に地域で生きていく「包摂型地域

コミュニティづくり」の方向を指し示す論文。書籍化もして全国発信する予定とのこと。

 

 

 

新聞記事の紹介に関連して、「政府の政策に批判的な書物の発行を上司に止められた革新系の新聞の記者のこと」「マスコミの政府追随の姿勢が強まっていることへの懸念」「虚言やフェイクニュースなどに惑わされず真実を知る努力が大切」「認知症の人に対する理解やと共に生きる社会を創っていくことの大切さ」など、今の社会のあり方についての意見や感想が多く出されましたが、詳細は割愛します。

 

次回は、7月8日(土)の予定です。