冬のにほひ
乾いたなかに気づかないほどのしめり気
冷たいなかに気づかないほどのぬくもり
色でいえば朝もやの白
むれた乾し草のにおいを宇宙(そら)の果てにまでうすめ
雪の結晶がひとつひとつ溶ける
きらめきをあつめて じっと待っている。
乾いた冷たい空気を体温でゆっくりと暖めながら
深く息をする 冬のにほひ