隠岐の島一人旅(2023.4.9〜11)
島根半島の北約50kmにある隠岐の島は4つの大きな島と180の小さな島から成る。今回は大きな島(島後、
島前の西の島、中の島、知夫里島)を観光する。島後から島前にはフェリー、高速船が一日数本、島前は三つの島
内を一時間に一本の連絡船が結ぶ。効率良い計画は立てずらい。
4月9日(日)
羽田空港を7時10分に発ち、出雲空港に8時
35分に着く。プロペラ機(ATR42,39人
乗り)に乗り換えて出雲空港(出雲縁結び空港)
を9時に出発し隠岐空港(隠岐世界ジオパーク
空港)に9時30分に着く。バスで西郷港へ。 出雲縁結び空港 プロペラ機で隠岐へ 鬼太郎親子とねずみ男
西郷港ターミナル前で迎えてくれたのは、水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎の鬼太郎親子とねずみ男」。昼食を西
郷港の待合所で採り、12時05分に西郷港からフェリー「おき」で中の島の菱浦港に13時15分に着く。途
中イルカに遭遇。観光案内所で悲しい知らせ「強風で海上がシケの為、海中展望船あまんぼう欠航」を聞く。
1.中の島・海士町(人口:約2,300人)
仕方なく、観光協会で電動自転車を借りて、約20分心地よい風を切って、島の中央部にある神社等を観に
行く。
1.後鳥羽天皇御火葬場:後鳥羽天皇が崩御されたのちに、火葬されたご遺骨は京都とこの隠岐神社の近くの
山稜に収められた。
2.隠岐神社:「承久の乱」に敗れて、ここ海士町にご配流された後鳥羽天皇の崩御700年に建てられ、後鳥
海中展望船あまんぼう (内部) 後鳥羽天皇御火葬場 隠岐神社
停泊していた先程のフェリーで菱浦港を15時15分に発ち、目の前の西ノ島の別府港に15時30分に着く。
別府港の目の前のホテルにチェックイン。
ホテルの窓から次のフェリーが接岸し船首を上げて車が
出てくるのを目撃。そしてバックしながら船首を下し向き
を変え次の寄港地へ向かった。夕食はさざえ、岩ガキ、刺
身、てんぷら等魚介類三昧だった。
翌朝、向かいの中の島の上にきれいな朝日が昇る。 フェリーから車が 日の出
4月10日(月)
別府港を7時47分発の島前回遊船「いそかぜ」に乗る。昨日より風が強く波頭が
砕けている。波が船の底にあたる音が「ドン、ドン」と響く。8時04分に知夫里島
の居来(くるい)港に着く。予約していたタクシーで島内の観光地を巡る。
2.知夫里島・知夫村(人口:約630人、牛600頭、狸2000匹)
1.赤ハゲ山(標高325m)展望台 来居港から中の島
タクシーで山道を登って行く。頂上には木々がほとんど生えておらず360度の展望。550万年前にでき
たカルデラ(外輪山が西ノ島、中の島、知夫里島で中央が海)でカルデラの中央が海になっているのは、他に
はギリシャのサントリーニ島だけとか。頂上に着くまでに何頭かの牛に道路を遮られた。牛の糞は道路に点在。
狸と馬が仲良く遊んでいる光景も目撃。山道を下って次の景勝地・赤壁へ。
2.赤壁
噴火の終わった火山が日本海の波風により侵食され絶壁となり内部をあらわにしている。灰色の垂直の岩は、
マグマが昇った火道。その周囲には、酸化鉄を大量に含んだ玄武岩や凝灰岩で構成された赤茶色の岸壁で島の
西側一帯約1kmにわたて続く。海からみる観光船も欠航。
再び「いそかぜ」で12時10分に来居港を発ち、12時36分に別府港に戻る。
赤ハゲ山からカルデラ 牛と狸 放牧の牛 赤壁 (船からの赤壁)
左:西ノ島 右:中の島
3.西ノ島・西ノ島町(人口:約2,600人)
町内バスで観光バス・観光船の発着する浦郷港に行く。13時発の大型の観光バスに観
光客3人で観光に出発。
1.摩天崖
バスは狭い山道をくねくねと登って行く。片側は崖で怖い。波の浸食によって形成さ
れた257mの大絶壁は、火山活動の記録も見る事が出来、牛馬の放牧地帯にもなって 浦郷港から知夫里島
いる。ここから通天橋までの約1kmは遊歩道がで
きており歩ける(50分)とか。強風で歩くのがむずかしいのでバスで回って國賀浜へ行く。
2.通天橋
國賀海岸の中央部にある岩の架け橋は、波の浸食により洞窟の周辺部分が崩れ落ちてできたアーチ状の奇岩。
約7kmにわたって粗面玄武岩の海蝕崖や海蝕洞が続き隠岐最大の景勝地?
3.観音岩
高さは海抜約40m。春と秋に日が沈む頃、陸上から観音岩の上に太陽がかかり、ろうそくに火が灯った様に
見える事から「ろうそく岩」とも呼ばれている。
摩天崖 摩天崖遊歩道 國賀海岸の奇岩 通天橋 観音岩
浦郷に14時45分に戻る。本来なら15時発の観光船に乗る予定だったが、海上が強風でシケの為、國賀め
ぐり定期観光船は欠航となり、しかたなく町内バスで別府港に帰る。
4月11日(火)
高速船レインボーで別府港を8時に発ち、隠岐の島町の西郷港に8時45分に着く。思ったほどは揺れなかった。
4.島後・隠岐の島町(人口:約13,600人、直径約12kmのほぼ円形)
観光タクシーで島の西半分を散策する。西郷港を9時頃出発。国道485号線を2km程北上した右側に鳥居が。
1.玉若酢命神社・八百杉
神社の前にも水木しげるの妖怪「琵琶ボクボク」の像があった。参道を50m程行き神門をくぐった右側に
太い杉の木があった。これが国指定天然記念物の樹齢2000年、樹高38m、根元の周囲20mか。玉若酢
命を主祭神とし、本殿は隠岐造りで随神門、旧拝殿ともに国指定重要文化財に指定。
そこから2km程北上し右に折れて闘牛場に行く。今日は闘牛はやっていないが中に入る。
2.隠岐モーモードーム(牛突き場、直径40mのドーム)
隠岐に島流しに後鳥羽上皇を慰める為に始まったという。日本最古約800年の歴史があり、牛は2〜6歳の
雄の和牛で、横綱級の体重は1000kgにもなるとか。負けたら食肉にされるとタクシードライバー。島前で
放牧が行われていたが、雌と生まれた子牛だけで、雄は大人になると島後に運ばれ牛突きの牛となる。
そこを出て田んぼ、畑、低い山の中を約10km程北上する。
妖怪・琵琶ボクボク 八百杉 玉若酢命神社随神門 本殿 闘牛場
3.水若酢神社
右側に大きな鳥居。参道を60m程行った奥に小さな本殿がある。名神大社の隠岐国一宮で、隠岐造り・茅
葺の本殿は、国指定重要文化財となっている。神紋は「菊」。
その神社の右手奥に歩いて行くと
4.隠岐郷土館
明治初年の役所庁舎を移転し、修復した県内最古の洋風木造建築物で県指定有形文化財。館内には、国や県
の指定文化財を展示してあった。
国道485号線を更に北上し、北端にある神社。
5.伊勢命神社
西日本最大級の黒曜石の産地である久見集落の神社で、奉納される久見神楽は県指定無形民俗文化財。鳥居
をくぐり本殿に参拝し、本殿の上には、二匹の龍の彫り物があり雌龍(中央に頭だけ)を守る雄龍のうねる身体
の姿があった。鳥居に戻った時タクシ−のドライバーから「この鳥居は裏表が反対に建てられている」と言われ、
良く見ると「なるほど」と納得。(鳥居の支えがい入口側に)
そこから国道を離れ県道44号線を反時計回りに西海岸に行く。ろうそく島展望台までは土砂崩れで行けな
いので、手前の海岸から見る。
水若酢神社 本殿 隠岐郷土館 伊勢命神社(鳥居が逆) 本殿 二匹の龍の彫刻
6.ろうそく岩展望
遠方に高さ約20mの岩。岩の先端に夕陽があたるとローソクに火を灯した様に見える事からその名がついた。
夕方これを観る観光船がでる港(重栖港)をぐるっとまわったが、数隻の小さな釣船が係留されており、この舟
で観光するとか。今日の強風では欠航か。
10km程南下して那久岬を見下ろす展望台へ行く。
7.那久岬
展望台からは眼下に灯台、遥か向こうに昨日回った西の島の魔天崖が望めた。また展望台横に昔灯台として
使われた灯篭があった。
ローソク島 (ローソク島に夕陽) 那久岬 昔の灯台
8.壇鏡の滝
そこから島の中心部の山の中へ5km登って行く。駐車場で下り歩いて川畔の狭い道を登る。周りに見える岩
に張り付くように杉の木が生えている。ドライバーは「この島は、岩板の上に薄く積もった土に木々がはえてお
り、土砂崩れがすぐ起きる」とか。よく分かった。道を登る事10分。正面の突き当りに社。その右側に約40
mの細く壇鏡の滝・女滝が。社の左側に雄滝。雨が降る様に少量の水が落ちている。社の脇を登って滝の裏に行
く。裏から今登ってきた道を滝の向こうに見る事が出来た。滝の裏に入ったのは、ナイアガラの滝、上山田雷滝。
再び山を下り、県道44号線を南下し、屋那の松原地区へ。
9.舟小屋群
昔は木船だったので舟を雨さらしにしておくと傷むので、杉の皮で葺いた屋根を持った舟小屋を造り保管した
アパートだ。珍しい。
壇鏡の滝 女滝 男滝 男滝の裏から 舟小屋群
そこを出て10km先の空港へ向かう。普通だと4時間のコースを約3時間で回ったが観光タクシーで回るの
も効率的で良いものだ。今回は島後の中央を南から北へ、そして反時計回りに西海岸を半周したが、東海岸側に
も観光地は多くあるとか。機会があればそこを観光したい。屋久島と違って、島後は小さな富士山を沢山並べた
様な島で、最高峰は、大満寺山の608mで500m級の山々が連なる火山島だ。
12時頃隠岐空港に着く。空港で昼食をと思っていたが、一軒しかないレストランが今日は休業。空腹を大阪
へ。隠岐空港を13時に発ち(ジェット機:E170)、大阪伊丹空港に13時45分に着く。大阪で昔の会社
の友人と酒を酌み交わし歓談し、新幹線で深夜に帰宅。
楽しい一人旅であったが、これが限界かなと寂しく思った。
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