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犯罪関連用語の基礎知識

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【 ら行 】

- 50音順 -

 

ラベリング理論
立証
リスクテイキング行動
リベンジポルノ
リマ症候群
略式裁判

略取誘拐罪
留置場
領置
累犯
ルストモンド
ルッキズム

ルミノール
令状主義

礼拝所及び墳墓に関する罪
ロールシャッハテスト
露出症
論告

 

 

ラベリング理論

ラベリング理論

Labeling Theory ある人のある行動を非行や犯罪として認知する過程を「ラベリング」「烙印づけ」と呼ぶ。非行や犯罪の定義は時代や国によってさまざまだが、非行や犯罪と考えられる行動をとったことが世間や地域、学校、家庭、マスコミなどにいったん知られると、世間ではその人に「非行少年」「犯罪者」などというレッテルを張りつけ、特別の目で見ることになり、その人に対する態度や対応が変わってくる。このような現象がラベリングである。

立証

立証

刑事裁判の初公判において、冒頭手続き、冒頭陳述に続いて行われるのが、検察官側の証拠調べ請求であり、これに対して弁護人が同意するかどうかがたずねられる。証拠ひとつひとつについて弁護人が同意するか不同意かを答えていく。たとえば、誰かが証拠書類(書証)に同意すれば、供述者を法廷に呼ばなくても検察官の請求した書証をそのまま証拠として採用していいということになる。証拠調べが始まると、書証はその要旨が読み上げられ、証拠物は被告人にも確認させ、裁判官に見せることになる。こうして認められた証拠を材料に犯罪事実に関する立証をしていく。

書証のうち、検察官が提出する代表的なものとしては、被告人や被害者、目撃者等の供述調書があり、そのほかに、捜査報告書、被害届、実況検分調書、鑑定書、写真撮影報告書などがよく登場する。一方、弁護人は検察官と同様の書証を提出するほかに、被害者と取り交わした示談書、嘆願書(上申書)などを出すことがある。

ちなみに、証拠には取調べの際の供述調書の朗読、凶器などの証拠物の展示、目撃したなどの情報をもった証人の尋問の3つがある。

次に被告人側の出番となる。犯罪事実について争うのであれば、検察官と同様に、弁護人が冒頭陳述を行い、用意した証拠を提示する。争わないのであれば、情状の酌量にポイントが置かれ、情状証人といって家族や職場の上司などが呼ばれ「普段はいい人なんです」というようなことを語ってもらう。弁護人の主尋問のあと、検察官が反対尋問を行なう。

リスクテイキング行動

リスクテイキング行動

Risk Taking 危ないとわかっていながら、してしまう危険な行動のこと。たとえば、スマホの画面を見ながら自転車を運転する。傘をさしたまま自転車を運転する。クルマで時速50キロの道路で80キロ走行する。あおり運転をするなど。

リベンジポルノ

リベンジポルノ

Revenge Porno (Revenge:復讐) 離婚した元配偶者や別れた元恋人の裸の写真・動画などをインターネット上に流出させて嫌がらせをする行為。2014年(平成26年)11月19日、参議院本会議で私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)が可決、成立した。

嫌がらせ目的で交際相手だった人をプライベートで撮影した性的な画像について、写っている人を第三者が特定できる方法でインターネットに掲載するなどした場合、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金を科すとしている。また、こうした画像を拡散させる目的で特定の人に提供した場合は、1年以下の懲役、または30万円以下の罰金を科すとしている。ともに告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪とされている。

リマ症候群

リマ症候群

Lima Syndrom リマ症候群は、ストックホルム症候群とは逆に、監禁する者が人質に親近感や特別な感情をもつようになり、攻撃的態度が和らぐ現象のこと。人質がストックホルム症候群になっている状況下で、監禁する者が人質よりも人数が極端に少なく、監禁する者が人質に比べ、生活や学識・教養のレベルが極端に低い場合に起こるとされる。

1996年12月17日〜1997年4月22日にかけて発生した在ペルー日本大使公邸占拠事件では、教育も充分に受けずに育った若いゲリラ達は人質と生活を共にするにつれ、室内にあった本などを通じて異国の文化や環境に興味を示すようになり、日本語の勉強を始める者が出てきた。ペルー軍特殊部隊が強行突入をする中、人質部屋で管理を任されていた1人の若いゲリラ兵は軽機関銃の引き金に指をかけていたが、人質への親近感から引き金を引くことができずに部屋を飛び出し、直後にペルー軍特殊部隊に射殺された。

略式裁判

略式裁判

起訴されても、必ずしも法廷で裁判手続きを受けるわけではない。検察官が被疑者の刑としては罰金刑が妥当だと考え、被疑者もそれを争わないときに、法廷での裁判は行なわず、裁判官が書類だけを審査して判決を下す制度。

略取誘拐罪

略取誘拐罪

略取は暴力や脅迫を用いた場合、誘拐は騙したり誘い出したりした場合のことをいう。身代金目的の誘拐は最も罪が重く殺人罪並みの量刑。身代金目的の場合は、誘拐された人の生死が刑期を決める。誘拐犯は事件の発覚を恐れて誘拐した人を殺してしまうことが多いことから、「解放減軽」というのが設けられている。これは安全な場所に誘拐された人を解放すれば、刑を減軽するというもの。誘拐事件では民事上の責任も問える。被害者は当然だが、誘拐によって損害を受けた人は犯人に対して損害賠償の請求ができる。

ちなみに「誘拐」の「拐」の訓読みは「拐(かどわ)かす」で、「人をだまし、または力ずくで他へ連れ去る」という意味。「拐(かた)る」とも読み、「金品などをだまし取る」という意味。

刑法224条(未成年者略取及び誘拐)  未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法225条(営利目的等略取及び誘拐)  営利、わいせつ又は結婚の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

刑法225条の2(身の代金目的略取等) 1項 近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

2項  人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする。

刑法226条(所在国外移送目的略取及び誘拐) 日本国外に移送する目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、2年以上の有期懲役に処する。

刑法226条の2(人身売買) 人を買い受けた者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 未成年者を買い受けた者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
3 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を買い受けた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
4 人を売り渡した者も、前項と同様とする。
5 所在国外に移送する目的で、人を売買した者は、2年以上の有期懲役に処する。

刑法227条(被略取者引渡し等) 1項 第224条、第225条又は前3条の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を収受し、蔵匿し、又は隠避させた者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

2項  第225条の2第1項の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され又は誘拐された者を収受し、蔵匿し、又は隠避させた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

3項 営利又はわいせつの目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を収受した者は、6月以上7年以下の懲役に処する。

4項 第225条の2第1項の目的で、略取され又は誘拐された者を収受した者は、2年以上の有期懲役に処する。略取され又は誘拐された者を収受した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、同様とする。

刑法228条(未遂罪)  第224条、第225条、第225条の2第1項、第226条並びに前条第1項から第3項まで並びに前条第一項から第三項まで及び第四項前段の罪の未遂は、罰する。

刑法228条の2(解放による刑の減軽)  第225条の2又は第227条第2項若しくは第4項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。

刑法228条の3(身の代金目的略取等予備)  第225条の2第1項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

刑法229条(親告罪)  第224条の罪、第225条の罪及びこれらの罪を幇助する目的で犯した第227条第1項の罪並びに同条第3項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、営利の目的による場合を除き、告訴がなければ公訴を提起することができない。ただし、略取され、誘拐され、又は売買された者が犯人と婚姻をしたときは、婚姻の無効又は取消しの裁判が確定した後でなければ、告訴の効力がない。

留置場

留置場

逮捕された被疑者が入れられるのが留置場。俗に言う「ブタ箱」。これは都道府県(警察)の施設で、本来は送検される前の被疑者を拘束する場所。

送検された被疑者および起訴された被告人を勾留するのが拘置所で、こちらは国(法務省)の施設。だが、実際には、被疑者を拘置所に勾留するケースは少なく、初めから検察官が捜査した事件では拘置所を使うが、ほとんどの場合、送検後の被疑者勾留もそのまま警察の留置場で行なわれることが多い。その理由は、拘置所の数が少なく、各地に点在しているため、取り調べをする警察署から遠くて不便なことが多いため。

これに対し、日弁連(日本弁護士連合会)は「被疑者を捜査機関の手元に置く代用監獄は冤罪の温床になる」と批判しており、各国の法律か団体が加盟する国際法曹協会(IBA)も「被疑者の取り扱いが不当で設備も国際基準に達していない」と廃止を求めている。

領置

領置

刑事訴訟法221条では「検察官、検察事務官または司法警察職員は被疑者その他の者が遺留した物または所有者、所持者が提出した物はこれを領置することができる」と定めている。また、刑事訴訟法101条は被告人その他の者が任意に提出した物も領置できるとしている。

累犯

累犯

犯罪を反復することで、そのため刑を加重すべき原因となるものをいう。受刑した者が更生せずに再び犯罪を行うというのは、道義的非難があり、さらに危険性もあるので刑が加重されることになる。
懲役に処せられた者が、その執行を終わりまたは執行の免除を受けた日から5年以内にさらに罪を犯し、有期懲役に処すべきときはこれを再犯とする(刑法56条)。
累犯の刑はその罪につき法定刑の懲役の長期の2倍以下とされる(刑法57条)。
たとえば、窃盗であれば「10年以下の懲役に処す」となっているので再犯の刑は10年の2倍以下、つまり20年以下の懲役ということになる。
(刑法58条 削除)
3犯以上の者でも再犯の例と同じである(刑法59条)。

ルストモンド

ルストモンド

Lustmond ドイツ語で「快楽殺人」と訳される。英語では Pleasure Murder という。殺人行為の際、加害者が性的興奮を感じ、それを目的に犯行が行なわれるもの。(1)殺害が性交の代償となるタイプ(2)殺害が性的興奮を高めるタイプ(3)被害者の苦悶が性的満足を与えるタイプがある。

FBIのプロファイリングの研究によると、連続殺人の大半が快楽殺人であると分析している。快楽殺人に至る者の多くは幼児期に親の愛情不足や虐待・遺棄・拒絶、親の離婚などの体験をし、それが深刻な心的外傷になっているケースが見られる。それによって、これらの犯罪者は性衝動と人間的愛情の融合という健康な心理的発達が疎外され、性衝動ともうひとつの本能衝動である攻撃性とが結合し、それが連続した快楽殺人を引き起こすのだと説明している。また、逆に、快楽殺人に至る者には特に幼児期のトラウマとなる経験をしなかった者の場合もあるという見方もあり、たまたまサディスティックな情報に触れることで異常性欲が刺激されて快楽殺人に至る場合もある。

ルッキズム

ルッキズム

Lookism look(外見・容姿)+ism(主義)外見至上主義などと訳される。外見に基づく差別または偏見。人を見た目で判断しその容姿の良し悪しによって扱いを変えること。

ルミノール

ルミノール

Luminol 1936年(昭和11年)、ベルリン大学のグレン教授が初めて作った血痕照明用の発光性試薬。微量の血液に対しても確かな反応を示し、例えば、わずか1CCの血液を30万倍の300リットルの水に薄めたものにも反応を見せる鋭敏なもの。刺殺事件などで、犯人が返り血を浴びた着衣を洗ったとしても繊維にしみ込んだ血にそれがどんなに古いものであっても反応して発光現象を起こすという。

令状主義
令状主義
強制処分についてあらかじめ裁判官が審査して発付する令状に基づいて行わなければならないとする憲法および刑事訴訟法上の原則。憲法33条では令状によらなければ逮捕されない権利、また憲法35条では令状によらなければ侵入、捜索、押収を受けない権利を保障している。
ただし、令状主義には憲法が認めた例外がある。現行犯人を逮捕する場合(憲法33条、刑事訴訟法212・213条)や逮捕の現場において捜索や押収を行う場合(憲法35条、刑事訴訟法220条)については令状を必要としない。
礼拝所及び墳墓に関する罪
礼拝所及び墳墓に関する罪
刑法188条(礼拝所不敬及び説教等妨害) 神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し公然と不敬な行為をした者は、6ヶ月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。
2 説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。
刑法189条(墳墓発掘) 墳墓を発掘した者は、2年以下の懲役に処する。
刑法190条(死体損壊等) 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。
刑法191条(墳墓発掘死体損壊等) 刑法189条の罪を犯して、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。
刑法192条(変死者密葬) 検視を経ないで変死者を葬った者は、10万円以下の罰金又は科料に処する。
ロールシャッハテスト
ロールシャッハテスト
Rorschach Test スイスの精神医学者ヘルマン・ロールシャッハが創案した心理テスト法。インクのシミを印刷した10枚の図版を順次に提示し、「何に見えますか?」と問う。反応領域(カードの全体を見たか、部分を見たか、間隙に反応したかなど)、解釈の上で最も重要な要素の反応決定因(形だけに反応したか、静止したインク・ブロットに運動を見たか、色彩に刺激されたか、あるいは色彩と形態の両方の要素に反応したかなど)、反応内容(何を見たか)、反応初発時間、形態水準(反応が与えられた刺激にどれほどよく対応しているかを評価するもの)など、多くの視点から整理・評価し、数量化して分析・解釈する。
露出症
露出症
Exhibitionism 性的快感を得る目的で路上や電車内などで見知らぬ相手に向かって性器を露出する行為でパラフィリア(性倒錯)の一類型である。露出の間にオーガズムを感じ、行為後にその光景を想起したり、あるいは相手の女性との性行為を空想して自慰を行う。同意しない相手にわいせつな経験を強要するものであり、ほとんどは男性が女性に対してする行為である。
性犯罪の中で露出症はきわめてありふれているが、その特徴は暴力的なレイプや相手の体に直接さわる接触症と異なり、身体的には危害を及ぼさない。ときには露出行為が意図的な暴行の手始めに行われることもあるが、性的暴行までに発展するのは例外的と言われている。
DSM-5では露出障害に診断名が変更された。
論告
論告
裁判において検察官が被告人の犯行態様の悪質性、犯罪結果の重大性、再犯の可能性、社会へ及ぼす影響などをプレゼンした上で被告人に科されるべきと考えられる刑罰の意見を述べること。

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