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Posted Mar. 25, 2017

What Do China’s Surface Fleet Developments Suggest about Its Maritime Strategy ?

The Author: Captain Bernard D. Cole, U.S. Navy (Retired)

訳者前書

米海軍大学中国海事研究所(U.S. Naval War College, CMSI)が出すChina Maritime Study No. 14 (Draft)から抜粋したチャプターを抄訳したもの。

現在、校正中

Typo, 誤訳の指摘は歓迎。- E-mail

目次

海洋戦略は主に本土を防衛するため、また大洋や海に関する重要な国家安全保障権益に関連付けて策定される。また、大量破壊兵器(WMD)拡散・海賊・国際犯罪・テロリズムのような脅威に対抗して公共財(commons)の安全保障を維持し、また沿岸部での人道支援・災害救援(HA/DR)の実施に努める非伝統的な海上任務を含める場合もある。

しかし海洋戦略は単なる海軍部隊マターや国家安全保障目標ではない。国内政治の優先度や経済的な要求が主要で、実際不可欠だ、海洋戦略の開発や実行に影響する。海洋戦略は海軍戦略を包含している。実効性ある戦略の開発は、”包括的で識見のある理論の作成から生まれることは本来ない。徹底した訓練や経験に、また迅速に展開可能な近代的で多面的な艦隊や海軍部隊の効果的な活動に裏打ちされた日々の政策やプログラムの選択の選択による。” [01]

I. Elements of China’s Maritime Strategy

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中国政府は公式の海洋戦略を公表していない、2012年春の全国人民代表大会の会合でその誤りを人民代表に批判された。彼らは”国家政策・経済的及び軍事のあらゆる要因を考慮に入れた完全で、包括的で、システマティックな海洋開発戦略を策定し、公表すること”を政府に求めた。[02]

しかし重要な中国政府及び党の文書が海洋戦略問題に言及している。その1つが1998年の中国の国家海洋政策である。[03] 1998年の海洋政策では今日も関連する幾つかの海洋に関する懸念を確認している。それらは、国内及び国際海洋法の間、海洋問題を扱う多くの中国政府機関の間、伝統的・非伝統的な海洋安全保障問題の間、国家の優先順位と国際的なパラダイムの間の”4つの調整”の枠組内に置かれている。

他には、1998年に初めて刊行された2年毎の国防白書があり、直近では2015年初めに刊行された。同白書には海洋戦略思想の重要な指標が含まれている。[04] “近海防御作戦”の概念は、“海軍は近海防御作戦の範囲を拡大し、縦深を拡張している。“と説明されている2004年の白書で言及された。この言い回しは2006年版で繰り替えされ、2008年白書では膨らんだ。”1980年以来、海軍は近海防御作戦への戦略的移行を実現している。” 2010年白書では中国人民解放軍海軍の戦略を黄海・東シナ海・南シナ海の三海域における”近海防御作戦の要求”の観点から討議している。しばしば、”三海域”は”近海”と呼ばれる、これらの海域は国家にとって最も重大な戦略的関心の海洋分野を形作っていると中国政府が明確に考えている。[05]

三海域内での“近海防御作戦”は国家の一大戦略的焦点になっている。例えば、2010年7月8日中国外交部報道官は”我々は黄海やその他中国に隣接する海域に近づき、また中国の安全保障権益に影響を及ぼす活動に関与する外国軍艦や航空機に断固として敵対する。”と表明している。 [06] こうした見解は、南シナ海の外国漁船や米監視航空機や艦艇に対する攻撃的行動と相俟って、これらの海域が”領海(sovereign)”であり、また中国の重要な戦略的関心だという視点に向けられている。

2013年白書では”海と大洋を保護し、中国を海洋強国とする”中国海軍の責任の重視が続いている。同海軍は”近海防御戦略”を遂行しながら、”中国の海洋安全保障を守り、領海の主権を維持する”責務を負っていた。

さらに、中国の文民及び軍事指導者が演説や文章で海洋戦略に言及している。例えば、胡錦濤主席の2004年の”4つの歴史的使命”の演説は重要な戦略的海洋権益を反映している。これらには戦争以外の任務や台湾の状況・領海問題・”中国の拡大する国家的権益の保護”が含まれていた。[07] 胡は共産党中央軍事委員会に向けた2006年12月の演説でこれらのテーマに再び触れ、中国軍が”多種の安全保障脅威に対処し、遠方海域での多様な軍事任務を完結する能力を構築すること“を主張した。[08]

近代中国初のグローバル海軍の父と呼ばれる劉華清提督は1980年代に一連の戦略プランを策定した。その海軍近代化プログラムは熟慮されたもので、中国軍内部での予算優先度を認識し(また、氏の目標はそこを改めて海軍予算を増加することだった)、本質的に防御的だった。華の”列島線”は、米国が洋上に設定したラインとの認識に彼が対応した反応戦略(reactive strategic)パラダイムとして最善である。華は列島線を中国の海洋目標を制限するものでも、海洋防御範囲の基盤でもなく克服するべき障害と見做していた。[09]

つまり、中国の”海洋戦略”は伝統的なものである。第一に本土防衛に関連している。第二に上述した他の任務に関連している。海洋公共財の脅威に対する防衛、海上交通路(SLOC)を含めた経済権益の保護、海上・沿岸部での人道危機対応である。また、中国政府の”海洋戦略”は中国共産党の支配の継続も支えており、他国が予想しない政治的理由で海軍を用いることが示唆される。

II. The Strategic Maritime Missions

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中国の海洋戦略は公式に発表されている訳ではないが、伝統的な海軍の任務を含んでいる。それらは国内の政治的目標(特に主権問題)と、伝統的な経済目標の双方を支えている。

II-a. Defending China’s Littoral

本土及び沿海域の防衛は中国海軍にとって中国政府の戦略的最優先事項である。米海軍は中国が開発していると見られ、中国外のアナリストが接近阻止・エリア拒否(A2/AD)として説明する域内作戦計画に関心を寄せている。この計画では、国家安全保障にとって重要と考えられる沿岸海域(maritime area)における中国の制海を保証することが意図されている。すなわち、台湾との軍事紛争シナリオや三海域での他の軍事作戦に敵(米国)が干渉することを防止しようとしている。

中国は恐らく、中国沿岸と第二列島線の間、約1,600海里のエリアの海洋権益の防衛を潜水艦・対艦巡航ミサイル(ASCM)・対艦弾道ミサイル(ASBM)に頼っている。[10] これが彼らの立場では”積極防御”、米国のアナリストは”攻勢”と考えるが、という中国の方針の有用性を構成する。中国海軍水上戦闘艦艇は比較的沿岸部に近い防御ラインを担任すると思われる。

中国海軍は中国の海洋権益を守る際にラインや西側の防御概念に縛られる訳ではない。そのドクトリンは、敵が中国領土を強奪・侵入し、“戦略レベルでは中国に対する第一撃(first shot)に等しい中国の権益に深刻な危害を加えるや即座に”起こす“戦略防御及び積極的な自衛反撃”の1つである。さらに、中国軍の任務は”可能な限り遠方で最初の攻撃を仕掛けて敵を支配するためにあらゆる手を尽くす”ことである。[11] 2006年版の戦役学は海上作戦を海軍部隊の戦列(battle lines)・機動性・攻勢能力のシフトに帰している。また海軍戦役を詳細に討議し、海の開放性と防御ラインの欠如に注目している。2006年版では頭上・海中の非対称作戦による戦術・部隊の柔軟性や巧みな運用が強調された。海軍の防御作戦でさえ、中国海軍の視点では、主導権の掌握、敵弱点の攻撃を基盤にした攻撃精神が浸透していなくてはならない。[12]

中国海軍の戦略家は、一定期間に一定目標を達成するために列島線を迂回する機動・非連続・非線形作戦に焦点を当てている。

II-b. Sea Lines of Communication Defense

中国の戦略家は、米国が中国港湾に向かう海上エネルギー供給路を阻止するために航海上の要衝に干渉してくることに懸念を示している。海軍作戦の視点からは、このいわゆる”Malaccaジレンマ”は根も葉もないことだが、少なくとも中国政府には現実のようだ、また中国海軍のプランナーに海洋戦略の合理性を付与するかもしれない。海洋主権争いはより深刻な戦略的懸念である。この地域は中国の海洋戦略家に深刻な海洋安全保障上の懸念を提起している。その殆どは米国の包囲に起因する。

II-c. Military Operations Other Than War

戦争以外の軍事作戦(MOOTW)は、中国海軍では比較的新しい任務となっている。2013年の国防白書では、“法執行、漁業、原油・ガス開発の保護”、同じく”担任海域(AOR)で航行の安全”の確保は海軍の責任としている。また海軍は一般に、文書で特に言及はされていないが、伝統的な海軍の使命を遂行する。外交のためのプレゼンスもしくは支援である。[13]

協力する取り組みに関しては、同白書は国連平和維持活動における中国海軍の役割や、外国海軍との演習を喧伝している。白書は(それらの)イベントに肯定的な見方を持ち、一般に説明しているが、中国の海洋安全保障上の懸念を反映している重要な文書であることに変わりはない。

中国の海洋戦略に関する単一の当局の説明は欠いているが、中国の文書や演説のレビューから中国政府にとって事実上の海洋戦略を形成する任務が明らかになる。この戦略が中国海軍の近代化を、特に取得中の艦艇に関して、推進していると思われる。

II-d. Who is the Strategic Opponent?

中国海軍が米海軍を”中国海軍の戦略的敵対者”と見ていることは明らかだ。さらに、非政府系アナリストが2012年に書いた記事では、日本を当面の懸念と説明し、“100年余りに長引く海軍嫌い、尖閣諸島の主権、東シナ海の海上境界線・台湾問題や南シナ海に日本の軍事力が介入する可能性”に言及している。ベトナム・フィリピンは“ローカルな戦術的対立者”と分類されていた。またインドは”潜在的な外洋での敵対者”とされる。戦略的な状況を要約すると、その執筆者は“現在、中国海軍は広大な海域で、相当に深く、多様な敵対者がかかわる海洋競合構造に直面している。”と結論付けている。[14]

III. The Fleet

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共産党支配の継続に非常に重要な中国の持続する経済成長は、世界最大級で最も近代的な海運に支えられている。その効率は、海洋公共財の安全保障に相当程度を頼っている。中国政府はその安全保障が強力で有能な海軍を必要としていると考えている。

政策決定者が概略した戦略的海洋任務を遂行するため、彼らは中国海軍に”新型の潜水艦・フリゲイト・航空機・大型支援艦艇”の開発及び配備を継続し、同時に”部隊展開や武器装備の開発に適合する沿岸支援システムを建設するように指示を出した。” 特に重要なことは”海軍が水上後方支援プラットフォームの建設を加速し、長期の海上任務を維持する後方支援メソッドを含めて水上支援能力を向上させること。”である。[15]

1950年代にソ連戦闘艦艇を購入し、1960年代・70年代にはソ連モデルを複製したことは初期の中国海軍の成長を示している。この期間中の中国の海洋戦略は沿岸防御や陸軍支援を焦点としていた。第二期では、ロシアからSovremenny級を取得したことや旅滬/Luhu級・旅海/Luhai級の自国建造が挙げられる。1990年代には、中国政府は“戦争以外の任務”として米国で一般に説明される新たな戦略的任務を持つ海軍を建設することを約束した。

中国は21世紀になって第三期であり、国産建造の4クラスの駆逐艦や複数クラスのフリゲイトによる海軍水上艦艇の近代化の最重要時期に入った。艦艇取得の最新フェイズは中国沿海部を越え、三海域の向こうで海洋戦略を支援できる最初の軍艦を装備することである。[16]

同海軍で補助部隊に追加された最も新しい艦艇はType 920で中国初の専用病院船である。「和平方舟」と命名され、2008年に就役した。この23,000トンの病院船は戦闘任務を有しているが、今のところ中国政府のソフトパワーを追求する主要プラットフォームとなって、西インド洋やカリブ海で人道支援航海に就いている。

* 和平方舟(Peace Ark)の艦名については諸説ある。

III-a. Future Intentions at Sea?

ここ10年で最初の決定である洋上補給艦艇を追加建造はより長期に渡って洋上で活動する海軍を配備する中国政府の意志を示している。2005年に2隻の福池/Fuchi級給油艦が艦隊に加わり、それぞれ東海艦隊と南海艦隊に配属されている。これらは中国海軍初の同時に駆逐艦やフリゲイトに燃料・糧食・弾薬を提供可能な後方支援艦艇である。2013年にさらに2隻が艦隊に加わっている。[17]

中国政府は、”多様な平和的な方法(way)と手段(means)に通じて海洋安全保障の維持に”努力する一般的で国際的な取り組みにおいて海軍の役割が増していることを強調している。同国は中国海軍艦艇の外国訪問をハイライトしていて、“20隻以上の海軍艦艇”が“30か国以上”を訪問している。[18]

さらに、中国海軍は2011年にMOOTWで初の傑出した役割を果たしており、Aden湾での海賊対策パトロールに展開していた徐州/Xuzhou (FFG 530)がリビアの内紛に巻き込まれた中国人の避難を支援するため地中海に派遣されている。[19] 同艦は実際には中国人を救出することはなかったが、中国政府がそうした任務に軍艦を派遣する自信があり、中国海軍が任務を成功裏に実施可能だったことに比べれば重要なことではない。

中国の海軍建設プログラムは”三海域”での任務を焦点としたままだが、中国海軍は徐々に遠方海域での新たな任務を適応している。新型の駆逐艦やフリゲイトのみがAden湾での任務に配備されている。これらは中国が整備中の空母艦隊の護衛に適した水上戦闘艦艇である。

過去20年、中国海軍は約17隻の駆逐艦と24隻のフリゲイト、最低でも10隻のコルベット、60隻余りの巡航ミサイルを発射する紅稗/Houbei級哨戒艇を艦隊に加えている。さらに、3隻の玉昭/Yuzhao級と24隻の戦車揚陸艦(LST)が両用部隊に加えられている。

中国の海軍近代化プログラムは2000年以来加速し、これらの新造艦艇の殆どはこの期間に就役した。このペースは中国政府の拡張する、しかし慎重に調整された戦略的海洋野心を反映している。

新世紀の20年が経過する中で、中国は依然統合されてはいないとしても洋上に戦力投射できる海上任務部隊を運用できる艦艇を配備している。これらの新たなプラットフォームは、台湾抑止・米国の介入阻止・東シナ海や南シナ海における中国の領有権主張の保護を果たすだろう初めての真の近代的な中国海軍の始まりである。

New Destroyers

中国海軍は新型の駆逐艦・フリゲイトの取得を継続している。それぞれ先進技術を用いて従来艦より高性能である。これらの艦艇は少数に留まっているものの、中国海軍が長距離・長期間の展開を定期的に実施するために必要な支援艦艇ほどではない。[20]

中国の新型駆逐艦 - 米国や他国海軍を躊躇させるだろう – は旅洲/Luzhou級 (Type 51C)で始まった。同クラス1番艦は瀋陽/Shenyang (DDG 115)で2003年に進水、2004年に就役した。2番艦は石家荘/Shijiazhuang (DDG 116)も進水は2003年だが、就役は2005年である。同クラスの優秀な対空戦(AAW)システムは、中国が2002年に取得したロシア製のSA-N-20 Rif-Mミサイル, S-300の海軍版を軸にしている。20年物のシステムだが依然として優秀なシステムであり、射程81海里・最大飛翔速度はマッハ6となっている。

また、旅洲級は水上戦に参加するため、強力な8発のC-803(原文ママ)艦対艦ミサイル(SSM)を装備している。同クラスは例によって中国海軍の限定的な対潜戦(ASW)能力を有している。主対潜兵装は搭載可能なヘリコプターだろうが、その運用は格納庫がないことで限定的である。

* C-803はかつてC-802(YJ-83)の輸出版として存在が誤認されたもの。同クラスが搭載するのは802.

旅洲級と同時期に艦隊に加わったのが旅洋/Luyang I, II, III (Type 52B, C, D)の3クラス、旅洲とほぼ同じ排水量7,000トンである。旅洋シリーズはソ連のSovremenny級駆逐艦の中国版と考えられ、多目的海上任務部隊の主水上戦プラットフォームとなることが意図されている。その主兵装は旅洲級同様の箱型ランチャーに収められたC-803(原文ママ, 旅洲級での注釈に同じ)艦対艦ミサイルである。

複数の旅洋 II, III級は旅洋 I級と同一船体で、同一の推進装置・砲・対潜及び電子戦装置(ECM)を装備する。しかし、その主兵装は対空戦である。これらクラスの最も特筆すべき上部構造物の特徴はAegisのようなフェイズドアレイレーダーシステムである。これらは射程54海里・飛翔速度マッハ3・セミアクティブレーダー誘導方式の紅旗/Hongqi (HQ-9)対空ミサイルシステムと共に装備されている。また、船体中央部にある2基の円筒形ランチャーに収められた8発のC-802(原文ママ)からなる極めて有力な水上戦装備を有している。これらは中国初のエリア防空戦闘艦艇であり、大艦隊(multiship formation)の運用に極めて重大である。

* 旅洋 IIはC-602 (YJ-62)を装備、旅洋 IIIは不明。

New Frigates

中国海軍は江凱/Jiangkai I, II級フリゲイトを取得中で、これらのクラスは駆逐艦より能力がだいぶ劣るものの、中国海軍艦艇の中では最も”ステルス”性を発揮する。これらは主に沿海域での作戦のために設計されているが、Aden湾での広範な作戦(extended operation)も上手くやっているようだ。

また、中国は新型の多目的護衛用で小型の江島/Jiangdao級 (Type 56)コルベットも建造中である。この1,300トンの軍艦は外国への販売に申し分ないだろうが、中国海軍にも沿岸水域に適した護衛艦艇を提供する。[21]

New Amphibious Warfare Ships

2000年以来、中国海軍の建造プログラムには両用部隊の近代化が含まれている。部隊のキャパシティーは特に拡張せず、中国海軍は依然として完全装備の1個機械化旅団の輸送が限界である。[22]

中国は20隻余りの新造戦車揚陸艦(LST)や小型の揚陸艇(LSM)を2000年以来建造している。これらはバウランプを介して浜に直接兵士や装備を揚陸可能でヘリ甲板を備えている。しかし格納庫や整備施設は備えていない。

これらの艦艇は台湾シナリオで役立つだろうが台湾には上陸に適した浜が少なく、また中国政府と台湾政府の協力関係が積極的な傾向にあり強襲揚陸は起こりそうにない。その代わり、南シナ海における最近の出来事やこの戦域内の中国海軍の新たな基地は、中国の両用部隊が海南島南方の人工物に戦略的焦点を有していることを示している。

New Fast-Attack Craft

中国最新の小型カタマラン戦闘艇が紅稗/Houbei級で、2004年に建造が始まった。最低でも60隻が就役ないし建造中である。このクラスは小型で排水量250トンだが、ウェーブピアサー式のおかげで航洋性が高い。紅稗級は8発のC-803(原文ママ)艦対艦ミサイルを装備する。データリンク能力を備えているとすれば、このクラスは潜水艦からの攻撃の影響をほとんど受けず、攻撃機にとっては狙うのが難しい沿岸水域に対艦ミサイルの障壁を展開する新たな能力を中国海軍に提供する。[23]

* 装備するミサイルはC-802.

III-b. Mission Capability

水上戦闘部隊は過去10年に大きな進捗を見せている、現在最初のエリア防空駆逐艦や有力な対潜艦艇が揃いつつある。次世代駆逐艦は報道によれば設計段階に入っている、また顕著に大型化しており、恐らく排水量10,000トンを超え、Arleigh Burke級駆逐艦に匹敵する。中国海軍は主な水上戦闘艦艇を旅洋級や江凱級としている。[24] 彼らは旅大級駆逐艦以降初となる多数の艦艇を建造中である。

新型プラットフォームは出てきているが、中国海軍の指揮統制(C2)情報管理は、艦艇同士・艦艇と搭載ヘリ間での共同作戦を可能にする”リンク”システムは装備されているものの問題がある。中国海軍は最新鋭の艦艇でも、今なお21世紀の海上戦闘空間で成功裏にネットワーク中心の作戦を実施するために必要なC2能力を実証できないことは明らかなようだ。

つまり、中国海軍は今世紀初めには依然として近代的な戦略的海軍部隊に必要な幾つかの戦闘分野に重大な制約があった。現在の中国海軍はたとえ対空戦・対機雷戦(AMW)・部隊統合は最低限で、対潜戦では劣るとしても、あらゆる戦闘分野で信頼性を発達させている。

III-c. State Oceanic Administration

中国は各国家機関の下で編成された多数の小型艇を配備している。中国政府は、国家海洋局が公安部の辺防海警(Coast guard)・農業部の漁政(Fisheries Law Enforcement Command)・国家海洋局の海監(China Marine Surveillance)・海関総署(税関)の海上緝私警察(Border Maritime Police)の統制を執るという2013年3月の発表で示されたそれら組織の有用性の向上を図っている。[25] この極めて合理的なステップは単一の国家機関、つまり国土資源部に中国政府が法執行組織の合理的な統制を可能にする能力と権限を提供する可能性がある。

しかしながら、不明な点が幾つかある。第一に、国家海洋任務(State Oceanic Commission)の役割が不透明だということ。第二に、海警局(MSA)の役割と指揮系統が不透明だということ。第三に、国家海洋局に新たに配属された部隊の作戦統制である。例えば、辺防海警は公安部の作戦統制を受けなくなるのか? 最後は最も重要だが、新たに権限を持った国家海洋局は中国の”沿岸警備隊”を呼び出す能力や海上任務を補完する資源を長年に渡って求めているとされる中国海軍からの独立を維持出来るだろうか?

* あえて括られているcoast guardは沿岸警備隊とした。

IV. PLAN Strategic Readiness Today

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中国海軍の最新鋭艦艇の勢力を米海軍・海上自衛隊、或いはインド海軍でさえも比較すると、東南アジア海域を支配する能力はまだない。とはいえ、互いの海軍部隊の総力を比べても戦略的な観点からは特に有用なことはない。より意味があるのはClausewitzの尺度である。つまり、中国政府が選んだ時期に提示された目標に対して、中国がどれだけ大規模で効果的な海軍部隊の展開が可能かということだ。この任務に台湾あるいは東シナ海・南シナ海の目標が関連するかどうかに関わらず、中国政府はその新生海軍を動かす時には主導権を握ることが可能だと思われる。

中国の最近の海軍演習や展開は、遠海作戦で21世紀の艦艇を運用する中国海軍の能力を実証している。しかしながら、中国海軍に加わった先進技術型プラットフォームの数よりも遥かに重要なことは、中国政府が採用していることをそれらが示す海洋戦略の方向性である。上述したように、A2/ADは米国の観察者はこの認識されている目的を呼ぶ際の略語である。中国海軍は恐らくは中国艦艇が“三海域”でのA2/ADを遂行する際に重要な役割を果たせるように作戦ドクトリンを作成している。これが中国海軍の能力を反映する一貫した海洋戦略を形成する。

中国初の空母遼寧は2012年に艦隊に合流した。同艦は未だ完全な空母航空団を受領していないが、中国海軍初の航空団の編制は2013年5月に発表されている。[26] 中国政府はほぼ確実に2隻ないしそれ以上の空母を建造するだろう、原子力空母の可能性もある。空母自体よりも重要なことは、中国政府の継続的な外方(out of area)作戦能力の展開に対する明白な意思の象徴性だ。

中国政府の海洋問題に関する焦点は中国の海上貿易への依存、10,250海里の海岸線、6,500を超える領有権を主張する島嶼を考えれば理解出来る。また、中国は世界を主導する造船国家でもあり、その商船隊は世界第4位の規模である。世界十大港湾の8カ所を有し、海洋関連活動はGDPのほぼ10%を占めている(2009年)。[27] 最後に、中国政府が公式に”核心的利益”として列挙するのは台湾・チベット・新疆の主権のみだが、東シナ海・南シナ海の係争を”主権問題”として分類することは、それらもまた“核心的利益”と考えられることを示唆している。それらの係争は中国政府の優先度が特に高くなり、また中国海軍が戦略的政策の実行に利用される大きな可能性が提示されるだろう。

戴秉国外交部副部長は2010年の記事で、中国は“西側大国の侵略・略奪・戦争・拡張の慣例”に倣うよりも、“平和的発展”の国家政策を追求してきたし、追求し続けると主張している。これは中国の歴史に対する非常に偏った見方だ。さらに中国国防大学の教授は”平和的発展は軍事的手段が行使されないことを意味しない”と記している。[28]

戴の論説に盛り込まれた信念は、中国海軍の将来の構成・能力・戦略的な利用に影響を与えるだろうか?中国の将来の海軍近代化についての信念(mantra)は、同国が決して領土を拡張や侵略することなく、海外に軍事部隊を駐留させることもないという主張を含んでいる。それらの主張には中国王朝の領土拡張や外征の歴史を考えれば大いに議論の余地がある、しかし現在の中国海軍近代化が中国部隊をどの程度海外に出せるかが判明するには時期尚早である。

中国海軍の短期的な戦略焦点は米海軍の介入を含む台湾シナリオにあるだろう。東シナ海・南シナ海に関する懸念は二次的なものである。将来の中国海軍の外方作戦は、特に台湾問題が解決されれば拡大すると思われる。そうした作戦は海上交通路の安全が焦点になるだろうが、より実際的にはグローバルな経済的地位を得ている国家の歴史に典型的な動きを示すだろう。つまり、グローバル海軍の展開である。

中国海軍に特に関連する2つの問題は、第一にインド洋を効果的にコントロールするというインドの明白な海洋戦略、第二に米国による中国の貿易、つまり経済にとって重要な航海上の要衝をコントロールする可能性である。中国政府は2つの懸念を誇張して表現しているかもしれないが、そうしたことは米国が中国包囲の覚悟を決めていると見る中国の海洋戦略思想におけるそれらの影響を縮小するものではない。中国軍軍事科学アカデミーの権威あるアナリストは、”米海軍の意に翻弄されて中国海軍や中国の海洋安全保障は比較的弱い立場にある”と説明している。[29]

将来の中国の海洋拡大は、GDPの成長の持続や長大な陸上国境線に深刻な脅威がないことに大きく依存する。実際、保有する海軍・グローバルな商船隊・造船産業・貨物取扱港を考慮すれば、中国は既にグローバルな海洋大国である。グローバルな大国として台頭する途上国のこれまでの例では、中国のグローバルな経済的影響が伸び続けるなら、海軍もそうなることが示されている。

中国政府の国家安全保障の懸念は伝統的なもので、特に台湾に関連する近海の潜在的な脅威に対する本土防衛が含まれる。さらに、中国海軍は海賊対策・危険地帯からの中国人の避難・災害救援・プレゼンス・国連PKOを含める非戦闘海上任務を実施する能力を既に実証している。

中国政府は米国を、特に台湾関係法や1996年の台湾海峡危機、同様に米国と日本・韓国・比国・豪州との強化されている防衛同盟の点から、国家安全保障権益に対する主要な戦略脅威と見ている。米国のベトナム・シンガポール・インドとの関係強化の決定もまた中国の懸念を呼んでいる。インド太平洋地域における米国の同盟関係や特別な協力関係は中国政府にとって好ましくない戦略状況を描く。

中国は、大陸国家から並行して海洋国家に - 前者の立場を失うことなく後者の立場を得るため - 移行することで、歴史的な不利の克服に挑戦しているようだ。[30] 歴史上、大陸国家が海洋国家にもなった例はない。フランスが、ドイツが、ロシアがそうしようとして失敗した。中国がグローバルな海軍の建設や配備に成功すれば、歴史的な不利を克服していくだろう。

中国海軍は時代遅れのソ連製艦艇の運用から、手強い防御海洋戦略において役割を果たし得るほぼ最新鋭と言える艦艇の建造に進みつつある。彼らは多目的任務グループに適した艦艇を配備している。2013年、とはいえ、2013年の時点では、焦点を三海域に置いたままにしている、広い水平線に目を向けながらだが。

* 2013年というのは白書の時点という意味か。

そのタイトルを冠した公式文書はないが、中国は海洋戦略が有している。それはシーパワーを拡張する裕福な大国としては目立ったものではなく、伝統的なものだ。中国海軍水上部隊は中国海洋戦略の不可欠なコンポーネントである。その戦略は本土防衛 - 沿岸部・沿海域の防衛 – で始まる。これは中国政府にとっては海岸線から1,600海里に拡がる広大な海洋を取り囲んでいるものだ。その責任はそれらの海域を防衛するだけではなく、中国経済が依存する広範な海上貿易の防衛を含んでいる。

第二に優先されるのは戦略抑止であり、中国海軍が通常条件下でも十分に実行出来る海洋能力である。核抑止は中国が依然努力するものの一つだが、中国海軍の水平線の此方側にあるようだ。

中国海洋戦略の第三の要素は、状況に応じて、時には反復して長距離戦略投射を実施する能力である。2008年以来のAden湾における海賊対策の展開は、中国海軍がこの能力の達成に向けて前進していることを示している。

四番目はプレゼンス、駆逐艦から病院船まで軍艦から補助艦艇の双方が外国に寄港し、外国海軍との演習に参加しているように、中国海軍が過去四半世紀余り渡って実証している海上外交任務である。

五番目であり最も重要なことが洋上での戦闘作戦である。当然これが海軍設立の第一の理由だ。

米太平洋軍司令官だったRobert Willard退役海軍大将は中国が”周辺海域を越えて影響力を拡大させることで’グローバルな軍事力’になることを熱望している。”と説明している。[31] 中国がグローバルな大国に向かうことが米国との紛争に繋がると考える者もいる。[32] これは確実なこととは言えないが、その可能性が米国の海洋戦略思想に影響するはずだ。

中国は洋上権益を保護する21世紀の海軍を建設、配備している。優れた対艦巡航ミサイルや共に成長している対空戦能力を備えた新たな水上戦闘艦艇部隊は中国政府の海洋戦略を果たすため急速に台頭しているのである。

- end -

V. NOTES

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