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Posted Mar. 17, 2017

The Modern PLA Navy Destroyer Force

Impressive Progress in Achieving a “Far-Seas” Capability

The Author: Rear Admiral Michael McDevitt, U.S. Navy (Retired)

訳者前書

米海軍大学中国海事研究所(U.S. Naval War College, CMSI)が出すChina Maritime Study No. 14 (Draft)から抜粋したチャプターを抄訳したもの。

現在、校正中

Typo, 誤訳の指摘は歓迎。- E-mail

目次

たった数年前に中国人民解放軍海軍駆逐艦を深く気に留める人は僅かだった、ましてその装備品は尚更だ。中国海軍が東アジアで米国に突きつける革新的問題には駆逐艦で出番がなかったからだ。その代り、注意の焦点は、中国から可能な限り遠くに米海軍・空軍の部隊を阻む軍事的中国の”接近阻止”戦略だった。[01]

中国海軍水上部隊(駆逐艦・フリゲイト・両用艦艇)が果たす戦時の反干渉作戦における役割は小さく、重要ではない。この接近阻止を遂行する中国海軍の最も重要な武装は、中国空軍と協力して活動する地上機や潜水艦部隊である。実際、西側報道で当然のように最も注意を呼んでいる反干渉火力であるDF-21対艦弾道弾は海軍に配備されていない。これは中国軍第2砲兵の兵器システムである。

例えば台湾を巡る米国との紛争において、中国海軍水上部隊は2つの任務を持つだろう。そのどちらも米部隊に中国の作戦を妨害させないことに直接関係しない。水上部隊は陸軍が安全に台湾海峡を渡ること及び東シナ海で制海任務を実施する責任を持つことになるだろう。また艦艇は本土近辺に留まりながら、中国の防空を海上に延伸して貢献するかもしれない。水上部隊が陸上基地のエアカバーを離れて冒険することは非常に考えにくい。(i.e., 第一列島線を越えて) もしそうなれば、米潜水艦や航空攻撃に対して相当脆弱となるだろう。つまり、台湾を巡る大規模紛争において、中国海軍水上艦隊は米水上部隊がフィリピン海で活動していても本土付近に留まるだろう。

一方で、中国が戦時下になければ、実質的に殆どの期間がそうだ、水上艦隊が中国海軍の最重要エレメントとなる。半ダースほどの年数に中国海軍は中国の領土防衛や彼らが主張する島嶼保有に直接関係しない任務を実施してきた。[02] それらの(中国の)新たな”遠海”任務を特徴づける最たるものが平時の作戦だ。2009年、中国国防白書は米国防省の用語”戦争以外の軍事作戦” (MOOTW)をこれらの新しい任務に適用した。[03]

そのグローバルな経済権益の拡張に伴い、中国は同様にグローバルな政治的権益を発展させてきた。これは中国海軍にとって、国連制裁任務の支援、武力誇示(show of force)による中華人民共和国の海外権益の保護、中国国民が危険に晒されている、もしくは救出を求めている状況への対応、海上交通路(SLOC)の保護、自然災害対応、また必要とあれば、アフリカにおいて孤立した(embattled)友好国の支援、また東南アジア沿岸部における中国の意志の誇示、言い換えれば伝統的な海軍大国が数世紀に渡って実践してきた代表的な一連の任務を支えることが可能だという中国海軍の要求信号(demand signal)を出している。

これらの新しい任務には、戦時沿岸部で積極防御の実施に必要な能力とは異なる海軍能力の組み合わせを必要とする。”遠海”での作戦が予想される海軍には、多くの補給支援艦艇、ヘリコプター支援設備を持つ揚陸艦、優れた耐航性能・長大な航続距離・ヘリコプター格納庫及び支援設備・長距離防空能力を持つ大型駆逐艦が必要になる。また遠海作戦は近代的な空母部隊の必要条件も理論付ける。[04] 空母艦載機は、中国海軍に遠距離作戦用の洋上エアカバーを提供し、実質的に信頼出来る戦力投射や限定戦の能力を実現し、また本稿のトピックとして最も重要なことだが、空母を護衛し、対空対潜防御を提供する多数の多目的駆逐艦の要求を生み出すだろう。

中国海軍駆逐艦部隊に関するいずれの研究でも、2つの基本的な問題を抱えている。戦闘システムの性能やパフォーマンスに関して真に信頼出来る公開情報を欠いていること、ごく最近まで中国は20年の長期研究開発として水上戦闘部隊を扱っていたという事実である。実際、中国海軍は効果的な対潜戦(ASW)や対空戦(AAW)システムに適した船体と推進装置を結合させるために長期に渡る実験を行っている。これが駆逐艦各クラスの試行錯誤の違いの把握を難しくしている。中国の設計者が水上戦闘艦艇を開発するために”少数建造、少数テスト” (build a little, test a little)のアプローチで直面した基本的な課題は、遠距離作戦に適した船体形状と推進装置を探し当てることだった。中国海軍はヘリコプター部隊や必要なレーダーと電子装置と共に多数のミサイルを格納出来る弾薬庫の収容に充分なサイズの艦艇を望んだ。別の課題は、徐々に自国で近代的な戦闘システムの開発を可能とし、また仏・露・伊・英の近代的な戦闘システムをリバースエンジニアリングして中国独自のシステムに統合することだった。中国は比較的迅速にこれらの2つの課題を克服している。

I. The First Modern Destroyers

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今は時代遅れの旅大/Luda級 (Type 051)は満載排水量3,700トンで戦闘システムの組み合わせやマッチングに用いられた初期のテストプラットフォームを形成していた。そのデザインは冷戦初期のソ連艦艇から派生している。同クラス16隻は20年余り(1971-91)をかけて就役した。その経験の中で、中国海軍はソーナーシステムを有効にするには蒸気機関や関連する回転機器が自艦のノイズを過大にすることを確認したと思われる。[05]

中国海軍は、米海軍その他海軍のように、蒸気推進からガスタービンもしくはCODOG推進システムのどちらかに変更することが自艦の静粛性だけではなく信頼性、メンテナンスの容易さ、同様に性能に有利を得られることを学んだ。さらに、中国海軍は3,700トンの旅大級では比較的小さく、荒れた外洋での耐航性能が課題となることを学習した。1997年にHonoluluへの航海中、中国海軍の3隻の任務部隊は10日連続の荒天に突入。その間に小型の旅大級の補給は多くの困難を迎えた。というのは同クラスの燃料搭載量は限定的なもので、中国海軍は旅大級が3日毎に洋上補給を受ける必要があること、また外洋ではそれが非常に困難であることを知った。[06] 要するに、僅か20年前の中国海軍駆逐艦部隊は18隻の艦艇からなり、その内16隻の性能は1960年代に私が勤務していた第2次大戦時代のヴィンテージものの”ブリキ缶”みたいなもので、中国北東のアジア近隣諸国や米国が西太平洋で運用していた当時最新の駆逐艦より劣った。

旅滬/Luhu (Type 052)シリーズの導入で変革が始まり、旅滬級 (Type 052, 2隻)・旅海/Luhai級 (Type 052A, 1隻)・旅洋/Luyang I級 (Type 052B, 2隻)・旅洋 II級 (Type 052C, 8隻)・旅洋 III級 (Type 052D, 1隻が就役し12隻まで計画中)を攻勢している。1994年に就役した旅滬は、中国駆逐艦が蒸気推進からガスタービン推進に移行したことを記録した。実際、同級2隻は1970年後半以来全ての米駆逐艦の動力と同種のGeneral Electric製 LM 2500ガスタービンエンジンを装備した。しかし、中国海軍初の真の近代的駆逐艦の出現を記録したのは旅洋 I級だった。[07]

II. Combat Systems

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2004年に就役した旅洋 I級の広州/Guangzhou (168)に始まり、全ての中国駆逐艦はほぼ同一の船体設計を採用し、全長508フィート・満載排水量6,500-7,300トン・CODOG方式である。旅洋 I級及び後続する全てのType 052シリーズはレーダー反射面積を低減した船体と上部構造物が取り入れられたハンサムな軍艦である。しかし魅力的であるのと同様に、戦闘能力は就役したその日に時代遅れだった。

II-a. Antiair Warfare

同クラスの主要任務は防空だったが、搭載していたのは短射程(21海里)のロシア製 SA-N-12艦対空ミサイル(SAM)だった。同クラスには自艦防御が精一杯で、それもミサイルの射程が短いために充分ではない。このセミアクティブ式SAMの誘導は独立した4基の火器管制レーダーに頼っているため、航空機はSAM射程外に容易に留まりながら制約を受けることなく各種兵装を発射可能で対空防御能力を圧倒する。同クラスが搭載する主要な対空捜索レーダーは回転式の3次元レーダーで、最新鋭のフェイズドアレイシステムに劣る。比較すると、SPY-1 Aegisレーダーのようなフェイズドアレイシステムは米海軍では1983年以来使用されている。海上自衛隊では、広州が就役するまでに10年以上に渡ってフェイズドアレイシステムが就役してきた。ノルウェイがAegisを装備したのが2004年、広州の就役は同年のことである。

これは注目すべき基準となるポイントだ、中国が独自のフェイズドアレイレーダーシステムを導入して、このレーダーギャップを埋めるまでに10年しかかかっていない。フェイズドアレイシステムは捜索と追跡を同時に行う、これは対艦巡航ミサイル時代における重要な能力だ。今日の精密兵器環境において生き残るには迅速なリアクションタイム・火力・良好な信頼性が求められる、また広州にはそれらがない。リアクションタイムや火力は、垂直発射装置(VLS)の長射程SAMとセットになったフェイズドアレイシステムを伴っている。同クラスが中国海軍にとって真の近代的な対空駆逐艦の始まりだった一方で、他の近代海軍艦艇の能力と匹敵するには長い道のりとなった。

II-b. Antisurface Ship Warfare

対水上戦の点では、広州は機関部煙突後部に位置する4連装ボックスランチャー・4基に16発のYJ-83巡航ミサイルのパンチ力を詰め込んでいる。このミサイルルは射程120海里で420ポンドの弾頭を持つ。米国製のHarpoonのように、亜音速の撃ち放しミサイルである。[08] YJ-83で広州は米水上戦闘艦艇の多くをアウトレンジ出来る。[09] 中国軍は居並ぶ航空機・潜水艦・水上戦闘艦艇から発射可能な対艦巡航ミサイルの配備を上手くやっている。このミサイルが試験においてどれほど効果的だったについては乏しい公開情報しかないが、中国海軍はその能力を信頼していると考えておくべきだ。1990年代にイランが大量に購入した中国の輸出型C-802対艦巡航ミサイルが性能を発揮したことは知られている。イスラエルとヒズボラの戦争中(レバノン侵攻)の2004年7月に、イスラエルのINS Hanitに車載式のC-802が命中した。2発のミサイルが斉射され、1発が同艦艦尾のクレーンに命中、もう1発は飛び越えて沖合60kmのカンボジア船籍のエジプト貨物船に命中した。[10]

* Note 10によるとHanitはベイルートの沖合8.5海里を比較的低速で哨戒中に狙われた。最初の1発が沖合60kmを航行する貨物船に命中し、2発目がHanitを捉えた。

II-c. Antisubmarine Warfare

Type 052シリーズは主にミサイル防空艦として想定されているので、装備するソーナーは仏Thales DUBY-23シリーズをベースにした短距離・中周波数・艦首配置式(SJD-8/9)である。中国海軍は対潜自衛を意図したロシア海軍式の駆逐艦対潜戦を採用していると見られる。[11] 米海軍駆逐艦は空母の直衛部隊として行動し、空母の対潜防御として貢献することを前提しており、数十年に渡って長距離探知を実現しようとしてきた米国式とロシア式とは異なる。米駆逐艦のように広州は2基の3連装対潜魚雷発射管を装備する。米艦艇とは異なり、ともかくも潜水艦を大いに混乱させて“大きな音を水上に立てる”短射程(1,000ヤード)の対潜ロケットを持つ。Type 052の全クラスはヘリコプターが着艦可能な甲板とKa-27ヘリコプター用の格納庫を有する。これらのヘリコプターはロシアのシステムを基にしたディッピングソーナーを備えている。

III. Getting a Lot Better in a Hurry: the Type 052C (Luyang II)

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旅洋 I級が最新鋭駆逐艦に向かう目覚ましい改良を見せた一方、中国海軍が真に欲した艦艇は2つの後継クラス、旅洋 II級 (Type 052C)と旅洋III (Type 052D)である。両クラスが連続建造されていることは、中国海軍の満足度の最良の証拠だ。また中国海軍の満足には理由がある、それは両クラスがハンサムというだけではなく、計画された戦闘能力が優れていることだ。

旅洋 II級最初の2隻は旅洋 I級の2隻と並行して2004年と2005年に就役した。[12] この後に8年の長い間が開いたのは、上海地区の造船所の再配置が原因と見られる。中露のシステムが混在する初期のType 52シリーズと異なり、旅洋 IIでは主に初期の外国のテクノロジーから派生した中国製のシステムが用いられる。[13]

III-a. Anti-air Warfare

中国海軍にとって旅洋 II級は、フェイズドアレイ対空捜索レーダーへの大きな飛躍となった。同クラスの8隻は垂直発射ミサイルと組み合わせることで劇的に火力を向上させる電子走査アレイレーダー(AESA)を有している。これら8隻は、中国が西太平洋でAegis駆逐艦を運用する米国・日本・韓国との能力ギャップを劇的に埋めることを実現した。

旅洋 II級は旅洋 Iに酷似するが、艦首側の上部構造物に4面に固定されたフェイズドアレイアンテナを追加している。アンテナ2面は艦首方向180度をカバーし、同時に他の2面が艦尾180度をカバーする。同様の配置は米海軍のArleigh Burke級駆逐艦で採用されている。報告では、このレーダーはウクライナ企業との共同開発プログラムの産物の模様である。[14]

同クラスは中国海軍として初めてVLS踏み入れ、AESAレーダーと共に迅速な追尾と射撃を可能にして旅洋 II級の対空火力を向上させた。このVLSは6セル・8基のコンポーネントからなっている。その全てに長射程のHHQ-9 SAMが装填されていると考えられる。HHQ-9の最大射程(maximum slant range)は110海里である。これは劇的な向上を実現しているものの、Harpoon対艦巡航ミサイルの長射程型を搭載する航空機には同クラスのミサイル圏外に留まって交戦が可能である。従って、制海獲得に貢献する洋上航空力に依存する米海軍は大きな戦術的非対称性を保持している。

冷戦時の米海軍は、対艦巡航ミサイルを発射してくる強大なソ連軍の空襲に対抗する最善の防御法は射程到達前に発射プラットフォームを撃破すること – “shooting at the archer, not at the arrow” (矢ではなく、射手を撃て)で知られる - だと結論付けていた。中国海軍が大抵の空中発射型対艦兵器をアウトレンジするSAMの配備が可能になるまでは、彼らは”矢を撃つこと”を強要されたままだろう。無論、これが空母を囲む対空防御が矢を撃ち落とすことを可能にするAegisシステム開発のそもそもの理由だ。[15]

旅洋 II級の終末防空は2基のType 730近接防空火器(CIWS)が提供する。この毎分4,600-5,800発を発射するCIWSの射程は2,700ヤードに達する。[16]

III-b. Anti-surface Warfare

初期のType 52シリーズのように、旅洋 II級は円筒形のキャニスター(4セル・2基)に対艦巡航ミサイルを搭載する。箱型ランチャーではなく、円筒形のキャニスターにミサイルが収納されていることから、それらが国産開発のYJ-602 (C-602)であることが示唆される。これは巡航フェイズを100フィートで飛翔する亜音速ミサイルで、約250海里の優れた射程を持つ。計画では、これは驚くべきシステムだが長距離、見通し線外で個々の艦艇を狙うことは困難なことだ。恐らく確実に周辺に他の艦船がおらず、それらが意図せずに目標にならないことを確実にするには外部支援 - その多くは搭載ヘリ – を必要とする。終末段階ではミサイルは20-30フィートに降下し、アクティブレーダーシーカーの捕捉距離は22海里である。[17]

また、旅洋 II級は主砲として仏Creusot-Loire100mm単装砲の派生型も搭載する。この全自動邦は水上目標・航空機や低速ミサイルのような対空目標と交戦し、最大発射速度は毎分90発となっている。

III-c. Anti-submarine Warfare

旅洋 I級のように、旅洋 II級は中国でライセンス生産される仏製ソーナーの派生型であるSJD 8/9を装備しているとされる。1972年-1993年の20年間にフランスは近代的なソーナーテクノロジーを中国に提供していたものの、EUが依然解除していない天安門後の武器禁輸で停止したと見られる。この中周波数ソーナーは1,000-1,800ヤードの表面ダクトレンジを有し、これら艦艇の対潜装備の主目的が”主力の防御”よりもむしろ自衛であることを改めて示唆している。[18] これらの防空駆逐艦の船体装備式(原文ママ)ソーナーは比較的短射程で、中国空母の適切な対潜防護を提供する護衛艦艇の必要数に大きく関わる。

* 艦首装備式と取り違えた記述か?

旅洋 II級は船体装備式ソーナーや可変深度ソーナー・曳航アレイ式ソーナーを有さず、専門家は主船体の再設計と同クラスの統合指揮統制システムの処理能力に劇的向上が必要だと推測している。[19]

対潜兵装の点では、旅洋 II級は標準的な対潜魚雷発射管6門を装備しているが、対潜ロケットは装備していないようである。

搭載ヘリコプター、露製Kamov Ka-28もしくはZ-9で知られるEurocopter Dauphin (AS-365N)の中国版のどちらか、は同クラスの対潜能力の重要なエレメントである。両機種共にディッピングソーナーを搭載可能だが、Z-9の方が恐らく魅力的で機上処理装置を持つのに対して、Ka-28は音響情報を処理するには母艦に転送しなくてはならない。いずれにせよ、ヘリコプターは同クラスの自衛対潜能力の提供に重要な機能である。[20]

IV. “Red Aegis” - the Type 052D (Luyang III)

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2012年9月5日付けのGlobal Timesの記事で、新型駆逐艦が上海近くの江南長興造船廠で建造中であることが明らかになり、それが”旅洋 II級の後継である旅洋 III級 (Type 052D)”と特定されて、中国海軍ウォッチャーの間で大変な評判になった。[21] この記事では”最も洗練された戦闘艦艇として、Aegis駆逐艦は艦隊全体にエリア防空の盾を提供することを可能にするフェイズドアレイレーダーや近代的な艦対空ミサイルを装備した防空駆逐艦と一般に呼ばれている。”と続けている。[22]

同クラスの画像はその後まもなくネット上のコミュニティに公開された。それらの画像では、旅洋 III級が米海軍Arleigh Burke級ミサイル駆逐艦(DDG)の中国のハンサムな従妹に見える。設計者は米国及び同盟国のAegisシステム同様にフラットなフェイズドアレイレーダーを採用している。同クラスは、32セル・2基のVLSを装備しているとされ、1基は艦首にもう1基は艦尾にある。搭載しているSAMが何かは主砲を除く他の戦闘システムの正体と同じく問題である。旅洋 II級の100mm砲は大口径の130mm砲に換装されている。

近年の中国は複雑な軍艦を多数建造する優れた能力を誇示している。例えば、2010年以来旅洋 II級を4隻進水させている。旅洋 III級を建造している江南長興造船廠は複数の軍艦を同時に建造する能力を有している。[23] 幾つかの評価では、この造船所は建造の各段階にある8隻の旅洋 II/III級を一時に抱えていた。[24] 筆者は、旅洋 III級が中国海軍初の空母打撃群にとって最も有力な護衛戦力を提供するために連続建造されると考えている。言い換えれば、2年内に、あるいは中国海軍空母遼寧は試験や訓練から移行して定期洋上作戦を実施するようになった時には大量の同クラスが見られるようになる。

V. The Sovremenny Class

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中国の近代的な駆逐艦部隊に関する議論は21世紀初頭に中国海軍部隊に加わった4隻のロシア製Sovremenny級駆逐艦を扱わずには終わらない。短い期間だが中国海軍の最も有力な水上戦闘艦艇だったが、これらは”時代遅れ”の艦艇で、時代遅れの設計、時代遅れの船体・機械・電気系統(electrical structures)、時代遅れの戦闘システムだった。

1996年、中国海軍は未成状態の元ロシア海軍Project 956級駆逐艦の購入を決定した。1隻は3分の2、もう1隻は3分の1ほどの完成率だった。両艦は1980年代後半にSt. Petersburgで起工されたが、予算不足のために1995年に建造が中止された。最初の1隻は杭州/Hangzhou (136)と改名され、1999年12月に引き渡された。2隻目は2000年12月に福州/Fuzhou (137)と改名されている。

2002年、中国はロシアと同クラスの2隻を追加購入することで契約した。1隻目の泰州/Taizhou (138)は2005年に引き渡され、2隻目の寧波/Ningbo (139)は2006年9月に引き渡されている。この日付は重要で、泰州と寧波の引き渡しは旅洋 IIの最初の2隻の後になった。中国が同クラスを2隻追加する必要性を考慮したことはちょっとしたミステリーだ。軍事専門ブログのSinodefenceは、”Sovremenny級駆逐艦は引き渡し当時の中国国産設計の能力を大きく上回る均整の取れたプラットフォームである”と主張している。[25] これは北京高官の決定かもしれないが、正しい判断ではなかった。恐らくは中国自身の設計能力に信頼性を欠いていたことの反映だろう。

いずれにしても、同時期の旅洋 II/III級はSovremenny級と同射程のSAMを有しており、フランスを手本にした対潜能力は若干上回っていた。ロシア艦がもたらしたユニークな能力の1つは、長射程(195-210海里)・高速(マッハ3)の対艦巡航ミサイルであるMoskit, SS-N-22だ。この優れた兵器を大型の船体(満載排水量8,000トン)と組み合わせた同クラスは、中国海軍に米空母部隊と対峙可能な優れた耐航性能を備える艦艇である。

一方で、短射程SAMや性能が劣る対潜能力のため、中国軍地上機のエアカバー外で行動する際や台湾シナリオにおいて米空母部隊の射程内に入らなくてはならない場合には同クラスは非常に脆弱となる。自衛能力の弱点の他に、同クラスは信頼性の低い加圧燃焼式ボイラーを用いた蒸気推進艦である。[26] これは米国が挑戦して、上手くは行かなかったフリゲイトの2クラス(FF 1040/Garcia級, FFG 1/Brooke級)と同じデザインである。両クラスは気分屋の機関のためにトラブルに見舞われ、洋上に漂った。この10年足らずで中国海軍の設計や建造能力がどの程度になったかを考えると、一部のアナリストはSovremennyが中国海軍にとって”無用の産物 (white elephants)”だったと見做している。同クラスは中国海軍固有の標準的なデータリンク・戦闘統制システム・通信システムと相互運用性を持たず、極めて変則的な配備になっている。[27]

大型で、信頼性があり、長大な航続距離を持った多目的駆逐艦は本国海域から遠く離れて外洋で長期の作戦を実施したい海軍にとって重要である。近代的な駆逐艦は自艦や他艦艇の防空を提供し、潜水艦から防御し、搭載ヘリコプターで敵対潜水艦が射程に迫る前に捜索・攻撃することが期待されている。また、対艦巡航ミサイルや対艦ミサイルを搭載するヘリコプターを用いて遭遇した艦艇を倒すことも期待される。最後に、近代的な駆逐艦は対地巡航ミサイル、また必要であれば沿岸部の部隊に火力支援を提供する主砲を用いて沿岸部での戦力投射を可能にすることが期待されている。[28]

ここ10年余り、中国は外観上、最新鋭・多目的駆逐艦を建造する能力があることを実証してきた。最低でも11隻が就役ないし建造段階にあるが、保有目標数は不明である。日本(Aegis護衛艦を6隻保有)や韓国(Aegis駆逐艦を3隻保有)にAegisもしくはAegisに似た能力でアジアの海軍として唯一加わり、2020年までこのタイプの艦艇を20隻前後有すると見られる。その時点で、中国海軍駆逐艦部隊は世界第2の有力海軍に(計画上は)なっているだろう。しかしながら、米駆逐艦能力には依然として及ばないという視点は重要である。Arleigh Burke級を持つ米海軍は63隻の最新鋭駆逐艦を就役させており、75隻まで計画されている。

終わりに、中国艦艇の戦闘システムの効率の程度やクルーがどれほど有能に育つかは確かに不明である。中国は先進兵器や戦闘システムの開発では今なおロシアや西側の”支援”に依存しているが、それは日本や韓国も同じである。現実に、中国は信頼出来る近代的な駆逐艦を建造するための資金・インフラ・設計人材・戦略的な要求信号を有する一握りの国家に仲間入りしている。地域を抜け出そうとする(incipient transregional)中国海軍の発展を見守ることは魅力的な仕事であり続けるだろう。

- end -

VI. NOTES

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* 10の現在のリンクはhttps://www.cna.org/CNA_files/PDF/D0026727.A1.pdf

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