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Posted Jun. 23, 2016

Is China Pursuing Counter-Intervention ?

The Author: Timothy Heath and Andrew S. Erickson

訳者前書

George Washington大学のThe Washington Quarterly, Volume 38, Issue 3, 2015; Oct. 30 2015 で拾ったテキストの抄訳。

M. Taylor Fravel, Christopher TwomeyのThe Myth of Chinese Counter-intervention は精読必須。

中国語の表示については試行中。

Typo, 誤訳の指摘は歓迎。- E-mail

目次

“反干渉”という用語は中国の国家及び軍事戦略の様相を論じる際に議論の的になっている。少し前から、”反干渉”のコンセプトは、中国政府がアジア太平洋地域での米国政府による軍事力行使能力の阻害を模索する方法を説明するために役立っている。他に、この用語は中国の態度を正確に説明しているわけではない西側の発案でもある。本稿では、2つの明確に異なるが補完しあう考え方を区別することで、このコンセプトを明らかにしていく。

国家戦略レベルにおいては、中国政府が、長期に渡る大望 - “地域再構築(regional restructuring)”というフレーズが我々の思うところを良く捉えている - を阻害するものとして中国が認識している米国主導の安全保障アーキテクチャーの弱体化を狙っていることを強く示唆する証拠がある。軍事作戦レベルでは、“反干渉”の意味することを再検討することで良く表現される考え方 - 中国は自国がかかわる紛争における米国の干渉を抑止し、必要であれば打破する能力を構築中であることにほぼ疑いはない。

* Counter-interventionは他に対介入・反介入などと訳される。ここでは原文中の中国語表記(反侵入・対干渉)の片方を採用して反干渉とした。

最近、M. Taylor Fravel, Christopher Twomeyが”The Myth of Chinese Counter-intervention”において、多くのアナリストが”反干渉”の用語を誤用していることを指摘するため、考えられる証拠を整理している。[01] 実際、西側の著作は多くの意味を - 頻繁に混乱している - この用語に与えている。同様に、反干渉(or 反侵入)の用語は中国にルーツを持つという示唆はまた、一部の西側のアナリストがいうようには、中国語のソースではこの用語が全く出てこないという単純な理由のために批判を招いている。また、中国人の専門家が“反干渉”と呼ばれる大戦略に言及している、或いは軍事的”反干渉”戦略の証拠もない。こうした視点は公正で真っ当なものだ。ある言葉の誤用は当然疑いを招きかねない。しかしながら、この用語の拡散は周囲と深く共鳴する考え方があることを示唆しているし、この懸念には大いに注意を払う必要がある、”反干渉”は中国が外交や軍事面で、アジアでの米国のリーダーシップに部分的にでも傷をつけるような態度を見せているという不合理ともいえない考えを不完全ながら呼び起こす。これらの懸念の説明に用いられる用語の意味を明らかにすることが、特定用語の誤用に関する誤解を減らし、散漫な討論を防ぐことに繋がる。

* ”The Myth of Chinese Counter-intervention”は、多くの中国語の資料を精査しても"反干渉"のコンセプトを意味する語が中国で出ることが稀で、あっても戦略全体に及ばず台湾シナリオなどに留まる(それでさえ、シナリオの一部に過ぎない)ことを説明した。また、反干渉の役割を過度に強調する余りに中国の戦略を見誤る危険を警告している。一方で中国の反干渉への注力を過少に評価し過ぎとの批判もある。China: Exit Counter-Intervention, Enter Peripheral Defense

一旦、(後に引き返すことになるが)用語の疑問からは離れると、反干渉の用語を思い起こさせる西側の著作は、主に2つの明確に異なるが、国家戦略や軍事作戦と関係し、似通いながら関連のある問題に焦点を当てている。国家戦略レベルでは、主な懸念として地域秩序の様相を塗り替える中国政府の取り組みは、中国がかかわる紛争において干渉してくる米国の能力を制約するという考え方が中心にある。米国の東アジアに戦力投射する能力は、同盟国に認められた前方基地へのアクセスに依存しているため、我々は中国が米国の同盟関係を侵害しようとしている考えといった、より単純かつ明確にこの懸念を再度説明するかもしれない。軍事作戦レベルで最も顕著な懸念は、中国と近傍の国の紛争に干渉する米国の能力に対する軍事能力の開発に向けられている。これらは米国の政策に重い課題を突きつけ、中国の成長する”反干渉”能力と正しく説明されていると我々が考える現実かつ困難な問題だ。

I. 地域秩序を再構成する中国の活動

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この数十年のアジア太平洋地域の安全保障秩序は、米同盟システムによって定義づけられる。それはしばしば、ハブとなる米国とスポークとなる5つの同盟国である日本・韓国・豪州・比・秦の”ハブ・アンド・スポーク”ネットワークと呼ばれてきた。同盟による前方基地へのアクセスを通じて、米国は同盟国を敵から防衛し、危機に対応し、人道支援や非伝統的脅威への多国間協力を促進してきた。同盟国は、したがって地域の平和と安定を保証する米国政府の戦力投射のために重要なままだ。[02] 同盟国が提供する基地へのアクセスなしには、タイムリーかつ東アジアでの主要な紛争で戦うために求められる兵力規模で軍を展開する米国には、それは可能だとしても極めて困難となる。

1949年に中華人民共和国が建国されてから最初の数十年間、弱小国だった中国はアジアの安全保障の盟主たる米国政府の役割に黙るしかなかった。米国に対抗するには余りに能力が貧弱だった。しかし大国になるにつれて、この(暗黙の)ルールに従い続けるべきかという中国政府の疑いの念は募っていった。

2010年、中国は日本を追い越し、世界第2位の経済大国となり地域経済のリーダーとなった。[03] 大方の予想では、将来のグローバル経済成長の場は主にアジアとされている。また、アジアの潜在的成長力は、主導する中国と地域がどのように効率的に経済的に融合するかにかかっている。[04] これが現実となれば、中国政府は地域の政治的・安全保障の秩序の変革に向けて発言権の拡大を欲することが想像されるのは道理だ。

その願望は理解できるし、米国の地域のリーダーシップを奪う格好での各方面への中国の影響力拡大は避けられないだろう。最低でも、中国は最大の脅威と見なしている米国のリーダーシップに挑戦してくることが考えられる。ただ、今日の中国への懸念は米同盟システム同様に殆どない。

中国政府にとって、米同盟システムには3つの脅威がある。1つ目は、中国と米同盟国との不安定な主権争いの継続が、米中間の破滅的な紛争にエスカレートしかねない地域の摩擦や衝突のリスクを有することである。結局、中国は米・日・比との厄介な主権争いへの対処を続けている。台湾が米国の公式な同盟国ではないが、その緊密な安全保障パートナーである。また中国政府の統一への要求に対する抵抗は危険な引火点ともなっている。2つ目は、中国の視点から見ると、米同盟システムは彼らが他方でするよりも米同盟国の主体的な行動を支援し、また可能にしている。3つ目に、強固な米国の同盟システムは米国に、関係が不味くなった場合にアジアのリーダーシップを争う対中国コアリションを構築する選択肢を与える。米中関係は現在安定している、しかし将来は変わるかもしれない。そうはいっても歴史は、米国が何度も欧州やアジアでの地域覇権を狙う者を打破するコアリションを組むことに成功してきたことを示している。

米国の同盟関係を弱体化もしくは終結を模索することは、中国の指導者に米国が強硬姿勢を見せる目標に推進しつつも米国との戦争のリスクが大いに減少することを期待させる。同盟国にある前方基地へのアクセスが途絶もしくは大幅に縮小されると、軍事的干渉が不可能になる。同盟国にある前方展開基地からの戦力投射能力なしには、干渉にかかるコストは劇的に増大し、東アジアでの紛争を戦う部隊展開が実行不可能ということに照らして、米国政府の意思に議論の余地が出てしまうリスクが一層拡大する。

従って中国政府には、現在の安全保障秩序の弱体化や、中国の国力を中心にした新たな秩序の普及に強力な動機がある。近年の西側の観測では、米国の同盟関係を侵食する中国の活動が既に強まっているとされている。[05] しかし、信頼出来る中国筋はさらに多くの直接的な証拠を提供している。中国政府が描く新たな地域安全保障秩序、新たな安全保障ルールの普及化、既存の安全保障秩序に対する強まる酷評は全て、地域内の米同盟システムを徐々に侵食するという中国の決意が強固になっていることを示している。

中国の指導者は1980年代から、政策目標として“国家復興” (中华民族复兴)の実現を掲げてきた。習近平主席はこれを”中国の夢”という彼のビジョンに改めた、但し両者の目標は同じである。国家復興は、国民が上質な生活水準を享受し、世界の超大国の一員として尊敬を集める繁栄した力強い国家として中国が振興されることを掲げている。その一義的な目標が国内の繁栄や国力にある一方で、この理想は地域的あるいは国際的な秩序に対する中国のアプローチに深い関連を有している。[06] 胡錦濤前主席は“和諧アジア”(和谐亚洲)として知られるビジョンを示した。[07] このアイデアは後継の習近平(2013-)が“運命共同体”(命运共同)の理想を通じて改めた。両者の原型は中国が大国として安全保障事案に関して近隣諸国を主導する東アジアの秩序を描いている。[08] 習の言葉では、”アジアの人々のためにアジアの安全保障を維持する。”である。[09]

* 国家復興は中国国家復興とすべきか、英文ではNational rejuvenationとある。また、和諧は英語ではハーモニーの意味。

このビジョンを実現するにあたり、中国政府は同盟関係の役割がなくとも安全保障脅威に対処するため、対話や多国間協力に主眼を置く新たな安全保障秩序の増進を狙った新たなイニシアチブを促進している。その仕組みには上海協力機構 (SCO)・アジア相互協力信頼醸成措置会議 (CICA)・ASEAN地域フォーラム (ARF)を含む。[10] また中国政府は、地域的海洋安全保障・災害救援・人道支援における中国のリーダーシップの役割を主眼に置く多国間安全保障プラットフォームを構築している。[11] こうした現在の弱味はあるが、これらの初期段階にある活動は、米国にとっては精々中国の主導的な役割や大した重要ではない役割に主眼を置いているに過ぎない。

中国はこうした新たな安全保障構造を推進する中で、米同盟システムに対する批判を強めている。中国政府が、米国の同盟関係の強化をアジアの長期的な安全保障の実現を助けるものと見なしていないことは極めて明らかなことだ。習はこの点を公式に明らかにした毛沢東以来初の指導者である。

2014年、CICAのカンファレンスにおいて周は、”第3国との軍事同盟が強化されるなら域内共通の安全保障にとって不利益となる”と述べている。[12] 中国の官営メディアも繰り返して米同盟システムを非難している。典型的な新華社の言葉でいえば、”平和的アジアのレトリックは、冷戦の安全保障構造が残る限りは空虚になる”となる [13]

それは目先では正しい、自国がかかわる海洋係争において米同盟国を制止する以外の理由がないのであれば、中国政府は域内安全保障秩序における米国のリーダーシップの価値を知らされ続けているということだ。また中国政府は、多くの経済的・政治的・戦略的理由から米国政府との協力関係を評価している。

しかし長期的大望は明確だ、中国は域内経済支配や米同盟システムを損なわせることを含めた活動を完全にする新たな安全保障秩序を建設している。なぜなら米国は、中国がかかわる如何なる紛争に干渉するにも同盟国にある前方基地へのアクセスに依存しているため、この活動がアジアでの米国の安全保障リーダーシップの礎を侵食するのである。

説得力のある代替案が欠如する場合に、アナリストの中にはこのレベル(国家戦略レベル)での中国の戦略的態度を説明するために”反干渉”のラベルに固執する者がいる。そうした関心の持ち方は合理的なものだが、この言葉を持ち出すことには幾つかの理由から問題がある。最も重要なのは、軍事的能力に広くかかわる言葉を政治戦略的な意味合いと共に多重に定義することは混乱をもたらすということだ。このため、異なる用語の方がより助けとなるだろう。我々は、この戦略的な態度の的確な説明として、”地域再構築”のフレーズを提案する。この言葉は、中国政府が戦略レベルにおいて、自国の利益を促進するために地域秩序を多面的に修正することを狙っているという考え方を捉えたものだ。中国の国力の行使の更なる余地がある秩序の形成が主眼となる一方、地域再構築は本質的にそうした大望を妨害する米同盟システムの弱体化が必要となる。

II. 軍事作戦: 実地での反干渉

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“反干渉”という用語は一般的には明らかに信頼されている中国筋よりは、西側の分析でごく普通に使われてきた。しかし不当な扱いという訳ではない。公に利用できるドクトリンが国家の戦略的思考や運用開発への包括的な識見を提供することは滅多にない。国家は防衛・規範的な用語での透明性や分析の一貫性を犠牲にしてでも、目標や活動を説明しがちだ。例えば、中国は不名誉なことに1979年のベトナム侵攻を”自衛的反撃”と称しているし、中国官営メディアは最近、弱い立場のベトナムやフィリピンを”陰に潜んだ外部の扇動者の仲間が中国を牽制するために団結している、彼らは中国の脅迫に動き出した”と非難している。[14] また、世界有数の中国の核戦力に合わせて、核戦力を支える公式ドクトリンには”強制への対抗 (counter-coercion)”のようなフレーズが今もある。参照できるドクトリン刊行物から関連用語などが見つからないからといって、政府が検討・計画していないことを証明することにはならない。例えば、”中国”という言葉をAir-Sea Battle (ASB), その後継となるJoint Concept for Access and Maneuver in the Global Commons (JAM-GC), Joint Operational Access Concept (JOAC)関連、あるいは米国の統合海洋戦略(2007-2015)についての米国の公式ドキュメントから当てもなく探す者もいるだろうが、一方で中国の観測者は、これらのコンセプトが実際に中国に密接に関連していると正しく結論付けている。

* 強制の意味するところは敵の行動に影響を与えるような武力行使、例えば軍事力による恫喝。

“接近阻止/エリア拒否 (A2/AD)”のコンセプトのように、反干渉が、その言葉で説明される能力が一般的にはアクセスそれ自体を妨害しないという意味において間違いなく不正確な表現であり、むしろ危機のリスクや干渉コストを高めるものだ。反干渉はA2/ADと異なり、紛争が平時に及んでいる。また、外国の干渉に対して機先を制し、打破を狙う軍事作戦のため、外交・プロパガンダ・非軍事的機能の重要な支援の役割を知悉することで中国の政略戦の伝統が認識されている。対軍事干渉の能力を整備することで、中国の決定者は米国にその平時の政策を再考・調整させることを期待しており、それによって兵器を実際に使用する必要性を減じる。米国の平時の選択が失敗に終わるなら、中国の能力は干渉する大国に紛争遂行はエスカレーションのリスクやコストが正当化されないことを確信させるに足るだけのダメージを与えられるということだ。こうしたコンテクストを考えると、反干渉は、中国がかかわる紛争における米国や同盟国の関与に対抗する能力や作戦ドクトリンを説明するために最適である。中国公式筋が”A2/AD”という用語どころか、”反干渉”でさえ滅多に使わない一方で、中国は明らかにそうした目的に適うシステム構築を優先している。

つまり、反干渉とは戦略ではなく、戦略的インプリケーションに働きかける中国の作戦アプローチの一要素である。こうしたキャンペーンの構成要素の説明としての反干渉の妥当性は演繹的に施政方針演説を、帰納的に軍事的発展を検討することの双方によって認められ得る。

演繹的に見ると、中国の軍事戦略は共産党の今世紀中盤までの”国家復興”の遂行からは直接的には外れている。中国の最終目標の実現を支える為に、共産党は中国人民解放軍の戦略的役割を一連の“歴史的任務”を果たすことと概説している。[15] これらは、軍に対して国家の“核心的利益”を守り、国家の発展を維持に有利な国際的秩序の形成を指示している。ここに、我々は反干渉の思想の本質である戦略と作戦コンセプトの交点を見出す。

中国の軍事力の発展の主眼は米国に対抗することにはない。中国軍の焦点は、台湾独立や、他国によって中国政府が権利を主張する陸地・島嶼・他の要所や海域がコントロールされるのを防止に関する戦争以外の任務、しかし中核にある最重要の責務を含めることに拡がっている。米同盟関係や安全保障パートナーシップがある為に、中国の潜在敵の代わりに米国の干渉の可能性が中国軍の主要な戦闘任務の成功裏の遂行に対する大きな脅威を見せ続けている。

この結論は比較的共有されたもので、中国の上級指導者や権威ある中国軍の書籍でも広く認識されている。2014年のスピーチにおいて、習は中国軍に”強大な敵の軍事的干渉に対処にする戦略を策定し、また備えよ”と指示した。[16]

彼らが”反干渉”の用語を使わないとしても、この点に関して習が言い含めるところは注目に値するし、中国軍の重要な刊行物において見られる評価をなぞっている。直近の主要なドクトリン刊行物では、”核抑止下における海上領域(maritime direction)での比較的大規模かつ高烈度の域内戦争が備えるべき最も重要な戦争である一方で、最も可能性のある戦争の脅威は海上領域での限定的な軍事紛争である”と説明されている。 [17] “海上領域”には近隣のシーパワー、また恐らくは米国の干渉に対する潜在的強制もしくは紛争への備えを明確に伴う。中国は非核保有国には攻撃しないことを公約している、また通常戦力が充分ならば核能力よりも前者が好んで強調されるだろう。とすれば、”核抑止”が強く意味するところは世界で唯一の超大国の干渉への対処である。(強調は筆者による追加)

中国の”積極防御”軍事戦略は同様に一貫して反干渉の考えや原理を主張している。積極防御は”防御作戦”だけではなく、トリガーとして率先して認識される”敵の攻撃が開始された後の打撃・打破”を規定している。政府全体の取り組みの重要性の強調もまた軍事的闘争及び政治・外交・経済・文化・合法的努力の密接な協力を通じた”危機や戦争の抑止”を模索している。[18] 中国軍の書籍も、”防御的”軍事の準備・能力の討議の際には、米国の婉曲的な表現として”強大な敵”を繰り返して引き合いに出している。[19] そうした事態に備える余裕は中国軍にはないだろう。

そこで信頼すべき筋は、中国の指導者や軍は、外国の干渉に対抗する能力を構築する必要を認めている点を指摘している。証拠は信頼すべき文書の範疇にはないが、中国の軍事力が能力近代化の為にとった行動が大いに物語っている。公開情報から明確であるが、中国は米国の干渉に対抗することに合わせて洗練され、高価なシステムを大量に効率的に用いる為に開発・展開・ドクトリン上の支援や訓練をしている。

中国が多数の軍事的目標を同時に狙う一方、その最も傑出した有力な能力は反干渉に最適化されている。これはFrank Kendall国防次官(AT&L)の下院軍事委員会での証言で要約される。“私が見ていることは、米国流の戦力投射の打倒を明確に意図した一連の能力だ。”Kendallが中国は”我々のやってきたことを越えていく”と確信して弾道及び巡航ミサイルに注目する一方で、”電子戦能力・対衛星能力や、米国流の戦力投射の打倒を強く意識して開発されている我が方の宇宙システムを打倒する手段の多様さ(spectrum)”について強調している。[20]

中国は先進的ミサイルを高度に隠蔽される移動式地上ランチャーや、比較的静かな通常型潜水艦を含めた幅広いプラットフォームに配備している。弾道ミサイル・地上レーザー・軌道上のシステムが対衛星任務の為に開発が進行中である。これら全てが、戦争のやり方を全く変えてしまう技術要因の利用に抜け目がない中国政府の手段(element)である。その中でも筆頭は、高知能化センサーや機動性を備える長距離精密攻撃(LRPS)システムで、敵の対抗策よりも低コストで生残性や打撃効率を最大化する。そうしたシステムは、低クラッター環境において固定施設と移動目標を非常に脆弱にしてしまう。ターゲットの中でも、これらのシステムに最も影響を受けるのは、東アジアに対する米国の戦力投射を底支えする海軍基地・水上艦艇・空母・衛星である。このパワフルな中国の手段・方法・目的の融合は、当然のことながら米国の軍事プランナーを大いに悩ませる。

中国は何の為にこの能力を開発しているのか? 最も傑出した先進的なシステムの幾つかの歴史的かつ認識されている機能は、中国周辺の危機や紛争での米国の侵入に阻止する自国の能力を強化するという中国の決定に端を発する。1991年、砂漠の嵐作戦は、如何に米国のネットワーク中心の戦い/NCW(PLA用語では信息化)が、中露も保有するイラクの兵器の多くを撃破して、米国のイラクのクウェート侵攻の撃退を可能にしたかを明快に示した。中国軍はこうした新たな現実の理解や対処に相当な努力を払った。対応の1つが第2砲兵への通常任務の付与である。その最初の部隊は1993年に配備された。

同様に、中国の対艦弾道ミサイルの開発 - 反干渉能力の要 - は、中国政府が屈辱的にも海峡付近に展開したNimitz及びIndependence空母群に対抗することが叶わない事を知った1995-96年の台湾海峡危機に遡る。[21] 敗北の余波の中、中国軍総参謀部の高級将校は米陸軍の北京駐在武官に、中国は米空母を弾道ミサイルで狙うだろうと述べている。[22] 報じられているところでは、江沢民が主要国防産業に関連技術開発の問題解決に予算を惜しむなと指示を出している。[23]

米空軍のB-2が首都Belgradeにある中国大使館を誤って爆撃した - 中国は計画的だと誤認 - 1999年のNATOによるコソボ作戦は反干渉の取り組みを加速させた。当時の中国やセルビアの兵器は概ね同等だったため、中国の指導者は米国による主要な権益への攻撃を自国が抑止や防止する能力を欠いていることを恐れた。江の右腕である中央軍事委員会副主席・張万年陸軍上将の目には教訓が明らかだった。”ユーゴスラビア軍は常に受動的に撃退するしかない位置にあり、攻撃に抵抗する実力を完全に欠いていた。包括的かつ支援用の兵器システムだけではなく、特に’暗殺者の戦棍’となる非対称兵器システムを欠いていたからである。” [24]

江や張、他の中国の指導者にとって、中国本土もしくは近傍へのそうした攻撃を防止する唯一の手段が、包括的なハイテクノロジーシステムや非対称兵器のコンビネーションを生み出すことだった。江は”新たなハイテク兵器の開発は加速せよ”と指示している。[25] また、この為に995工程(995 program)が開始された。[26] その取り組みを監督する張は江の指導を繰り返し引き合いに出した。”敵が恐れるものならなんでも、それが我々の開発すべきものだ。” [27] このビジョンは中国が配備した能力(HQ-9地対空ミサイルのような)や開発中の超音速LRPS兵器に後々に見られるようになった。これらのシステムが連携して、潜在的な危機や紛争における米国の干渉コストを増す一方で、中国が近隣諸国や彼らとの未解決の紛争において一層の影響力を振るうことを可能にする。このように、中国の最も重要な軍事開発は反干渉と説明される至上命題にしっかりと基づいている。

中国軍が、単に近海(黄海・東シナ海・南シナ海)での反干渉能力を備えつつあるだけではないことは事実だ。例えば、彼らはより遠方海域, 中国海軍が言うところの”遠海” (e.g. インド洋)での作戦にいっそう備えつつある。平時における一層多数で利便な非伝統的安全保障脅威の対処方法や、強まっていく地政学的影響力の一方で、これらの能力は単独で”制海権”を握ることが出来る他の強大な軍事力との実力行使に及ぶ紛争の支援には全く繋がっていない。また、中国は直ぐにはギャップ - 反干渉を消し飛ばす為に懸命に切り拓かれてきた大きなアドバンテージ - を埋められない。中国軍に欠如している統合性の埋め合わせを可能にする解決策や近海での事態におけるリアルタイム調整(一時的かつ空間的な衝突回避・Highpowered line of sight・部隊や火力の集結)は遠方では利用出来ない。同様に、中国が米軍や同盟国軍に効率的に指向できるタイプの兵器でさえも、遥か遠方で活動する極めて脆弱な中国軍を狙う為に外国軍が用いることもあるだろう。現在もしくは予見可能な未来には従って、中国の軍事力近代化の努力には中国本土・国境・沿海に対する圧倒的な関心が顕になっている。つまり、反干渉は向こう数年の中国の作戦能力を分析する有益なコンセプトのまま微動だにしない。

III. “地域再構築”や”反干渉”の有用性

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ここまでにおいて、反干渉の用語は残すべきだが、2つに改める(refine)べきだと主張してきた。第1に、その2つは意味するレベルが区別されるべきであることを示している。”地域再構築”は、米国の同盟を削ぐことを目的に地域秩序を再形成するという中国の大望を説明する適切なフレーズと思われる。“反干渉”はその一方で、紛争における米国の介入の信用性を減じる主に軍事能力の範囲において正当な説明として残る。第2に、”地域再構築”や”反干渉”は中国の行為を説明しようという西側の用語だということが認識されなければならない、しかしこれらの用語は権威ある中国の書籍や政策・視点からインスピレーションを得ている。

“地域的再構築”の用語を用いることは、アナリストや政策決定者に幾つかのアドバンテージを与える。中国は、米国の影響力を実際に削ぐことを目的にしている方法で積極的に地域秩序の再形成に努めているが、地域再構築の別の面は米国の権益を必ずしも脅かさない事実を強調している。中国のアジアの社会資本やコネクティビティにおける投資は、例えば、国際取引の促進や一層の繁栄を可能にする。国境を越えた課題に対するアジアの協力を増進する取り組みは、本質的に脅威とならない。しかし、米国の同盟関係を削ぐ結果となる安全保障秩序の形成努力は米国の権益や地域秩序に対して深刻な課題を突きつける。地域秩序の再構築は中国の国家戦略全体を包含していない、しがし米国や同盟国にとって極めて重要な側面として強調されることは確かだ。

示した方法での反干渉のコンセプトへの集中もアドバンテージを与える。米国は国家経済において重要な役目を果たす海洋への軍事的アクセスの維持に注意を払い続ける。さらに、米国政府はその同盟の運命から逃れることは不可能といって良い。例え、ある同盟国に代わる米国の介入のオッズが僅少でも、軍事プランナーはその可能性に備えなければならない。中国はなぜ自国が潜在的な米国の介入に対抗する多くの資源へ投資を続けるのか、この点を良く理解している。米国の介入に大きな脅威となる軍事的作戦能力への集中は、その用語が持つ軍事プランナーやアナリストにとっての機能や有効性を維持することになる。

中国の反干渉能力の討論において、米国政府の評価や政策は道理に合うバランスをとってきた。彼らは、遠海もしくは以遠での協力機会を模索する一方で、近海ではある程度は中国と競合する必然を認めてきた。中国の遠海能力は国際的安全保障を促進する、広く賞賛されるアデン湾での海賊対処任務部隊は好例である。近海志向の能力でさえ、米国を大々的に地域から追い払うことを目的にしていない。中国が平時における米国の関与の有用性を認めている状況では、南シナ海での二国間海賊対処演習で見られたような両軍の近海での協力さえあり得る。[28]

米中関係のパラドックスは、二国間の協力と競合を増進する必然性が同時に加速していると見られる。しかしながら、戦略及び作戦レベルで両国に突きつけられる課題の厳しさを率直に認めることは、激しさを増す安全保障のジレンマのリスクの制御法を見つけ出す強固な地盤を作る。もしも米国や同盟国が、地域の平和や安定を維持する方法で中国の不安を効果的に取り除く(address)政策を出すならば、アジアにおける米国のリーダーシップに対する中国の疑い深さ、また戦略及び作戦上の脆弱性を減じてきた期間を認めることが必要であり、また重要な最初のステップとなる。

中国の地域再構築を反干渉活動と区別することで、米政策決定者やプランナーは2つを混同することによる過ちの可能性を避けて、各レベルでの適切な対応策を立案出来る。地域秩序の変更の現実性を認識することで、米国はそれほど脅威とはならない地域再構築の一面に加わる選択肢を検討することが出来る。例えば、社会資本への投資・貿易イニシアチブ、また一般に懸念される安全保障上の問題での限定的コラボレーションさえあり得る。そうすることは中国の不安解消を助け、軍事的な反干渉能力の推進者を安心させるだろう。同時に、同盟やプレゼンスを強化することが地域への関与を維持する米国の決断を支え、また中国が同盟関係の弱体化を無益で危険な逆効果になると見なすように促す。同様に、適切な対応に失敗、もしくは中国の反干渉能力に対して深刻な脅威となる対応での過剰反応の双方は、中国政府に地域再構築の有害な面を加速させることを後押しするだろう。他のレベルでのインパクトを睨みながらの各レベルでの注意深い政策の校正が、課題を扱うには必要となるだろう。中国が突きつける課題の討論に関連するコンセプトの明確な用法が、この取り組みには重要となる。

- end -

IV. NOTES

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