6「天沢履」(り)

虎の尾を踏んでも喰われない方法

虎の前を通るだけでも喰い殺されるのに、その尻尾をうっかり踏んづけた、あるいは踏まねばならぬ羽目になった、日常の社会でもこんな事態に立ち至ることがまま有りますね。まず100%がぶりとやられると覚悟をせねばなりません、が助かる方法がある、と易には書かれています。どうするか。

虎の尾を踏むに愬愬(さくさく)たれば、ついには吉なり

虎のような圧倒的に強いやつの尾を踏むのですから、柔らかく、畏れ慎み、礼を尽くして行動することが肝要です。「私めとしたことが、ああ、何と迂濶な、あなたさまの尻尾を踏んでしまうとは、ああ、なんと畏れ多い、」とでも言いつつ、尻尾をなでさする位にすれば、途中いろいろあっても最後は、助かるでしょう。

夬(さだ)めて踏む、貞なれど危うし

いや、俺はそんなことはいやだ、と決然と踏む、その志は立派だけれど、これは危険ですぞ。 こうも書かれています。

眇(すがめ)にてよく見んとし、跛(あしなえ)にてよく踏まんとす。虎の尾を踏むは人を喰う。凶。

視力が弱いのに眼鏡もかけずに見ようとし、足が弱っているのに力強く踏もうとする、そういう無理をしようとしては、駄目。虎と自分の力関係に無頓着に、あるいは空威張りで尾を踏む様ではかならず喰われて凶。


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